ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

京都市にある世界遺産・・・・・・京都検定

2006年12月25日 | 京都案内
京都市(宇治市も含める)にある世界遺産がどのくらいあるかご存知ですか(平成十八年で)。北から順に以下に示します。

 1:高山寺(高尾)
 2:延暦寺(比叡山)本当は滋賀県ですが、京都文化圏と考えます。
 3:上賀茂神社・下賀茂神社(北山)
 4:金閣寺(衣笠)
 5:竜安寺(衣笠)
 6:仁和寺(御室)
 7:天龍寺(嵐山)
 8:銀閣寺(東山)
 9:二条城(堀川御池)
10:清水寺(東山)
11:西本願寺(堀川六条)
12:西芳寺(苔寺)(松尾)
13:東寺(九条大宮)
14:醍醐寺(山科)
15:平等院・宇治上神社(宇治)

ということですが、多少矛盾を感じます。
美しさからすれば何故修学院離宮や桂離宮が入らないのでしょうか。恐らくは宮内庁管轄だからでしょう。皇室現有財産は入れない方針なのでしようか。
西本願寺と東本願寺は併せて一本ではないでしょうか。
高山寺はあまりに小さく登録するほうがおかしい。むしろ近くの神護寺が入るべきものでしょう。
言いたいことはたくさんありますが関係者の言い分も聞いていませんのでこの辺で。

NHK連ドラ「芋たこなんきん」 石田あゆみ 脇役好演

2006年12月25日 | 写真館
田辺聖子をモデルにした今話題のNHK連ドラ「芋たこなんきん」の主役は言うまでもなく藤山直美(喜劇王故藤山寛美の娘)ですが、その秘書・お手伝いさん役の石田あゆみの好演ぶりに感心した。 40年ほど前「ブルーライト横浜」で衝撃的デビューをしたアイドル歌手だった石田あゆみが、鶏がらのように痩せた体で一皮向けた演技を披露してくれる。恥も外聞もなくかっての栄光もすて、おばさんの脇役に徹した演技は実に気持ちがいい。今後を期待したい。

自由詩  「慙 愧」

2006年12月25日 | 漢詩・自由詩
人生まさに 恥多き

屍さらし 生きるのみ

世に逆らいて 疎まれて

わが身ばかりが とおとしと

思い上がりて 怠りし

永き日々のみ 悔やまれん



小さきおりは 神童も

我より優る 人多き

一つにかける 勇気なく

多才多能を 濫費して

とりとめもない 人生に

うつつをぬかし 何もなし



ただ人並みに 生きるこそ

人の幸せ 尽きるなし

文才理才 あわせ持つ

世を見る眼だけ 養いて

他山の石と ならんこと

わが人生の 証たれ


環境書評 小松正之・遠藤久著  「国際マグロ裁判」 岩波新書(2002年10月初版)

2006年12月25日 | 書評
2006年の今日も、マグロの資源枯渇と資源獲得競争は熾烈である。
著者らは水産庁漁業資源課の官僚で、外務省とともに「国際マグロ裁判」に奔走した当事者であった。本書を「日本の国益を代表してオーストラリア、ニュージランドとの困難な国際紛争を戦った苦労話」だけにしないで、あくまで資源保護と持続的漁業のあり方と言う点から紹介したい。持続的利用のための科学的資源量推定と漁獲量激減による絶滅種指定の攻防戦である。

1)日本人とマグロ漁業   
主なマグロ類にはクロマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガ、ミナミマグロがあるが、刺身の高級マグロはクロマグロ、ミナミマグロであり、スーパで売っている安価な刺身はメバチであり、シーチキンにはビンナガが使われる。日本人は昔から安価な蛋白源として魚を多食してきた民族である。2000年度の統計によると日本のマグロ漁獲量は28万㌧(全世界では200万㌧)、高級刺身用のクロマグロ、ミナミマグロは7万㌧(この全ては日本が消費する)である。延縄漁法と冷凍技術の発展によって日本人は終戦後世界漁場へ進出し、大西洋、インド南洋、オーストラリア南洋で活躍した。しかし漁獲量は1960年代をピークとして激減した。そのため漁業資源の乱獲から持続的利用へ移行すると同時に、200海里排他的経済水域の設定、世界の環境保護運動と西欧各国の捕鯨禁止運動、絶滅種保護条約(ワシントン条約)への危機感から日本漁業はかってない苦境に立たされている。

2)国際条約とマグロ資源論争   
マグロ漁獲量の増大、資源利用をめぐる争いから、各海域のマグロ漁場毎に国際条約と関係各国による地域漁業管理機構が設立された。東部太平洋海域では全米熱帯マグロ類委員会(IATTC、1950)、大西洋海域には大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT、1969)、インド洋海域にはインド洋マグロ類委員会(IOTC、1996)、今回の紛争の舞台であるオーストラリア・ニュージランド海域にはミナミマグロ保存委員会(CCSBT、1994)が設立された。また1994年には海の憲法と言われる国連海洋法条約が締結された。これは海洋生物資源、大陸棚資源、鉱物資源の管理と開発、航行の自由などを定めている。資源減少は明らかであるため日本は1971年にはミナミマグロ漁業自主規制、小型ミナミマグロ取引自粛などを実施した。1985年以降は日本、オーストラリア、ニュージランド3国の漁獲量制限が設けられた。1989年には3ヶ国の許容漁獲量は1987年の1/3に削減され、1993年にはミナミマグロ保存条約が締結された。

3)ミナミマグロと国際裁判   
日本の海洋資源の持続的利用という基本的な考え方に対して、オーストラリア、ニュージランドは環境保護政策から漁業の禁止と資源保護に優先度を置いた。まだ資源はあるとする日本と資源は無いとする考えの溝は平行線をたどり、オーストラリア、ニュージランド政府は1998年、1999年に日本が強行した調査漁業の差し止めを要請して国連海洋方裁判所(ITLOS)へ提訴した。1999年8月27日には日本の調査漁獲禁止というITLOSの命令が出されたが、日本は国連海洋法仲裁裁判所を設置して命令の妥当性を争い、2000年8月4日ITLOSには管轄権はなくミナミマグロ保存条約関係各国で話し合うべきであると言う判決が出され日本は全面勝訴した。日本はミナミマグロ保存委員会の機能強化策として科学委員会と諮問委員会を設置し科学的資源評価法の指導権を発揮した。と同時に条約国は韓国、台湾等の海賊船追放を強化するため、韓国、台湾の条約枠組み参加を勝ち取った。