Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎』『竜馬がゆく』一幕見

2008年09月13日 | 歌舞伎
歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎』『竜馬がゆく 風雲篇』一幕見

『竜馬がゆく 風雲篇』
初日に比べてやはりだいぶ芝居がこなれてきていました。特に脇の人たちの芝居が細かくなっていた。それにしてもやはりこの芝居やっぱり面白い。歴史物の体裁だけどどちらかというと青春物としてのほうが強く出てるのと、一貫して「命を無駄にするな」という主張があるから観やすいんだよね。

そういえば尺八の主題曲も今回はとてもよく馴染んでる。前回の『立志編』では録音だったけど、今回は尺八が生音。わざわざ尺八奏者に来てもらっているんだろう。前回より歌舞伎座に芝居が馴染んでるのは音の使い方にあるかも。

竜馬@染五郎さんはやっぱ良い、というかかなりこのキャラ好きです。とても染五郎さんらしい真っ直ぐさとか可愛らしさとか、そして切なさとかがある。今日は初日にはなかったどこかしら孤独な雰囲気と底にある怖さが時々見えた。能天気さを装ってるけど実はそれだけじゃない一筋縄ではいかない竜馬だった。

おりょう@亀治郎さんはますますはじけてた。気が強いけど可愛い。『決闘!高田馬場』のホリちゃんに似てるけど、でも違う。おりょうはもっと視野が広くて、それでいて純粋。亀治郎さんて染五郎さん相手だとかなりまっすぐに懐に飛び込んで芝居をしている感じがする。なんだろ、亀ちゃん独特の強いアクを染ちゃんがうまく中和させてるような気がする。

中岡慎太郎@松緑さん、髭が薄くなっていました~。こっちのほうが断然良いよ~。それと、「坂本さん!」がすご~く緊密になっていた。お互いとっても信頼しあっているんだなっていう部分がしっかり。やっぱ竜馬と中岡の仲にはこれがないと。今回はおりょうに竜馬を取られちゃったけどね(笑)

西郷吉之助@錦之助さん、おおっ、前回より存在感が出てましたよ。あと頬の含み綿はやめた模様。少し男前度up。これでいいと思いま~す。だってちゃんと西郷はんになってるもん。

お登勢@吉弥さん、気風のいい女将ぶりが素敵。色気があっていいですねえ。

三吉慎蔵@松次郎さん、味のある存在。上手いです。

そういえば初日、演出だと思っていた所が初日だけのハプニングだったらしいことを発見。竜馬がおりょうの妹におにぎりをあげて、それからもう一つをおりょうにあげるとこ。初日、そのおりょうにあげるはずのおにぎりを染五郎さん、落っことしちゃったのよ。んで、そのおにぎりを拾って土を払う仕草をしながら「このくらい平気、平気、食べられるから」「はい」と言っておりょう@亀治郎さんに渡した。それからそのまま、おりょう→中岡→妹は同じ芝居。初日のほうが泥おにぎりを押し付けあってるみたいで笑えてよかったんだけどな(笑)落としたおにぎりをそのまま渡しちゃうのっていかにも竜馬ぽいし。