HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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REAL GOOD SOUND

2015-12-03 08:31:43 | ROCK

掲載写真はヴェルヴェット・アンダーグラウンドの4枚組「THE COMPLETE MATRIX
TAPES」。69年11月26日と27日に行われた4回分の演奏を収録している。

これを手にした人の大多数は全42曲中未発表が9曲しかないこと、昨年リリースされた
VUの3枚目のアルバム「THE VELVET UNDERGROUND」のDX盤でCD2枚にわたって
18曲を先に小出しにされたことに不満を持つだろう。

私も購入前はあまり有難味を感じずに、取りあえず買っておこうかなくらいの気持ちで
あった。しかし、全4枚を聴き終えるころには何とも言えない充足感で満たされていた。

まず、かつて「THE QUINE TAPES」として出た音源と演奏日や曲は被っても
別の機材で良好な音質で録音されているので、それに関しては初出と同然であること、
それと4回分のセットがおそらくは演奏された順に並べられて当日のライブの流れに
沿って聴くことができるということに価値がある。

それに、9曲も初登場曲があるのだ。昔ならLP1枚分の尺だと思えば考えように
よってはこれはかなり贅沢な組み物である。(贔屓のしすぎか。)

演奏はどのセットも充実。音質も素晴らしい。VUのライブは多少音が悪くてもそれがまた
独特の雰囲気を出していて特にマイナス要素ではないのだが、それでも音がいいのは
聴いていて気持ちがいい。メロディー・ラインのはっきりしたスローテンポの曲だと
特にそう感じる。

昔も今も『SISTER RAY』にあまり有難味を感じない少数派のVUファン(笑)としては
混沌よりもギターの音色やルーやモーリンの歌唱の機微を感じ取れる今回のような
ライブ盤は大歓迎である。

この組み物が出たからといって、かつての「1969 VELVET UNDERGROUND LIVE」
の価値が落ちることがないのも書いておかねばなるまい。組み合わせの妙で見せた
あのコンピレーションの持つ美しい表情というのは別格なのだ。

さて、次に待たれるのは10月18日と19日の「END OF COLE AVE」の完全版
ということになるのだが、期待して待とうと思う。

コメント (4)
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