世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

輝きを取り戻したナンバリング

2011年07月26日 23時17分30秒 | Weblog
各部署から上がってくる稟議書を受付ける仕事は、私の業務のひとつだ。

吉熊上司より「最近、ナンバリングで打刻された数字が見えにくくなったから何とかせよ」という課題を与えられた。
ナンバリングとは、インクを含んだスポンジに金属製のナンバーが触れることで、紙にナンバーが刻印される事務用品だ。


まず、そのスポンジと専用のインクを購入。
新しいものを買うとそれだけで上手くいく錯覚に陥る。
今朝、さっそくそれらを入れ換えてみようとしたら、吉熊上司が「ナンバリング自体を洗わないか?」と進言。
よく見てみると、ナンバーにインクの塊がこびりついているではないか。
なるほど。数字を不鮮明にしているのはこれが原因なのかもしれない。

吉熊上司と給湯室に籠る。
お湯を張ったバケツにナンバリングをイン。
ナンバリングが肩(?)までお湯が浸かり、なんとも可愛い雰囲気であった。
「初めての入浴ですね」
とか言いながらほのぼのしてしまう。
ちょっとした沐浴状態である。

古い歯ブラシを持ってきて磨こうとした私に、彼は「貸して」と言い、素手で洗い始めた。
しかも彼のワイシャツは白だ。汚れてしまったら大変。
私はゴム手袋を嵌め、黒のワンピースを着ていた。

見る見る内に吉熊上司の指先は黒く染まっていった。
「私がやりますよ」と言いながら、私は思った。
すごいな、と。

部下に「やっておいて」と指示するだけでなく、言葉通り、自らの手を汚しながらも指導する彼の姿勢に深く脱帽した。
私はまだ後輩女子を指示する立場ではない。
でもそういうシチュエーションに遭遇したら、吉熊上司のように、自分の指示に責任を持てる人になりたいと思う。

バトンタッチされ、黙々と洗った。
額に吹き出る汗を拭いながら黙々と。
途中、他の上司が「これ使えよ」と洗剤を貸してくれ、見違えるぐらい綺麗になった。
天日干しをし、終了。

「おお~!!綺麗になったな」
ぴかぴかになったナンバリングを誰よりも喜んでくれたのは、吉熊上司であった。

他の人から見れば、些細なことかもしれない。
しかし、日常の手垢にまみれたルーティンワークが、ナンバリングと同様に再び煌めきに満ちたものになったという、本当に素敵な日であった。

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2 コメント

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ええ話や♪ (隊長)
2011-07-27 22:45:20
させて見て、やって見せ、褒めてやらねば人は育たぬ。

きれいになって長持ちする事務用品には特別な愛着が湧きますよね。
昔はデータ印を爪楊枝でほじほじ、キーボードのコマ全部外してほじほじ、電話の隅々までエタノールでふきふき…家じゃ絶対やらないですけど。

亮子殿も背中で語れるようになっていくんですね♪
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ほじほじ (亮子&吉熊)
2011-07-28 23:11:24
隊長殿

データ印の掃除、私もしますよ。
総務部から経営管理室になり、データ印も作り替えましたのでまだ綺麗なのですが。
ほじほじ、楽しいですよね。

>亮子殿も背中で語れるようになっていくんですね♪

そうなりたいですね。お互い。
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