角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

叱咤、叱咤、叱咤!

2015年07月12日 | 実演日記
カラカラの空梅雨が続く角館は、今日の最高気温が33℃に達した模様です。直射日光が当たらない蔵の中にいても、30℃を超えると空気で分かりますね。今日の草履実演はなかなかキツかったです。予報では明日34℃、明後日は30℃で「曇り一時雨」と言いますから、これもけっこうなキツさです。15日からのお休みは、本当の意味で少し休みたいと思います。

大阪市からお越しのご夫婦旅。ミニ草履を見つけると「トイレのおまじない」に興味津々でした。それもそのはず、ご主人は今から四年前の五十三歳のときに脳出血で倒れたのだそうです。一命を取りとめ退院したときは、左半身不随の車椅子生活でした。仕事も辞めるよう医師から通告されたのだそうです。
そのとき奥様がご主人へ言ったのは、『七十三なら諦めてもいいけど、五十三で歩けなくなるなんて許さないからね。あなた自身が一番困るでしょ!』。
そこから決死のリハビリが始まります。

今日私がお会いして、言われてみれば…という程度の後遺症しか感じられませんでした。なによりこうして旅が出来るのですから、もう完全復活なのでしょう。お仕事も続けているそうです。
奥様が当時を語るのは、『叱咤激励って言葉があるけど、うちは叱咤、叱咤、叱咤でしたよ!』。すかさずご主人も、『この人が一番怖いからねぇ』。

こうして社会復帰できたのは、奥様の「叱咤」のおかげであることがご主人もよく分かっているんでしょうね。そして叱咤の陰には、しっかり激励もあったと思います。ご夫婦共にとても気持ちの良い笑顔をされていました。
猛暑の実演を終えクタクタで帰宅したとき、「このくらいの暑さでナニ言ってるのよ!」ともしカミさんに言われたら、これも叱咤激励…とは思わないでしょうけどね。
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2 コメント

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㈱わらび座造園 (山田みき)
2015-07-18 15:25:36
故郷に帰り、二人きりの80過ぎた両親を見るに付け秋田の遠さ、直ぐに帰れぬ距離に胸を抉られます。長い人生、仕事に家庭に尽くして生きて来た二人。今又両親の背中を見て奮い立ちました。ごめんね、何も助けになれなくて、、、心で手を合わせながら秋田へ向いました。母はそれでも、顔を見せてくれる、、それが一番、、、と言い切ります。私はこの二人から生まれ育てられたのだ、、、と誇りを握り締め、自分に鞭打つ様に家を出ました。中学生の娘もグッと親離れ。親に背中伸ばされ、娘に叱咤され(笑)愛です。
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子育ての理由 (草履職人)
2015-07-18 18:02:01
みきさん

親が一生懸命子を育てるのは、老後の面倒を看てほしい
からではありません。子がまた子を一生懸命育てるようにです。
親が子に遺すべき、脈々と受け継ぐべきはそれがすべて
のような気もします。

親はいくつになっても子が心配でしょう。でもこうしてみきさんを
秋田へ送ってくれるのは、おそらくご自身の子育てが
間違っていなかったと思えるからじゃないでしょうか。
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