久しぶりに絵を見に行く。
山形市の山形美術館で琳派と若冲の絵を見る。
日本画を見るのは、丸山応挙以来久しぶりです。
山形美術館はとても嫌ひな美術館で、県内の有名な建築家が創ったのですが、まるで”絵を見る”ことの意味がわからない代物ですが、秋も深まった半日、それでも、好きな酒井抱一と若冲のいくつかの作品を堪能してきました。
企画展自体が、ポイントのずれた感じでしたが、酒井抱一の手練の作品に息を呑みました。
他にも、琳派の絵師の作品もほどほどありましたが、構図、色使ひ、余白の見事さー、どれをとっても格が違ひます。
そして、若冲ー。
若冲の実物は、初めてみました。
勿論、山形に若冲の有名な作品が来るとは思ってもゐませんでしたが(なにせ、そのほとんどの作品は、若冲オタクの米国人と、宮内庁がしっかり握ってしまってゐますからー)、それでも晩年に近いころの鶏の絵が見られて大満足でした。
京都の大きな八百屋さんのオタク若旦那は、商売そっちのけで、沢山飼ってゐた好きな鶏を毎日眺めては絵にしてゐたといふ。
けれど、この度みた『群鶏図』といふ作品の中の鶏は、墨絵ながら、圧倒的な躍動感と存在感を見せつけてゐる。このパワフルさは、半端なオタクのなせる業ではない。
一気に書き上げたやうなその絵に打ちのめされて、建物をでる。
秋は、深まってゐます。