Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

新国立劇場オペラ ワーグナー「さまよえるオランダ人」初日2015.01.18批評(No.2406)

2015-01-18 23:56:05 | 批評

新制作、2回目上演 を遥かに上廻る 飯守泰次郎指揮の「音楽捌き」 と ゼンダ役 = リカルダ・メルベート の圧倒的な歌唱 & 新国立劇場合唱団の突き抜ける音群の素晴らしさ!


  2007年新制作、2012年再演 の(悪評高い)シュテークマン演出の3回目の公演。何が悪評高いか! と問われれば迷わずに直言する。第3幕 の 「オランダ人船乗員の男声合唱」を録音を用いて、PAスピーカから音の潰れた大音量で垂れ流して「音楽を破壊したシュテークマン演出」に新制作時も再演時も聴衆が嫌気が指しているからである。 新制作初日は、当然のごとく、演出家 = シュテークマン に盛大な「ブーイング」が浴びせ掛けられた。

 ・・・ので、今回公演は ワーグナー楽劇ファンの佐伯周子 が聴きに行ってくれるモノと思っていた(「パルジファル」は当然のごとく佐伯周子が聴きに行った)のだが、何故か 私高本が「どうぞ聴いて下さい」とのこと。相当に、不安を持ちながら聴きに行った次第である。



  1. 飯守泰次郎の「指揮捌き」


  2. ヨーロッパから招聘した主要4役が全て素晴らしい歌唱で、特に ゼンダ役 = リカルダ・メルベート は圧倒的な声!


  3. つまり キャスティング = 芸術監督飯守泰次郎 の「目利き」の良さ



である。


 第3幕の『PA三昧シュテークマンバカ演出』は今回も継続されていた。但し、新制作時の「潰れるまで上げた音量」は「潰れない範囲」にしていたのが飯守泰次郎の良心、かと感じた。
  ・・・が、カーテンコール時に、(第2幕までは見違えるほど素晴らしかった)新国立劇場合唱団に 15秒くらい(生暖かい)拍手だけが続いていたのは残念。だが、あの「PA三昧」を聴かされたら、ブラヴォーは遅く、しかも2発のみ、も已む無し。演出が悪過ぎ。付言すれば、指揮者 = 飯守泰次郎 登場時に 4階左から1人だけだが盛大に「ブーイング」が出たのは、新制作 & 再演 を見ていない人が「3幕PA三昧音響 = 指揮者の指示」と勘違いしたからだろう。已む無し><


主要4役 は 過去公演よりはっきり上。さらに指揮者も今回がはっきり上。シュテークマン演出はやっぱダメ><


 「オランダ人」を音で楽しみたい人は、是非是非聴いて欲しい。幸いにも(演出がクソで)チケットは全5回ジャブジャブに余っている。 メルベートのゼンダ と 飯守泰次郎の指揮捌き は絶対に聴きモノ。


附論 : 飯守泰次郎 はオケ配置が『新国立劇場オペラパレス』公演中、最高!


  16型に正規配置の管楽器だった、と思う。(バンダの本数まではワカラン>< )

指揮者正面に木管2管編成、弦楽器は 左から 1stVn, Vc, Va , 2ndVn で Vc の奥にCb, 木管の右がHr, 右端がティンパニ でその左がTp、 右にTb & Tb


 ヴァイオリンの対面配置が主目的では無かった。

木管4部が説得力ある響きで伝わって来る!


 これが最大のメリットである。ワーグナー は ファゴット や オーボエ に 重要な旋律線を委ねることが多い。また、1番、3番、4番ホルンにソロを任せる。これが中央から伸び伸びと聴こえて来るのは(過去と異なり)極めて新鮮。東京交響楽団 の演奏も(3番ホルンが数回ソロでひっくり返ったのを除き)飯守泰次郎の意図通りだった、と感じる。再演演目なので、オケ合わせの時間も予算的に少なかっただろうが、新制作時を遥かに上廻る出来だった。「飯守泰次郎自身の指揮」の演目は相当に期待出来ると感じた次第である。
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