パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

シンデレラ ★★★★

2015年04月30日 | アクション映画ーサ行
古くから人々に親しまれている「シンデレラ」の物語を実写化したラブストーリー。継母と義姉妹から冷遇される日々を送っていた女性が、未来を切り開く姿を追い掛ける。メガホンを取るのは、演技派俳優で『ヘンリー五世』などで監督としても高い評価を得ているケネス・ブラナー。テレビドラマ「ダウントン・アビー」で注目を浴びたリリー・ジェームズがシンデレラにふんし、その脇を『ブルージャスミン』のケイト・ブランシェット、『英国王のスピーチ』のヘレナ・ボナム=カーターといった実力派が固めている。

<感想>時代を超えて語り継がれるおとぎ話の中でも、「シンデレラ」は、不幸な境遇にあった少女が美しく変身して、本当の幸せをつかんでいくという愛の物語。それも、かつてこのおとぎ話は、玉の輿に乗った女性像と言われていたのだが、世界中の女性たちの憧れとなり、自らの力で運命を切り開いていくシンデレラ・ストーリーという言葉まで生み出した。

その一方で、カボチャの馬車やガラスの靴に、シンデレラ城やシンデレラの変身シーンなどの名場面も華麗なる映像で再現していきます。舞踏会の大階段、そこに立つ青いドレスのシンデレラ、えも言われぬ気品溢れる姿に、その鮮烈が目に焼き付きます。
美術を「ヒューゴの不思議な発明」のダンテ・フェレッティーが、衣装を「アビエイター」のサンディー・パウエルがそれぞれ手掛けている。
シンデレラ役を演じるのは、新人のリリー・ジェームズ。長編映画4作目にして、オーディションでこの大役に抜擢されたという。

王子役には「暮れ逢い」(13)のリチャード・マッデンが、シンデレラに残酷な仕打ちをするまま母には「ブルージャスミン」のケイト・ブランシェット。魔法でシンデレラを変身させるフェアリー・ゴッドマザーには、「英国王のスピーチ」のヘレナ・ボナム=カーターが、実力派俳優が共演している。

亡くなった母親からエラに残された言葉は「どんな試練にも負けない秘訣、それは勇気と優しさを持つことよ」という遺言を胸に刻み、優しく勇敢な女性へと成長していく。
父親が再婚し、そのまま母から屋根裏部屋へと追いやられ、エラはまるで使用人のようにこき使われる。エラの味方は屋根裏部屋で一緒に暮らすネズミたちだけ。寒さに耐えきれず、暖炉のそばで眠るのだが、翌朝、顔に灰をつけたまま彼女を、義理の姉たちが灰まみれのエラ=シンデレラと名付けるのだった。

まま母たちの酷い仕打ちに耐えかねて家を飛び出し、馬に乗って森の中へと、そこで出会ったキットという青年と仲良しになる。まさか、その彼が王子様だとは知る由もなく、お互いに心を惹かれていく。

だが、城へ戻ると父である国王に、国の安泰のために息子に政略結婚を進めるのだ。ですが、王子の頭によぎるのは森の中で出会った美しい女性。彼女を探すために、王子は未婚女性を招待して舞踏会を開くことに。この舞踏会の知らせは国中を駆け巡った。

舞踏会の知らせはエラの家にも届いた。お城へ行けばキットに会えるかもしれない。エラは、母親のピンクのドレスを自分で仕立て直すも、まま母はエラが舞踏会へ行くことを禁じ、エラのドレスを引きちぎるのであった。

泣き崩れるシンデレラの前に、みすぼらしい老女が現れ、彼女はミルクをその老女に差し出すと、老女は妖精に姿を変え、老女の正体はフェアリーゴッドマザーだったのです。
呪文の“ビビディ・バビディ・ブー♪”魔法の杖をひとふりすれば、カボチャの馬車に執事のガチョウやネズミの馬にトカゲの御者と、シンデレラの青いドレスにガラスの靴。そして、深夜12時の鐘の音の最後には、魔法がすべて解けることも。魔法使いのヘレナ・ボナム=カーター、出番が少ないのに目立ってましたね。

お城に到着したエラは、森の中であったキットの正体が王子様だったことを知るのだが、二人の美しいダンスに他の招待客たちは、ただただ息をのむばかり。王子が中庭の秘密の園へとエラを連れていき、ブランコに乗せるシーン。

でも、12時の鐘の音が残酷にも二人の夢のような世界を壊してしまう。急いで階段を下りていくエラ、後を追いかける王子のもとには、片方のガラスの靴が階段に残されていた。
国中の女性たちを対象に、ガラスの靴がぴったりと合う女性を探して。しかし、まま母は、屋根裏部屋からガラスの靴の片方を見つけて、その靴を壊してしまう。

この女性は自分の人生をもう一度やり直そうとエラの父親と再婚したのに、彼女の新しい夫が、娘エラに注ぐ深い愛情に、激しく嫉妬してしまい、それからはエラに意地悪の繰り返しで、残酷な女となる。
お城の家来が、国中を探しても靴にぴったりと合う女性が見つからず、城へと帰ろうとすると、屋根裏部屋から美しい歌声が聞こえて、まだもう一人女性がいると。

しかし、ここでエラは自分には持参金も何も無い。あるのは勇気と優しい心だけ、でも“ありのままの自分を”さらけだしてと、化粧もないすっぴんの顔で王子の前に姿を現します。
子供のころから誰でも知っている「シンデレラ」。その魔法の魅力は、カボチャやネズミが馬車や御者に生まれ変わり、シンデレラの目の醒めるように美しいドレスとガラスの靴、その魔法のシーンに一番強烈な印象を受けました。

物語には、それは多くの痛みや希望や様々な感情が込められていて、昔感じた絵本の中の思い描いていた魔法に加えて、一段と現代的に美しい映像美に見惚れてしまいました。
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王妃の館 ★★★.5

2015年04月28日 | アクション映画ーア行
直木賞作家・浅田次郎の長編小説を、テレビドラマ「相棒」シリーズなどの橋本一監督が映画化した笑いと涙あふれる人間ドラマ。「王妃の館」と呼ばれるパリでも屈指の伝統と格式を誇る超高級ホテルの知名度を利用して、倒産しそうな旅行会社が企画したパリ旅行に参加したツアー客たちが繰り広げる騒動を描く。それぞれに問題を抱える一筋縄ではいかないツアー参加者の中でもとりわけ個性の強い作家・北白川右京を、『相棒』シリーズの杉下右京役でおなじみの水谷豊が演じる。

<感想>浅田次郎原作の映画化である本作は、日本から花の都パリに出かけた2組のツアー客たちが繰り広げるシチュエーションコメディである。倒産寸前の旅行会社が主催したのは、ルイ王朝時代から続く最高にゴージャスな歴史的ホテル「シャトー・ドゥ・ラレーヌ」に、日本から2組のツアーが訪れる。
ひと組は、売れっ子小説家・北白川右京が参加する、セレブのみ参加できる御一人様の代金200万円の超豪華ツアー。そして、もうひと組は、29万8000円の超格安ツアーだった。
ワケありツアー客の10人と、一人の天才作家。これは、倒産寸前の日本の旅行会社が企んだ、まさかの「ツアー二重売り」ホテルまでがグルになって、巧みに滞在、観光時間をずらすことで、おなじ部屋を共有するという、とんでもない代物だったのです。

観客は、それぞれに問題を抱える2組のツアー客10人と、ひとりのセレブな小説家が繰り広げるスリリングな駆け引きにドキドキしながら、同時に、天才ゆえの気まぐれと自由奔放さで、作家が生み出すルイ王朝時代の物語の世界をスクリーンで目撃するのであります。
圧巻だったのは、ヴェルサイユ宮殿での撮影でしょうか、なんと1日貸切で、朝イチで宮殿いりしたキャストにスタッフたちのテンションは上がりっぱなし状態だったそうです。
撮影セッティング中、通常だと歩くのもままならないほど観光客で込み合った宮殿内を、悠悠と歩き回るキャストの姿があちらこちらに、右京さんに至っては、早い段階からすっかり宮殿の一部になったように溶け込んで、「ここに住んでいるような気がして来た」なんて言う水谷さん。
それに、本人はいたって真面目なのに、おかっぱ頭で前髪にメッシュが入った知的な大人の雰囲気。そして、ブルーのジャケットにベスト、鮮やかなカラータイツ姿に半ズボンという姿と、たたずまいだけで笑いを誘う主人公の右京さん。その他にも、女性のスーツのようなビビットな花柄の上着にシャツの取り合わせとか、着替えが何回もするんですから。でも、お似合いでした。
ホテルの部屋では、ゲロゲロとリアルなカエルの鳴きマネを披露するシーンがあるが、大のカエルフリークという設定で、机の上にカエルの置物があり、愛用の万年筆からペーパーウェイトまで、全て可愛らしいカエルたちが並んでいる。小説のアイデアが湧くと、コップの水を一気飲みする癖がある。だからというわけでもないが、部屋の絵画を取り払い、そこへ持参してきた滝の絵が描いてある掛け軸をかけて、水の繋がりがあるというふうに。それに、大の甘党で、スイーツが毎回出てくるのが美味しそうです。

谷豊さん演じる右京さんを筆頭に、絵に描いたような成金カップルで、派手派手な目の覚めるような全身真っ赤なコートに、良く見るとパンツには金の龍の刺繍が踊るという緒形直人、そんな貫一に負けず劣らず派手な服装での、恋人のミチルには安達祐美が、とはいえレトロな60年代ふうのファッションのような感じがした。それに、失恋旅行OLの吹石一恵さんたちが200万円コースでリッチなツアーの羨ましいことといったらない。
それでも、29万8000円の超格安ツアーコースには、堅物警察官(青木崇高)とショーパブの女装家、クレヨンの中村倫也、流暢なフランス語を話す謎の老紳士に石橋蓮司。右京さんを追って、出版社の社員2名などなど、ひと癖もふた癖もある面々が登場。もちろん、たっぷり笑った後には、泣けて心も温まるという嬉しい展開が待っている。

舞台やミュージカルが好きだと言う観客にも、のめり込める要素が本作には詰まっているんですから。パリを訪れたツアー客の姿が描かれつつも、並行して、右京の描く小説の世界、17世紀の世界なんです。右京が妄想して小説を書くシーンと、現代がドラマチックなリンクをするという。

右京が執筆している中世フランスを舞台にした物語=ルイ14世と、離れて暮らすことになった愛する女性と、息子との壮大な絆の物語が描かれているのだ。こちらのパートはまさに「レ・ミゼラブル」のような映画の世界。安田成美、石丸幹二、山田瑠璃の舞台経験者が顔を揃えて、舞台やミュージカル好きにはたまらない華やかさたっぷりの、堂々たる演技を披露している。ちょっと褒めすぎかも。
主人公たちが優雅に朝食を食べるのが、このセーヌ川でのクルーズ。水谷と田中麗奈のフランス語の長ゼリフにも注目あれ。そして、マルシェ・ベルネゾン。曲がりくねった裏路地が雰囲気たっぷりな伝統あふれるのみの市。本作は“裏パリ”の魅力もしっかりと堪能できます。
ルーブル美術館では、ダ・ビンチの「モナ・リザ」やミロのヴィーナスが所蔵される全世界憧れの美術館。来場者は年間800万人だというから凄い。

登場人物の全員が集合するシーンの「ベルサイユ宮殿」。煌びやかな鏡だらけの回廊とシャンデリアのまばゆいばかりの光。普段なら絶対に会ってはならない両ツアーたちが、一堂に会する貴重なシーン。上の写真は、私が10年前にフランス旅行してヴェルサイユ宮殿で撮影したものです。

彼らは鉢合わせを防ぐために、ストレスで常に腹を下し続けながら顔面蒼白状態の添乗員の戸川。彼のハイテンションな芝居に、笑いが起きるどころか引いてしまった。そして、右京の自由すぎる行動にヤキモキする旅行会社の女社長である田中麗奈も、コミカルな芝居で魅せている。実は、この旅行会社の女社長と格安ツアーの添乗員の男とは、夫婦で会社の倒産を防ぐために、ダブルブッキングをしてまでツアーを強行してしまったという話。
編集者の二人のドタバタ芝居や、女装家のクレヨンと警察官の青木たちもドタバタと演技する。というか、この映画は右京さん演じる水谷豊さんの映画ですね。「ル・パビヨン・ドゥ・ラ・レーヌ」映画のメイン舞台“王妃の館”として登場するのがこのホテル。浅田次郎は実際に宿泊して原作を書いたそうです。
原作を読んでないので、これから読もうと思っています。
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寄生獣 完結編 ★★★★

2015年04月27日 | アクション映画ーカ行
岩明均のコミックを2部作形式で実写化した、SFサスペンスの後編。右手に寄生生物ミギーを宿した少年・新一と人類を食糧とするほかのパラサイトたち、彼らの全滅を図る特殊部隊が入り乱れる、壮絶なバトルが展開。監督に山崎貴、キャストに染谷将太、深津絵里、橋本愛、北村一輝、國村隼、浅野忠信ら前作のメンバーが結集した。地球での生存を懸けた人類とパラサイトの激闘の行方に加え、新一とミギーの友情をめぐるドラマも見どころ。
あらすじ:新一(染谷将太)の暮らす東福山市で、市長・広川(北村一輝)が率いるパラサイトたちの強大なネットワークが形成されていく。彼らの動向を注視していた人類側は、パラサイトの全滅を図るべく特殊部隊を編成して広川と配下たちの根城となっている東福山市庁舎の急襲を画策していた。静かに対決の時が迫る中、パラサイトの田宮良子(深津絵里)は人間の子供を生んだのを機に人類と共存する道を探る。新一とミギーがその鍵になると考えるが、彼は母親を殺したパラサイトへの憎しみと怒りに支配されていた。
<感想>前編で、パラサイトが海から飛来して、荷物などに紛れてしっかりと人間社会に浸透していった。寄生された人々が人間を食べる場面を描くシーンには、本当にグロいシーンでこれはSFものホラー映画だと感じました。ですが、深津絵里さん演じる田宮先生と東出昌大さんの、思考する寄生獣の説得力ある演技で、それに、寄生獣たちが集まる場所が、有名な安藤忠雄さんによる建築物にしたことが、寄生獣の映画の世界観を作り上げている感じがしました。

後半では、田宮先生の生物の種としての、母親という存在を追求していく話になっています。頭がパックリと割れる寄生獣は、「遊星からの物体X」と良く似ていて、新一のミギーは、悪の寄生獣ではなく正義の味方のような寄生獣。

無表情の田宮先生の寄生獣は、赤ん坊をジャーナリストの大森に奪われて、動物園で赤ん坊を殺されると思った田宮は、母性愛に目覚め生んだ我が子が愛おしくなり、「いないないばぁ~」とあやすと笑う我が子に自分も笑ってしまう田宮。大森を倒して赤ん坊を奪い警察と闘いながらも我が子を庇う。新一に赤ん坊を預けて、最後は警察と闘うのだ。やっぱり印象に残ったのは、刑事の國村隼さんの最後でした。

無表情のもうひとりは市役所の広川市長、北村一輝の濃い演技や寄生獣の親分と思われる後藤の浅野忠信さんの迫力ある演技。やはり、後藤に扮する浅野さんと新一&ミギーの対決がハイライトでしょうか。

ミギーの指図どうりに動く新一だが、とても自分にかなう相手ではないと知り、そこから逃げてゴミ捨て場へと。何だか「ブレードランナー」を意識しているような、最後がゴミ捨て場なんですが、そこの焼却炉が煉獄のような感じがしてならなかった。
圧倒的に強い存在の後藤と、か弱い人間の新一が追い詰められていく。しかし、放射能を浴びた鉄棒を体に刺す新一。そんな棒なんてへいちゃらだとばかりの後藤だったが、寄生獣の体の細胞が、放射能に汚染された鉄棒で溶けてしまうのだ。そんなに簡単に寄生獣が、放射能の恐怖を感じましたが、その棒に触った新一も汚染されているってことか。

ですが、その戦いで新一は、人類の業を二重にも三重にも背負ってしまう。それでも生きていたいと、愛する里美を電話で呼ぶ。そこの納屋みたいなところでの、このラブシーンはいらなかったのでは、キスシーンだけで良かったのにね。白けてしまった。
それに、里美が人間の変態男、浦上に拉致されて殺されそうになるシーンでは、なんでこんな男を警察は野放しにしておくのかとイライラし、その浦上に里美がビルの屋上から落とされるのだが、なんとミギーが助けてくれたりして。
確かにミギーが言っていた「悪魔に一番近いのは人間だと」言うことを。
もう助からないと思っていたので、このハッピーエンドな終わり方は好きです。でも、浦上はその後どうした、またもや女を強姦して殺すのでは。それに、他の寄生獣たちは、どうしたのか?・・・全滅させたのか?・・・気掛かりです。
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龍三と七人の子分たち ★★★.5

2015年04月26日 | アクション映画ーラ行
数多くの個性的な作品を世に送り出してきた北野武監督が、ユニークかつ異色の設定で放つコメディータッチのドラマ。オレオレ詐欺の被害者となって憤慨する元ヤクザの組長が子分を引き連れ、孫のような若さの首謀者たちを成敗していく。藤竜也、近藤正臣、中尾彬らベテランや実力派俳優たちが世直しに息巻く血気盛んなヤクザを快演する。高齢化社会や詐欺犯罪といった社会問題を巧みに盛り込んだストーリーに加え、バスの暴走などハードなアクションも見もの。

<感想>主要キャスト陣は平均年齢72歳の“ジジイたち”というけれど、ベテランの俳優陣たち。金なし、先なし、怖いモノ無し! という元ヤクザの老人たちが、弱者を食いものにする悪徳詐欺集団を相手に抱腹絶倒の大立ち回りを繰り広げるのだ。

かつては“鬼の龍三”と鳴らしながらも、今じゃすっかり息子家族から煙たがられている70歳の元ヤクザ組長・龍三が、「会社の500万円をなくした!」と息子を語って掛けてきた電話を取ったことから始まる。まんまと“オレオレ詐欺”の口車に乗せられてしまい、家中から金目の物、鰐皮のベルトに昔のヤクザの組のバッジとかを、かき集めて待ち合わせ公園へ駆けつけるが、そこへ兄弟分のマサもたまたま通りがかり、金が都合つかなくて「俺の指をつめるから」といきなり短刀で指を切る仕草をする。それを見て、オレオレ詐欺の若者はビビって一目散に逃げ帰ってしまう。
本作で藤竜也が演じたのは、以前は誰もが畏れた元やくざの親分・龍三。引退した現在は大企業(食品業界)で働く息子家族の家に肩身の狭い思いで身を寄せながら、世知辛い世の中を嘆いているというキャラクター。これまで凶悪犯や用心棒などの悪役を演じることの多かった彼にとっては久々のアウトロー役となり、今なお衰えぬいぶし銀の男の色気を醸し出している。

