維新前後の本を続けて読む。
「井伊直弼の首」(野口武彦/新潮新書)と、 「戊辰雪冤」(友田昌宏/現代新書)。
ともに小書ながら、時代が大きく動いた時の、片や井伊大老暗殺に収斂されてゆく大小の事件を綴りながら、片や奥羽越列藩同盟の主藩でありながら早々と白旗をあげてしまった米沢藩のいち藩士のその後を追ったもので、偶然にも糸が見事につながる。
それぞれの人間が、それぞれの苦渋の選択をし、大物人物はそれなりに、名もなき人物もそれなりにのちびとの評価に晒されてゐるわけですが、いままさに大きな政治の変革の時に(変革が起こるのだらうな!?)、明治初期のボタンの掛け違ひが脈々と残ってしまってゐる現実を感じます。