昨夜来、風が鳴っていたが、今日はもう春の嵐。地下鉄銀座線三越前の改札待ち合わせに逆算してぎりぎりに家を出て、上野行きに乗り換えて向かったが、途中で電車がストップ。車内放送によると川口~赤羽間の橋梁の風力計が規制値を超したので運転見合わせだという。
遅れる旨をメールして、結局30分くらい遅れたが、ランチ時の店の混雑でお昼はご一緒できた。
お誘いいただいたのはさちぎくさんで、チケットを長唄の先生からいただいて文楽好きの私にお声をかけていただいた次第。冒頭のチラシに大きく「素浄瑠璃の会」とあるが、邦楽振興基金助成事業「第9回女流義太夫 鶴澤三壽々勉強会」で、三壽々さんが相三味線をつとめる竹本駒之助師匠とのコンビで「三十三間堂棟由来」平太郎住家より木遣り音頭の段がお江戸日本橋亭で上演された。
道に迷いながらも開演時間に間に合ったと思いきや、開場時間と間違えて早く着いてしまい、平場席のすぐ後ろ椅子席の最前列にゆうゆうと陣取った(自由席)。さちぎくさんの長唄のお仲間のKさんが二人を見つけてくれ、その勘違いにようやく気づき(笑)、結果的にはよかったかな(^^ゞ
演芸場ということで小さな会場での女流義太夫初体験となる。三壽々さんの三味線はやわらかく響いて心地よし(これが女流の音の出方なのか、開場が小さいせいなのかはわからないが)。駒之助さんは四世竹本越路大夫にも師事した人間国宝ということだったが、あまりよく聞きとれず、途中から配布されていた詞章を見ながら聞くことにした。文楽デビューも字幕の電光表示がされるようになってからの私であり、「三十三間堂棟由来」も今回が初めてということでまぁ、仕方がないかなぁと思った。
「三十三間堂棟由来」については、篠原安心院さんの「古典芸能入門 ブログアーカイブ」 (Vol.167とVol.168)が詳しい。(さらに詳しい資料もみつけたのでこちらにご紹介)
「芦屋道満大内鑑」の葛の葉子別れと同様、いわゆる異類婚譚。男に命を助けられて女の姿に変化して夫婦となって恩を返していたのに、いよいよ本性を顕さざるをえなくなって夫と子どもと泣く泣く別れていくという悲しい物語だ。ただし動物ではなく樹木の精であるということは、「三輪山伝説」に重なった(男女が逆ではあるけれど)。
文楽や歌舞伎でもまた観る機会がめぐってくると思う。
また、配布物の中に「乙女文楽」の公演チラシもあり、これまたびっくり。文楽は三人遣いになっているが、乙女文楽はそれを人形や操り方を工夫したひとり遣いでみせるという。現在では人形劇団ひとみ座のメンバーの中堅と若手が取り組んでいるとのこと。
日本の古典芸能は、様式性が高く、なかなか男女で同じ舞台に立つことは難しいが、女流で義太夫にも文楽にも歌舞伎にも取り組んでいる人がいるのはなかなか嬉しいことだと思っている。
さて、下の写真はランチでいただいたオムライスセット。日本橋三越新館地下1階のイートインコーナーにある「たいめいけん」は行列ができていた。先に食べ終わってしまったボルシチスープ(といっても野菜だけだったのでミネストローネに近い)がついていた。キャベツは細すぎないコールスロー。かかっているのは具だくさんでちょっと辛いアラビアータソースにしたが、キャベツがあるので私でも大丈夫だった。目にも綺麗で美味しかったし、これで1260円なら実にリーズナブル!
京都で短時間しか観光ができないけれどどこを観たらいい?と聞かれた時、清水寺を観たことがある人には三十三間堂をおすすめしています。
神戸・大阪に住んでいた8年間の間に、妹2が一人でやってきた時も、名古屋の妹1一家がツレアイくんの職場関係の保養所に実家の両親ともども3家族が泊って観光した際も、三十三間堂に案内しましたよ。
本文中の「三十三間堂棟由来」につけたリンクのその先のリンクで建てられた由来が簡単にわかるようにしておきました。
さらにこの狂言についての詳しい資料も本文中にリンクを追加しておきました。
何はともあれ、今晩の「平清盛」もしっかり観ましょう。
★さちぎく様
昨日は有難うございましたm(_ _)m
そうそう「じょぎ」というのです。文楽観劇にはまった若い方が素人さん向けの講座に通われていたという話をお聞きして知っていました。
タレギタは娘義太夫のことですね。明治時代に書生たちが押しかけて見に行ったということですから、今のAKB48みたいな感じだったんでしょうねぇ。
わあ京都にいったんですか。あの数は圧倒されますよね。お隣の養源院行かれましたか?俵屋宗達の絵があると思った?
この演目についての解説もありましたよ。
それにしても、確かに三十三間堂は凄いわ。ひたすら仏を作りつづけたエネルギーに、無条件に頭が下がるという感じ。
それからここ、清盛と後白河のお寺なのよね。タイムリーでもありました。