ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

11/08/20 第9回亀治郎の会「芦屋道満大内鑑」達筆な曲書きに大満足!

2011-08-29 23:59:54 | 観劇

昨年初めて「第8回亀治郎の会」を観て実に面白かったので、ラスト宣言されている第10回までしっかり観る決意を固めている。
昨年から「亀治郎の会、面白かったよ~、第10回までしかないよ~」と観劇仲間に吹聴し、8/20昼の部を4人で観劇し、その後は四ツ谷お岩稲荷などを散策する企画となった。

国立劇場大劇場のロビーでまずは筋書売り場に直行。あれあれ面白い企画もあるようだ。直筆サイン入りのものは5000円で通常版は1500円でということで、昨年の一律2500円からするとメリハリの効いた配置になっている。私は通常版にしたが、サイン入りの宣伝看板を撮影しておいた。「走り続ける勇気2011かめじろう」と書いてあるようだ(冒頭の写真がその看板)。

しかしながら「葛の葉」という演目選びには、昨年の演目「四の切」(今年5月の明治座でも)に続き、またまた狐ものかぁという感じももっていた。ところがそれを裏切ってくれるのがやはり亀治郎だ!

【芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ) 葛の葉】
Yahoo!百科事典の「芦屋道満大内鑑」の項はこちら
私が文楽デビューしたのが国立劇場小劇場2005年9月公演のこの演目の「葛の葉子別れの段」で、さらに今年の2月公演ではその後の景事の「蘭菊の乱れ」の上演もあった(いずれも感想未アップm(_ _)m)ので、それを踏まえて観ることができたのが収穫。
今回の主な配役は以下の通り。
女房葛の葉/葛の葉姫=亀治郎
安倍保名=門之助
信田庄司=段四郎 妻柵=竹三郎
            
陰陽師安倍保名の家に信田庄司夫婦が葛の葉姫を伴って訪ねてきて、保名に助けられた信太森の白狐が姿を変えた女房葛の葉が機を織っているところに遭遇してびっくりする。そのあたりの二役の早替りがまずは見せ場だが、亀治郎贔屓には実に楽しめる。門之助の安倍保名はニンに合っているし、信田庄司の段四郎といい、脇役に猿四郎をはじめとして澤瀉屋の一門が揃うのが嬉しい。
本物の葛の葉姫があらわれたことから葛の葉狐は身を引く決心をして、のちの安倍晴明となる童子との子別れの場になるのだが、子役がまた可愛いので一層切ない。

眼目の障子に書置きの一首を書きつける場面への転換が実に贅沢。保名の家の舞台装置が回って外廊下を葛の葉が文箱をもって急ぐ。侘び住まいのイメージだったのでちょっと立派なお家すぎる気もするが、そこはつっこまないでおこう。
「恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」
最初は右の手でさらさらと書きだしたのを見て溜息が出る。これまで見た誰よりも達筆だ。寝ていた童子がすがりつくと抱き上げて空いている左手で続ける。これも素晴らしい!さらにむずかる幼子を両手にしっかり抱くと筆を口にくわえて「うらみ」からの一行を書き、最後に「ら」の字の点を手で入れて完成!!
松嶋屋の若旦那のブログで「亀治郎くん、本当に達筆」と書いていたのを読んだが、本当だと思った。もうこの字を書く場面だけで大満足してしまう。

その後、お定まりの真っ白な狐の衣装に変わることがないのも意外だったが、「四の切」とかぶる演出をしないというこだわりを貫いたように思える。
子別れの様子を陰から見ていた保名が、たとえ狐でも子までなした女房をそのまま行かせはせじと追っていくのを見て、書置きの一首はよく言われるように子どもにあてて書いたというよりも、愛する保名への想いを込めていることがよくわかった。

信田の森へと帰っていく葛の葉狐の旅姿に合点がいった。2月文楽公演の「蘭菊の乱れ」の場面の衣装(ポスター画像参照)と同じようなのだ。舞台の方を振り返りつつ、花道を引っ込んでいくというところに、かなりのこだわりを感じた。「蘭菊の乱れ」では、その後に引き抜いて舞台の上で狐としてのフライングの場面があるのだが、そこはなし。あとから筋書きをみて、この旅姿の連続写真が見開きページで入っていたことからみてもこだわりの強さがよくわかった。
まいりましたm(_ _)m

筋書には、日テレのドラマ「ブルドクター」の撮影の合間を縫って、日帰りで「信太森葛葉稲荷神社」にも行ってきたレポが掲載されている。

8/30写真追加:グッズ売り場にあった亀治郎の押し隈。「蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)」の時のもののようだ。

後半の「博奕十王」の感想はこちら


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