熱も下がって歌舞伎座で納涼歌舞伎一部二部を観て帰り、そうしたら終戦の日記念ということでTV朝日で「出口のない海」がオンエアということだった。
映画での上映は観ていない。山田洋二監督の脚本というところでちょっと心が動いたのだが、やはり観なかった。今の私は戦争物の映画をお金を払って観たくないという状態にある。
今日はもう決意して観ることにした。CMが入って適当に緊張感をほぐせるからなんとかなるだろうかということで。
「出口のない海」のウィキペディアの項はこちら
やっぱりつらかった、つらかった。我慢して見続けた。
甲子園の優勝投手で明治大学でも野球をやっている主人公に、海老蔵の体育会系のキャラがぴったり。学生仲間もどうせ出征するなら志願をとハヤル仲間もいて、周りの状況にけっこう流されて海軍に志願。海軍での訓練を受ける中で「回天」搭乗員にも志願してしまうというのがいかにも馬鹿~という感じで哀れ。
上野樹里の恋人の美奈子ちゃんも「学徒出陣壮行会」の後に会って、海軍に志願したと言ったら制服が似合いそうとか、一緒に海軍の歌?を歌ったりして、情けない思いでいっぱいになってしまう。時代の中でそういう風潮だからって、あまりにも聡明さがない。そうしておいて列車の出発に間に合った時に「神風特攻隊みたいに危険なことしてない?心配なの」って、あまりにも情けない。
家族も志願をとどめる言葉を発したのは母親だけ。
あまりにも哀れな状況の中で、悲劇へと突き進む。そして最後の最後で彼の得心した死を選ぶわけ。「回天という人間魚雷があったことを歴史に残すために死ぬ」のだという。
潜水艦に搭載された「回天」4機のうち、出撃できたのは1機だけ。主人公の乗った3号機も故障で攻撃中止。基地に戻って「回天」搭乗訓練の事故で海底から浮かび上がれなくなって死を迎える。
観ているだけで気持ちが悪くなってきたが、我慢して最後まで観た。観たくないものも観ていろいろ考えなければいけないと思ったからだ。
戦争先進国のUSAではベトナム戦争で反戦運動が盛り上がったために徴兵制はなくなった。兵器を進化させたので陸上戦を長引かせない戦争ができるようになったという要因もある。その代わりにいろいろなエサをチラつかせて低所得者層で職業軍人による軍隊を組織して、イラク戦争も起こしているわけだ。こうなると仕事で戦争に行くのだから反戦運動が起こりにくい。
USAの軍事戦略の中に組み込まれた日本も徴兵制が敷かれることはあまり現実的でないだろう。しかしながら防衛庁も防衛省に格上げされたようにしっかりと強化されている自衛隊が米軍を補完しようと、反対する世論が大きくなっていかないという時代になってきてしまっている。
これは映画の中の人々と今の日本人と共通しているような気がする。それは為政者がすることへの無関心だ。自民党と民主党の2大政党制ではUSAの共和党と民主党の2大政党制と同様に国民の選択=意思表示の幅が狭すぎる。ドイツも2大政党制だが、まだ社会民主党は資本家側でない政策をもっているし、みどりの党なんていうのも大政党に対しての刺激となっている。日本でもそういう勢力ができないかなぁなんて、そういう思いを抱きつつ、この映画を観た後味の悪さをぬぐうことにしよう。
写真は「出口のない海」のDVD。
劇団四季は名古屋はオケなしなのですね。「ウィキツド」はどうもアメリカのブロードウェイのお気楽作品というイメージがあって、まだ興味が湧いてきません。守備範囲を歌舞伎から文楽まで拡げてしまっていてキャパオーバー状態?(^^ゞ
★あいらぶけろちゃん様
私も学童保育室に自衛隊のおうちのお子さんが入ってきて、お父さんは小学校の体育館で子どもたちに空手も教えてくれてました。自衛隊でも教官をされていたとかで、やはりコワイ感じがして近寄りがたかったんです。自衛隊が憲法違反とずっと思っていると感覚的にも苦手意識が強いのがいけないのかもしれません。「組織は憎んで人は憎まず」でないといけないのでしょうね。「自衛隊協力金」というのはどんな必要があるのでしょうね。税金を使っているだけで十分だと思いますが?!
「自衛隊協力金」(もちろん希望者だけが出すのですが)が回覧板でまわってくる地域に住んでると、おちおち自衛隊に批判的な発言はできにくい微妙~な空気があります。こちらに夫や親の職業を否定されるのも面白くないだろうしというバイアスがかかってしまって(苦笑)
私も都知事の映画は見る気もありませんでしたが、せめて見た人には製作者の意図と違った受け取り方をしてほしいものだと思います。
おとみさんがウィキツドがよろしいという事なので観ます。名古屋に来ても録音なので同じ料金なら東京ですね。
http://www.janjan.jp/culture/0704/0704204118/1.php
「ご意見番」のところで「この記事の記者の感想を読んで、製作者の意図とは違った受け取り方をした人がいたことにほっとする思いです」という意見が投稿されていました。もしかして岸恵子さんは、どうせ企画があるならば自分が演じることで若者たちを死地に追いやった者の姿を浮き彫りにしようとか、逆手にとって参加したのかもしれないって思えてきました。彼女がうかうかと石原慎太郎の手先になるとは思えないのです。それって深読みしすぎでしょうか(^^ゞ
都知事の「君にためにこそ死に行く」とかは問題外です。題から拒否反応、岸恵子が出ているとは、何だか…