Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

新橋演舞場『空ヲ刻ム者~若き仏師の物語 昼の部』 1等A席後方センター

2014年03月15日 | 歌舞伎
新橋演舞場 スーパー歌舞伎Ⅱ『空ヲ刻ム者~若き仏師の物語 昼の部』 1等A席後方センター

新作ってなかなか難しいわね~。三幕目が面白かった(なんというか笑えてくるくらい)ので奮発したことに後悔はない。役者も活き活きしてたし。でも芯になる脚本が私には物足りなかったな。演出は舞台機構の使い方はよかったけど役者の動かし方とか、やっぱこうなっちゃうか~だったし。いわゆるスーパー歌舞伎らしさを活かそうとして折り合いつけちゃったかな?な感じが。前川知大氏の作家性はどこ?と思ったけど、それはほぼ無かったと友人が。

私はせっかく外部からの新進気鋭の作家を呼んだのであれば、という作家性を求めてしまったけど、前川氏の四代目猿之助への応援メッセージと思えば、いかにもアテガキだなと思ったし十分有りな内容だとは思ったんですけどね。一幕目が説明台詞だけで動きもなく平坦すぎる。二幕目で少し動いたけど。一番気になったのは言葉かな。台詞がもうひとつ生きてる感じがしなかった。考えすぎたのか、ああいう言葉の使い方が前川さんなのか?理屈をこねるのは全然いいし(むしろ私は面白がる)、現代語でわかりやすいんだけど。それがなぜか「今」に生きた言葉になりきってない。

役者は適材適所で十分に魅力的で、だからこそもっとなんとかできるんでは?という。求めすぎたかな~?浅野さんの自由度がそのなかでいいポイントになってた。染まろうとしないのがいい。あと右近さんが超良かった。笑也さんもかっこよかったし、春猿さんがエロくていいし、笑三郎さん巧いし。福士くんが美味しい役ではあったけどあの素直な芝居が泣かせたし。

主役二人は好対照さがピッタリだし、役柄には合ってた。でももっと為所があったんじゃないかな~と。「歌舞伎」の制約が強すぎたような?猿之助さんに関しては3幕目の楽しそうな顔だけでもうあれこれはどうでよくなったんだけどね。

佐々木蔵之介さんがね~、なんかもったいないのよ。歌舞伎に嵌ろうとしてくれたのは十分すぎるくらいで。白塗りも似合うしカッコイイし。私的には蔵之介さんには違う部分求めてしまった。<ダークさにのまれる部分とかね。そこらへんの芝居。

やっぱ私は「物語」主義なのかな~。役者を観るんなら十分だったと思う。猿之助さんのドヤ顔は気分を明るくさせるし。作家性を押し出すという部分では野田さんが凄すぎて(特に研辰と鼠小僧)、クドカンも退かない個性の強さを発揮ってところか。<私は外部作家の新作にはそれがあっていいと思うしそれを期待する。