岩波新書で『国定忠治』(高橋 敏著)を読む。
国定忠治(正式には、長岡忠次郎)、なんて、舞台の”赤城の山も、今宵限りー、…”のシーン以外は何も知らなかったけれど、こんな小書で、眼からウロコを落とす。
いはゆる、チャンバラの世界ではなく、忠治が跋扈してゐた時代はまさに幕末であり、すでに黒船は来港し、世の中が騒然となりはじめた時代であり、幕藩体制もそのほころびを露呈し始めてゐた、そんな時でした。
国定の一派は、関八州取締りを向うにまわし、すでに洋式の銃で身を固め(てゐたらしい)、当時の最強の武闘集団だった。
おなじ頃、幕末を生きた清水次郎長が、新たな明治政府と調和して名をなして死んでいったのに対し、”悪党”の親分として200人の行列をお練りのやうに引き連れて磔刑に望んだ国定忠治の死に様が胸を打つ。
県立図書館あたりで検索しても、彼に関する本は意外に少ない。小生は、筋金入りのやうな、悪漢そのものの彼に非常に興味があるのですがー。