世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

あなた

2007年10月18日 23時03分37秒 | Weblog
ふと、目が覚める。
1階から声がする。

またか…。

階段を登りきったところで座り、そっと1階から聞こえる声に耳をすませていた小学校時代の私。

私の両親はよく喧嘩をする人々だった。

父親の酒癖の悪さ、飲み会と残業の多さ、母親にかかる育児の負担と姑の面倒の不満、家に散乱する父親所有の本が邪魔…云々。

鬱憤が溜ると母親は父親と喧嘩をしないと気が済まないらしい。

父親は黙るか、「ワタシだって仕事が忙しいんだよう…」と、ぽそぽそと反論していた。
深夜に響く怒号(主に母親)を私はいつまでも聞いていた。

彼等の喧嘩。
回想しても不可解に思うことがある。
彼等は互いを罵る際も
相手を「あなた」と呼ぶんである。

「てめぇー」とか「お前」ではない、「あなた」だった。

母親「あなたは仕事仕事って、そればかりじゃない。もう嫌よ」

父親「あなたは分かってくれない…分かってくれない」
といった具合いに。

ドラマ等で観る夫婦喧嘩よりは些か迫力に欠けていた。

同じことを何度も言い合い、迫力の欠けたメビウスの環的喧嘩は永遠に続くのかと思われる頃、私は飽きて布団に戻るのであった。

なんでこんなことを思い出したかというと、あの亀田さんが発端である。
ボクシングで反則技を使用したとかで、なんか大変そうなあの彼である。

ああいう殿方を好きになれる女性は、きっと彼氏に「お前」と呼ばれることを希望しそうだ。
「お前、太ったな」
と彼氏である亀田さんに言われると、その日の晩から絶食をする律儀さも持っているに違いない。
私はというと、彼には興味がない。…メガネかけてないし。怖そうだし。

もし、亀田さんと同居することになったら、耐えられそうになさそうだ。

「お前、メシぐらい作れよ」
と殴られた日には、私は父親にチクってしまうだろう。

父親は、亀田さんにぽそぽそと反論する。必殺建設的論法。
「あのですね、我が娘はですね、親の欲目かもしれないんですがね、つまり…」

亀田さんは
「あぁ?」
と威嚇。

そこで足取り軽やかにリングに立ち上がるのは母親。
得意のなじり攻撃開始!

そんな我が家を妄想して、喫煙所で一人で笑う。
漫画もテレビも使用しないでクスクス笑える私は安上がりな人である。


追伸
先日の金沢旅行で父親は九谷焼の茶碗と金沢金箔をあしらった箸を密かに購入していた。
茶碗の大きさがメタボリックな父親には問題ありだと母親は怒りMAX。

「あなた、ばっかじゃないの!」

と父親に言ったらしいのだが、やはり彼は反論をしようともせず、毎日お気に入りの茶碗でご飯を美味しそうに食しているらしい。…で、体重100キロ。

いつまでも元気な夫婦でいてほしいものである。

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