Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

2つの「天国と地獄」6月15日東京オペラプロデュース&11月22日二期会(No.1511)

2007-12-11 19:10:57 | 批評
本日、朝4時51分にコメントを頂いた。「続きを楽しみにしています。」と書かれては、「寒さに体が付いていけない」との言い訳ができないでは無いか!? 4時51分には完全熟睡状態です、毎日。(寒くて04:51 は起きていられない!)
 「天国と地獄」批評の完結編を本日書きます。明日は「ピアニスト:佐伯周子」を掲載予定。「シューベルト一筋」と(私高本が勝手に思っていただけかもしれない)佐伯周子の新たな1面をレポートの予定。

『オペラの本質』を掴めるか? 掴めないか? これが最重要



 二期会「天国と地獄」公演は、歌唱に関しては「高い水準」を維持した公演であった。主役2名だけでなく、例えばハンス・スティックス役 = 羽山晃生 なども「歌は上手かった」のである。
 だが『有機的な面白さ & 感動』は何も無かった。なぜか?

二期会「天国と地獄」公演の問題点



  1. 原台本に従わず、「訳詞台本」に従った(訳詞とは情報量が減るのが原理原則である)

  2. 訳詞の際に「情報量」が激減し、オッフェンバックオリジナルにならなかった

  3. 「他人の作業」を信じるモノは救われない。『全てを自己完結で責任を持つ人』だけが、『作曲家の意図』を再現できる


ということである。当たり前と言えば当たり前なのだが、これが実行できることは少ない。「東京オペラプロデュース公演 オッフェンバック : 天国と地獄」の素晴らしさは、事前の(信じられないほどの「原台本の読み」の)研究が生かされたのだと思う。


 ここで、私高本自身の経験を述べる。勿論「主観の固まり」である。

  1. 訳詞上演の際には「原語と原台本をきちんと調べない」と、日本語の音節の関係で情報量が 1/2 以下になる

  2. 「聴衆の理解」と「作曲家の意図」を天秤に掛けるのは難しいが、できることならば「作曲家の意図」を全て伝えたい


 これが基本である。 なかなか「原語の意図通りの訳詞」は難しい。 『音節と音符』の制約があるからだ。ここが「訳詞上演派」の乗り越え難いポイントのようだ。今回の二期会「天国と地獄」公演で明らかになったことだろう。東京オペラプロデュース公演は『原台本の徹底的な掘り下げ』があったことはここに明記しておく。私高本は、仏語は聞き取れない & 読み切れない でも「英語は時間を掛けて読めば理解できる」程度の頭だからだ。 マンコフスキー指揮盤(EMI)のブックレットを読めば、全てが理解できるだろう。(私高本程度のアタマがあれば、充分である(爆

 私高本としては、これに懲りずに二期会には「天国と地獄」公演を続けて欲しい。また東京オペラプロデュースには「天国と地獄」公演再演を期待する。
 しかし、根源に戻って

二期会は前回「なかにし礼訳詞 &演出」公演 を越えられなかった



ことは残念だ。「なかにし礼演出」は

  1. 現台本尊重では無く「なかにし礼の意図のママ」に改変された台本であった(これが私高本が頭に来た原因であった!)

  2. しかし「演出したい意図」は極めて明確に表出されており、『一貫性』は極めて高かった


ことが挙げられる。逆から見れば

今回二期会「天国と地獄」公演は「一貫性が保たれなかった」


のである。原因の『根源』は不明である。 歌手陣に無いことだけは明言する。 演出なのか? 公演監督なのか? 理事長なのか? 全くわからない。複合した要因の可能性が最も高いだろう。尚、阪哲朗指揮 『強引に阪のテンポにソロでも引き摺り込む』ことがあったことはココで指摘しておきたい。ソリスト陣はそんなに信頼できない出来だったのだろうか? 澤畑? 高橋? 羽山?

 「当初の構想」でオペラは 70% 決まる。団体の大きさは(有利にはなるが)絶対的なモノではない。 明日のオペラはどこがいいか? は(私高本には)わからない。 二期会は「ニュルンベルクのマイスタージンガー」などで素晴らしい公演を聴かせてくれた。 地力はある。次回は(今回の比でない)名演をまた聴かせてくれることを信じている。
 一方の 東京オペラプロデュース は、「歌手の地力」には(対 二期会比 や 対 藤原歌劇団比では)少々欠ける。 しかし、「歌手陣の地力」を超える『松尾洋代表の 透徹した読み』がある。 次回公演「ワーグナー : 妖精」と次々回公演「ビゼー : 美しきパースの娘」が 楽しみでならない。松尾洋代表の手腕には、舌を巻くばかりだ!!!

 最後に「私高本の反省」を明記する。

  1. 「オペラの出来」は訳詞公演とか原語公演だけでは決まらない

  2. いかに『原台本 + スコア』を読むか? がほとんど全てを決める(特に 東京オペラプロデュースの松尾洋代表の今回公演)

  3. オリジナルが良ければ「その通りに上演できれば必ず、聴衆を感動させる」


 気付かせてくれた 東京オペラプロデュース と 二期会 の皆様には、深く深く感謝するばかりである。

 あぁ、今回の4回の連載は言い過ぎた(書き過ぎた?)かも知れない(爆
明日からは「ピアノ」について、静かに語る予定である。(う~ん、随分毛色が違うような気がしてならないではないか!!!)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする