パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ワイルド・スピード/スーパーコンボ★★★★

2019年08月14日 | アクション映画ーワ行

世界的大ヒット・カー・アクション「ワイルド・スピード」シリーズの人気キャラクター、ドウェイン・ジョンソン扮する元FBI特別捜査官ルーク・ホブスと、ジェイソン・ステイサム扮する元MI6エージェント、デッカード・ショウを主人公に贈るアクション・エンタテインメント大作。世界を救うため、渋々手を組むことになったホブスとショウが、互いに衝突を繰り返しながらも、最強の敵を相手に繰り広げる壮絶な攻防の行方を、シリーズ史上最高のスケールとアクションで描き出す。共演は「マイティ・ソー バトルロイヤル」のイドリス・エルバと「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」のヴァネッサ・カービー。監督は「アトミック・ブロンド」「デッドプール2」のデヴィッド・リーチ。

あらすじ:ロサンゼルスに暮らすワイルドでパワフルな元FBI特別捜査官ルーク・ホブスは、娘との関係に頭を悩ませる日々。一方、おしゃれでクールな元MI6エージェントのデッカード・ショウは、ロンドンで優雅な生活を送っていた。折しも、MI6の女性エージェント、ハッティがテロ組織から危険な新型ウイルス兵器の奪還に成功するものの、肉体改造で超人的戦闘能力を備えた男ブリクストンに追われ、ウイルスとともに行方をくらましてしまう。実は、ハッティはショウの妹でもあるのだった。そこでホブスとショウの2人に、ハッティ救出のミッションが課されることに。最初は当然のように反発する2人。それでも世界を危機から救うため、渋々ながらも協力して事態解決に乗り出すのだったが…。


<感想>同作はビン・ディーゼル主演の大ヒットアクションシリーズ「ワイルド・スピード」のスピンオフであります。シリーズ第5作「ワイルド・スピード MEGA MAX」から出演し、ディーゼル扮するドムの仲間になったルーク・ホブス(ジョンソン)と、第6作「ワイルド・スピード EURO MISSION」から出演した敵役のデッカード・ショウ(ステイサム)が、人類の半分を死滅させる力を持つ新型ウィルス兵器を奪還するために渋々コンビを組み、強敵に立ち向かうというストーリー。

キャストはホブス&ショウに立ちはだかる敵役にイドリス・エルバ、ショウの妹でMI6諜報員のハッティにバネッサ・カービー、ホブスの兄にクリフ・カーティス、ショウの母親にヘレン・ミレンのほか、人気スター2人がカメオ出演。監督は「ジョン・ウィック」(共同)、「アトミック・ブロンド」「デッドプール2」のデビッド・リーチ。

ホブスとショウは共同で作戦を決行するが、とにかく仲が悪いので、片方が危機に直面しても「てめえで何とかしろ」と言うスタンス。ショウが複数の敵を相手にしている時、敵が一人だったホブスは、馬鹿にしたようにアクビをする始末。挑発された方は発奮するから結果オーライなのだ。

ホブスは力技で、ショウはスピーディな格闘術を繰り出す。高層ビルでの戦いでは、敵もろとも落ちてゆくホブスを尻目に、ショウが作業用のゴンドラでスマートに降下していく姿は、2人の違いをはっきりと表しているのだ。異なるスタイルはかみ合った時には大きな力になるはずだ。

敵役のブリクストンは、肉体を改造を施して得た超人的な体力が自慢。そのパワーはホブスをもしのぎ、ショウのスピーディな動きもスローに映るほどなのだ。初対戦では、2人はブリクストンの猛攻撃を受けて防戦一方であった。こんな強敵に勝つことは出来るのか、2人のコンビ技が鍵となるはずだ。

爽快かつ豪快なアクションがてんこ盛りで、ホブスとショウが「右か左、どちらの扉に入るか」を選ぶ場面が印象的。ホブスが入った左の扉は1人の大男だけだったが、ショウが入った右の扉は、大勢の男たちがギッシリと待ち構えていた。ショウはわらわらと襲いかかる敵にカウンターを食らわせ、銃撃も盾のようにかかげた防弾チョッキで防ぎきる。その立ち回りは、とにかくため息が出そうなほどえげつなく華麗である。

ショウたちが乗るマクラーレンが1本道を逃げるなか、行く先を2台のトレーラーが交差する形で通りかかる。道はふさがった。後ろからはブリクストンが迫っている。決意を固めたショウは、スピードを緩めずトレーラーに突っ込み、わずかに生じた隙間をくぐり抜けていく。驚くべきは、バイクに乗ったブリクストンもこれをクリアしている点。敵もすごい。

シリーズの代名詞であるカーアクションは、今回もほぼ全編で登場するという。特にマクラーレン720sでのカーチェイスはハイライト。スーパーカーはウイングをゆっくりと上げ、弾丸のように加速していく。追っ手をぶっちぎり疾走する姿に、ガンガン気分が高揚してくる。さらに巨大トラックが、バンを蹴散らし大破させるというパワフルな場面も。あらゆるシーンで隙がない!

映像では、ジョンソンが「ホブスは登場からワイルドでかっこいい」と話し、冒頭のアクションシーンや、「俺が世界を救うのは4回目。朝飯前だ!」と豪語するホブスの姿が映し出される。トラックに乗ったホブスが、飛行中のヘリコプターに鎖を投げて巻き付ける。犬の散歩のように連れて走っていき、「やるぞ」と声を張り上げるホブス。腕に全身全霊の力を込め引っ張ると、ヘリは墜落し、崖から転落していった……。

“超すげえ”その一言でしか表現できないシーンだ。特に女だてらにロープなしで、ビルから飛び降りるホブス、ショウの妹ハッティ(バネッサ・カービー)のダイナミックで美しいアクション、体の中にテロ組織から危険な新型ウイルス兵器を取り込み、敵から逃げるため車から兄貴の車へと飛び移る早業など、ハードアクションも厭わないのだ。

ラスト近くで、、ショウの妹ハッティウイルス兵器を体から取り出すため、博士を探して体から取り出すのに成功するシーンも感動でした。

そして、最後には巨大トラックの荷台上で、ホブスとショウとブリクストンがバトル! 極めて高いタフネスと、優れた体術を誇るブリクストンは、2人の“同時攻撃”をものともしない。強烈なパンチがホブスのアゴにクリーンヒットする一方、ショウの拳も敵を打ち抜こうと迫っていた。クロスカウンターとクロスカウンターが同時に発生するこの場面、もはや異次元。

