HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

鈴木慶一 / シーシック・セイラーズ登場

2009-08-18 21:04:39 | 日本のロック・ポップス
鈴木慶一が昨年発表したアルバム「ヘイト船長とラブ航海士」は評判が
よかったそうで、雑誌の人気投票で首位になっているのを何度か見た。
私の周りでは、誰もそんな話をしていなかった(笑)のだが、そのうち
聴こうと思っていたら、同じような流れで新譜が出てしまった。
今回も最初は大して気にとめない筈だったが、様々な要素が絡んで
購入してしまった。

まず、今作は『コンセプト・アルバム』であるのが気になった。
もっともらしい序章があったり、思わせぶりな文字解説があってもなかなか
理解できないのが『コンセプト・アルバム』の常だが、阿呆の私は
今回も理解に苦しんでいる。帯に書かれた「これはODYSSEYかORACLEか」
なんて叩き文句に惑わされるほどの阿呆ではないが。
いや、ODYSSEY(長い旅)であるのは間違いない。

そして、アルバム・タイトルが気に入ったのと、初回盤にはこのアルバムが
まるでサントラであるかのようにも捉える事が出来る短編映画のDVDが
添付されているのも購買意欲を掻き立てた。

設定は今から3000年後の未来。そんな気が遠くなるような未来にも
ロック・バンドがあり、海賊放送船からラジオ放送をしている。
当然ながら物語を進める上で細々とした設定があるが、そんなものを
端折っても「ロック・バンド」「ラジオ」というだけでワクワクする。
広大なゴミ捨て場に捨てられたラジオに何かの拍子でスイッチが入り、
誰も聞いていないのに、放送だけが空に響いているという図は
美しいのではないかと思ったり、例え誰が聴いているかわからなかったり、
少しの人しか聴いていなかったとしても、ラジオって素敵だなと思ったり。
アルバムの趣旨から外れるような想いが駆け巡るのだが、それこそが
楽しいのだ。

音数はそれほど多くないと思うのだが、奥行きのある壮大な音つくりは
長年の経験の成せる技か。私個人の全くひとりよがりな思い込みは
これこそ鈴木慶一の「永遠の遠国」なのだと解釈させる。
まだ見ぬ、そして永遠に辿り着けない場所だけに愛しい。

さて、アルバム・タイトルの「シーシック・セイラーズ」。
単純に訳せば「船酔い水夫たち」なのだが、私はこの言葉が妙に印象に
残っている。それは最初に「SEASICK SAILORS」という言葉を耳にしたのが
ボブ・ディランの「IT'S ALL OVER NOW,BABY BLUE」であるという
ただそれだけの理由なのだけど。
コメント (2)
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