庄内柿、を頂く。
山形に移り住んだ頃、ウム? と思ったことがあった。
春先の筍が「孟宗」といはれて、妙に珍重がられること。
秋口の柿が、生であれ干しであれ、えらく高いこと。
昔とはいへ、小生がガキ時代を送った多摩地方では、筍は大人の目を盗んで採り、柿はこれといふ樹に登り好きに取ったものでした。
それらはいたるところにあり、買ふといふ心理も市場もなかった。
北海道に叔父がをり、なるほど季節になると筍や柿を送ってゐましたが、それは柿や孟宗竹が自然の力では津軽海峡を越へられないかららしい、とは思ってゐました。
そして、柿はともかく、あの生命力旺盛な竹ですら奥羽山脈を越えることが無理だったのか、と思ふと、自然の摂理や文化が大きく違ふのもきはめて当り前の話だと妙に納得するものです。
さて、しばらくは、食後に甘い庄内柿を頂くことになります。