英語タイトルの一部には「Hobbs & Shaw」と、主役2人のファミリーネームが使用されている。今回は“本物の血縁でつながったファミリー”が物語の鍵をにぎる、と示しているのだ。ショウは妹のために戦い、ホブスは故郷へ帰り母親たちと再会する。本作のファミリー感から、シリーズファンは“今までとはまた違った感動”が得られるはず。

また、今回の舞台の一つでもあるサモアは、ホブスのホームであると同時に、ジョンソン自身もサモアの血が流れているため、思い入れも人一倍。ジョンソンは「銃なんか使わず顔の皮を剥ぎ取る」と、サモア流のワイルドな戦い方を明かしながら、楽しそうな笑い声をあげる。だから、家族の絆も感動的であり、そのうえカーアクションとバトルアクションの興奮もシリーズ最高クラス。「ワイスピ」ファンが待っていた要素が、「これでもか」と入りまくっているのも良かった。見応え十分すぎるほどのアクション満載でした。

 

2019年劇場鑑賞作品・・・119  アクション・アドベンチャーランキング

 

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私は、マリア・カラス★★★

2019年02月14日 | アクション映画ーワ行

世紀の歌姫マリア・カラスの実像に迫るドキュメンタリー。これが長編デビューとなるトム・ヴォルフ監督が、3年の歳月をかけて世界中から集めた未完の自叙伝を含む未公開の資料や映像、音源をもとに、マリア・カラス自身の言葉で語られる知られざる素顔を明らかにしていく。「永遠のマリア・カラス」でカラスを演じたファニー・アルダンが朗読を担当。

あらすじ:20世紀最高のソプラノと称えられる、歌唱力、演技力、美貌を備えた不世出のオペラ歌手マリア・カラス(1923~1977:ギリシャ系アメリカ人)。 封印されてきた未完の自叙伝とプライベートな手紙、秘蔵映像・音源を基に、世紀の歌姫の真実に迫る音楽ドキュメンタリー。

<感想>1970年米国テレビ番組での本人のインタビューを狂言廻しのようにして、自叙伝からの言葉で綴ってゆくマリアの過去を、多くのプライヴェート映像で紡いでいきます。冒頭のインタビューでも語るとおり、映画は個人マリアと歌手カラスを巧みに魅せていきます。

高度なベル・カント唱法、エキゾティックな美貌と圧倒的なカリスマ性で、世界中の観衆を虜にしたマリア・カラス。とにかく、カラスの歌声の素晴らしいことといったら、魅了されますから。

始めはオーディションに行くも、お世辞にも美しいとはいえない太った女性歌手のマリアに、審査員の態度は冷ややかだった。けれど実業家のティッタ・メネギーニは、「歌姫」を歌うマリアにとてつもない才能を見出していたのですね。

やがて二人は結婚。夫となったメネギーニは年の離れた無名の歌手のピグマリオンとして、マネージャーとして、マリアを完璧にコントロールするのです。

母になることさえも許さずに。有名になりたいマリアも減量に取り組み、歌のために全てを犠牲にして、メネギーニに従ったわけ。こうして立った歌手の頂点。満面の笑みを浮かべて聴衆の喝采を受けるマリアは、誇りと自信に満ちて輝くばかりに美しい。

しかしその一方では、仕事の量を減らす必要を感じているマリア。対して夫は妻の精神的に不安定な様子に気づくこともなく、相いも変わらずマネージャーとして辣腕を発揮。夫婦の間に微妙なずれが生まれ初めていたのですね。

しかし、ギリシャの大富豪オナシスに恋をしてしまったことから、彼との恋愛をめぐる一連のスキャンダルで、彼女は心身ともに疲弊してゆきます。ですが、彼女は結婚をしていて、実業家のティッタ・メネギーニと言う夫がいて、マリアの興行のすべてを握ってました。その夫とは離婚(宗教)できないのに、オナシスとの恋にうつつをぬかすマリアは、いつまでも恋をする乙女のようでもありました。

オナシスと出会い、すっかりと顔つきも変わり、歌一筋の人生から羽ばたき、目の前に広がる美しい世界で、穏やかな眼差しで楽し気に歌う姿は、幸せそのもの。

世界一高価な女性として、マリアを自分のコレクションに加えるべく、所有する豪華ヨットのクリスティーナ号のクルージングに招待したのです。

しかしながら、彼女のオペラ公演「蝶々夫人」「ノルマ」「トスカ」等、プッチーニのオペラ「トスカ」のクライマックスで、ヒロインが歌い上げる「歌に生き、恋に生き」は、マリアの得意のアリアだったから、と言うことももちろんであります。悲劇のヒロインばかりを演じたディーヴァの、ありのままの姿と美しい歌声が、アーカイブ映像の中で甦ります。

秘蔵の蔵出し映像も満載で、それを編集の画面でみせたところに、この監督の映画スタイルが匂いますね。やはり彼女は偉大なるアーティストとばかりに、その歌声をたっぷりと聴かせてくれる。人間記録を背景にして、音楽映画で貫いたそこが良かったですね。

この映画は2018年の12月に鑑賞したものです。

2019年劇場鑑賞作品・・・20  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ワンダー 君は太陽★★★★

2018年06月18日 | アクション映画ーワ行

全世界で800万部以上を売り上げたR・J・パラシオのベストセラー小説「ワンダー」を、「ウォールフラワー」のスティーブン・チョボウスキー監督・脚本で映画化したヒューマンドラマ。

あらすじ:ごく普通の10歳の少年オギーは、生まれつきの障がいにより、人とは違う顔をもっていた。幼い頃からずっと母イザベルと自宅学習をしてきた彼は、小学5年生になって初めて学校へ通うことに。はじめのうちは同級生たちからじろじろ眺められたり避けられたりするオギーだったが、オギーの行動によって同級生たちは少しずつ変わっていく。「ルーム」で世界中から注目を集めた子役ジェイコブ・トレンブレイがオギー役を務め、「エリン・ブロコビッチ」のジュリア・ロバーツが母イザベル役、「ミッドナイト・イン・パリ」のオーウェン・ウィルソンが父ネート役をそれぞれ演じる。

