アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

女性議員・候補を降ろして男性候補を立てる「民主」陣営

2019年05月11日 | 差別・人権

     

 現職の女性議員やすでに活動している新人女性予定候補を降ろして、男性候補を立てる動きが、「民主陣営」といわれている政党・グループで相次いでいます。

 1つは、参院沖縄選挙区をめぐる沖縄社大党・「オール沖縄」陣営です。

  社大党は昨年12月29日、今夏の参院選で再選を目指していた同党の糸数慶子参院議員を突然降ろし、「オール沖縄会議」代表委員で琉球大教授の高良鉄美氏を擁立することを決めました。

 「糸数氏の意向を踏まえずに新たな候補者を擁立した社大の手法に反発」(2018年12月30日付琉球新報)が起こったのは当然です。「『現職下ろし』の印象は拭えない」(同)、いや、印象ではなくそのものズバリです。

 糸数氏はこの党の動きを批判し、当初は無所属でも出馬する意向を示していました。しかし結局、出馬を断念し、「高良氏を応援」することになりました。「平和の一議席をなんとしても守りたい」(糸数氏)一念の苦渋の決断です。

  さる7日、糸数氏と高良氏の共同記者会見が那覇市内で行われ、「玉城デニー知事や県政与党の代表者らも出席し…『オール沖縄』陣営の結束をアピール」(8日付琉球新報、写真左)しました。

 しかし、問題は解決していません。糸数氏が当初説明を求め、市民(「県民の声100人委員会」など)も要求している「候補者選考過程」の説明がいまだに行われていないからです。なぜ糸数氏ではダメで高良氏なのか。なぜ現職女性議員を降ろして男性新人候補を立てるのか?

  もう1つは、4月21日投開票の衆院大阪12区補欠選挙における日本共産党の決定です。

 同選挙ではすでに同党の吉井よし子氏(新人)が公認予定候補として活動していましたが、告示(4月9日)直前の3月31日に突然、志位和夫委員長が記者会見し、吉井氏を降ろして同党の宮本岳志衆院議員(比例近畿ブロック、写真右)を無所属で擁立すると発表しました。

  会見で志位氏は、これは「宮本議員本人からの申し出」で、「党中央として…宮本さんの勇気ある決断を正面から受け止め」、「吉井さんとも相談し吉井さんからも大賛成という意思が表明され」たと述べました(4月1日付「しんぶん赤旗」、写真中)。しかし、これが「党中央」の判断・指示であったことは明らかです。

  「こうした判断をした最大の理由」として志位氏は、「市民と野党の共闘を成功させ、『安倍政権に退場』の審判を下すため」(同「しんぶん赤旗」)だと述べました。
 志位氏とともに会見した宮本氏も、「この大坂12区の補欠選挙で、安倍政権の悪政と真正面から対決できる候補は私しかおりません」(同「しんぶん赤旗」)と述べました。

 しかし宮本氏は「全野党統一候補」とはならず、結果は惨敗。宮本氏は次の衆院選で比例ブロックの候補者に返り咲くと先日発表されました。

 「市民と野党の共闘」のためになぜ吉井氏を降ろして宮本氏なのか、なぜ吉井氏では「安倍政権と正面から対決」できないのか。同党からの説明はありませんでした。

 沖縄の社大党・「オール沖縄」と、大阪の共産党のこうした経過には共通点があります。
 第1に、候補者の変更が突然であったこと。第2に、その経過・理由の明確な説明が行われていないこと。そして第3に、降ろされたのが女性で、替わって擁立されたのが男性だということです。

 第3の共通点ははたして偶然でしょうか。そこにジェンダーの問題がないと言い切れるでしょうか。
 ないと言い切るのなら、明確に説明すべきでしょう。なぜ糸数氏ではダメで高良氏なのか。なぜ吉井氏ではダメで宮本氏だったのか。

 ※お知らせ
 近日中に『「象徴天皇制」を考えるⅡ』を自費出版します。2017年11月に出した同Ⅰの続編です。前著以降、17年6月~直近までの「アリの一言」から「天皇制」に関するもの(110編)をピックアップし、前書きを付けたものです。発行部数のめどをつけるため、今回は事前予約を募集します。詳細は後日お知らせします。よろしくお願いいたします。


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