ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

08/09/14 九月文楽第一部①「近頃河原の達引」、豊松清十郎襲名口上

2008-09-14 23:37:27 | 観劇

国立劇場小劇場9月文楽公演の第一部は豊松清十郎の襲名公演があるためか、あぜくら会先行予約日初日を忘れていた私は一般枠予約日に一生懸命ネットアクセスしたが、二部をとっていた15日にとることができず、二日連続で通うことになった(^^ゞ
ところが寝不足がたたってか、間に合う時間に家を出たのに地下鉄で行く先を確かめずに飛び乗って座ってうとうとしていいたら下り方向だった。方向音痴も甚だしい。気付くのが遅れて20分以上のロス。その後も大ボケをかまして、30分遅れ。相当落ち込む。

「近頃河原の達引」の四条河原の段の松香大夫はまるまる聞くことができず、次の段の住大夫の与次郎の母親の三味線の稽古場面にようやく滑り込んだ。歌舞伎で「近頃河原の達引」を片岡我當の与次郎で一度観ているのでなんとかなったが、かなり残念。

【近頃河原の達引】堀川猿廻しの段
竹本住大夫、野澤錦糸、ツレ 鶴澤清丈
→切 竹本綱大夫、鶴澤清二郎、ツレ 鶴澤清志郎
与次郎の母:桐竹紋豊、稽古娘おつる:吉田玉翔
猿廻し与次郎:桐竹紋寿、
おしゅん:吉田蓑助、井筒屋伝兵衛:吉田玉女

与次郎の母が近所の娘おつるに心中ものの「鳥辺山」の指南をしているところは歌舞伎よりもたっぷりと聞かせてくれる。おつるで唄うところは若い娘の可愛い声で師匠よりもちょっとヘタに唄うのが可愛い。住大夫の娘声とか子ども声は本当に可愛いし、年をとった親の気持ちの語りの虜になってしまうしで通ってしまっている私だ(^^ゞ
綱大夫・清二郎親子の息の合い方も贔屓になる。切場の猿廻しの場面は人形浄瑠璃ならではの演出に引き込まれた。夫婦姿の猿の人形を黒衣姿の人形遣いが左右の手に直接つけ、夫婦の仲睦まじくしたり喧嘩をしたりする様子を見せる。歌舞伎の操り人形も可愛かったが、文楽の人形の方が動きが過激!ぶち当たっての喧嘩は激しくふてくされるのも極端で笑える。与次郎が止めに入ったり仲直りを促したりとひとつの見せ場として盛り上がり、客席はあちこちから笑い声。
そこから一転、どこまでも二人で落ち延びて命を永らえよと送り出す場面へ。言葉では死ぬなと言いながら、4人は運命を知っている。嫁さん姿の猿がおしゅんの胸にすがりついたままの幕切れ。せつない。

【吉田清之助改め 五世豊松清十郎襲名披露口上】
文楽の襲名披露口上を観るのはこれが初めて。
竹本文字久大夫が口を切り、前列に並んだ竹本住大夫→鶴澤寛治→吉田蓑助→桐竹勘十郎が口上を述べる。
四世豊松清十郎に入門して豊松清之介を名乗り、師匠が亡くなって二世桐竹勘十郎門下へ。さらに吉田蓑助門下となって吉田清之介を名乗っていたとのこと。師匠が亡くなると次の師匠ということでけっこう大変だったんだなぁと合点。師匠の蓑助の口上は短かったがそれでも不自由な口できっと相当練習して望まれたのだろうと推測。勘十郎は師匠の口上を補うように、また清十郎とは子どもの頃からともに修行してきたということでエールを送る口上を述べていた。後列には蓑助の門下の清五郎、清三郎、蓑二郎、勘緑が並んでいた。
歌舞伎と違って本人の口上はないが、師匠や先輩方が襲名披露者の引き立てを願う襲名。
気持ちよく襲名披露公演への楽しみが増して幕となった。
(②の襲名披露狂言「本朝廿四孝」へ続く)

写真は国立劇場前の植え込みに並んだ豊松清十郎名の幟7本(豊松姓の復活も久方ぶりらしい)。秋空の下、風にはためいて7色がきちんと見えるシャッターチャンスをねらうのにはけっこう時間がかかった。幕間と終演後に頑張った成果!