<感想>主人公は“違い”を持って生まれた10歳のオギー。だけどこれは、今を生きるすべての人のための物語ですね。先天性の遺伝子疾患により人とは少々異なる顔に生まれ、27回の手術を受け家から出られず家族に守られてきたオギーが、人生で初めて学校へ行くことに。この出だしだけでオギーが学校へ行けば案の定虐められたり、それで落ち込んで心を閉ざしたり、両親が心配したり、でも家族や理解ある先生に見守られて、やがては友達も出来て、人々の心を温かくしていく物語になっていく。

お父さんはオーウェン・ウィルソンが、どんな逆境でもユーモアを忘れない父親を熱演していた。母親にはジュリア・ロバーツが、息子の試練に心をかき乱されそうになるも、優しく応援してやる強い母親を演じていた。

主人公オギーには、「ルーム」で子役を務めたジェイコブ・トレンブレイが、宇宙飛行士になりたいと、嫌なことがあると、宇宙服を着てその世界にどっぷりと浸かるシーンも、大好きな「スターウォーズ」のチューバッカの空想で最初の難関を乗り越えるシーンもあるし、特殊メイクで熱演。

実際にオギーと同じ症状のトリーチャー・コリンズ症候群の子供たちや、その家族と会って友達になり、彼らの意見のリサーチに務めたと言う。

そして、実際に、予想を裏切ることもなく映画はこのようなイジメとか、心が折れて落ち込むとか展開します。ですが、一つ一つのエピソードが、一人一人の登場人物すべてが、文句なしのクオリティなのです。

そうなんですね、本当に悪い人はいないんです。あっ、1組いました。オギーに虐めをしている生徒の両親が学校に呼ばれて、校長先生に指導を受けると、自分の子供は絶対にそんなことはしないと、頑固な両親が校長に文句を言い、こんな学校辞めてやると怒って帰った人もいたわ。

両親の注目がオギーばかりで寂しいお姉ちゃんも、自分がグレてもおかしくないのに、荒れる弟を表に連れ出して慰めてあげたり、姉に恋人が出来て、初めてなのでドキドキして、急に冷たくなった親友のミランダに悲しくなったりしてる。その親友の女の子も、どうしてそうなったかが言い出せない。本当は仲良くしたいことを、涙ながらオギーに打ち明ける。

両親がオギーにかかりっきりで、寂しい姉のヴィア(イザベラ・ビドビッチ)も、もしかして、自分が弟と同じ病気になったかもしれないと理解して、弟に優しくなる。

學校のクラスメートも、オギーのことを笑ったり、遠巻きにして傍に近づかない。そんなクラスメイトからも、次第にかけがえのない親友が出来て来る。始めは、校長先生が、オギーのためにクラスメートの中から、2・3人ジャックとかを選んで優しく接するようにと頼んでおいたわけ。

オギーと仲良くする友達に、他のクラスメートが意地悪したりするのもあり、結構問題なこともある。当然、いじめっ子からオギーを助ける場面もあり、最終的には、そのいじめっ子チームが上級生からオギーを守ったりするから、もう嬉し泣きが止まりません。

小さい体で悲しみや辛さを、必死に我慢している男の子を観て、涙を流し胸が締め付けられるような感じもするシーンがあるが、母親の英才教育で学校へ行っても、他の子供たちと大差なく勉強が出来て、返って友達のジャックに勉強を教える優しさもある。

家で飼っているデイジーというワンコが可愛い。でも母親を噛んでしまってから、母親が保健所にでもやってしまったのか、家には戻ってこなかった。ワンコだって、かまってもらわないと寂しいし、オギー中心の家族関係にも少し問題があるように思いましたね。

肉体的に障害を負った人たちの社会参加はとても重要な課題であり、この映画はその強力な後押しになると思いますね。お子様ずれで鑑賞するといいと思います。

018年劇場鑑賞作品・・・113アクション・アドベンチャーランキング

 

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ワンダーウーマンIMAX3D★★★・5

2017年08月27日 | アクション映画ーワ行
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』にも登場した人気キャラクターで、美女戦士ワンダーウーマンを主人公にしたアクション。女性だけの一族出身で男性を見たこともないプリンセスがたどる運命を描く。ワンダーウーマンを演じるのは『ワイルド・スピード』シリーズなどのガル・ガドット。『スター・トレック』シリーズなどのクリス・パインらが共演し、監督は『モンスター』などのパティ・ジェンキンスが務める。イスラエルでの兵役経験もあるガルの本格的なアクションに期待。

<感想>DC初の女性ヒーロー誕生。確か「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」で衝撃的なデビューを飾った彼女が、ここでは、いかにして本物のヒーローへと覚醒したのかが語られる。
舞台は第一次世界大戦下、世界から隔絶した女性だけの島に生まれ育ったワンダーウーマンことプリンセス・ダイアナが、ドイツ軍基地に乗り込んで敵を倒す姿は痛快そのものですから。

人間社会から隔離された島セミッシラで、戦士として特訓を受けていたダイアナ。ある日、彼女は毒ガス兵器の製造法が記されているノートを盗み、ドイツ軍に追われていたスティーブを海で救助する。

アマゾン族は島に上陸したドイツ軍と戦うことに。戦争の背後に軍神アレスの存在を感じたダイアナは、世界を救うためにスティーブと共に島を出る。アマゾン族が繰り出すアクロバティックな攻撃は、迫力十分でした。特にアマゾン族の軍隊を率いる女王の妹アンティオペの、ロビン・ライトの最強の戦士としてが凄かった。

ロンドンへ辿り着いたダイアナとスティーブは、彼が軍の上層部にドイツ軍の大量虐殺計画の阻止を訴えるも、休戦協定を優先とする政府は提案を却下する。ロンドンでのダイアナが洋服を買うために、「動きにくい」と226回もドレスを試着して、秘書のエッタを困らせる場面もある。

当時は女性は窮屈なコルセットを付けてドレスを着て、女性が政治に参加できない社会の風潮に疑問を抱くのだが、この当時はまだまだ、男尊女卑の世界ですからね。このブルーのドレスは、パーティ会場へ行く途中で、ある女性が着ていたのを貰ったもの。
そして、ホテルの回転ドアの通り方(ダイアナが持参している剣と盾が邪魔)に戸惑うダイアナ、でも、裏道でスティーブが襲われると、彼のボディガードのように活躍するダイアナにびっくりですから。

