HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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追悼 布谷文夫

2012-01-20 21:17:01 | 日本のロック・ポップス

布谷文夫が15日に脳出血で亡くなった。享年64歳。
最近までライブをやっていたような印象があったのだが、人の生き死にというのは当事者や
親しい関係者以外の者には、あまりに唐突に経過を端折った事実だけが突きつけられることが多く、
今回も私にとっては唐突な訃報であり、その若さも相まって残念な気持ちが強い。

布谷を最初に知ったのは、81年に出た9枚組「NIAGARA VOX」である。
「A LONG VACATION」に全く興味の無かった私なので、もちろん当時でさえリアル・タイムでなく、
実際に聴いたのは87年頃で、後輩が所持するレコードを借りたのであった。
「近所のレンタル・レコード屋が閉店するので、レコードを全部1枚1000円で売ると張り紙があったのを見て
当日1番に行って『どれでも1つ1000円ですか。』『そうです。』『これもですか。』『そうです。』という
やりとりの後に買ってきた。本は無いけど、いいでしょう。」と後輩が話すのを、羨ましく聞きながら箱を
借りたことを思い出した。

そこに収録された「ナイアガラ・トライアングルVOL.1」を、アルバム丸ごと大いに気に入ったのだが
他には布谷の歌う『深南部牛追い唄』『台風13号』を気に入った。後にCDで初めてアルバム「悲しき夏バテ」を
聴いて「凄いブルーズがあったものだ。」と思うと同時に、このまま突き進んだら次はどんなレコードが
出来ただろうと、妄想を逞しくしたこともある。リアル・タイムで聴いた人の中にも「布谷文夫Ⅱ」を待った人は
少なくないだろう。
その後、DEWのライブや近年(といっても01年頃だが)のライブのCDが発売され、そのどれもが
日本でブルーズを歌うことの意味というか、価値を明白にするものであった。

「朝めがさめコーヒーをのみ たばこを燻らすと 一日のブルーズははじまる」

明日も目覚めるであろう自分の幸運を感謝し、今夜は布谷のブルーズで夜をやり過ごそう。

コメント (4)
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