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23日のNHKスペシャル「新幕末史」は、薩長を中心とする新政府軍と旧幕府軍が戦った戊辰戦争(1868年)の「新事実」を放送しました。その要点はこうです。
〇戊辰戦争は日本の「内戦」というのが通説だが、実は欧米列国の強い干渉・介入があった。
〇旧幕府軍は当初劣勢だったが、一時勢力を盛り返した。アメリカからガトリング砲など新式の武器を購入したからだ。アメリカは南北戦争(1861~65)の終結で大量の武器があまり、武器商人がそれを仲介した。
〇欧州各国の中では、プロイセン(現在のドイツ)が旧幕府の奥州列藩同盟を支援した。榎本武揚に軍艦も提供した。その背景には、北海道を植民地化する思惑があり、そのために東北諸藩の協力を得る計算があった。
〇これに対し、新政府軍を支援した中心はイギリス(パークス公使)だった。イギリスは「国際法」を都合よく解釈し、旧幕府軍に対するプロイセンの支援を封じる一方、最新の軍艦を提供した。その背景には、プロイセン、ロシアとの植民地競争があった。
〇その後明治新政府は、イギリス、フランス、プロイセンなど列強の強い影響を受けることになった。
Nスぺの基調は、プロイセンによる北海道植民地化の思惑がイギリスの尽力によって阻止された、というものでした。
しかし、この「新事実」は、たんにプロイセンやイギリスだけの問題ではなく、「戦争」の普遍的な本質にかかわる重要な教訓を示しているのではないでしょうか。
それは第1に、戦争の帰趨は武器によって決まるということです。どちらが新型兵器(大量破壊兵器)を手にするかで戦局は二転三転します。そのため、戦争当事国は新型兵器の入手に躍起になります。戦争大国は日常的に兵器を増強し、新兵器を開発します。
第2に、戦争大国=欧米「先進国」は、覇権主義・大国主義から途上国の「内戦」に干渉・介入し、その従属化・植民地化を図ろうとします。
これは、150年以上たっても変わっていません。それを私たちはいま、「ウクライナ戦争」で目の当たりにしているのではないでしょうか。
ロシアの軍事侵攻が許されないことは言うまでもありません。同時に、NATOという軍事同盟で結束している欧米諸国によるウクライナへの武器供与・軍事支援も大国の思惑によるものです。
兵器ではなく外交、軍事同盟ではなく非同盟・中立による自主・独立こそ戦争を終結させ、平和を維持する道。その原点にいまこそ立ち返る必要があります。