近藤正臣が扮するのは、体を張って龍三の命を救ったこともある龍三の兄弟分“若頭のマサ”。生活保護を受けながらひとりで団地に住んでおり、丁半博打が大好きで何かと賭けたがるのが特徴だ。この二人が漫才よろしく、蕎麦屋で入ってくる客が注文する蕎麦とうどんで賭けをするのだ。負けてばかりの龍三が、最後の賭けの客がかつ丼を注文したのに腹を立てて、ドスを抜いての立ち回りに怖いどころか笑いが込み上げた。ですが、こんな客は迷惑ですよね。
「義理も人情もあったもんじゃねえな!」とタンカを切る龍三は、かつての仲間に会いに行こうとすると、商店街で不良に絡まれるモキチ(中尾彬)に遭遇。その場を取りなしたのが、昔なじみの刑事・村上(北野武)の話から、暴走族上がりのワルが集まるサギ集団“京浜連合”の存在を知る。こいつら“オレオレ詐欺”の他にも“浄水器に羽毛布団”の詐欺もしていた。
「若いヤツらに勝手な真似はさせられねぇ!」と、年賀状などから昔の仲間に招集を掛ける。中には老人ホームに入っている人も、それに恩師が100歳で登場とは。

そして、龍三をはじめとする“ジジイ”たち7人の子分が集まった。丁半博打が大好きな「若頭のマサ」(近藤正臣)、寸借詐欺で生活する「はばかりのモキチ」(中尾彬)、肌身離さず拳銃を持ち歩く「早撃ちのマック」(品川徹)、仕込みステッキが武器の「ステッキのイチゾウ」(樋浦勉)、心臓病を患う「五寸釘のヒデ」(伊藤幸純)、老化で自分の髭剃りもままならない「カミソリのタカ」(吉澤健)、軍服をまとう右翼まがいの「神風のヤス」(小野寺昭)と、元ヤクザたちが集まってくる。だが、平均年齢は72歳、手がプルプルと震え、足元もおぼつかない者も……。すっかり時代遅れとなった龍三と7人の“ジジイ”の大集合となったのだ。

それぞれが個性があっていい。龍三の息子の食品会社で食品偽造問題で、デモをしている住民たちのもめごとを引き受けますとばかりに、会社の上司と掛け合い200万円を巻き上げる龍三たち。その金は、すべて競馬に使ってしまいすっからかん。笑ったのが、最後の賭けで大穴の5-5に10万円賭けようと、モキチに言うも、龍三の指が片手が小指と薬指が欠損していて3本に。両手を広げても5-3に見える。モキチが間違ったわけではない。龍三が指をつめてヤクザの仁義を果たした証の欠損した2本の指。笑えるこれは。

紅一点のキャバクラのママ役の萬田久子、龍三に昔惚れていたといい部屋へ連れて行き、背中の龍の刺青を見せてと、そこへパトロンの京浜連合の西が来る。慌てて風呂場へ、裸なのでママのピンクの服を着て、シャンプーハットを被って外へ出ると、オカマ連中に新顔は引っ込んでなと叱られる始末。藤竜也のこんな姿は初めてかもしれない。
特にモキチ役の中尾彬が絶品でした。中尾彬が今作で演じているのは、孫娘に面倒をみてもらいながら寸借詐欺で生活する“はばかりのモキチ”。北野武監督作への出演は、「アキレスと亀」「アウトレイジ ビヨンド」に続いて3度目となるだけに、堂に入った演技を披露している。

孫娘が誘拐されると聞いて、独りで京浜連合の事務所に殴り込みをする。中華店の“一龍店”のおかもち下げて、トイレに入るも現在のトイレは水洗で洋式タイプ。隠れる場所がないのでおろおろ、それに入ったトイレが女子トイレで大騒ぎに。ドスを持ち事務所へ殴り込みに入るも、反対に返り討ちに遭いボスの西に金属バットで頭を殴られて死亡。

マサの部屋で、モキチの弔い合戦をしようではないかと、ジジイたちは奮起を起こして、京浜連合の事務所に殴り込みをかけるのだが、相手はのらりくらりと逃げてしまう。この時も、モキチの白装束の遺体を車いすに乗せて、事務所に行き、拳銃を発砲する相手にモキチを盾にして弾丸を避けるとは。これは、ちょっと笑えなかったぞ。

京浜連合のやつらを追いかけるジジイたち。バスジャックをして彼らのベンツを追いかけるのだが、裏どうりの細い道を追いかける彼ら。商店街はメチャクチャになる。そして、バスと京浜連合の車が正面喪突だ。もちろん警察も来る。

みんな逮捕されます。刑事役の北野武監督の動に行ったもので、一見落着ということ。マサの捨て台詞がいい、ムショから出たら、今度は俺が親分をやると意気込む。だが、「その時分にはみんなあの世へ行っている」と龍三が言う。お疲れさまでした。
とにかく、全編に渡って抱腹絶倒の笑いがあり、若い人には少し“寒い笑い”もあったでしょうが、ジジイ、ジジイと連発する若者たち。ババァ、ババァ、と邪魔にされないよう奥に引っ込んでましょうかね。そういう、あんたたちもいずれは年をとるのだから。
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海にかかる霧 ★★★★

2015年04月24日 | アクション映画ーア行
『殺人の追憶』の脚本を担当したシム・ソンボが初監督を務め、韓国の人気男性グループJYJのパク・ユチョンらが出演を果たしたサスペンス。2001年に発生した「テチャン号事件」を基にした舞台「海霧(ヘム)」を映画化し、中国人密航に端を発するドラマを描写する。脚本と製作を務めるのは、『母なる証明』『スノーピアサー』などのポン・ジュノ。荒々しい海上で船の上に取り残された人々を襲う予想外の事態に言葉を失う。

<感想>霧に包まれた海上で起きた悲劇と、それに直面した船員たちの過酷な運命を描いたサスペンスである。麗水の港を拠点にアンコウの網漁を営むカン船長のキム・ユンソクの貫録に痺れます。その船長に服従的な甲板長のホヨンを演じるキム・サンホ、心優しい機関長のワノのムン・ソングンら個性豊かな面々の中に、純朴な青年のドンシクを演じるのは、JYJのパク・ユチョンで、一番下っ端の見習い乗組員である。
くせもの俳優揃いの濃厚なる力作。80年代までの日本映画を彷彿とさせる熱い切なさと狂気。ロケセットの丁寧な造作などなどに圧倒させられます。
だが、不況に加え不漁が続き、彼らの生活は破綻寸前。腹をくくった船長のカンは、中国人密航の違法な仕事を請け合う。
ご注意下さい:ここからがネタ晴らしとなっています。

嵐の夜、海上にいる中国船から数十人の密航者が引き渡される。その中のホンメ、唯一のヒロインであるハン・イェリに、心惹かれるドンシク。

寒い中、中国船からチョンジン号へ移るさいに、恐怖のあまりに海へ落ちてしまい、ドンシクが海へ飛び込んで助け上げたのだ。それでも、甲板の上で、カップラーメンを振る舞うチョンジン号の船員たち。
温かいお湯のカップラーメンをすする密航者たち。30人はいると思った。女性は若い女のホンメと中年の女の2人だけ。

翌朝のこと、監視船が近づいてきたため、密航者全員を魚艙(魚を冷凍しておく貯蔵庫)に押し込めた乗組員たち。監視員が舟を調べるも、船長が酒と賄賂を渡して追っ払うのだが、その時、船の魚艙から叩く物音が聞こえた。

やがて、監視員も去り、魚艙を開けると、密航者のみんなは息絶えていたのである。冷凍の有毒ガスが漏れ出して窒息してしまったのだ。
乗組員たちは、カン船長の指図で、証拠を消すために死体を切り刻み海へと投げ捨てる。その余りの残酷さに機関長のワノが、亡くなった密航者の霊に話かけて弔うような、ブツブツと言いながら燃やした財布の中から写真とかを出しては涙を流す。

それを見たカン船長は、自分がやってしまったことの口封じとして機関長の頭を殴り殺してしまい、海へ投げ捨てたのである。そのことを、機関室の中で見ていたドンシクが、船長に殴りかかるも唯一生き残ったホンメのことが見つかってしまう。

他の乗組員たちも大騒ぎになり、ホンメを自分の女にしようと喧嘩が始まる。彼女を守ろうとするドンシクなのだが、狂気に支配された乗組員たちが襲い掛かってくるのだ。それに、海は深い霧に覆われて、回りが全然見えない。
大型のタンカーらしき舟が微かに見えるも、その船が衝突したのか大きく船は揺れて、機関室に穴が開いたのか海水が機関室まで入り込んでくる。それに、甲板にも海水が押し寄せて、乗組員たちは全員海へ投げ出されてしまう。

カン船長の鬼のような形相に驚き、ホンメとドンシクは手を繋いで海へ飛び込み助かる。船長は舟を守りたいのだ、だから錨を舟から落とそうと自分の足がロープに絡まって錨と一緒に海へと落ちてゆく。
内容が、密航者の大量死という凄惨な出来事を前にして、なお主人公のドンシクを演じたパク・ユチョンが無垢でいられたとすれば、彼を演じたのがアイドルだからだと思われてならない。少女の救出という英雄譚に回収することでしか幕を閉じられなかったのは、この作品の限界かもしれません。ヒットメーカーが商業映画を意識しすぎた、ラストシークエンスは蛇足ですよね。

