HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

AGNES IN WONDERLAND

2009-08-08 16:51:10 | 日本のロック・ポップス
先日、ゴダイゴが演奏を務めたちあきなおみの「あまぐも」(1978年発表)を
とりあげたが、今回はアグネス・チャンのバックを務めたアルバムを取り上げる。
掲載写真は1979年発表の「AGNES IN WODERLAND(不思議の国のアグネス)」。
正直なところ、アグネス・チャンがアイドルとしてデビューして以降、
今に至るまで、そのルックスも曲も社会的活動や発言に何の興味も共感も
抱いていないのだが(むしろ嫌悪することの方が多かったかも)、今回の
CD再発はどうしてもスルーできなかった。

演奏は79年のゴダイゴなのだ。しかも曲は全てタケカワ・ユキヒデが
手掛けているとなれば興味は沸く。今回の再発はアルバムのストレート・
リイシューだけでなく、タケカワの全曲デモを収録したCDを含む2枚組で
それも購買意欲に拍車をかけたというわけだ。

タケカワのライナーが当時の様子を生々しく語っている。
テレビで自分達のヒット曲を歌い、家ではデモを作り他人のアルバムを
レコーディングし、その後には自分達のアルバム(OUR DECADE)の録音と
いうのは、いくら昔からCMやサントラの仕事をこなしているとは言え
大変だったのは容易に想像がつく。一番違うのは過去に比べて自分達が
恐るべき勢いで売れてしまったということだ。
気持ちの切り替えの難しさや、曲の納品締切のプレッシャー等の
様々な条件と折り合いをつけるのは容易ではないだろう。

初めて聴いたこのアルバムは、ほとんどの曲が英語で歌われるせいもあって
良く出きた洋楽アルバムを聴いている気にさせる。テレビで見た有名曲の
イメージとは全く違うアグネスの歌唱も、贔屓目でない私にも違和感無く
聴くことができた。それよりも、やはり私が嬉しかったのは2枚目のデモだ。
アルバム収録の12曲が、ほとんどピアノだけでタケカワによって歌われる
のだが曲の瑞々しさが良く伝わるデモで、よくぞ発掘してくれたと言いたい。
自身の多重コーラスや、シンプルにピアノやエレピを重ねただけなのに
充実したアルバムを1枚聴いた気分にさせるのは、当時のタケカワの
アーティスト・パワーの成せる技なのだろう。

「キタキツネ物語」の再発の時も感じたが、デモ名人というのはいるものだ。
ピート・タウンゼンドの「スクープ」じゃないけれど、もっといろいろ
聴きたいと思ったのは私だけでは無いだろう。次はゴダイゴに書いた曲の
デモが日の目を見るのを期待して待とう。


コメント
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