Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

シューベルト「即興曲集」D899(No.1598)

2008-11-02 19:22:48 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
前号に引き続きを。

展開部の無いソナタ形式 = D899/1


 

D899/1 ≠ 変奏曲


を前号では述べた。ではこの曲はどんな形式で作曲されているのだろうか?
ずばり書いたのが冒頭である。


  1. 呈示部第1主題 : 1~41小節(ハ短調)

  2. 呈示部第2主題 : 42~82小節(変イ長調)

  3. 呈示部コデッタ : 83~87小節(ハ短調)

  4. 再現部第1主題 : 88~124小節(ハ短調)

  5. 再現部第2主題 : 125~160小節(ト短調 → 終結のみト長調)

  6. コーダ : 161~204小節(ハ短調 → ハ長調)


である。
「ソナタ形式」として不規則なポイントは全て「第2主題」にある。

  1. 呈示部で「並行調 = 変ホ長調」を取らず、「3度下の長調 = 変イ長調」

  2. 再現部で「主調 または 同主長調」を取らず、「5度上の短調 = ト短調」


 これは「古典派の常識」が蔓延していた「1827年のウィーン」の人たちは、すっかりシューベルトの策略に嵌められてしまった。出版社 = ハスリンガー までもが。
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