角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

話を聞く人、聞かない人。

2011年07月28日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
可愛い配色と言うのはもちろんですが、ベースは井桁プリント、組み合わせにはいらかに遊ぶトンボがプリントされています。可愛いだけではなく、しっかり「和」を表現しているわけです。もっともこうした草履を選ばれる方は、可愛いだけで充分のようですけどね。

ときに訪れるのが、「休まず喋る」お客様です。確かに大阪のおばちゃんに多い印象がありますね。特に団体さんでお越しのときは、まず私の説明などほとんど聞いてくれないものでした。それでもこれだけ観光バスが少なくなると、そんなおばちゃんたちもちょっと懐かしく思い出されます。

休まず喋るのは、関西限定ではもちろんありません。仙北市西木町にお住まいのおばさまは親類のおばさまとふたり、北蔵レストランへお食事に見えました。お帰りに草履コーナーへ立ち寄られると、『このあいだ○○さんのかーさんがこの草履どご買って行って、たいしたイイどってオレさも買えどって言うものなぁ』。

お知り合いに薦められたとは言っても、私からしっかり草履のご説明は必要です。いつものように素材からお話しようとするのですが、おばさまの口が止まりません。無理やり割って入ったところで聞いてくれる保証はありませんから、ひとまずおばさまに思う存分喋ってもらうことにしました。

10分近くも経ったでしょうか。私の説明もそこそこに、おばさまおふたりはそれぞれお気に入りの配色を選ばれ、そのうえお孫さんへのお土産まで手にお持ちでした。
作り手の説明よりもご自身の思いのたけを話すことで、充分購入するだけの満足を得られたのでしょう。とびっきりの笑顔でお帰りになりました。

「人の話を聞かない」ことでは今や日本一ではないかと思うのが、菅総理でしょう。辞任するに充分な満足を得られるのは、いったいいつになることやら…。
コメント
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