世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

光と影 愛と孤独を 君の中に見つけた日から

2008年08月11日 23時25分43秒 | Weblog
母は辛いことに遭遇すると、故郷の足尾に行きたくなるらしい。

私は…別に宇都宮に帰りたいとは思わなかった。
特に私の育った地域は、川があるわけでも山があるわけでもない、フツーの住宅街であるからに、愛着を持てと言われても困る。

海に行きたいと思った。

今日、ふと、死にたくなったときのことを思い出した。
睡眠薬を飲んで海原に身を任せることを、唯一、考えたときのことを。

薬を開発した人たちへの背徳、
悲しむ親のこと、
仕事の引き継ぎ、
そういうもの一切を考えられずに、ただひたすら、ここから逃げ出して楽になりたいと夜な夜な画策を練っていた。
死の方向へ一直線に意識を向けていた。


吉熊はどうなるのだろうか?

枕元で私の隣にいる吉熊を見つめた。
夜だというのに粒羅な瞳をぱっちりと開けている吉熊が薄明かりの中にいた。

この子は私が死んだら塵として廃棄されるのだろうか。
数年は遺品として管理されるんだろうが、普段から吉熊を「ただの汚れたクマ」としか認識していない家族のことだ。
火曜日の燃える塵の日に捨てるに違いない。

あの夜、私は「生きていこう」と決めたんである。
天寿を全うしてからならば諦めもつくが、自ら命を絶って、その挙げ句に吉熊が塵として扱われるのは耐えられないと思った。


そう考えると、吉熊は命の恩人である。
熊だから恩熊か。


今、ようやく「生きていて良かった」と強く、そして確実に思えるようになった。

通勤途中、コンクリートの隙間から顔を覗かせている雑草の力強さにさえにも、共感と愛情を持てる余裕が備わってきた。

朝の挨拶が楽にできるようになった。
物事にあまり執着しなくなった。


吉熊は、そんな私の経過を、その粒羅な瞳で見てきたんだ。

いとおしい吉熊よ。
ありがとう。



※タイトルは「Movie Star」(Zwei)より
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2 コメント

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Unknown (みな)
2008-08-12 17:31:54
辛いことがあると、みなは・・・
最近はもっぱら音楽に頼ってるかな~
hideちゃん☆
ほんっと、hideちゃんがいなかったら今ここにはいないかもって思うよ。

それでも、いいんだいいんだ。
過ぎた時間は~す・べ・て・ディスティニ~
今のきみを生んでくれたぁ~♪
(B'Zね、B'Z!!)
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逆境にくじけるなと今、自分に言い聞かせて (亮子&吉熊)
2008-08-12 21:27:27
みな殿

>hideちゃん☆
ほんっと、hideちゃんがいなかったら今ここにはいないかもって思うよ。

hideさんのうたは、専ら1stアルバムしか聴かないのですが、くるものがありますよね。
「DICE」とか好きです。

>過ぎた時間は~す・べ・て・ディスティニ~
今のきみを生んでくれたぁ~♪
(B'Zね、B'Z!!)

「EASY COME EASY GO」!!
躍ろうよベイベー♪
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