アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記115・菅政権報道3つの“怪”―短命・支持率・「令和」

2020年09月20日 | 日記・エッセイ・コラム

☆「超短命内閣」に口つぐむ

 NHKはじめメディアは「デジタル庁だ」「行革だ」と、なんとか「菅カラー」を出そうとする報道に躍起になっている。おかしな話だ。なぜなら、菅政権が超短命内閣に終わることは既定の事実だからだ。にもかかわらず、そのことにはそろって口をつぐんでいる。

 現在の衆院議員の任期は来年10月までだ。それまでに必ず総選挙がある。自民党は任期満了選挙ではなく、「コロナ」の状況を見ながら、なるべく早い解散・総選挙を狙っている。
 菅政権はその時点で終わる。長くて1年、場合によれば年内までの寿命だ。自民・公明合わせて過半数を割れば、もちろん政権交代となる。過半数を割らなくても、大敗すれば「菅おろし」もありうる。

 メディアはそれを百も承知だ。知っていながら口をつぐみ、菅政権の持ち上げ報道に終始する。それは結果的に、あるいは意図的に、自民党政権をPRしていることに他ならない。

☆驚きの「高支持率」

 共同通信の世論調査(18日発表)では、菅内閣の支持率は「66・4%」と高水準を示した。新内閣の初の支持率調査はご祝儀相場で高くなるのが通例で、この数字に驚きはない。

 驚いたのは、ポスト安倍の自民党総裁選の最中に行われたJNN(TBS系)の世論調査(7日発表)だ。
 「安倍内閣支持」が前回より27・0㌽上がって62・4%、「不支持」が26・0㌽下がって36・2%。前月までと支持・不支持が完全に逆転した。自民党の支持率も11㌽増えて43・2%。第2次安倍政権発足以来最高だという。数々の疑惑に口をつぐみ政権を放り出して辞めていく首相の支持率がどうして急上昇するのか。常識では考えられない。支持率を上げる要素など1つもない。

 考えられる理由は1つ。メディアが競うように行った総裁選キャンペーンだ。自民党の権力闘争・派閥抗争がさも日本の重要問題であるかのように、連日連夜、菅ら自民党幹部を登場させ、「安倍政治の継承」など言いたい放題言わせた。そのメディアの腐敗しきった報道が安倍・自民党の支持率を急上昇させた。それしか考えられない。

 これは過ぎ去った話ではない。総裁選報道は来る総選挙へ向け自民党の絶好のPRになったからだ。メディアの罪はあまりにも重い。

☆意味不明の「令和にふさわしい総裁」

 出来レースの総裁選ショーで菅が新総裁に決まった日、安倍はこう言った。「令和時代に最もふさわしい自民党の新総裁ではないか」(14日の自民党両院議員総会)
 メディアはその言葉をコメント抜きで報じた。いったいどういう意味なんだ。「令和時代に最もふさわしい」とは?

 意味不明。しかし安倍は計算づくでこの言葉を使ったはずだ。その狙いは、「令和」という言葉を出すことによって天皇を連想させ、それを菅に結び付けて自民新総裁にハクを付けること。すなわちこれは「元号」と天皇の政治利用にほかならない。自民党が「元号」・天皇制に固執する理由はこうした政治利用に価値を見いだしているからだ。

 その意図を知ってか知らずか、メディアは安倍の言葉をそのまま垂れ流す。そして野党も「国民」も、「元号」や天皇関係の言葉が出ると途端におとなしくなる。この国の病巣は根深い。

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