作者が、実話であるこの事件に真正面から向き合っていないのが残念。ですが、洋上を舞台にした、骨太な密室劇に仕立てている濃霧の見事な表現と、船長のキム・ユンソクの強固なまでの存在感で、結末まで見せ切っているのもいい。これほど徹底した過激な描写はなく、韓国映画ならではの仕上がりになっていると思います。
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妻への家路 ★★★★

2015年04月23日 | た行の映画
『紅いコーリャン』『秋菊(しゅうぎく)の物語』などのチャン・イーモウ監督とコン・リーが再びタッグを組み、文化大革命後の中国を舞台に夫婦の切ない愛を描くドラマ。20年ぶりに解放された夫が、夫を待ちすぎて記憶障害となった妻に自分を思い出してもらおうと奮闘する様子を映す。ひたすら夫を待つ妻をコン・リーが、妻に寄り添う夫を『HERO』『インファナル・アフェアIII 終極無間』などのチェン・ダオミンが演じる。いちずな夫婦の姿が感動的。
あらすじ:1977年の中国。文化大革命が終結し、20年ぶりに自由の身となったルー・イエンシー(チェン・ダオミン)。ところが自宅に戻ると、妻のフォン・ワンイー(コン・リー)は夫を長年待ち続けた疲れが原因で記憶障害となり、イエンシーを他人だと認識してしまう。イエンシーは向かいの家で生活を始め、収容所で書き続けてきたワンイーへの膨大な量の手紙を読み、駅に夫を迎えに行くワンイーにも付き添い……。

<感想>長い時を超えて出会った男女の愛の行方。文化大革命によって引き裂かれた夫婦の深かまる愛の物語り。1950年代の中国で共産党に逆らう右派分子として捕られていた知識階級の夫(大学教授)が、文化大革命が終結した1977年に解放されるのだが、妻にとっては20年間も待ち続けた最愛の夫。

感動の再会であるはずなのだが、長年の緊張と苦労が強いられた妻は、心因性記憶障害を発症していて、夫の顔を認識できなくなってしまっていた。

誰がどう説明しても、目の前に現れた男を夫だとは認めない。夫婦の一人娘も、3歳の時に別れ記憶にもない父親のせいで、所属していた舞踊学校の舞台の主役を降ろされてしまった恨みもあり、一度、強制労働所から脱走までして帰ってきた父親を密告したことで、駅の陸橋で妻は、夫が捕まり労働所へ戻されるのを見つける。

のことで、母親との関係にしこりを残したまま、娘は舞踊学校を辞めて紡績工場の寮に住み込んでいる。
何の罪もない一人の男が、時代に翻弄された悲劇なのだが、その傷跡はあまりにも深く家族に影を落としている。病院と老人ホームで実際に生活をして研究したという、コン・リー演じる妻の演技にはとにかく圧倒されます。

上手に年齢を重ねた演技派の女優になってましたね。毎月の5日には、手製のプラカードを持って、何年も駅に夫を迎えに行く規則正しい切実さ。鏡の前で身支度をする姿には白髪が見え始めても、可愛らしい乙女のままである。

しかし、永遠に夫と再会することはないのだ。何故なら夫は、ずっと迎えの家で彼女を見守り続けているのだから。知人の「方さん」夫がいない間に共産党員の男が、妻にいいよって悪さをしたらしいのだ。その「方さん」と間違えたり、夫の手紙を読む親切な近所の人、荷物を運んでくれる隣人として存在しているのです。
その夫を演じるチェン・ダオミンの深い愛の演技には胸を打たれました。妻の記憶を取り戻そうと、アルバムの写真を見ても、自分の写真は全部切り取られている。それは、娘の丹丹が自分がバレエで主役になれないのは、全部父親のせいだと思い込み、アルバムから父親の写真を抹消してしまう。自分には父親はいないと、そのことで母親と喧嘩をしてしまい、気まずくなって疎遠になる。

それに、思いでの古いピアノを調律して、弾くシーンではもしかしてこのピアノの旋律で妻は思い出してくれるに違いないと。そして、手紙を通してのみ、思いが妻に届くと気づいてからは、夫は手紙を書きはじめ木箱に入れて、さも今届いたように妻に運んで来る。
その手紙の多いことといったら、中でも夫の解放通知を読むと涙を流して喜び、翌朝には駅へ夫を迎えに行くのだ。夫婦の長かった別離の期間が走馬灯のように過ぎり、二人は再び出会うことが出来たのだと思わせる確かな感動がありました。
これは以前観た、「君に読む物語」(05)の中の、老人ホームで老人デュークが、アルツハイマーの老女アリーに本を読み聞かせている。それは、40年代にさかのぼる令嬢アリーと貧しい青年ノアの身分違いの恋の物語。ライアン・ゴスリング&レイチェル・マッカダムズのフレッシュな演技は必見ですから。
その他にもありましたね、妻がアルツハイマーになり、そんな妻に夫が恋人としてまたプロポーズする物語も。
それにしても、病気の妻を甲斐甲斐しく見守り続ける究極の愛に、本当に感動しました。永遠の愛はあるんだなと、思わせてくれる素敵な映画でした。
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女神は二度微笑む ★★★

2015年04月22日 | ま行の映画
インドで消息不明となった夫を捜す女性をヒロインに、失踪(しっそう)と地下鉄テロの二つの事件にまつわる壮大な謎を、多彩な伏線を張り巡らせて描いたサスペンス。イギリスで暮らすインド人女性が、インドへ行ったまま連絡が途絶えた夫を見つけるべく、妊娠中の身でありながら壮絶な捜索劇を繰り広げる。主演は、ボリウッドを中心に活躍しているヴィディヤ・バラン。監督は『アラジン 不思議なランプと魔人リングマスター』のスジョイ・ゴーシュ。謎が謎を呼ぶストーリーと衝撃の展開に驚かされる。
あらすじ:イギリス・ロンドンに暮らすヴィディヤ(ヴィディヤ・バラン)は、インドへ行ったまま行方不明となった夫のアルナブを捜すためにコルカタにやって来る。しかし、宿泊先や勤務先にアルナブがいた痕跡はなく、やがてアルナブに非常によく似た男が国家情報局に追われていることが判明。ヴィディヤは危険を冒してでも、アルナブの行方を捜そうとするが……。

<感想>最近のインド映画は、歌や踊りのないサスペンスもので、ヒロインが臨月の超タフな美人ときた。好き嫌いは別として、最後のどんでん返しにいたるまでの話を、過剰に詰め込み、民族色豊かなお祭りでクライマックスを飾り立てるのだ。

そして、舞台となるコルカタよりもカルカッタ、ムンバイよりボンベイの方が、未だに何だかエキゾチックな親しみがあるインドの地名呼称変更である。コルカタの猥雑な路地にサスペンスの網を張りめぐらせ、IT関係と祭礼が主人公のアイデンティティを、何重にも宙ズリにする作劇になっている。
ですが、日本でもあった地下鉄サリン事件のような、コルカタの地下鉄でも同じようなテロによる無差別に一般市民を巻き添えにするのはどうかと思う。赤ん坊を抱いた母親らしき女が、途中の駅で降りる時に鞄を忘れていく。中には、哺乳瓶にミルクが入っており、そのミルクが床に落ちて破裂して、サリンと同じ効力を発揮するのだ。

いやはや、むせかえるような群衆の表現に舌を巻いた。舞台のコルカタも一般道路ではなく、路地裏という未知な場所をよく撮影していて、これもサービス満点ですが、ややカットが速すぎて、じっくり観たいと思う観客にはちと欲求不満な感じがした。
もはや踊らないのではなく、ポリウッドの伝統とは画した地点で、撮られているようにすら見えるわけで、グローバルな人口流動が真に21世紀的な映画を生んでいると思った。これからのアジア映画はこの方角へと向かうのではなかろうか。

配役のヒロインのヴィディヤ・バランをはじめとし、殺し屋のメガネデブ、頭の上がハゲの保険調査員に、新人警官のラナの優しさもいい。臨月まじかのヒロインが探偵まがいの頭の良さで、奔走するシーンにハラハラさせられ、クライマックスのラストシーン、ヒンドゥの「戦いの女神」ドゥルガーを乗せた山車と、それを取り巻く赤白のサリーの女性の群れ。上手く逃げ延びるすべを知っているのだ。

途中で、どうして臨月まじかの女性が、夫を探しにこんな危ないことをするのか、と思ったのだが、ラストの種明かしになるほどと納得がいく。
後半の怒涛の展開がやってくるまでの長い時間に、薄々感じていたある伏線が、「やっぱり」という結論」に結びつくのが残念なきがした。しかし、ハリウッドリメイク決定なのも頷ける作品。いやはや、見応えがありました。
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マジック・イン・ムーンライト ★★★.5

2015年04月20日 | アクション映画ーマ行
1920年代の南フランスを舞台に、不思議な能力を持つ女性占い師と、そのトリックを暴こうとするマジシャンの恋の駆け引きを描いたロマンチックコメディー。『ミッドナイト・イン・パリ』など数々の名作を手掛けてきた名匠ウディ・アレンがメガホンを取り、対照的な男女の恋模様を、ウイットに富んだ軽妙な語り口でつづる。 主演は、オスカー俳優コリン・ファースと『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などのエマ・ストーン。
あらすじ:1928年、魔法や超能力など信じない皮肉屋のイギリス人マジシャン、スタンリー(コリン・ファース)は、ある大富豪をとりこにしているアメリカ人占い師の正体を暴いてほしいと頼まれる。南フランスの富豪宅を訪ねるも占い師ソフィー(エマ・ストーン)が発揮する驚異的な透視能力にただただ驚かされ、それまでの人生観を覆される羽目に。その上、かれんな容姿で明るく活発な彼女に魅了されてしまい……。

