角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

中身の濃い冬期間。

2015年12月01日 | 実演日記
今日から師走、今年も残すところ一ヶ月となりました。予想通り先週末に初雪が観測され、いよいよ冬本番を迎えようとしています。とはいえまだ積雪には至っておらず、この先も寒波襲来というほどの予報はありません。少しでも根雪が遅くなってくれれば地元民も助かるでしょう。
トップページの実演スケジュールカレンダーを更新しました。十二月は15日と16日をお休みし、最終実演日は27日(日)です。予定通り今年を終えれば通算実演日数は「315日」。例年より一週間ほど少ないものの、まずまずよく務めたほうじゃないですかね。

少し前に知人女性がお客様をお連れでした。還暦を迎えたばかりというその男性は、わらび劇場に「照明家」として着任し一年が経とうとしています。こちらの男性は昨年まで東京歌舞伎座の舞台照明を担当されていた方で、歌舞伎俳優さんたちとも懇意とか。東京の職場は定年を迎え、人生の第二ステージを当地わらび劇場でスタートされた御仁でした。

週末の忘年会にその照明家さんといろんなお話ができ、今日の休演日にはゆっくりと私の草履実演をご覧いただきました。角館草履のこと、当地の歴史、照明家さんの故郷や収集している和陶器、本業である照明の話題などで二時間余りを過ごされました。どんな職業でもそうですが、一点を貫いた御仁の話はとても興味をそそられます。私が大好きな「変わり者」の匂いでしょうか。

照明家さんとのおしゃべりの最中、『あの~、ちょっといいですか?』と割って入った女性がいました。『どうしてもちょっとだけ話したくて…』という女性は八年ほど前、父上様へ私の草履を買って差し上げたそうです。そのときから入院していた父上様は、まもなく歩くことが困難となりそのままご他界されたとのこと。私の草履実演を眺めて当時の光景を思い出した女性は、うっすらと目に泪を浮かべながら話してくれました。

冬になるとお客様の数が激減するのはこれまでの通りです。しかしその分、中身の濃いおしゃべりが出来るのもこれからの冬季なんですね。照明家さんとはまだまだ話が尽きません。わらび劇場にご勤務されているうち、これから幾度となく酒を酌み交わすと思います。
コメント (2)
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