それじゃぁ、独断で敵と戦うことになったスティーブとダイアナ、しかし仲間ははみだし者ばかり。ダイアナは、裏でドイツ軍を操るアレスを倒せば戦争は終わると信じ込み、戦場へと向かうわけ。

ベルギーの前線でダイアナが観たのは、負傷した兵士や住む家を失った村人たち。「全ての人は救えない」と話すスティーブの言葉を無視して、ダイアナは一人ドイツ軍に立ち向かうのです。スティーブたちも彼女を援護し、小さな村を奪還し、一時の安らぎを得るも、ドイツ軍が毒ガス兵器を村に投下して、村人たちは死亡する。怒りに燃えるダイアナ、虐殺計画の首謀者ローデンドルフ総監こそが、軍神アレスだと確信するダイアナ、敵地へと一人で向かう。

ですが、毒ガスを積んだ戦闘機が、今にも飛び立とうとしているところへ、スティーブが乗り込んで飛行機を奪い自分がその飛行機で飛び立ち、飛行機が爆破して悲惨な死に方をする。

ダイアナが超人的な跳躍力で、敵のアジトに殴り込みをかけるシーンでは、スピード感あふれる攻撃で敵を一掃するわけ。ダイアナを演じたガドットは、次女を妊娠中で、ツワリに耐えながらアクションをこなし、妊娠5ケ月後での追加撮影では、CGでお腹のふくらみを隠すために緑の布を巻いて撮影したとそうです。

それに戦争の中、戦いを通して絆を深めてゆく米国軍人スティーブとの淡い恋も、ヒーローになるための重要なポイントなんですね。主人公のダイアナが初めて出会った男性(スティーブ)が入浴中の身体を凝視したり、コミカルな掛け合いも楽しいです。そして、彼が街角で買ってくれたアイスクリームの美味しさに感激したりと、笑いの要素も随所に散りばめて、暗くてシリアスなイメージが強かったDCUFに新たな風を吹き込んでいた。

とにかく強くて、綺麗でかっこいいと来てる。まさに完璧な美女戦士が彼女だが、ただそれだけでは、ここまで愛されることは決してなかっただろう。強さと美しさと、愛きょうまで感じさせる人間性がそろっている「これまでにないキャラクター」だからこそ、見る者に新鮮な驚きを与えてくれる

神々しくてりりしい! 戦車を軽く持ち上げるほどのスーパーパワー!圧倒的なスピードで戦場を駆け抜け、銃弾をはじき飛ばしたかと思ったら、華麗な剣さばきで群がる敵を完全一掃! 戦車まで投げ飛ばすほどのスーパーパワーを持つ彼女のことを、あのバットマンは「地球上で最強」と表している。剣と盾のアクションに加え、華麗なる投げ縄さばきも見よ!

ワンダーウーマンの武器」として、光り輝く縄のラッソー オブ トゥルース。そして、どんな攻撃も跳ね返す破壊不可能なブレッツ アンド ブレスレッツブレスレット。前作「ジャスティスの誕生」でもビルを吹き飛ばすほどの攻撃を

完全に防ぎきっているのだから。それに、「ティアラ」、ブーメランとして使用するだけではなく斬撃にも使用が可能。その威力はクリプト人の皮膚を切り裂くほど(今回は使用してません)。

ですが、この映画最大の見どころは、主人公「ワンダーウーマン」を演じた“ガル・ガドット”です。とにかく美しく、ミス・イスラエルに輝いただけあるスタイルの良さに「ワンダーウーマン」の衣装を着て違和感がありません。私生活でも2児の母親であり、美貌とたくましさ、そして母性を併せ持つ彼女は、まさにリアル・ワンダーウーマンでしょう。
2017年劇場鑑賞作品・・・192アクション・アドベンチャーランキング
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ワイルド・スピード ICE BREAK3D「IMAX」★★★★

2017年04月30日 | アクション映画ーワ行
世界的大ヒット・カー・アクション「ワイルド・スピード」シリーズの第8弾。謎の女サイバーテロリストと手を組んだドミニクの裏切りでファミリーが最大の危機を迎える中、世界各地を舞台に繰り広げられるファミリーとドミニクの攻防の行方と彼らの運命を壮大なスケールで描き出す。キャストにはヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソン、ミシェル・ロドリゲス、ジェイソン・ステイサムらお馴染みのメンバーに加え、シャーリーズ・セロン、スコット・イーストウッドらが新たに参加。監督は「ミニミニ大作戦」「ストレイト・アウタ・コンプトン」のF・ゲイリー・グレイ。

あらすじ:束の間の平穏を味わうドミニク(ドム)、レティら固い絆で結ばれたファミリーたち。ところが誰よりもファミリーを大切にしてきたドムのまさかの裏切りでホブスが投獄され、ファミリーは崩壊の危機に。そしてドムの背後には謎の女サイバーテロリスト、サイファーの存在が。ドムの暴走を止め、連れ戻そうとするレティたちだったが、到底太刀打ちできない。そこで最後の手段として、ファミリーは宿敵デッカード・ショウに協力を要請するが…。

<感想>冒頭でシリーズお約束のキューバのハバナで、ドムがボロ車でのストリート・カーレースに痺れて、それからは、どういうわけかボブスの要請でドミニクが出動、ベルリンで車をかっ飛ばし今回の任務は、武器商人に奪われた大量破壊兵器・電磁パルス砲の奪還作戦である。ですが、彼らのファミリーにはお手の物で、難なく作戦成功。

ところが、どうしたことか、帰り道でドミニクがボブスの車を襲撃して、電磁パルス砲を奪って逃走してしまう。主人公がダークサイドに寝返る、これまでとはかなり違うストーリーが展開する。

それで、ファミリーの中のホブス(ドウェイン・ジョンソン)が投獄され、刑務所の中でデッカード・ショウ役のジェイソン・ステイサムと出会も、取り合え仲良くなり手を組むことになる。これって大丈夫なの、だって彼は弟を痛めつけたドムの家に爆弾を仕掛けて復讐の鬼になってたんですからね。

それと、フアミリーの助っ人として、「ヘイトフル・エイト」のカート・ラッセルが、そしてリトル・ノーバディ「スーサイド・スクワッド」のスコット・イーストウッドも参戦という最強軍団が出来上がる。

