やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

小さく、哀しむ

2015-11-23 | やまがた抄


冬隣りの季節になりました。

山々も裸木にその姿を変へ、でも、雪前のシンとした時間が流れてゐます。

漬物用の大根を堀りあげ、家人が干し始めました。
昨年の大根は、普通の青首とおでん用だったのですが、おでん用はとても美味しいのですが、用途が少なく、今年は却下され、細身の漬物用と青首です。ともに、まあまあの出来でした。


この季節、早くも喪中の葉書きが届いてをり、そのなかに知人の老婦人のものがありました。
差出人は娘さんのやうでした。

以前、さる福祉サーヴィスの理事長と懇意になり、その紹介でバリア・フリーなどの工事をしてゐました。
そんななか、ある会合で数人のご婦人たちと知り合ひになり、リーダー格の方から”○○さん、日当を出すから、オレたちをドライブに連れてゆかねぇかー?”といふことになり、日当は不要だから、ガソリン代と高速代を出してもらふことで、数ヶ月に一度くらゐの割合で行きませう、と話が決まりました。
そのメンバーの一人が亡くなった方でした。

すでに皆80歳を越えた方ばかりでしたので、負担の少ない時間と目的地を決め、最初の回は庄内へ行きました。
花の寺として有名なお寺をめぐり、酒田で海鮮の食事処で鯛やブリの桶盛りを食べ、日帰り温泉で汗を流して岐路に着きました。

亡くなられたご婦人の、お寺の境内で嬉々と喜ばれた姿や、高速で運転中にトイレを使ひたいから車を止めてと騒ぐ姿や、温泉のあとに”久しぶりにつけてみた”といふ口紅が頬のあたりまではみ出し皆に笑はれたり、と本当に楽しい一日でした。

その後、暑中見舞ひや賀状をいつも頂き、毎回の賀状に、”あの時のドライブは本当に楽しかった。また、連れて行ってください”といつも書かれてゐました。

会そのものは色々な事情で数回で消滅してしまひ、そのご婦人の要望に応へることなく時間だけが過ぎ、喪中の葉書になってしまひました。

おそらく、5、6回ほどしかお会ひしてゐないのですが、いつも背に小さなバッグを背負って、元気に歩かれたとても素敵な姿だけが記憶に残ってゐます。90歳も半ばだったさうです。
本当に、哀しい知らせ、です。




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