やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

惨姿

2016-05-24 | やまがた抄


長井へワラビ採りに行くときに、『釜ノ越櫻』の近くを通る。
いつも遠目に痛々しい枝先が見へてゐたけれど、とても怖くて近寄れなかった。

けれど、やはり気になって、先日向かってみた。
その姿に、言葉を失った。
彼は、もはやこれまでー! と、天を仰いでゐた。

5,6年前だらうか、知人たちとの櫻見のとき、夕方だったがなんとなく寄ってしまった。
すでに樹勢のなくなってゐた姿に、皆顔を青ざめて眺めた。

数十年前にNHKの紀行番組で紹介され、そのころからか名前が知られるやうになり、その後のTVステーションの夜桜中継でも見事な姿を知らしめてゐた(小生も当日、夕方のリハーサルの時からその場で見てをりました)。

樹齢800年ほどのエドヒガン。
小生が初めて見たとき、その勇姿は天に広がってゐました。
確か、その後、台風か落雷で主幹を失ひ、きっとそのせゐもあるのでせう、一気に樹勢を失ったやうな気がします。

けれど、県南の櫻回廊の旗艦のやうな櫻です。
なんとかならなかったものだらうかー。
おしなべて、櫻回廊の銘木たちは押し寄せる観光客の数に比例して年々酷い姿になってをり、以前の中山町の『御達磨の櫻』のやうに、私たちは、500年、800年生きつないできた櫻を、たかだか数十年で殺してしまふのでせうかー。

まう二度と来ることはない、と別れの気持ちでその場を去りました。