どうしてドミニクが裏切り行為には理由があってのことで、敵役として謎のサイバーテロリストのシャーリーズ・セロンが登場するという。実は、ドミニクの元恋人エレナが男の子を産んで一人で育て、その親子をサイバーテロリストのシャーリーズ・セロンが拉致して、ドミニクを誘い自分に力を貸してもらおうとする。初めて知った我が息子にメロメロのヴィン・ディーゼルは、恋人のレティが子供を欲しがっていることも考えて悩む。

まずはNYでのドミニクをファミリーが追うカーチェイス。シャー子さん演じるサイファーは、一般車に搭載されているシステムに侵入して、遠隔操作で立体パーキングの車を動かし、次々にビルから落下させるんですから。追走していた警察の車は、まさに車の雨の直撃で潰されていくわけ。

このサイバーテロリストの悪役は、シャーリーズ・セロンにぴったりのハマリ役で、ドミニクの目の前で母親のエレナを殺害し、助けに入ったジェイソン・ステイサムまで殺してしまう。ですが、このステイサムを助けるのが、まさかのあの人(ヘレン・ミレン)が、ステイサムの母親役で出演にびっくり、それにしても、ジェイソン ステイサムが、ドムの赤ん坊を救出してアヤしながら敵との格闘技を披露します。ステイサムが相変わらずキレキレのアクション満載で見せてくれいるし、もう一人の主役って感じがしたわ。

物語に出て来る“神の目”とは、世界中のコンピューター・システムに侵入して、特定の人物を探し出すというプログラム。開発者のラムジー(ナタリー・エマニエル)は、今やドミニク・ファミリーの一員。だから、シャー子に連れ去らわれた息子も、ドムが首に掛けていた十字架にGPMが取り付けられていたわけ。だから、潜水艦だろうと、飛行機の中だろうと直ぐに探知してしまうのだ。

最近は、ヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソンと、ジェイソン ステイサムの3人が、ツルッパゲの筋肉マンで活躍してもう言うことなしって感じがした。今作からは、悪役は似合わないステイサムが、ファミリーに仲間入りするということですかね。

見せ場は、ラストの極北ロシアの氷上チェイスです。シャー子が乗っている潜水艦を浮上させながら氷を砕き、その上に無人戦闘車まで参戦。氷の上を走っているファミリーの車をなぎ倒すというド派手さ。それでも、車のテクニックは一流揃いですからね、氷の山など難なくクリアして走り去るという腕の良さに惚れ惚れしますから。
意外なストーリーの展開や、新たな豪華キャストの登場といった変化は、見ていて観客が最も喜ぶ材料かもしれませんね。ラストでドミニクが息子の名前を“ブライアン”と名付けたのは、故ポール・ウォーカーが演じていたブライアン・オコナーから取ったものですよね。赤ん坊がヴィン・ディーゼルにそっくりなのが可愛い。

2017年劇場鑑賞作品・・・95アクション・アドベンチャーランキング
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わたしは、ダニエル・ブレイク★★★★

2017年03月22日 | アクション映画ーワ行
『麦の穂をゆらす風』などのパルムドールの常連ケン・ローチ監督がメガホンを取り、社会の片隅で必死に生きようとする男の奮闘に迫る人間ドラマ。病気で働けなくなった主人公が煩雑な制度に振り回されながらも、人との結び付きを通して前進しようとする姿を描く。コメディアンとして活動しているデイヴ・ジョーンズらが出演。ローチ監督にパルムドールをもたらした力強い物語に震える。
あらすじ:59歳のダニエル(デイヴ・ジョーンズ)は、イギリス・ニューカッスルで大工の仕事に就いていたが、心臓の病でドクターストップがかかる。失職した彼は国の援助の手続きを進めようとするが、あまりにもややこしい制度を前に途方に暮れる。そんな中、ダニエルは二人の子供を持つシングルマザーのケイティと出会う。

<感想>ジミー、野を駆ける伝説」(2014)で監督業から引退を表明していたのだが、80歳になる彼がその宣言を撤回してまでどうしても伝えたいことがあると、制作したのがこの作品。カンヌ映画祭で2度目のパルムドールを受賞したという事実こそを、まずは評価したい。
それはこの主人公である59歳のダニエル・ブレイク。最愛の妻を亡くしたばかりの大工のダニエルは、心臓病で医者から働くことを止められているのに、仕事をしなければ食べていけない。生活に必要な支援を受けるために役所に行くと、本当に病気で仕事ができないのか審査される。様々な質問に答えるものの、何かちぐはぐなやりとりである。「問題は心臓病だ」と言っているのに、「腕は上がりますか、帽子はかぶれますか」と質問される。審査をする側は、決まった質問を次から次へと並べ立てて、身体の不調を訴えるダニエルに対して、「ちゃんと答えてくれないと審査に影響しますよ!」とダニエルを厄介者扱いをしているようにしか思えない。

審査の結果の通知が来るのも時間がかかる。確認したいと電話をすれば、録音の機械の音声が応答するばかり。それに、役所での仕事の効率化は分かるが、「申請、照会はオンラインで」と言われた時点で、ダニエルみたいなアナログな人間はハジカレルのだ。
どうして、ダニエルは医者の心臓病の診断書を役所に提示しなかったのか。それにしても、役所というところは、パソコンの出来ない老人に対して不親切であり、手のひらを返したように追っ払うのだ。書類を提出するのに、すべてパソコンで打たなければならないなんて。日本でもそうなのだろう。

「就労可能で手当ては休止」と職業安定所で烙印を押されてしまう。そこで出会ったのが、2人の子供を抱えるシングルマザーのケイティ。彼は何度も彼女と一緒に手を携えては、難局を乗り越えようとするのだが、・・・。それに、2人の子供がいるシングルマザーのケイティは、難民かそれともイギリス国民ではなかったのか?・・・彼女は父親が違う子供を2人産み、その父親から養育費を貰うように申請できるのに。

