あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: しまなみキャンプツーリング(2)

2008年10月15日 | 旅するシーカヤック
久し振りに渡った島。
瀬戸内らしい最高の景色を眺め、ビールを飲み、本を開く。 これぞ、のんびりまったり、瀬戸内の島時間!
 
***
次第に日が傾いて来た。 さあて、そろそろ夕食の準備に掛かるとするか。

『里山こんろ』を取り出し、ビクトリノックスと薄いプラスチックシートを準備する。 このプラスチックシートは、まな板代わりである。
ビクトリノックスでキャベツをザクリと刻み、ピーマンを適当な大きさに切る。

里山コンロの炭に火を入れ、熾き火状態になったところで、ピーマンとウインナーを載せる。
ピーマンはうっすらと焦げ目が付き、ウインナーは皮がプチッと破れて、そこから油がジワリと滲みだしてくる。

うーん、たまらんなあ!

ビールを飲み、程良く火の通ったキャベツとピーマンを食べ、食べ頃のウインナーをガブリとやる。
夕暮れの瀬戸内の海を眺め、友人からもらった『鯨の缶詰』をつまみ、ビールをグビリ。

もう、何も言う事はない。
***
翌朝。 いつもの時間に目が覚めた。
テントの外を覗くと、まだ日の出前。 この時間が一番好きだ。
 
ベンチに陣取り、ストームクッカーに火を入れ、湯を沸かす。
温かいチャイをすすりつつ、次第に明るくなってくる東の空を独り静かに眺める。

空は雲一つない青空。
昨日、昼まで風待ちしていた時の、どんよりとした鉛色の空や鈍色の瀬戸内の海とは全くの別物である。
昨日のあの状況で、家で2時間、浜で2時間、じっくりと風待ちした甲斐があったと言うものだ。
日帰りツーリングと、キャンプツーリングでは、その楽しみの深さが全く異なる。 待てば海路の日和あり。
***
温かいうどんで簡単な朝食を済ませ、荷物を片付け、防水バッグにパッキングしていく。
全てのゴミをまとめて、これまたカヤックに積み込む。 さあ、出発だ!

まだ満潮の1時間前。 今なら、残っている上げ潮に乗って行けるだろう。
潮止まりの頃に、地方(じかた:本州側)に着き、そこからは動き始めた下げ潮に乗って、出発した浜に戻る予定。

途中、最後の海峡横断の時、左右から貨物船がやってくるのが見えた。
ちょうど途中で釣りをしている漁船があったので、そこまで漕いで行き、船が通り過ぎるのを待たせていただく事とした。
『こんにちは』 『おお、こんにちは。 どこへいくの?』
『はい、昨日竹原を出て島に渡り、今は出発した浜に戻る所です。 済みませんが、あの船が通り過ぎるまで、ここで待たせていただけませんか』 『ああ、ええよ』

『何が釣れるんですか?』 『今日は太刀魚狙い。 でもさっき始めたばっかりで、まだ釣れとらんよ』
『ここはの、深さが60mくらいあるんで』と、魚探を指差しながら教えていただく。 『え、そんなに深いんですか!』目の前に島があるのに、こんなに深くなっているとは驚きである。
このような地形だからこそ、潮流も複雑で、魚も多いのだろう。

『それにしても最近は、船のスピードが遅くなって、待つ時間が長くなってるんですよ』 『そうそう、わしも昔は、四国行きのフェリーに乗っとったんじゃ。 その頃は、80%の出力で走りよったが、今じゃあ50%よ』

『そうですか。 ほんま、どの船も遅くなっていますよね』 『昔は、この船の燃料も1Lあたり45円ほどじゃったが、今じゃあ110円くらいになっとるんじゃ』 『え、それじゃあ2倍以上ですね』
『ほうよ。 じゃけえ、今もエンジンを止めとるじゃろ』 『あー、そういやあ、そうですねえ』

その後も、四国行きフェリーの勤務形態や、自動操舵装置の事など、いままで知らなかった事を教えていただきながら、行き交う船を待たせていただいた。
***
『ありがとうございました。 そろそろ出発します』 『じゃあ、気をつけて』 出発した浜までは、あともう少し。 ほぼ潮止まりになり、想定通りの状況である。
船待ちの時間で少し時間を食ったが、無事に浜に戻って来た。

帰りには、お気に入りのラーメン屋さんでお昼ご飯を食べ、このキャンプツーリングの〆もバッチリ決まった。
秋の瀬戸内、しまなみキャンプツーリング。 最高の週末!
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