<感想>今年80歳を迎える名匠ウディ・アレン監督の最新作は、南仏が舞台のロマンチック・コメディ。40年以上に渡り、ほぼ年に1本のペースで新作を発表しているコンスタントな仕事ぶりには驚かされます。出来不出来に多少のバラつきはあっても、大きなハズレがない。

今回もぐっと若返って舞台も華やかな南フランス、コート・ダジュールで一つのロマンスが繰り広げられていく。その上、アレンが素朴なインスピレーションを発揮する、20世紀前半を背景にした時代もの。場所も、時代も、現実の呪縛から解き放たれた身軽さで、さらには恋に身悶える主人公のスタンリー(コリン・ファース)を、異国の美男俳優に任せて、みずみずしくロマンスを綴り上げるのです。
アレン監督は子供のころから手品が大好きで、研究を重ねて家族や友人に披露していたという。その興味は大人になっても失われることなく、彼のこれまでの作品の中にも、マジシャンが登場していたり、「タロットカード殺人事件」(06)では、アレン監督自身が三流のマジシャンをコミカルに演じている。

まぁ、それでもマジシャン地震を主人公にした映画を今までは作ってないので、今回のコリン・ファースが演じるスタンリーは、物事の不思議にはすべてトリックが潜むと信じているわけで、皮肉屋のスタンリーは、ここ最近のアレン映画のキャラクターとしては珍しいほど、アレン監督自身のようにも思われるのだ。観客をいかに完璧にイリュージョンの世界へと導くか、知恵と技を駆使する点では、映画監督とマジシャンはよく似ていると思う。

素直になれない二人の関係に変化が訪れます。ソフィに恋したスタンリーが、見る見るうちに明るくなっていったように、きっとマジシャンという人種は人一倍夢見る心地よさを欲しているからこそ、トリックを使ってまで夢を生み出そうとするのだろう。

ラストで、スタンリーがソフィにプロポーズをする場面で、やっと友人が種明かしをするのですが、観客でさえあのソフィの交霊会の裏にトリックがあると見破っていたのに、まるで彼女の超能力を信じるかのように、自分の家族や身内の秘密をソフィに次々と言い当てられ、スタンリーがウェイ・リン・スーだと見破られ、彼女の力を信じはじめる。

ソフィは、大富豪の御曹司からプロポーズをされ、それを受けてしまうソフィ。それに、腹の内を探り合ううちに、互いを意識はじめるスタンリーとソフィ。果たして、スタンリーとソフィの恋の行方はどうなるのか?・・・。
この映画のラストシーンでは、エンタテイナーとして多くの観客を沸して騙してきた一流のマジシャン、スタンリーの心中がさらけ出されるこの物語は、ウェルメイトドなフィクションであると同時に、映画監督ウディ・アレンがその手の内を、胸の内を明かしてみせた貴重なエッセーのような趣も漂っているようですね。
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恋する・ヴァンパイア★★

2015年04月19日 | アクション映画ーカ行
『100回泣くこと』『女子ーズ』などの桐谷美玲が主演を務めたファンタジックラブロマンス。好きな相手に近づくと、その生き血が吸いたくなってしまうヴァンパイアの女性が、正体を隠しながら恋を成就させようと奮闘する。北京の中央戯劇学院で演劇を学んだ俊英・鈴木舞が監督を務める。共演はアイドルグループA.B.C-Zのメンバーでもある、テレビドラマ「魔法★男子チェリーズ」などの戸塚祥太。観る者の胸をときめかせる物語もさることながら、牙を生やした桐谷のキュートな吸血鬼ぶりも必見。
あらすじ:パン職人になることを夢見る少女、キイラ(桐谷美玲)。どこから見ても普通の少女だが、その正体はヴァンパイアだった。そのことを隠しながら哲(戸塚祥太)と思いを寄せ合うキイラだったが、両親を亡くして親戚のところへ行くことになる。それから8年後、パン屋のアルバイトとして忙しい毎日を送るキイラは、哲と偶然の再会を果たす。やがてデートを重ねるようになる二人だが、哲に近づくたびにヴァンパイアとしての本能から彼の血が吸いたくなってしまう。人間との恋はかなわないのかと悩む彼女だったが……。

<感想>せつなくもファンタジックに描くヴァンパイアと人間の許されぬ恋。好きな相手に近づくと血を吸いたくなってしまう女ヴァンパイアを、桐谷美玲が演じるファンタジック・ラブストーリー。ヴァンパイア役の桐谷美玲ちゃん、キュートで可愛いし、唇がなんとも色っぽいのよね。こんなに美人なヴァンパイアに惚れられたら、断る男性っていないよ。
どこから見ても普通なのだが、その正体はヴァンパイアの血をひくキイラ。台湾で両親と森の中で暮らしていたが、そこで少年の哲と出会い二人は仲良しになる。そこで、ギターを弾きながら歌を歌う哲に一目惚れするキイラ。
しかし、両親がヴァンパイアのボスに殺されてしまい、日本の横浜にいるお爺ちゃん柄本明と暮らす叔母さんのパン屋へ同居することに。もちろんお爺ちゃんも叔母さん夫婦もヴァンパイアで、にんにくが苦手だし、銀が苦手で、でも、十字架は平気で、それに変身したりもしないけど、ある瞬間に目が紫色に光って牙をむくのだ。
キイラのおじいちゃん(柄本明)が開発した「アンチアンチエイジング」という薬の効果が効いて、人間と同じように年も取るし、日光に当たっても大丈夫なんです。普通に働き恋に悩みながら、温かな太陽の陽差しの中を笑顔で歩いたりできるので、本当に普通の人間と見た目は変わらない。

ですから、ポップな恋愛映画みたいな映像になっています。後半になるとダークなシーンが、それはキイラにヴァンパイアの男と結婚の話があって、イケメンの韓流スター、チェ・ジニョクはキイラに一目惚れするヴァンパイアの役で出演している。それが確かにかっこいい男なのだ。

その男に恋するのは、キイラと一緒にパン屋で働く留学生役のモン・ガンルーちゃん。彼女は、失恋して横浜の海へ飛び来むところをキイラに助けられた。
それに、香港スターのイーキン・チェンはヴァンパイアのボス役で、キイラの両親を殺した最恐のヴァンパイア。実はお爺さんの柄本明が、パン職人の修業にヨーロッパへ行き、そこでヴァンパイアの村へ入ってしまい、ヴァンパイアの娘と結婚して日本へ帰ってきたわけ。そこで、お爺さんもヴァンパイアになってしまい、キイラ母親は日本人のヴァンパイアで、父親は台湾のヴァンパイアで、妹夫婦は、夫となる男を妹が吸血してヴァンパイアにしてしまったのだ。だから、生まれてきた子供キイラもヴァンパイアなわけなのね。

それでも、横浜で胸を大きくするクリームのセールスをしている哲と再会して、また二人はデートするわけ。キイラの本当の姿を知らない草食ミュージシャン哲を演じる、A.B.C-Zのメンバーの戸塚祥太との胸キュンな展開から目が離せませんから。でも、初めは戸塚祥太のダサイ姿にガッカリでした。でもキイラが床屋へ連れて行って髪を切ったり、洋服を今風にしたりしたら凄いイケメン青年というより可愛い男の子って感じがした。

それに、実生活でも夫婦である田辺誠一と大塚寧々の二人が、映画初共演をしておしどり夫婦っぷりを披露してくれています。大塚寧々のヴァンパイアは力持ちで、パンの粉袋を担いでいるのが笑える。

それでもメインのシーンはほとんど昼間で、全体的に怖くなくてファンタジー満載。でも、ボスのヴァンパイアが襲ってくる時には、コウモリの大群が押し寄せてザワザワとします。それに、キイラをそのボスのヴァンパイアが、結婚相手にと誘拐してしまう場面もあります。もちろん、哲とモン・ガンルーちゃんたちが助けに行くのですがね。銀のナイフでボスを刺す哲の勇気には感動するも、やはりヴァンパイアのボスは強かった。でも、そのナイフの柄がプラスチックで出来ているので、キイラがそのナイフを拾ってボスに立ち向かうわけ。

キイラには、人間の記憶を消す術が使えるのです。それで、哲にその記憶を無くす術をかけるわけ。哲には、幼い時に両親をヴァンパイアの餌食になり、殺された嫌な思い出がある。
キイラと人間の哲は、一度は結婚を諦めたのだが、キイラはやっぱり哲を忘れられない。それで、哲との未来に夢を膨らませてキスをしようとするも、人間の血を求めてしまうヴァンパイアの本能が現れてしまうのです。
でも、哲もキイラがヴァンパイアだということを納得して、結婚を申し込むのですね。そんなヴァンパイア映画、観たことないですよね。
昔観た、スウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」とか、それをリメイクしたクロエ・グレース・モレッツの「モールス」(10)と何となく似ているような感じがしました。
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ワイルド・スピード SKY MISSION★★★★★

2015年04月18日 | アクション映画ーワ行
高級車や名車が続々と登場し、迫力満点のカーアクションが繰り広げられるヒットシリーズの第7弾。ヴィン・ディーゼル演じるドミニクら、すご腕ドライバーにしてアウトローの面々が、東京、アブダビ、ロサンゼルスといった世界各地を舞台に壮大な戦いに挑む。メガホンを取るのは、『ソウ』シリーズなどに携ってきたジェームズ・ワン。オリジナルメンバーに加え、ジェイソン・ステイサム、カート・ラッセル、トニー・ジャーがシリーズに参戦する。スリリングな展開はもちろん、故ポール・ウォーカーの勇姿も必見。
注意:ネタバレで書いているので、これからご覧になる方にはごめんなさい。

