HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

LAND OF HOPE AND DREAMS

2014-02-02 00:05:17 | ROCK

ブルース・スプリングスティーンの新作「HIGH HOPE」は、ボスにとって18枚目のスタジオ
録音盤であるという広告文句を見て、「あれ、そんなに少なかったっけ。」と暫し考える。
指折り数えてみて「あれ、17枚しかタイトルが思い浮かばない。」なんてことになって
自分の間抜けさを、またも思い知る。う~む。(笑)

ライブで演奏されていたもののスタジオ録音の無かった曲や、EPでリリースした曲の再録と
いった、過去10年の重要マテリアルの再構築といった趣の新作は、流石にボス自身(或いは
熱心なファンも)が認める曲の集まりだけあって、重厚である。
曲のメロディーも耳に残るものが多いし、歌詞もいつもながらだが重要な意味合いを持つ。

録音時期が多岐にわたるので、楽曲のクレジットによってはダニー・フェデリシやクラレンス・
クレモンズの名前がある。録音した当時の音のみで、所謂「レア・トラックス」としてリリース
するのでなく、トム・モレロを加えてトリートメントを施し、最新型のロックとして提示するところに
ボスの前を向いた姿勢というものを感じずにはいられない。

「夢」とか「希望」とかお題目を唱えるのは簡単なのだが、そこに『AMERICAN SKIN』で
聴くことができる現実そのままのやりきれなさと問題提起を踏まえて、それでも「夢」とか
「希望」を持ち続けることに意味があると私は解釈した。

08年の当ブログでスーサイドを取り上げた際に、皮肉交じりにこんなことを書いた。

この曲(『DREAM BABY DREAM』)と『BORN TO RUN』は地続きだと思っているのだが、
ブルース・スプリングスティーンのファンでこの曲にたどり着く人は少ないだろう。
スプリングスティーン自身が数年前にライブで取り上げた曲なんだけど。

おっと、今回のスタジオ録音バージョンの登場でスーサイドのことも広く認識される
ようになるだろう

そして、10年にボスがライブ録音した『DREAM BABY DREAM』を取り上げた際に
こんなことも書いた。

「『BORN TO RUN』と『DREAM BABY DREAM』は地続きなんだぜ。」と書いたのは、
やはり間違いではなかった。足踏みオルガンを弾きながら一人歌うスプリングスティーンの
なんと神々しいことか。単純な歌詞の繰り返しであるが何度も繰り返される言葉の
到達点は、「BORN TO RUN」と同じく闇夜を突っ走った後に前方に射してくる陽の光であり
ささやかな希望である。スーサイドという非のニュアンスを持ったユニットの名前であるが
この曲には愛する者への慈しみと、それが自分の希望であり喜びであることが表明されている。

今回、アルバムの最後に収録された『DREAM BABY DREAM』のスタジオ録音を
聴いて、その思いは更に強固なものになった。
それを含めて、アルバム全体を通して非常に聴き応えのある1枚である。

初回盤には昨年ロンドンで収録された「BORN IN THE U.S.A.」全曲演奏のDVDが付いている。
曲の並びは正確に覚えていなかったが、アルバム収録順に演奏される曲が流れてくると
全ての曲のタイトルが頭に浮かんできた。この頃(84年)はまだ、1枚のアルバムを熱心に
聴いていたのだなぁ。(笑)『DANCING IN THE DARK』の後半で、母親や妹とステージ上で
踊るボスが、とてもチャーミングだ。

さて、18枚のスタジオ録音盤のうち、私が思い出せなかった盤は何だったか。
答えは、『DEVILS AND DUST』(2005)。いかんな~。(笑)

コメント (4)
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