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4月28日、自民、公明、維新、国民民主4党の賛成で、衆院法務委員会で可決された入管難民法「改正」案。難民認定がケタ違いに少ない日本で、難民申請3回以上の外国人を強制送還させるなどの改悪は、日本政治の閉鎖性・差別性をさらに悪化させるものです。
同時に今回、立憲民主との「修正」協議が不調に終わり4党による可決となった背景には、現在の政党の構図、今後の日本政治の行方が示されています。報道(抜粋)からその舞台裏を検証します。
< 維新は今国会序盤から、水面下で与党に歩み寄りの姿勢を見せていた。維新は4月20日、修正を正式に申し入れた。
維新の要求は小幅見直し。関係者は「微々たる修正でも応じさせれば党の存在感を高められる。与党も賛成を得られウィンウィンだ」と明かした。
立民支持者には抜本見直しを譲らない人が多く、「対案作成に協力してくれた当事者や外国人支援者への裏切りになる」など、反対論が大勢を占めた。
攻防が激化した間、国会周辺では連日、改正案への抗議活動が続いた。
政争に、当事者の救済は置き去りにされたままだ。>(4月29日付京都新聞=共同)
< はじめに修正協議に動いたのは維新だ。要求したのは微修正にとどまる内容だったが、少しでも法案を改善したとの実績を作り、存在感を示す狙いがあった。維新幹部は「議論になっている部分を抜き出し、軽めに出した」と明かす。
自民は、国会対応で協調してきた立憲と維新を分断する思惑から、維新の要求を受け入れる構えだった。
ところが、「反対ありき」との批判をかわしたい立憲が協議に前向きな姿勢をみせたため、4党による話し合いを始めることに。自民には2年前に旧法案が世論の反発で廃案になった苦い経験から「より多くの政党から賛同を得た方がいい」との判断があった。
自民は立憲がこだわった第三者機関について譲歩。だが、弁護士らの支援で改正案の「対案」を用意していた立憲内の反発は大きく、執行部も配慮せざるを得なかった。
野党は賛成に回った維新と国民民主、反対した立憲と共産に対応が割れた。>(4月28日付朝日新聞デジタル。写真中・右も)
以上の経過が示しているのは以下のことです。
▶自民は2年前の廃案の教訓からできるだけ多くの野党の取り込みを図った。
▶維新、国民民主は、その自民戦略に自ら積極的に乗って自民に手を貸した。
▶立憲執行部は、「反対ありき」の批判をかわすため「修正」で賛成する方向で臨んだ。
▶しかし、立憲の「対案」作成に協力した当事者や弁護士などはまやかしの「修正」を強く批判。立憲執行部は考慮せざるを得ず反対を決めた。
野党を名実ともに取り込んで国会翼賛化の完成を図る自民。自民にすり寄る維新、国民民主。その間で動揺する立憲―この構図は今後さまざまな法案・事案をめぐって繰り返され強まるでしょう。
立憲が自民の側に行くのを食い止め、市民の側に繋ぎ止めて置くのは、当事者・支援者はじめ市民の声・運動以外にない。今回の入管法改悪をめぐる経過はそのことを浮き彫りにしています。