Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

読売日本交響楽団第11回アンサンブルシリーズ2016.09.20批評(No.2493)

2016-09-20 22:37:41 | 批評

「切れ」も「深み」「骨太さ」も併せ持った 「長原幸太ら読響メンバーの室内楽」


  前半に演奏された モーツァルト ディヴェルティメントK.563 は、モーツァルト唯一の弦楽三重奏曲であり、名曲の誉れ高く、ベートーヴェンが作品9の3曲、シューベルトがD471 & D581 の2曲で手本としたと考えられている。ベートーヴェンもシューベルトもモーツァルトK.563 を越えなかったとの評価であり私高本も同感である。だが、これまでナマで聴いて来た演奏で感動したことが無かったのである><


 モーツァルト ディヴェルティメントK.563 は、弦楽重奏曲として 五重奏曲K.516 と 四重奏曲K.575「プロシャ王第1番」 の間に作曲されており、両曲と同じ様式 = (第1)ヴァイオリンが旋律の大半を受け持ち、他の楽器は「リズム刻みと和声進行を支える」パターンである。常設の弦楽四重奏団の演奏で数回聴いているが、どうもしっくり来なかった。

長原幸太 + 鈴木康浩 + 高木慶太 の演奏は、モーツァルト弦楽四重奏曲や弦楽五重奏曲よりも、もっと「外向的」でヴィオラもチェロも強く外に向けて音を放つ


だった。(弦楽四重奏曲に比べて)第2ヴァイオリンが減った分だけ音が薄くなるのではなく、「3名の奏者が外へ向けてアピールする」である。具体的に言えば冒頭楽章8小節目からの「ヴィオラとヴァイオリンの掛け合い」の切れの鋭さ!11節目からのチェロの呼応も含めて、「まさにモーツァルトが楽譜に書いた通り」が(聴感上)実現する。微妙なアーティキュレーションの見事なこと!!!
 第3楽章までも素晴らしいモノだったが、「聴かせどころ = 第4楽章 の変奏曲」のうっとりとする主題の呈示から、3名の技巧のひけらかし、をしながらも音楽の息の長さ、を感じさせる、を主導したのは、(おそらく)チラシやプログラムのタイトル通り、コンサートマスター = 長原幸太 だと思う。
 第1楽章の「息の詰まるせめぎ合い」を聴いた時に、「これで第6楽章まで持つの???」と思った私高本の脳が「猫頭」でした(笑
 持ちました、余裕で。


 後半は、ベートーヴェン交響曲第7番の、初版出版時(勿論ベートーヴェンの生前)に同時出版された(ベートーヴェン容認の)弦楽五重奏曲版である。ベートーヴェン交響曲第7番は人気曲なので、当時常任指揮者=アルブレヒト を始めとして、読響では数多く演奏して来たような気がする。

長原幸太 + 瀧村依里 +柳瀬省太 + 鈴木康浩 + 高木慶太 の演奏は、「交響曲のスケールをそのまま移築したかのような演奏」


であった。「第1オーボエのソロは、ほぼ全て第2ヴァイオリン」などが微笑ましい編曲であり、(もちろん、ベートーヴェン自身の編曲ではないが)同時出版を許可しただけの「良い編曲版」に聞こえた。
 19:30開園のこのシリーズとしては「相当に長いプログラム」なので。「まさかアンコール無いよな!」と「思った聴衆」が多く、(台風の影響か?)本プログラム終了直後の座席を立った人も少なくない公演だったが、何と「ベートーヴェン:交響曲第8番メヌエット」が演奏された。これも素晴らしい!!!


 ここから先は、私高本の(猫頭批評の)願望。

1. このシリーズでは、「指揮者無しのベートーヴェン交響曲第7番」を演奏して欲しい
2. 弦楽四重奏曲近辺演奏するなら、モーツァルト:ピアノ協奏曲第11-14番 や モーツァルト~ベートーヴェン~シューベルト の弦楽四重奏曲 に切り込んで欲しい
3. 今日の演奏は素晴らしかった。これほどの演奏は聴いた経験は無かった><
コメント
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