<感想>もうこれで最後かと思うと、居ても立ってもいられず昨日1番で観賞しました。テンションとストーリーの盛り上がりが、マックス超越えを続けている奇跡のシリーズ「ワイルド・スピード」の7作目。ですが、主演のポール・ウォーカーが突然の事故死ということで製作中断になっていたのに、それを乗り越えてのカーアクション最高峰シリーズとして盛り上がりです。

冒頭からして、いきなり暗殺者デッカードこと、ジェイソン・ステイサムが飛んでもない適役を発揮して、捜査官ボブスことドウェーン・ジョンスンと肉弾バトル。ステイサムとロック様とのパンチとキックを繰り返し、勝負は互角のようだが、部屋もろとも小型爆弾で爆破する。爆風で吹き飛ばされたボブスは暫くは病院のベッドで休憩ですから。そこで、デッカードはドムたちのデーターを奪い去っていく。

お次が、ドミニクの家へと悪魔の手が忍び寄る。何と荷物の中に小型爆弾が仕掛けられていて、遊びに来ていたブライアンの家族を巻きこみ大爆発。しかし、間一髪で気が付いたドクが皆に叫ぶのだ。そして、東京にいるハンが殺されたことを知る。ハンの葬式に懐かしい顔ぶれが揃う。しかし、そこに不審な車が、後を付けるドム、デッカードとドムの車が正面衝突するとは、2人共無傷でバケモノのようで、そこへ謎の特殊部隊が現れる。

実は、今回のミッションは、秘密作戦司令官のミスター・ノーバディことカート・ラッセル。凶悪テロリストがラムジーという天才プログラマーを誘拐したという。彼女の開発したのは、世界中の監視システムにアクセスできる驚異のプログラム“神の目”で、これが悪人の手に渡ると世界は破滅するというのだ。

ドクたちの仕事は、テロリストからラムジーを救いだすこと。それが、コーカサス山地の1本道を移送中。そこで、ドミニクたちが空から敵を襲うという信じられない作戦。
何しろ、大型輸送機に乗ったドミニクたち仲間の車が、数千メートルの空の上からダイブして急降下、もちろんパラシュートで着地なんですが、そこが断崖の細い道なんです。ですが、見事に得意のチームプレーでトラックに乗った天才ハッカーの奪還に成功します。

それでも、ハラハラするシーンが満載でした。彼女の乗っているバスにはポールが乗り込んで行くと、ムエタイの使い手が襲い掛かり肉弾アクションの対決に。ラムジーを素早くドムの車に移して、ポール一人で闘うのですから、それに運転手も撃たれてバスは崖下へと転落していくのですから。ポールはバスの上に這い上がるも、寸での差でバスのバンパーにぶら下がる。亡きポールの大活躍がたっぷりと堪能できるシーンです。

そこからは、またもや兄貴のステイサムが現れて、ドムとデッカードとのダウンヒル・カーチェイスも凄まじい。ですが、そこへジャカンデの傭兵軍団が取り囲み、ドムがとったのは崖を下って真っ逆さま。

ところが、ラムジーは“神の目”を友達に送ってしまい、その友達はアブダビの王子に売ったというのだ。砂漠のど真ん中にそびえ立つ超高層ビルの群れ、その一つのビルの最上階にある真っ赤な高級車、ライカン・ハイパースポーツ。その車の中に取り付けてあるいうのが“神の眼”パーティへ乗り込んだ彼らは、余りにも厳しいセキリティに時間を取り、ブライアンとドムはその車を奪い取り、隣の高層ビル目がけてアクセル全開、ガラス窓を突き破り宙を飛びそのまま隣のビルへとジャンプ。ブレーキが利かないので、また隣のビルへとはぶっ飛びもん。

これって、特撮でもCGでもなく本物のスタントだというから凄い。まるで「ミッションインポッシブル」の映画みたいと喜んではいられないのだ。
しかし、折角取り返したのに、その“神の目”でデッカードが潜んでいる工場を見つけて襲い掛かるわけ。そこには、テロリスト軍団のジャカンデー一味に返り討ちに遭い特殊部隊は全滅に、“神の目”も奪われてしまうのです。

それで、“神の眼”を無力化できるのは作ったラムジーだけで、LAにいるテロリスト軍団のジャカンデーの近辺にいれば、ハッカーして壊してしまうことができるというのだ。決戦の舞台は自分たちの生まれ育ったLAのストリート。愛車のダッジチャージャーに乗り込むドム、この時、ブライアンは死を覚悟して妻に別れの電話をする。

これは第1作へのオマージュ。妻ミアとの間には息子が生まれて、それにお腹には妹が出来ているというのだ。幸せな2人に、危険な仕事で命を落としかねないとは。それと、ドムの恋人レティのミシェル・ロドリゲスも、今回は記憶を取り戻してドムとまた幸せになります。

ところが、敵も戦闘ヘリで襲い掛かってくる。それに、無人機ドローンによるミサイル攻撃と敵の攻撃に四苦八苦のドムたち。猛スピードのカーチェイスにブライアンとキエットのファイナルバトルが炸裂。そして、ドムとデッカードの因縁の対決は、鉄パイプにスパナの2刀流での肉体と肉体のぶつかり合い。これは、どうみても車だけのレース展開ではなく、スパイ大作戦のようになってきているのには驚いた。

そこへ助っ人参上のロック様ことボブスである。ガトリングガンを手に人間兵器と化して暴れまくる勇姿に惚れ惚れしました。そして、ドムの車のニトロエンジンが火を噴いた時には、この激闘に決着がつくのである。

最後の海辺が映されて、ドムとブライアンが車を走らせ別々の道を行くシーンに、そして、過去の「ワイルド・スピード」のポール・ウォーカーの懐かしい映像に、思わず涙が込み上げて来て止まらなかった。
今まで「ワイルド・スピード」を盛り上げて来てくれた、ヴィン・ディーゼル他の俳優さんたちに、最高の映画をありがとう!
そして、さようならポール。本当にありがとう!
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スパイ・レジェンド ★★★

2015年04月17日 | アクション映画ーサ行
ビル・グレンジャーの小説「ノヴェンバー・マン」を実写化した、スパイサスペンス。CIAの敏腕エージェントとして活躍していた過去を持つ男が、自身が育てた現役スパイからの襲撃とその裏に隠された陰謀に挑んでいく。メガホンを取るのは、『バウンティ/愛と反乱の航海』のロジャー・ドナルドソン。主演は『007』シリーズなどのピアース・ブロスナン、『オブリビオン』などのオルガ・キュリレンコ。肉弾戦、銃撃戦、カーチェイスといったアクションに加え、年齢を感じさせないピアースの立ち振る舞いにも引き込まれる。
あらすじ:ザ・ノヴェンバー・マンというコードネームを持ち、さまざまなミッションを遂行してきた伝説的CIAエージェントのピーター・デベロー(ピアース・ブロスナン)。スイスで引退生活を送っていた彼だが、かつての仲間たちが何者かに殺害されているのを知って彼らを守ろうと動きだす。だが、元同僚で愛していた女性を殺され、その犯人が自分がかつて教育してきた現役エージェントであることを知る。彼と壮絶な戦闘を続けながら、事件の全体像をつかもうとするデベロー。やがて彼は、ロシア大統領選をめぐる陰謀の存在にたどり着く。

<感想>東京では1月に公開されたのに、地方ではやっと4月に入ってミニシアターにて上映。どうしようか迷ったのだが、「007」のピアース・ブロスナンが本格スパイ役に復活ということなので観賞した。かつて5代目ジェームズ・ボンド役で世界中を魅了し、007シリーズの人気を復活させた立役者とも言われるピアース・ブロスナンが伝説のエージェントを演じる本格的スパイアクションです。
「奴が通った後に、生き残ったものはいない。」と恐れられた“ノヴェンバー・マン”というコードネームを持つ伝説のスパイ、ピーター・デヴェロー。

上品かつ洗練された着こなしに、機敏かつ華麗な身のこなし―、ジェームズ・ボンドを彷彿とさせる姿はまさにブロスナンの真骨頂。モスクワ、さらにセルビアの首都ベオグラードを舞台に、チェチェン紛争の悲劇、ロシア次期大統領選の陰謀、諜報員同士の恨み辛みが絡んだ難問に、元CIAの凄腕エージェントが挑む。

ピーターの元教え子、CIAの若手№1のメイソンにはルーク・ブレシーが、ピーターからスパイとしてのノウハウを学んだが、ピーターからしてみるとまだまだ粗さが目立つ。だが、CIAの上司からピーター抹殺の命令が。

そして、ボンドガール役でブレイクしたオルガ・キュリレンコが、事件の真相を知るキーパーソンとして出演している。あのテーマ曲こそ流ないものの、「007」同様にカー&ガンアクション満載のスリリングな展開が、61歳とは思えない渋味を増したピアース・ブロスナンを待ち受けている。

ロシアにいる元恋人を殺された元エージェントが、かつて所属したCIAに報復するというハードな内容である。私怨がらみながら、冷静に反撃の機会を伺うピーター。現役ボンド時代よりも人間味があっていい。

