角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

白岩焼きの花瓶。

2014年01月07日 | 地域の話




今日の草履は、、彩シリーズ26cm土踏まず付き[五阡二百円]
茶系の草履がお洒落という話題をたびたびお伝えしています。明るめのレンガ色に茶色の唐草もまたお洒落ですね。
女性用サイズの在庫が一通り揃ったところで、ここ数日男性用サイズを集中的に編んでいます。粋でお洒落な男性用草履を、この冬もしっかり編んでおきたいものです。

角館草履の代表的素材である「イ草」。このイ草を草履素材としてではなくお求めのお客様が、かねてからおりました。ひとつに「笹餅作り」です。近隣にお住いのおばあさんたちが、『こごでイ草売ってるって聞いだんだども…』とその季節になるとお越しになります。お年寄りのお役に立てているようで、それはそれで嬉しいものですよ。

そしてもうひとつの使い方が、「装飾」なんですね。手ごろな花瓶に挿して、玄関や床の間など室内に飾るわけです。イ草は大気中の水分を吸収すると匂いを発する性質がありますから、雨の日など湿度の高い日にとても良い香りを放ちます。万遍なく霧吹きをしてあげれば、いつでも香りを出すことができるんですね。

しばらく前から実演席でも花瓶に挿して飾っておりました。それを見たお客様がもう何人もお買い上げになっています。一束300円ですから、好きな方であれば二つ三つの場合もありますね。
ひとつ懸案と思っていたのが、花瓶のほうです。これまではガラス製を使っていて、これが実演席にどうも馴染みません。そこで思いついたのは、カミさんの父親が最近夢中で取り組んでいる「白岩焼き」でした。

産地と呼べる生産量がないまま現在に至る白岩焼きですが、かつては大きな陶器産地でした。江戸時代秋田藩の命により産地を形成するわけですが、奔走したひとりが当時肝煎りを務めていた「千葉伝右衛門」。今の世でいう「町内会長」みたいなものでしょうか、この伝右衛門というのがカミさんの生家です。そんな由来も手伝ってか、父は今この白岩焼きに燃えているんですね。

本人も言う通り、確かにまだ素人作品でしょう。それでも昔の白岩焼きに少しでも近づけるよう日々奮闘している、70代半ばの作品を観て欲しいと思っています。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする