本来は昨年の12月初旬にリリースされていたはずなのだが、我が家に届いたのがロック大賞発表後の
12月30日ということで、先行対象外となったのが掲載写真のDVD。
イアン・ハンターとミック・ロンスンが80年4月19日から20日にかけて、ドイツのテレビ番組
「ROCKPALAST」で演奏した映像が収録され、同時にCDも発売された。
79年のロキシー・シアターで収録され、ここでの演奏直前の80年3月に発売された「WELCOME TO
CLUB」のA面からC面で聴くことができた、あの熱狂を映像で追体験できるようなセット・リストで
両者のファンには堪らない映像である。
オープニングは勿論シャドウズ・カバーの『F.B.I.』。まずはミック・ロンスンが登場し軽く肩慣らし。
続いて、お馴染みのイントロを弾きながらハンターが登場し、『ONCE BITTEN TWICE SHY』に突入。
ハンターとロンスンの美学を如実に体現している、この2曲の流れは何度見ても痺れる。
70分ちょっとの尺なので、選曲はこの時点でのベスト・オブ・イアン・ハンターと言ってもいいだろう。
モット・ザ・フープルの曲も要所で演奏されるが、これはモットのライブではない。
モット・ザ・フープルというバンドの中では重要な位置を占める『SATURDAY GIGS』や『ROLL AWAY
THE STONE』が聴けないことへの恨みつらみは無しだ。
『ALL THE YOUNG DUDES』では、例のハンター特注のギターを見ることができるが、エンディングは
もうちょっと余韻を残して最後の曲に入って欲しかった。最後の曲もロンスンの独壇場『SLAUGHTER
ON 10TH AVENUE』。虐殺が行われれば、10番街も凍てつくというものだ。
最初と最後にロンスンに華を持たせるハンターの配慮に大きな友情を感じるのだが、ハンターと
ロンスンが正式に二人の名前を冠したバンドを組むには、更に十年近くの時間を要するのだなぁ。
ロンスンはこの世にいないが、72歳のイアン・ハンターは現役で今でもツアーをこなしている。
今年は渋い新譜を是非ともお願いしたい。