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角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

昔に思いを馳せる。

2015年10月21日 | 実演日記






今日の草履は、朝ドラ「あさが来た」シリーズから、主人公「白岡あさ」風草履です。嫁入り前の今井家でよくこうした色調の振袖を着ていました。毎朝のオープニングにも出てきますから、もう「おあさ様」のイメージカラーのようなものでしょう。
「今日の草履」は、ちょうど製作中に実演を見学されていた秋田市のおばさまがお持ち帰りです。『朝ドラは録画してでも観るのよ~』と言っていましたから、相当なファンなのでしょう。善いお客様の手に渡ったと思っています。

朝晩の寒さがまた一つ厳しくなってきました。お天気が良いと昼はまずまず過ごしやすいのですが、午後3時を過ぎるとはっきり空気の冷えが分かります。これで紅葉が一段と進み、武家屋敷通りや抱きがえり渓谷は今週末に最高を迎えるんじゃないでしょうか。いよいよ秋が深まって参りました。
すると実演席でお客様によく言われるのが、『ここって寒くないんですか?』。いつも即答します。『これからがほんとの修行ですよっ!』。

実演席のあるスペースは、ストーブ一台で冬を過ごします。さらに外と内の仕切りが昔の木製建具一枚だけですから、吹雪ともなれば隙間風が音を立てて入ってきますよ。暖かいか寒いかと問われれば、そりゃあ寒いと答えないわけにはいきません。
でもちょっと考えてみれば、二重サッシが当たり前になったのはここ二、三十年くらいのものです。五十年前はアルミサッシさえなく、だいたいはガタガタ音を立てる木製建具でした。

角館草履を履きだしたお客様にたびたび言われるのは、『始めのうちは痛かったけど、慣れてきたら気持ちの良いものですね!』。
初めてお買い上げくださるお客様に最近話すようにしているのは、『最初のうちは堅さが痛いと感じるかもしれません。でも昔のワラ草履はもっとシビアな履物だったはずです。それさえ普通に履いていたかつての日本人に、想いを馳せてみてください』。

夏は暑くて当たり前、冬は寒くて当たり前、ワラ草履は痛くて当たり前です。世の中が便利になるのは善しとして、ときに「昔」を想うのは決して悪くないと思っています。
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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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㈱わらび座造園 (山田みき)
2015-10-22 14:07:25
”あさが来た”を夕食時に見る楽しみが出来ました〔笑)。昨日は素敵な”絣”生地の御連絡ありがとうございました。秋の花苗仕入れに”あきんど塾”さんの出会いで”佐藤種苗店”さんに伺いました。職人あり!丁寧な仕事から学ばされてばかりです。”商い”とは、”相手を思い遣る心と精進”が本道かも知れません。同じ毎年の花苗のお金が行く場所により、繋がり励ましあえ消費者として支える。幾つもの相互利益に感動します。痛い感覚の再生こそ、実は血流の再生。草履を履いて疲れが取れるのは、そこです。靴下より素足が気持ち良くなったら健康回復ですね〔笑)。
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商いも人も修行 (草履職人)
2015-10-22 18:15:13
みきさん

「あさが来た」の両替商にも出てくる台詞ですが、「商道」は
即ち「人道」と心得ています。人様から信頼されずに
商いが続くとは思えません。その信頼を得るのが
一朝一夕でありませんから、人生と同じ「修行」と云われる
所以なのでしょう。

角館草履は血流が促されるため足の体温が上がります。
冬でも裸足生活ができれば文句ナシとは言いながら、
人によっては無理する必要までありません。
そこは修行もほどほどでよろしいかと思います(笑)
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