Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

歌舞伎座『十月大歌舞伎 夜の部』 3等A席センター

2007年10月13日 | 歌舞伎
歌舞伎座『十月大歌舞伎 夜の部』 3等A席センター

『通し狂言 怪談 牡丹燈籠』
私の覚えている『牡丹燈籠』と演出や台詞があちこち違っていた。どうやら大西信行脚本版を観るのは初めてだったみたい。今回は終始怖くない怪談でした。かなり笑えました。

お露@七之助くんと乳母のお米の吉之丞さんの幽霊コンビ、最強。二人とも似合いすぎです(笑)特に吉之丞さん、絶品。幽霊にしかみえないのっ。足が無ようにみえた…。

さて、やっぱり仁左衛門×玉三郎コンビはいいですねえ。独特の空気感があります。息が合うというのはこういうことだな、って思うのです。絵面が良いってだけじゃないんですよね。会話の間が絶妙なんです。

お峰の玉三郎さん、白塗をしない玉三郎さんは久ぶり~。玉三郎さんの悪婆系のお役、大好きなんですよ。活き活きしててとっても良かったです。玉三郎さんの悪婆って可愛らしいんですよね~。玉さま独特の軽い言い回しがなんとも色気があって。今回、珍しく台詞のトチリや間が空いちゃうところがあって少しドキドキ。いわゆる抑揚をつけない台詞は結構難しいんでしょうね、リズムで覚えられないから。でも現代劇に近く、とんとんと台詞が流れるように行く感じなのでそれがさほど気にならない。それにしても玉三郎さんの「ちゅうちゅうたこかいな」の台詞が耳に残ってなかなか消えません(笑)

伴蔵の仁左衛門さんも楽しそうに演じてました。仁左衛門さんの軽妙なところがうまく活かされていて観ていて楽しい。カッコイイのに情け無いとことか違和感ないのよね。

終始楽しかったのですがラストの演出はどうなんでしょ?ちょっと中途半端かな。伴蔵とお峰夫婦がずっと仲が良いだけに唐突感が否めない。

源次郎@錦之助さん、お国@吉弥さんカップルも美男美女。こちらは妙にお色気むんむんでした。源次郎@錦之助さん、こういう役、ほんとにハマる(笑)こちらのほうがいかにもリアル感があるカップル。こちらのラストは結構壮絶でいい。

『奴道成寺』
この踊りを観るのは坂東三津五郎襲名披露以来です。実のとこ、三津五郎襲名披露時には「確かに踊りは上手いけど、面白みがあまり…」という感想を持った舞踊でした。あの時、三津五郎さんの踊りは上手いけどかなり地味だったように思います。しかし今回、とっても華やかで楽しい舞踊でした。なんというか、襲名時より三津五郎さんの踊りに艶が足されていて華やかさもいい感じにプラスされていました。芸を磨くというのはこういうことなんだなと思いました。

所化さんは御曹司たち中心。三階からだと見分けついたのが数人だけ。みんな顔が定まっていない年齢だからね。これから頑張れ~というとこです。

演奏がいつもの道成寺の演奏より盛り上がらないのが残念でした。うーん、どこがどう違うのか?