そして、ロシアからきた女殺し屋、かつての仲間であるCIAの追跡をかわしながら、ピーターは恋人のナタリー殺害を命じた黒幕を追う。黒幕の正体と同時にピーターの秘密も明るみになる。
鍵を握る女としてアリス役のオルガ・キュレンコは、ベオグラード在住のソーシャルワーカー。難民たちのケアをしているが、次期ロシア大統領をめぐる陰謀に巻き込まれてしまう。オルガ・キュリレンコのボブのカツラにボディコンスタイルに悩殺されます。
61歳のピアース・ブロスナンなれど、腹のダブダブ感が笑えるのだが、最後が、元CIAの上司が、ロシアの大統領選に便乗して自分の私利私欲のために、ピーターを殺そうとするのだが、それでも元「007」で鍛えた身体のアクションには痺れますから。アメリカ&ロシアの双方を敵に回した元CIA工作員の死闘を描いています。
2015年劇場鑑賞作品・・・78映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

エイプリルフールズ  ★★

2015年04月16日 | アクション映画ーア行
大ヒットとなったテレビドラマ「リーガルハイ」シリーズの製作陣と豪華キャスト陣が集結した群像コメディー。うそをつくことが冗談で済まされるエイプリルフールを舞台に、人々が軽い気持ちで放った小さなうそが大きな騒動を引き起こしていく。監督と脚本は「リーガルハイ」などの石川淳一と古沢良太。戸田恵梨香、松坂桃李、岡田将生、小池栄子、古田新太、里見浩太朗らが出演。個性的なキャラクターにふんした彼らの怪演に加え、二転三転する先読み不可能な展開にも引き込まれる。
あらすじ:人に対して恐怖心を抱いてしまう清掃員のあゆみ(戸田恵梨香)は、一晩だけ関係を結んだ外科医の亘(松坂桃李)に対して、身ごもっていると打ち明ける。ところが亘は、エイプリルフールだからとあゆみの言葉に耳を貸さなかった。居ても立ってもいられなくなったあゆみは、亘がいるイタリアンレストランに向かう。一方の亘は、きれいなキャビンアテンダントの麗子(菜々緒)とランチを楽しんでいて……。
<感想>ウソをつくことが許される4月1日のエイプリルフールを題材にした群像劇スタイルのライトコメディです。昔は流行ったことがあるけれど、今時、エイプリルフールといって嘘をついてもいい日なんて古いですから。それに、そんなことで嘘をついても、馬鹿にされるだけで自分の頭がオカシイと笑われるだけです。
しかしですよ、この映画では総勢27名のメインキャストが、嘘と本音の狭間で右往左往するドタバタぶりが見ものなんですね。

戸田恵梨香が対人恐怖症の妊婦を、松坂桃李がSEX依存症の偽外科医に、その恋人らしき美人の菜々緒、ロイヤル夫妻の里美浩太郎と冨司純子、ファミレスの店長に古田新太、

占い婆ぁのリリイさんとイっちゃっている刑事の高島政信、不器用な誘拐犯のヤクザの寺島進に、

いつも2人でつるんでいる大学生の松田に窪田正孝と梅田の矢野聖人、ところが4月1日だから少し嘘をついて驚かしてやれと「実は俺、お前のことずっと前から好きだったんだ」と告白する。ところが、相手はゲイだったので、彼の告白に嬉しくてベッドインをすることになるとは、これいかに笑えないぞ。
引きこもりの中学生が宇宙人と思い込んでUFOが迎えにくると信じ込む。これが、本当に宇宙船が迎えに来るとは、嘘だからでしょうね。本当にちょい役で出演の岡田将生、小池栄子。

それに、イタリアンレストランのオーナーシェフに小澤征悦、冒頭の42年ぶりに海で遭難したまま行方不明になっていた男が、インドネシアで見つかったという感動のニュースの男に生瀬さんと母親のご対面など。
とにかく「鈴木先生」「寄生獣」など、情報量の多い原作をまとめあげる能力が高く評価されているドラマの売れっ子脚本家の古沢良太が、嘘というお題で長めのショートコントをいくつも盛り合わせた映画である。

映画という嘘の中でさらに嘘をつくのは難しい。思わせぶりな人々と、奇妙な出来事は確かに華やいではいるが、嘘を信じ込ませる演出と脚本がなければうとましくなるだけ。
ただ観た眼はドーンとボリュームがありそうですが、実際はプラスチック製の幕の内弁当で、とてもじゃないが箸にも棒にも引っかからない。
そもそも嘘だからこそ細部にリアリティが不可欠なのに、細部がまた安っぽい嘘で、映画を、観客を侮っているとしか思えませんね。

誘拐犯のヤクザは、どうして普通の少女を狙ったのか、それは自分の娘であり、生まれてから父親らしいこともしないで、自分がもうすぐヤクザの仕事で死ぬかもしれないと。だから、せめてその前に娘に逢いたい、ですが、その少女は家は貧乏で身代金なんか払えないから、自分を売春婦にでも売り飛ばしてくれというのだ。父親にしてみれば、そういう仕事がどんなに大変で残酷かを見せつけるように連れまわす。それが、遊園地なんかにも連れて行き、馴染みのラーメン屋にも連れて行くのですから。最後は、家の前で少女を降ろして、育ての父親、滝藤賢一が泣きながら迎えに出るというパターン。

伏線と人物関係が見事に回収しつくされても、それだけでは感動はしません。ですが、冨司純子の癌で余命いくばくもない日にちを、夫の里見浩太郎がまるで皇族のような気品で過ごす日々と、船で余り上手くない歌を披露するのには感動しました。

もう、とてもじゃないが、どの話にも後から言い訳がましい台詞でつじつまを合わせをしていては、盛り上がるわけがないのだ。複数の挿話を同時に捌けないならば時間を提示するなり、時制を動かすなりすべきだったのでは?・・・。
レストランでの主人公とおぼしき戸田恵梨香が、お腹の子供の父親に対して責任を取れと、拳銃をぶっ放して挙句の果てに陣痛が起きて、生命の危険よりもその場のノリと感動が優先される出産シーンのクライマックス。

はしゃいだ演出も俳優陣の浮き立ったキャラ作りも、芸能人のかくし芸大会のようで、楽屋で観ているような、これはよくよく考えて映画を作らなければ悲惨な結果になるだけだと思った。
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アイスマン  ★★★.5

2015年04月15日 | アクション映画ーア行

『イップ・マン』シリーズなどで知られる、ドニー・イェン主演のアクション。冷凍保存されていた明朝時代の戦士たちが現代で目を覚まし、し烈なバトルを繰り広げていく。メガホンを取るのは、『やがて哀しき復讐者』などのロー・ウィンチョン。『激戦 ハート・オブ・ファイト』のワン・バオチャン、『白蛇伝説~ホワイト・スネーク~』などのホアン・シェンイーなど、実力派が顔をそろえる。明朝と現代を股に掛けた壮大なスケールの物語もさることながら、ドニー・イェンが放つ激しいアクションにも目を奪われる。
あらすじ:明朝末期。秘密警察の賀英(ドニー・イェン)は、身に覚えがない罪を着せられる。老大元龍(サイモン・ヤム)ら義兄弟たちから追われて雪山で戦っていたものの、彼らと一緒に雪崩に飲み込まれてしまう。
400年後の香港。なぜか冷凍カプセルで保存されていた賀英は、ある事故が
原因で目を覚ます。世界の変化に混乱するものの、ひょんなことから出会った小美(ホアン・シェンイー)のもとで現代について学ぶ賀英だが、同じように冷凍保存されていた義兄弟たちも覚醒(かくせい)していた。

<感想>本作は、ユン・ビヨウ主演のファンタジー活劇で、1989年に公開された映画『タイム・ソルジャーズ/愛は時空(とき)を越えて』のリメイク。17世紀の明王朝の衛兵が300年後の現代にタイムスリップするSFアクションで、製作費2億元(約32億円・1元16円計算)を投じた3D作品だったそうです。東北地方では2Dにて上映。観客もまばらで、ドニー・イェンファンじゃなければ観ないでしょうね。
そして、これが2部作の前編だというので、知らないで観た人にはあの突拍子もない終わり方が腑に落ちないでしょう。
撮影では氷点下20度の雪山で壮大なロケが行われ、ドニーもこれまで挑戦したことのなかったアクションに数多く挑戦したという。約400年間も氷漬けにされていた明朝の秘密警察、錦衣衛の武官のドニー・イェン。

冤罪で追われる身となった主人公ドニー、何故か現代の香港に蘇ってタイムスリップ。活劇、SF、喜劇、ロマンスと様々な要素が詰め込まれているものの、アクションは何だか空回り気味ですから。
それに、セックスとスカトロジー絡みのギャグも笑えませんし、我慢して観ること1時間と10分。すっかり様変わりした世界の様子に驚くかと思えば、忠義に生きる男のはずが、現代の便利機器のタブレット端末をいつの間にか使いこなしたりして意外にすんなりと順応しているのだ。

ステスのヒロインホアン・シェンイーの可愛いことといったら、親切な彼女の家に居候しながら、元の時代へ帰る方法を見つけようとするのだが、・・・。彼女のマンションで、トイレの水を飲み水と勘違いして飲むんですから、笑えます。

この人宇宙最強なので、現代の世界へのギャップなど気にしませんから。普通だったら、冷凍人間が橋の上で、事故に遭い氷漬けのカプセルが壊れて中からドニーが現れるのですが、暫くは冬眠状態の身体が融けて意識が戻るには時間がかかるはずなのに。

これほどメチャクチャなシナリオも珍しい。よくぞこれに巨費を投じたものだが、それが香港映画というもの。ですが、ドニーはとにかく豪快で何でもできちゃうし、立ちはだかる敵には、いつものカンフーアクションと無敵なんですから。
ですが、彼だけではなく、氷の下から息を吹き返したのは、同じく錦衣衛の暴力コンビの悪人たち。ある誤解からドニーを殺してある物を奪おうと不良外人とつるんで香港にある風俗店をめぐり、ドニーに近づいてくる。

