角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

祭りのあと。

2009年05月06日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
緑基調の花柄プリントをベースに、合わせは緑基調の桜花プリントです。
桜が終わり緑一色に包まれだした角館、「今日の草履」はそんな今の角館を象徴してますね。落ち着いた綺麗な草履と思います。

桜が散った途端に角館へ夏がやって来ました。いくらなんでも5月の上旬に「夏」は大げさと思われるでしょうが、昨日も今日も最高気温が26℃を超えているんです。気象用語でも「夏日」ですし、桜満開の頃ストーブをつけて暖をとっていたことを思うと、体感温度は夏以外のなにものでもないですよ。

そんな暑さと裏腹に、角館は「祭りのあと」を想わせる静けさになりました。角館で「祭り」と言えば、9月7日~9日のお祭りに他なりません。この祭りが終わった9月10日は街中が死んだように静まり返ります。それだけ角館衆が燃えに燃えるわけですが、草履職人を生業とするようになって、桜まつりも秋と同じような「祭りのあと」の感慨があるんですね。

今年も実に多くのお客様と出逢いました。桜満開を寒さに震えて眺めた方、5月に入って『桜がひとつもないじゃない~』とおっしゃる方、満開の人出をはじめて見て『次はもっと静かなときに来るわぁ』とおっしゃる方、角館の桜まつりはいろいろな人たちで賑わいましたね。
そんな桜まつり&ゴールデンウィークも、本日をもって終了です。

50歳ほどと思しき男性とおしゃべりしていると、男性のケータイが鳴り出しました。すると独り言のように、『また会社からだぁ』。外へ出てしばらく電話した後お戻りになり、『仕事は明日からにして欲しいよなぁ』。

気持ちはよく分かりますね、ゴールデンウィークという非日常の最後を楽しんでいる最中、電話とは言え明日からの日常に引き戻されるのは、少々気の毒かも知れません。
でも男性はちゃんとケータイに出て、急ぎの用件を済ませていました。「非日常」は「日常」が滞りなく進むことで満喫できることを、誰しも分っているんですね。

草履職人の「日常」は、草履を編みながら角館を訪れる方々をお待ちすること。そう思えばゴールデンウィークもお祭りもありません。このあと少しお休みを予定していますが、5月いっぱいは続けて参ります。
少々の疲れは否めませんが、今年も楽しい桜まつりでありました。

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多忙の中の達成感。

2009年05月03日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
淡い緑基調の小花プリントをベースに、合わせは緑の水玉プリントです。
爽やかで可憐な印象の草履ですね。お若い女性向きでしょうか、可愛いらしく履いていただきたい一品です。平生地はこちらになります。




この週末から快晴が続いています。桜満開は連日の雨と寒さ、桜が散った今は連日の好天です。でもこれを皮肉と思ってはいけませんね、桜を観られなかったここ数日のお客様に、天からせめてもの埋め合わせと思うべきでしょう。
それにしても今年の桜はよく頑張りました。あの雨を耐えしのぎ、全力を出し切っての葉桜です。桜たちの「達成感」が感じられますよ。

昨日からGW後半がはじまりました。この五連休のうちでも今日と明日がご来客数のピークでしょう。確かに昨日からの西宮家は、朝からとても賑やかです。そうでなくとも記憶力の乏しい草履職人ですから、すべての出逢いを書き記すのはとても無理です。よって一部をご紹介しましょ。

角館草履発売当時からの常連さん、東京のあほだんさんが今年も奥様と共にお越しくださいました。ドイツに留学している韓国人演奏家の女性へプレゼントとしてお買い上げです。ほんとにいつもありがとうございますっ。
高速道路乗り放題1000円をご利用のあほだんさん、『協和インターを降りて1500円って出たときは、やったーって思ったんシよっ』。東京からの所要時間13時間の疲れも飛んでしまうんじゃないですかっ、まさに「達成感」!?(笑)。

仙台市からお越しのご夫婦旅。共に下駄を履いて散策でしたから、いかにも草履に関心が高そうです。奥様は角館草履を見つけるなり、詳しいご説明を聞く前にもうお買い上げのつもりでおりました。残り二品となった樺草履のほかに、ご主人の分も含め三足のオーダー、誠にありがとうございます。鼻緒の履物のコレクションに、角館草履が加わった「達成感」を味わって欲しいものですね。

二年前、持ち合わせが足りなかったため近くの銀行へ走った女性がおりました。その方が二年ぶりに、娘さんを連れ立ってお買換えです。二年前は土踏まずのつかない旧タイプをお買い上げで、そのとき思ったそうですよ、『次はゼッタイ土踏まずのついた草履を買うぞーっ』。こちらも念願叶った「達成感」にひたってください。
ご主人が車でお待ちとのことで、草履を抱えて走ってお戻りです。やっぱり二年前と同じ、角館は走らなくてはいけない土地のようですねぇ。

埼玉県朝霞市からお越しのご夫婦旅。夕方近くになって人影が少なくなってからでしたから、ゆっくりじっくりおしゃべりしました。角館草履の詳細と鼻緒の履物の健康効果、ご夫婦共に感心してくださりオーダーを賜りました。
朝から大勢の方がお越しになると、どうしてもご説明の中に割愛する部分が出てきます。さすがの草履職人も口はひとつですから、これも致し方のないことでしょう。

こちらのご夫婦のように、じっくりおしゃべりしてからのお買い上げが、より「達成感」を得られますね。明日も頑張りますっ!

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