晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『リオ・ブラボー』 70点

2023-09-22 12:58:07 | 外国映画 1946~59

リオ・ブラボー


1959年/アメリカ







痛快・娯楽西部劇の教科書的作品


 ハワード・ホークス監督ジョン・ウェイン主演4作品の2作目。ジネンマン監督「真昼の決闘」のアンチテーゼとしても有名な痛快娯楽西部劇。
 
 筆者にとって東京・池袋の2番館で「突撃隊」(S・マックイーン主演の戦争映画)との2本立てで観た想い出深い作品だ。
 奥手?の16歳の少年にとって筋立て・キャスティング・演出・映像・音楽全てに魅了された作品でもあった。

 特にJ・ウェインの保安官役はそのたたずまいだけで映画を成立させ、当時の石原裕次郎を連想し、アル中で早撃ちのディーン・マーティンの役作りは準主役とはこういうものだと納得!
 女賭博師で踊り子役のアンジー・ディキンソンはホークス的女性像の典型で西部劇には欠かせない憧れのヒロイン像。

 脇を固めるコメディリリーフにウォルター・ブレナンが大活躍し、若手のアイドルが早撃ちガンマンに扮し映画でしか観られない「ライフルと愛馬」をD・マーティンとデュエットするシーンも。
 主題歌「皆殺しの歌」が流れ、孤立した保安官たちに緊張感が溢れる...。

  65年後観ると陳腐な作品であることは否めないが、郷愁とともに何もかも娯楽映画のお手本のような141分を堪能した。


「旅立ちの時」(88・米)80点

2023-09-17 12:35:22 | (米国) 1980~99 
・生い立ちとクロスオーバーするR・フェニックスの青春ドラマ。

 社会派監督シドニー・ルメットが逃亡生活している家族愛を描いたナオミ・フォナー原作・脚本により映画化した感動のドラマ。
 クリスティーン・ラーチ、ジャド・ハーシュが両親に扮し、17歳の長男を演じたリバー・フェニックスが好演、オスカー助演男優賞にノミネートされた。

 70年代反戦活動家だった両親はベトナム反戦活動中ビル爆破で犠牲者を出し逃亡生活を送っていた。
 長男ダニーは2歳から生活をともにしてニュージャージーの小さな町で音楽の才能を認められるが、その出仕から未来は思うようになるはずもなかった。

 ダニーを演じたR・フェニックスは「スタンド・バイ・ミー」(86)のクリス役で注目されたが本作の瑞々しい演技で<ジェームズ・ディーンと並ぶ永遠の青春スター>として強烈な印象を残している。

 R・フェニックスは10歳でデビューしているが、幼い頃両親がカルト宗教団体「ファミリー・インターナショナル」に入信していてその布教活動で南アを転々としている。
 まるで本作同様、両親の主義主張から子供たちがその犠牲になってしまう家族の在りようが実体験であったのだ。

 その生い立ちからくるのか?甘いマスクのなかにどこか寂寥感が漂いダニーの役柄にオーバーラップしてくる。
 恋人役ローラに扮したマーサ・プリンプトンともお似合いで実生活でもラブラブだったが長続きはしなかった。
 実生活では薬物使用過多により23歳の若さで亡くなってしまったリバーだが、4歳離れた弟のフォアキンが今や演技派の大スターとなって見事に彼の業績を引き継いでいる。本作で10歳の弟ハリーはその後どのような生活を送ったのだろう。

 ’70年代エネルギッシュな社会派として鳴らしたS・ルメット監督は、感動のラストシーンとともに枯れた演出で一家の未来を託す作品に仕上げている。