だから、2人の子供を抱えて家賃の高いロンドンでは暮らせず、この地へ来て福祉施設の世話になることになる。だが、彼女にも国の制度は冷たかった。雨露をしのぐアパートは与えられたけれど、食べていくのにお金がない。無料のフードバンクの行列に並ぶケイティは、子供たちに食べさせて自分は何日も食事を口にしてないのだ。やっと順番が回ってきて、缶詰や野菜にパン、スープにパスタソースなどたくさんの食べ物を袋に詰める。だが、余りに空腹なのでパスタソースの缶詰を飲んで倒れてしまうケイティ。

これがイギリスの現実なのか、いや日本だってこのようなシングルマザーがたくさんいるはず。そう変わらない現実があることを忘れてはならない。彼女がお金のために、売春まで手を染めてしまうのは残念だが、そのことも、ダニエルが仕事場まで行って説き伏せるのだが、若いケイテイにはそれしか選ぶ仕事がなかったのだろう。

さて現実は、そこから浮かび上がるのは貧困と病に打ちひしがれてもなお生きようとする、いや生きねばならぬ庶民の悲痛な叫びであり、矛盾した制度と過酷な現実に追い詰められた福祉社会であります。誰のための社会保障なのか?、困り切って助けを求める市民に、申請、審査、認定、不服申し立て、支給停止、などと様々なハードルが立ちはだかるのだ。

その初老のダニエルが、ついに堪忍袋の緒を切らす後半のクライマックスでは、観客は誰しもが言葉を失うに違いない。「私は、ダニエル・ブレイク。税金を支払い今まで働いて来た。なのに役所は病人に対して、親切に対応してくれず、挙句に働けと職業の斡旋をすると言う。正当な扱いを要求する」と、社会福祉事務所の壁に抗議の叫びを描き、声高らかに公衆の前で叫ぶのだ。
その落書きをしたことや、ダニエルに対して警察で取り調べがあるも、トイレで心臓病で亡くなるという結末に愕然とする。
その主張のあまりの救いのなさに、たじろぐ思いをする人がいるかもしれないが、名もなき一市民ではなく、名のある一人の人間として、この人間の尊厳こそが、ケン・ローチの終生のテーマであることを、改めて感じさせる名場面でした。
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私の少女時代-Our Times-★★★

2016年12月21日 | アクション映画ーワ行
本国台湾で2015年のナンバーワン・ヒットに輝いた青春ラブ・ストーリー。90年代の台湾を舞台に、アイドルに夢中の平凡な女子高生が、イケメン優等生と不良学生との間で思いがけず繰り広げる甘酸っぱい三角関係の行方を、ピュアかつノスタルジックに綴る。監督はこれまで数多くの人気TVドラマを手がけてきた女性プロデューサーで、これが初監督となるフランキー・チェン。
あらすじ:90年代の台湾。香港の人気スター、アンディ・ラウとの結婚を夢見る平凡な女子高生、リン・チェンシン(ヴィヴィアン・ソン)。学校でも学園の王子さま的存在のイケメン優等生・オウヤン(ダレン・ワン)に憧れを抱いていたが、彼女には手の届かない高嶺の花。しかも欧陽には才色兼備の学園のマドンナ敏敏(ミンミン)というお似合いの相手もいた。そんな中、“不幸の手紙”がきっかけで、学校一の不良・大宇(タイユィ)に目を付けられてしまう真心だったが…。

<感想>女学生を主人公にした台湾の青春映画。どうしてこうも初々しくて可愛らしいのだろう。何よりもコメディ感覚にあふれているので楽しい。少女時代はまだ異性を、セックスを知らない特別な時期とすれば、台湾の青春映画の少女たちは、その少女時代の真っただなかにいる。異性を知る前の、短く、儚い少女時代を揺れ動きながら生きている。

女学生の制服はたいて真っ白のブラウスであって、清潔感がある。よく自転車に乗るし、学校のプールや王城が秘密の遊び場になる。アイドルや同級生の美少年に憧れる。やがて大人になってゆく少女たちが、つかの間の思春期をかけがえのない時間として懸命に生きるのだ。主人公を演じるヴィヴィアン・ソンは美少女ではないが、隣の女の子らしい愛らしさがある。学校の中では目立たないその他大勢の一人。バサバサの髪でメガネをかけている。アンディ・ラウに憧れていて、まだ恋愛と憧れの区別がついていないのだ。

成績は悪いし、失敗ばかりしている。しかし、いたって気はいい子なのだ。「幸福の手紙」実際は不幸の手紙をもらい、それを嫌な教師や男子生徒に人気のある美少女に「不幸になれ」と回すあたりは、笑わせてくれる。すぐに犯人とバレるのだから。

この三枚目の女の子が、学校一の美少年と不良学生の間で心ゆれるようになっていく。日本の少女漫画によくみられる展開で、新鮮味はないが、女の子がふってわいた幸福にどうしていいか分からずに、おろおろ混乱する様子が愉快なのだ。恋心を知った彼女が、おしゃれをするようになり、日本の女性誌を参考に変身する。おかっぱの似合う可愛い女の子になってしまう、それは上野樹里に似ているではないか。

大人になった彼女が、高校時代を思い出すという回想形式をとっているが、その為に戯画化されているいるのが納得できるのだ。高校時代は90年代らしい。1987年の戒厳令は解除されているが、学校はまだ規則が厳しくて、生活指導教官が生徒の生活にうるさく介入するのだ。
本作は台湾、中国や香港などアジア中の女性から圧倒的に支持された。その理由が女の子が感じていること、言いたいことをたくさん代弁しているからだと言う。「女の子の大丈夫は、大丈夫じゃない。何でもないは、大ありなの」と、台湾でこの言葉を使うと、それって「私の少女時代」からでしょ。って笑ってもらえる。

ダレン・ワンが、ヒロイン演じるヴィヴィアンのところへ、深夜駆けつけるシーンでは、特に若い男性の観客は覚えておいた方が将来役に立つかもしれない。
映画製作の中心である40代や50代の人々は、みんなよほど痛い目にあってきたのだろう。その意味では、本作は過去の台湾映画のよいところを集めた映画のようなところもある。
それに対して生徒たちが抗議をしてゆく場面では、台湾の民主化の過程で次々に起きた学生運動を思わせる熱気がある。この映画は、その舞台である「90年代」に捧げたところがある。民主化が進み、経済が成長し、社会に活力が溢れて若者が前向きだった。作った人たちの青春は、きっと90年代にあったのだろう。
だが、主人公たちの気持ちが観客には判っているのに、延々と繰り返し盛り上げるのはちとクドイし、長すぎると思った。アンディ・ラウが本人役で現れるラストは洒落ているよね。

