アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「国会召集」表記に見るメディアの天皇制拝跪

2021年10月04日 | 天皇制とメディア

    

 4日、臨時国会が開かれます。これをメディアは「国会召集」と表記し、誰もが疑いません。しかし、ここにはきわめて重大な問題が潜んでいます。

 「国会招集」ではなく「国会召集」なのです。一般のメディアだけでなく、たとえば「しんぶん赤旗」でも、「国会招集」は誤りで「国会召集」が正しいとされています。
 「招集」と「召集」、どこが違うのでしょうか。

 「招集」は一般的に「呼び集める」意味ですが、「召集」は一般的な意味ではありません。それは「天皇が呼び集める」という意味です。「赤紙」は「召集令状」であって「招集令状」ではないのと同じです。

 「国会召集」とは天皇が国会議員たちを議事堂に集める、という意味です。これは「天皇ハ帝国議会ヲ召集」(第7条)するとした天皇主権の大日本帝国憲法の継承にほかなりません。
 それが今日の日本国憲法に引き継がれ、天皇の「国事行為」の1つとして「国会を召集すること」(第7条)と同じ表記で明記されています。これはきわめて重大です。(写真左、中は「国会創設130年」で国会に出向いた天皇・皇后)

 現憲法のこの重大な欠陥もあって、メディアは「召集」と表記します。これは天皇に対する絶対敬語です。メディアが使う絶対敬語はこれだけではありません。皇族に対する「〇〇さま」はじめ、天皇・皇族の動作や所有物に対する敬語もその一環です。

 こうしたメディアの絶対敬語は、客観報道を旨とするメディアにおける異常な例外であり、その根底には天皇制への拝跪があります。それはメディアが身分差別を是認・助長することにほかならず、そうしたメディア報道が天皇制賛美を煽っていることは明らかです。

 秋篠宮家長女・眞子氏の結婚に伴う「一時金」辞退に関連し、君塚直隆関東学院大教授は、イギリスでは王室の経済活動に対して市民の厳しい視線が向けられてきたが、日本ではそういう動きは生まれていないとし、こう述べています。

日本ではメディアが皇室への『不敬』になることを恐れたせいか、それを問う機運は希薄です。一時金の問題にしても。もし欧州のメディアなら『過去に支払われてきた一時金が適切に使用されてきたのか、税金の使途を検証しよう』という声を上げているでしょう」(2日、朝日新聞デジタル)

 日本のメディアは時の政権(国家権力)に対してきわめて従属的な体制順応を基本性格としていますが、絶対敬語の使用に象徴される天皇制への拝跪は、それと表裏一体です。
 メディアは「国会召集」をはじめとする天皇・皇室に対する絶対敬語を直ちにやめるべきです。

 市民はメディアの天皇制拝跪報道を無意識に受け入れていますが、それによって思考停止され、メディアが醸成する天皇制賛美に取り込まれていることを銘記する必要があります。

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