角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

武士と職人の日記。

2012年07月10日 | 地域の話




今日の草履は、京都市右京区からお越しくださったおばさまのオーダー草履です。四歳になるとおっしゃる孫娘さんへ、『ピンクの可愛い草履を作ってくださる?』がこちらになります。
おばさまご自身用の定番配色①と一緒に、明日の便で出発です。早速履いてくださいね~。

こちらのおばさまは7~8名ほどのグループでお越しでした。先頭で入って見えたのは、お顔馴染みの角館歴史案内人さんです。おばさまを含め数人が角館草履に関心を示されたので、ご一行の足が止まってしまいました。実演席ではよくある光景です。

見学だけでなくオーダーとなりますと、それなりに時間も要ります。予定のご案内時刻が押しますから、歴史案内人さんへ『申し訳ないですぅ』とお詫びしました。すると案内人さん、『あっ、今日は親類の案内で、仕事じゃないんですよ』。
仕事もプライベートも雰囲気はまるで同じ、さすがは角館の歴史を語る案内人、その真面目さは「武士」を想わせますね。

歴史案内人として認定されたわけじゃないですが、私も10年ほど前にその講義を受けたことがあります。その後草履職人となって、少しずつ知識を増やしてきました。それでもお客様からの質問にお答えできないことがたびたびあって、まだまだ半人前以下というのは謙遜でない実感ですよ。

西宮家の田町側向かいにある新潮社記念文学館では、「武士の日記を読む」という企画展が開かれています。七月は18日と19日を「手の休業日」としましたので、どちらかで見に行こうと思っています。

現在の角館に武士が暮らすようになって四百年。よもや後世になって、一般の民に読まれるとは思っていなかったでしょうね。武士が書き記した日記と、平成の草履職人が記す実演日記。真面目さではきっと敵わないと思いますよ。
コメント
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