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われらが背きし者★★・5

2016年11月23日 | アクション映画ーワ行

ジョン・ル・カレの同名ベストセラーをユアン・マクレガー主演で映画化したスパイ・サスペンス。平凡な大学教授とその妻が、ロシアン・マフィアの大物が画策する英国への亡命計画に巻き込まれて繰り広げる危険な大冒険の行方を、関係者それぞれの濃密な人間ドラマとともに描き出す。共演はステラン・スカルスガルド、ナオミ・ハリス、ダミアン・ルイス。監督は「ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ」のスザンナ・ホワイト。
あらすじ:弁護士である妻ゲイルとの関係修復を図るべく、モロッコへと休暇にやってきた英国人大学教授ペリー。ひょんなことからロシア人のディマと知り合い、いつしか心を許していく。そんなペリーに、ディマは思いも寄らぬ告白を始める。実は彼は、ロシアン・マフィアでマネー・ローンダリングを担当していたが、今は組織から命を狙われる身となっていたのだ。そこで自分と家族の英国亡命を希望する彼は、組織の情報が入ったUSBメモリーをMI6に渡してほしいとペリーに依頼する。ディマの家族の命がかかっていると知り、戸惑いつつもこれを引き受けるペリーだったが…。

<感想>ジョン・ル・カレのスパイ小説を映画化したもので、おまけに今回は原作者が制作も兼ねてということであり、おまけにカメオ出演までしていると言うのだ。それは、ベルンのアイシュタイン博物館の老係員で出演している。だからつい期待してしまった。小説の方は、現況のスパイ活動を反映していて、あまり意気があがらないし、ほどほどの面白さである。
それを脚本は、活劇的な趣向を盛り込んだりして映画的にまとめていて、結末などは上手く納めている。ですが、巻き込まれ型のサスペンスに徹すれば、もっとスッキリしたのではないかと思った。

それでも、ジョン・ル・カレ映画に駄作はないと信じているので、ロシアマフィアのマネーロンダリングをテーマにして、世界各地でロケをしたスパイアクションなのだが、この映画は主人公夫婦の倦怠感と不和が前提となっているのが興味深かった。

ディマが強引にペリーを豪邸のパーティに誘う。そこには派手派手の美女と怪しげな男たちがたむろする世界。白馬に乗った美女が現れたり、次の日は妻のゲイルも連れて行く。双子の可愛い少女に興味がある妻、だが、夫のペリーは前の晩に寝た女とよろしくセックスを楽しんでいるではないか。カンカンに怒った妻。夫の浮気現場を見せつけられ、イライラが爆発しそうになるも、ディマの家族の命を救うために力を貸して欲しいと頼まれては断れない。

それで、ロンドンへ帰りMI6のヘクター(ダミアン・ルイス)と会うことに。ジョン・ル・カレ映画というと「裏切りのサーカス」(11)が有名ですが、この作品では、舞台がモロッコ、パリ、ベルリンと様々な場所を移動しており、主人公もプロの情報部員じゃなくて、スパイ活動とは無縁な素人であります。

ですから、「007」シリーズなどと比べると、派手なアクションを期待するとがっかりですから。ディマは自分の行動が家族への背信行為になっていることに怯えている。ペリーがディマに選ばれたのは、ある背信行為がきっかけだと想像されるし、彼が進んでこの事態に臨んでいくのもその背信行為に対する、何らかの償いなのではと思って来るのだ。タイトルに相応しい物語が展開する。

そんなユアンと優秀な弁護士の妻にナオミ・ハリスがバランス良く、安定した出来栄えなんだけど、家族というテーマ性が強すぎてスパイ映画としてはややヌルイような気もしないではない。

それに、お話しのキーパーソンとなるレイルウェイ 運命の旅路」(2014)「しあわせはどこにある」(2015に出演していた,ステラン・スカルスガルドが、怪しいロシア訛り英語を話して、内心ビビリながらも精一杯の虚勢を張る心の内の表情の揺れが、伝わる相変わらずのいい演技をしている。だからユアン・マクレガーが、元気がないのが気になってしかたなく、ディマ役のスカルスガルドが目立ってしょうがなかった。

ディマから組織の情報が入ったUSBメモリーを、MI6に渡してほしいと頼まれるも、USBの中には何も情報が入ってなかった。その情報は、実はラストで分かるのですが、ディマが命を懸けて家族を亡命させるべく、一人ヘリに乗り込み、山の上でヘリが爆発するのだ。
その時、ディマから渡された拳銃を持って、MI6のヘクターの家へと行き形見の拳銃を渡す。すると、その拳銃の中からロシアン・マフィアの組織の資金洗浄のリストと口座番号が書かれたメモ紙が出てくるのだ。
ロシア人のディマの家族の亡命劇と、一夫婦の問題が二重のサスペンスを織りなしている。主人公の大学教授のユアン・マクレガー主演が、巻き込まれキャラとして申し分のない、期待通りに人のよさに付け込まれて翻弄されるのだ。

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わたしの名前は...★★★

2016年01月29日 | アクション映画ーワ行
著名なファッション・デザイナーのアニエス・ベーが本名のアニエス・トゥルブレ名義で撮り上げた記念すべき長編映画監督デビュー作。家出した少女とトラック運転手の切なくも心温まる逃避行を描いたロード・ムービー。主演の少女にはオーディションで選ばれたルー=レリア・デュメールリアック。一方のトラック運転手には監督との親交もあるアーティストのダグラス・ゴードン。
あらすじ:父親から性的虐待を受けていた12歳の少女セリーヌ。ある日、学校の自然教室に参加した彼女は、訪れた海辺でたまたま停まっていた長距離トラックに忍び込み家出を企てる。運転手の中年男ピーターはスコットランド人で、言葉はほとんど通じない2人だったが、少しずつ心を通わせていく。やがて少女の失踪は大きな事件となり、そのニュースはピーターの耳にも届くのだったが…。

<感想>ファッション・デザイナーのアニエス・ベーは知らなかったのだが、女性監督ということで興味を持ち観賞した。ここでは監督だけではなく脚本も手掛け2日間で一気に書き上げたというから凄い。作品の内容はというと、ある女性の回想録で確かにロードムービーであるが、不幸な体験をもつ少女と中年のトラック運転手の道行きといういささか陳腐な物語だが、斬新で刺激的な語り口でえがかれている。

