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ドイツが最新鋭戦車「レオパルト2」をウクライナに供与するかどうかが焦点になっています。ウクライナ政府(ゼレンスキー大統領)の強い要求にもかかわらず、ドイツ政府(ショルツ首相)は「慎重姿勢」をとり続けています。20日の米欧国防相会議でも、ゼレンスキー氏がオンラインで催促したにもかかわらず結論は先延ばしされました。
ドイツはなぜ、戦車の供与に「慎重」なのでしょうか。
「ショルツ首相は戦車供与には慎重な姿勢だ。保有国による再輸出もドイツ政府の許可が必要だが、承認を明言していない。際限ない武器供与は戦況を泥沼化させかねず、強力な兵器ほどロシアを刺激する懸念があるためだ」(20日付朝日新聞デジタル)
あるいは、「ドイツのピストリウス国防相は…供与にはNATO加盟国などとの合意が必要だとし、決まった場合に備え「迅速に送れるよう準備は進める」と述べた」(21日付共同配信)ように、ドイツは兵器供与で突出するのを避けているとみられます。
こうしたドイツ政府の姿勢の背景に何があるのか。日本のメディアの報道ではよく分かりません。そんな中、18日のNHK国際報道2023(BS放送、総合で深夜再放送)で、現地特派員がこう漏らしました。
「ドイツでは先に戦車供与の賛否を問う3つの世論調査が行われた。2つの調査は賛否が拮抗し、1つの調査は「反対」が「賛成」を10㌽上回った。「反対」の理由は戦争をさらにエスカレートさせるからということだった」
ドイツ市民は「戦車供与反対」が多数派なのです。ウクライナへの兵器供与が戦争をエスカレートさせ停戦を遅らせるからです。ドイツ政府が「慎重姿勢」を取らざるをえないのは、こしたドイツ市民の世論があるからです。
しかし、日本のメディアは兵器供与に反対する市民の世論を取り上げません。それどころが、NHK(メーンの総合テレビのニュースや解説)は、「ドイツの判断の遅れが犠牲を拡大するのは間違いない」と記者がコメントしたり(21日朝のニュース)、アメリカ「戦争研究所」の論評をそのまま流して(22日朝のニュース)、ドイツに戦車供与を促す報道を繰り返しています。
ちなみに、NHKが頻繁にコメントを引用するアメリカの「戦争研究所」は、けっして中立的な組織ではありません。
今回のウクライナ戦争は「マイダン革命(クーデター)」(2014年)と深い関係がありますが、そのクーデターの仕掛け人の1人がアメリカのヌーランド国務次官補。同氏は「戦争研究所」とつながっています。
「ネオコン系の外交官ヌーランドは…ネオコン系の思想家ロバート・ケーガンの夫人である。…ケーガン一族が関与する民間の戦争研究所は、今回のウクライナ紛争においても、米国発の戦争情報発信元として世界的に注目された」(下斗米伸夫著『プーチン戦争の論理』集英社インターナショナル新書2022年)
米国政府のプロパガンダ組織ともいえる「戦争研究所」。その「情報」の垂れ流しが公正な報道と言えないことは明らかです。
NHKはじめ日本メディアの報道では、欧米各国も「徹底抗戦」一色であるかのような印象を受けます。しかし、上記のドイツ市民の世論は、欧米市民の中に戦争をエスカレートさせる兵器供与に反対し、早期停戦・和平を望む世論が広がっていることをうかがわせます。
日本でもその世論を大きくしていくことが必要です。