やまがた好日抄

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ヤコブ・ファン・エイク:涙のパヴァーヌ / フランス・ブリュッヘン

2016-05-07 | 音楽を
ヤコブ・ファン・エイク:涙のパヴァーヌ / フランス・ブリュッヘン,アンナー・ビルスマ,グスタフ・レオンハルト


F・ブリュッヘンの録音を集中的に流してゐるサイトに出会ひ、まったく久しぶりに《涙のパヴァーヌ》を聴いた。

レコードはあったけれど、確か、何故かCDでは買ひ替へなかった記憶がある。
40年も50年も昔の録音だと思ふ。

当時、クラシック音楽を聴き始めたころ、V・エイクなんて作曲者は知りもせず、といふより、そのレコードに収まってゐたバロック初期の作曲家の名前なんて、だれひとりとして知りもしなかった。

ただ、リコーダー(といふより、小学生の当時、確かスペリオパイプとか云ってゐた、白黒のチャチなたて笛、それをランドセルの隅に挿してゐた記憶があるー)一本から、おもひもよらない多彩な音色が広がってゐたのに驚愕した憶へがあります。

いかにもオランダ人といふ風貌のブリュッヘンは、やがて指揮者になり、その名も画期的な18世紀オーケストラを設立し、今のピリオド奏法ムーブメントのまったく魁をなしてゆきますが、小生は、その組み合はせのモーツァルトやベートーヴェンをほとんど買ったのにもかかはらず、あまり好きにはなれなかった。

今にして思へば、ホールやCDで聴きなれたモダン・オーケストラの響きとのあまりにも違ふ、乾いた音色やドラスティックな演奏のせゐだったのかもしれない。

昨今は、ピリオド楽器やピリオド奏法でなければクラシックにあらず(特にバロックや古典派の音楽は)のやうに席捲されましたが、その原点を開拓したのがまさにF・ブリュッヘンやその仲間たちでした。

その彼も、2年前に亡くなり、一緒に録音してゐたアルノンクールやレオンハルトもまたすでに鬼籍にはいり、G・マーラーや江戸時代の日本画家の若冲のやうに、”やがて私の時代がくるー!”と確信してゐた先駆者の凄みに感服しないではゐられません。