アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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バイデン発言でバレた菅首相の「五輪」ウソ

2021年02月15日 | 五輪と政治・社会・メディア

    

 森喜朗氏の女性差別発言の陰で注目されることはありませんでしたが、実はこの間、東京五輪をめぐる重大な事実が明らかになりました。菅義偉首相が記者会見で公然とウソをついていたことが分かったのです。ウソがばれたのは、皮肉にも「同盟国」アメリカのバイデン大統領の発言からでした。

 バイデン氏は7日のラジオ番組で、東京五輪の開催について初めて公に発言し、「安全に開催できるかどうか科学に基づき判断すべきだ」と述べました(8日付共同配信)。その中で、「バイデン氏は東京五輪開催について菅義偉首相と話したと明らかにし「彼は安全に開催できるよう一生懸命努力している」と説明」(同)したのです。(写真左、中)

 バイデン氏と菅氏の会談といえば1月28日未明(日本時間)の電話会談です。そこで東京五輪についてどんな会話がなされたのかは当然の注目点でした。直後の記者会見で記者団はそれを質問しました。
 菅氏の答えは、「やりとりはなかった」(1月29日付各紙)でした。

 「やりとりはなかった」と言う菅氏。「話した」と言うバイデン氏。どちらかがウソです。バイデン氏がウソを言わねばならない理由はありません。すなわち、菅氏の「やりとりはなかった」という記者会見での発言はウソだったことが、バイデン氏のラジオ番組での発言で露呈したのです。

 東京五輪開催のカギを握っているのが米大統領であることは世界周知のことです。東京オリ・パラ組織委理事の高橋治之氏は米紙ウォルストリート・ジャーナル(電子版)で、五輪開催は「米国次第」とし、「もし大統領が五輪開催に向けて前向きな発言をすれば、強い勢いを得ることができる」と発言したと報じられました(1月28日付共同配信)

 菅・バイデン会談で東京五輪についてどのような会話がなされたのか詳細は明らかにされていませんが、バイデン氏が7日のラジオ番組で述べたことと同趣旨の発言を行ったことは間違いないでしょう。すなわち、「感染状況などを踏まえて判断すべき」「開催が安全かどうかは科学に基づき判断すべき」だという発言です。

 きわめて当然のことですが、「いかなる状況でも行う」(森前組織委会長)という姿勢の菅政権にとっては、高橋理事の期待とは逆に、バイデン氏の発言は開催にブレーキをかけるものです。菅氏は、東京五輪を強行するうえで不都合なバイデン氏の発言を隠ぺいするために公然とウソをついたのです。

 この意味は重大です。
 第1に、政権は都合の悪い事実は平然とウソをついて隠す、ウソをメディアに書かせて情報操作する、ということです。それが国家権力の本質であることを改めて浮き彫りにしました。

 第2に、東京五輪はこうした政権のウソの積み重ねによって、招致から今日までに至っているということです。
 安倍前首相の「(東電原発事故汚染水の)アンダーコントロール」(2013年9月)という国際的大ウソによる招致獲得に始まり、竹田恒和前JOC会長の招致買収疑惑隠ぺい(18年12月)、安倍・森・小池(都知事)・バッハ(IOC会長)の密室電話会談による「延期決定」(20年3月)という一連の主な経過を見れば明らかです。菅氏の今回のウソはその延長線上のものにほかなりません。

 コロナ禍や森氏の女性差別発言で露呈した組織委の体質だけではありません。安倍政権から菅政権へ引き継がれているこうしたウソの系譜からも、東京五輪が開催されるべきでないことは明らかです。

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