このオジサンが、冷凍人間だったドニーを初めて見つける人。
中でも共演している人気俳優のワン・バオチャンのアクションの腕前は相当なもので、大迫力の格闘シーンを披露している。洗練されているとは言い難いが、カーチェイス、大クラッシュ、銃撃戦、格闘、剣劇、馬上での疾走、空撮とか水中撮影とてんこ盛り状態で大サービス。

一番難しかったアクションシーンが「バイクに乗るシーンだ」と告白するドニー。なんとドニーはバイクの免許を持っていないそうで、「無免許なのも怖いし、後ろに女優さんを乗せていたからとても緊張したよ。ファイトシーンはスタントマンが相手だけど、もしも転んで女優を傷つけてしまったら大変だからね!」と優しいドニー。

やっとハイライトの青馬大橋の上で展開するクライマックスに辿り着く。そこでの三つ巴バトルも、盾や剣、鎖を振り回して400年前の熱戦の続きを繰り広げるのは、適当にもほどがあるがすべてを帳消しにするアクションを楽しむのには、往年の香港映画を観ているようで楽しい。
さらには、ドニーを追う謎の男サイモン・ヤムの陰謀なども絡んできたりするのだが、もちろん前編なのですべて消化不良状態で終わってしまう。ですので、続篇が公開されたらもちろん観るでしょうね。
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)★★★★

2015年04月13日 | アクション映画ーハ行
『バベル』などのアレハンドロ・G・イニャリトゥが監督を務め、落ち目の俳優が現実と幻想のはざまで追い込まれるさまを描いたブラックコメディー。人気の落ちた俳優が、ブロードウェイの舞台で復活しようとする中で、不運と精神的なダメージを重ねていく姿を映す。ヒーロー映画の元主演俳優役に『バットマン』シリーズなどのマイケル・キートンがふんするほか、エドワード・ノートンやエマ・ストーン、ナオミ・ワッツらが共演。不条理なストーリーと独特の世界観、まるでワンカットで撮影されたかのようなカメラワークにも注目。
あらすじ:かつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡(ふうび)した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、落ちぶれた今、自分が脚色を手掛けた舞台「愛について語るときに我々の語ること」に再起を懸けていた。しかし、降板した俳優の代役としてやって来たマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)の才能がリーガンを追い込む。さらに娘サム(エマ・ストーン)との不仲に苦しみ、リーガンは舞台の役柄に自分自身を投影し始め……。

<感想>昔ヒーローの映画で「バットマン」を演じていた、マイケル・キートンが主役のリーガンを演じているのが最高。物語でも同じような「バードマン」に主演した人気スターという設定、それ以降は仕事に恵まれていないという、まさに何だかその通りの実話のような。これは要するにパロディで、どうみてもキートンのハマリ役に違いありません。

タイトルの横に「あるいは、無知がもたらす予期せぬ奇跡」とありますが、それは新聞の批評を書いている女性記者が、初めはリーガンをけなしてばかりいて、初日の舞台の批評には、あんたのことをけちょんけちょんに批判してやると豪語するのだが、ある事件というかリーガンがNYの街をパンツ1枚で闊歩する姿がユーチュ-ブに乗り、一躍時の人になってしまう。

そのころからか、自分を罵倒する影の“バードマン“がいつも後ろにくっついており、「こんな地味な舞台をやっても誰も見にこないぜ」と愚弄する。
それが幸を評してか、劇場は客で超満員になり、挙句に最後の出番で自分の顔を本物の拳銃で撃ってしまうんですから。それで、その女史が翌朝の新聞に「あるいは、無知がもたらす予期せぬ奇跡」と書いたわけ。

薬物依存症で、更生施設から出てきたばかりの娘のサムにエマ・ストーンが、それに舞台を降坂した代役のエドワード・ノートンに、女優のナオミ・ワッツ、エマの母親で離婚した妻のエイミー・ライアン、それに舞台演出家には「ハングオーバー」シリーズでお馴染みのザック・ガリフィナーキスなど豪華版。

ロードウェイの舞台の出し物がレイモンド・カーヴァーの短編小説、「愛について語るときに我々の語ること」で、リーガンが再起を賭けた舞台である。
ヒーローものの再起映画と言えば「レスラー」があるが、それとは違って自分を見失い酒に酔って道端のゴミ袋の脇で寝ていたら、かつての「バードマン」現れて、やるきを起こすわけ。これはCGですが、リーガンが空を指さすと隕石が落ちて爆発、ビルの屋上には不死鳥が現れるなど、そして、リーガンはそのまま空を飛ぶんですよ。これは妄想、幻覚ですから。
それからは、しょっちゅう「バードマン」の姿をした自分が幻覚のように見えて、叱咤激励というかトンデモ発言をするわけ。だからなのか、最後の舞台で実弾を込めた拳銃でこめかみを撃つも、弾丸がそれて鼻が吹っ飛んで命は助かったわけ。

しかしですよ、代役のエドワード・ノートンもパンツ一丁で、キートンと大喧嘩するし、もうフルチンでの映像もあるしで、舞台でのナオミ・ワッツとのベッドシーンでは、本番をしようととナオミに迫るシーンもありの、ノートンの半端ない演技に度肝を抜かれて、キートンも霞んで見えてしまった。
ですが、120分ある全編をワンカットの長回しで撮ったかのようなシームレスな映像には驚いた。観客を舞台裏の細い廊下や階段、ゴミゴミとした化粧室に衣装室、俳優の控室というか寝起きをしている個室を見せて、ほとんど出ずっぱりのキートンを映しだしていき、俳優としての底力を見せつけているのだ。

まさに、舞台俳優としてのキートンの瀬戸際に追い詰められていく心情の流れを、ノンストップで手に取るように感じられるから凄い。
映画スターたちが、キャリアに箔を付けるための場と化しているブロードウェイといった、米国のショービズ界を風刺したブラックコメディ映画でもある。
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唐山大地震 ★★★

2015年04月13日 | た行の映画
40万人以上の死傷者を出した1976年の中国・唐山大地震を舞台に、心に傷を負った少女と罪悪感を背負い生きる母親の32年間を描く感動ドラマ。『女帝[エンペラー]』『戦場のレクイエム』などの中国のヒットメーカー、フォン・シャオガン監督が、迫力のディザスター描写と涙を誘うストーリーを紡いでゆく。出演は、チャン・ツィイーの後継者ともいわれる『雲南の花嫁』のチャン・チンチューと、ほかのフォン・シャオガン監督作品にも出演しているシュイ・ファン。母と娘それぞれの思いが切なく、家族のつながりに感動が押し寄せる。
あらすじ:1976年7月28日の深夜、マグニチュード7.8の大地震が中国の唐山市を襲う。翌朝、幼い双子の姉弟が瓦礫の下で発見される。だが、状況の悪さからどちらか一人しか救えない状況で、母親(シュイ・ファン)は断腸の思いで息子ダー(チェン)を選ぶ。しかし奇跡的に娘ドン(チャン・チンチュー)は命を取り留めており、彼女は軍人夫婦の養女として立派に成長し育っていた。そんな中、彼女の養母が病死し、さらには自身の妊娠が発覚する。

<感想>中国で起こった20世紀最大の地震を題材に、被災した家族の32年間の軌跡をたどる物語。これは、唐山市の要請で始まったという1976年の未曾有の大地震被害を記録する為の映画です。
それを2008年までの32年間を「ソフィーの選択」で始まるある家族の物語りに託し、台湾、中国、香港の映画人が協力して、中国映画史上最大のヒットを記録した大エンタテインメントになっている。
実は2011年3月26日公開予定だったのだが、東北地方大地震に、大津波と福島の原発事故と、過去に例がないほどの未曾有の大災害に遭い、この映画の内容が同じ中国の大震災の物語りでかなりショッキングな場面があり、公開が延期されていたものです。

冒頭でのぶきみなトンボの群れが舞い、特撮ファンをうならせるような大地震が、画面いっぱいに展開するのだ。大災害後の人間の変転を描くのには、我が国の「赤い運命」と同じく大河ドラマの常套だけれども、建物の下敷きになった姉と弟の、いずれの生命を救うべきか、母親に選択を迫るところはあざとすぎて、むしろ、片腕切断の弟が中国でいかにして金持ち成り得たかを知りたいと思った。
しかし、復興はときに物語を必要とし、そして物語はときに災厄を必要とする。大仰な演劇に用いたふれこみとおりの“泣かせる”演出にヘキエキしてしまうのは、地元東北に住んでいる被災者だからだろうか。
皮肉を言っているのではないが、震災によって離散した家族の、30年余りにおよぶ大河ドラマを2時間に収めるにはどうにも無理があるというもの。端々に粗雑さが目立ってしまう。
当時海外支援を拒否した文革末期共産党の政府対応の是非には、少しでもいいからふれて欲しかったところだが、中国メジャーの作品ゆえ望むべくもないことなのかと。
それよりも、2004年のスマトラ島沖地震による大津波で被災したあるヨーロッパ人家族を巡る奇跡の物語インポッシブル」(2012)の、ナオミ・ワッツの母親の有り方、母性愛の素晴らしさ、自分の命まで投げ出して我が子を救うという感激の映画をもう一度見たいと思いました。
映画は歴史の記録としての役割をどう果たすか?・・・原発事故の加わった日本は、30年後の震災記録映画をどう描くのだろうか?・・・大きな課題を改めて認識しました。
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