・ 42歳だったJ・ウェイン、貫禄の老け役。
西部劇の巨匠ジョン・フォード監督による騎兵隊三部作「アパッチ砦」(48)・「リオグランデの砦」(50)の第二作で唯一のカラー作品。主役ジョン・ウェインの役名も二作のカービー・ヨークではなくネイサン・ブリトリスなのでシリーズとも言いがたい。
1876、スタアク砦で退役まであと6日となったブリトリス大尉(J・ウェイン)は、いつもどおりクインキャノン軍曹(ヴィクター・マクラグレン)に起こされる。シャイアン族掃討作戦の指揮を執ってきたが、果たせないまま定年を迎えるハメに。
隊長の妻と姪オリヴィア(ジョアン・ドルー)を護送する任務についたが、シャイアン族に阻まれやむなく砦に戻ってくる。
志半ばで退役の日を迎え退役記念の時計を見ると期限まであと4時間あった。
本作はブリストルの片腕タイリー軍曹(ベン・ジョンソン)、酒好きでお気に入りのクインキャノン軍曹や新任のコーヒル中尉(ジョン・エイガー)などとの心の交流が描かれていて、部下を思い慕われる理想のリーダーである主人公を中心とする騎兵隊賛歌だが単なるアクション大活劇ではない。
オリヴィエを巡って中尉とペネル少尉(ハリー・ケリー・ジュニア)の恋のさや当てや酒場でのコミカルな乱闘シーンなどを挟みながら、先住民への敬意もあって戦闘による殺戮シーンを極力見せない工夫も凝らされている。
民謡をアレンジした主題曲はミッチー・ミラー楽団が有名で大ヒットしたが、本作ではジョニー・ハート楽団のもの。
J・フォード作品ではお馴染みのモニュメント・バレーを背景にした雄大な繰り広げられる暴走する駅馬車やバッファローの大群・馬の暴走など圧巻のスペクタクル・シーンも魅せてくれる。
加えてブリストルが亡妻の墓前で語り掛けたり、焼き討ちで殺された二等兵の埋葬シーンなど活劇シーン以外の詩情豊かな描写が観られ、カラー作品ならではの映像が光る。オスカー撮影賞も納得である。
最も驚かされたのは当時42歳のJ・ウェインが定年間近の老け役を全く自然に演技していたこと。部下に「謝罪は軟弱な証拠だ」と示唆する台詞が流石の貫禄だ。