それゆえに期待したし、不安も抱いたわけなのだが、まさに雰囲気だけの自己陶酔型が鼻につき、感情移入を誘うタイプの映画ではなくなる。運転手の中年男ピーターはスコットランド人で、英語とフランス語、言葉はほとんど通じない2人だったが、2人は互いに心を通わせるようになる。

だが、少女の失踪は大きな事件となり、そのニュースはピーターの耳にも届き、その逃避行はやがてとんでもない結末を迎えることになるのです。
2人の旅があまりにも素敵過ぎるから災いが起こらないように祈らずにはいられなくなり、しまいにはかなり心を揺さぶられてしまう。トラック運転手が何故誘拐まがいのようなことをして、少女と逃避行をしたのか、それは、少女を娘のように思ってしまったのかもしれない。

だから、最後で、誘拐暴行容疑で逮捕され黙秘したまま自殺してしまう結末に、そして、少女は父親に抱かれて、私にはこれはちょっと問題があるのではと、父親と娘の関係がすんなりと受け入れられるでしょうか。父親の娘に対する性的虐待は治らないでしょうね。残酷です、社会福祉事務所がもっと少女に手を差し伸べなければ、ただの誘拐事件として扱うのは酷過ぎる。

新聞記事を基にした筋運びというのだが、いささか安易といえば安易だし、少女への性的虐待という深刻なテーマには、真剣に取り組まないと誤解を招く恐れがあると思う。
ですが、そこはファッションだけではなく、映像の世界でも感性を備えているアニエスのことだから、映像に音楽にも手を代え品を代え全力投球をしているようだ。通常のカラー撮影に飽き足りたかのような、モノクロームやコマ落とし、ボカシまで入れてまるで実験のような映画にしている。
ジョナス・メカスの映像や、ソニック・ユースの音楽など友人たちの助っ人ぶりが良かったのでしょうね。ですが、時折見せる日本人の白塗り舞踏の男女とかが、観ていてしらけてしまうのだ。
それでも、やはりこの映画の主人公である、オーデションで選んだという少女役のルー=レリア・デュメールリアックの上手さと、運転手を演じた映画監督で現代美術家のダグラス・ゴードンが映像センスを支えているのだろう。

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私たちのハァハァ ★★

2015年11月01日 | アクション映画ーワ行
『アフロ田中』「スイートプールサイド」などの松居大悟監督と人気ロックバンド「クリープハイプ」が、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』に続き再タッグを組んだ青春ロードムービー。クリープハイプが大好きな女子高生4人が、東京で行われるバンドのライブを観るため、福岡から東京まで自転車で旅する姿を描く。女子高生を井上苑子、大関れいか、真山朔、三浦透子という面々が演じるほか、『愛の渦』の池松壮亮と中村映里子らが出演。
あらすじ:福岡県北九州の片田舎に住むチエ、さっつん、文子、一ノ瀬の仲良し女子高生4人組は、ロックバンド“クリープハイプ”の大ファン。ある日、福岡のライブで出待ちしていた彼女たちは、“東京のライブにもぜひ”と言われ有頂天に。そして興奮冷めやらぬままに、東京行きを決意する。こうして深い考えもなしに、高校最後の夏休みを使って東京へ向けて自転車を走らせた4人だったが…。

<感想>大好きなバンドを追いかけて、北九州から東京へ。その手段もネットの知恵袋で調べて、ツイッターで逐一状況をアップしては、一躍人気者になり、さらには、その後も、やはりネットで叩かれてしまう。
どう見ても無謀なとしか言いようがないのだが、とかく女子高生というものは、依然として商品価値があるのだから。バンドのライブを見に北九州から東京までママチャリで行くというのを、男子高校生がやるって設定にしたら、ボツになっていただろうから。

殆どが、演技経験のない現役女子高校生、というのがミソなんですね。喧嘩しても、ラインでサラッと元通りに会話を交わす彼女たちなんですものね。これが現代の青春なのか。
旅の間に、彼女たちの素の部分が現れるのを、作り手と観客の双方が期待するわけなのだが、その点ではそれなりに成功していると思う。

しかし、主人公たちはちょっと無計画すぎですから。自転車で夜通し走って朝を迎えるのも、知らない街の公園で野宿してこれが楽しいのって。途中からはヒッチハイクで、知らない男の池松壮亮も登場して、彼の車に乗り込んだりと。

そして、金が尽きれば、果ては新幹線代欲しさにキャバ嬢の真似事をして金を稼いだりという、とにかくリアルで現実的で逆にムカつき、女子高生を持つ親としてはイライラとしてしまう。
まぁ、そういう無謀な試みの映画だからして、デジタル映像やツイッターやLINEを通じて形成され、表現されるところに見事に今の現在の映画だと感じました。

彼女たちの、タイトルの“ハァハァ”とは、興奮すること、胸の昂りとか、それなりに失望感を味わうということも、共感する部分もあります。だからということで、クライマックスのクリープハイプのライブ会場シーンも、何となく解ってしまいなるほどと思った。

10代の女子高生は無敵なのだなぁ、と妙に感心してしまった。年を取った私には時代を感じて、この次元から遠く離れてしまったことに改めて気づく、自分にとってのロードムービーでもあり、4人が標準語ではなく北九州弁で喋っていたら、もう少しこの映画も評価できたのに。
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わたしに会うまでの1600キロ ★★

2015年10月26日 | アクション映画ーワ行
『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』などのリース・ウィザースプーンが、1,600キロの距離を3か月かけて1人で歩き通した女性を演じたヒューマンドラマ。第二の人生を歩むために、自然歩道のパシフィック・クレイスト・トレイルに挑んだ実在の女性、シェリル・ストレイドのベストセラーを基に、『ダラス・バイヤーズクラブ』などのジャン=マルク・ヴァレが映画化。『ランブリング・ローズ』などのローラ・ダーンが共演する。美しく壮大な情景、過酷な旅と共につづられるヒロインの人生を体現したリースの演技に圧倒される。
あらすじ:砂漠と山道を徒歩で旅することにしたシェリル(リース・ウィザースプーン)。旅をスタートさせる少し前、シェリルは母の死を受け入れられず、薬と男に溺れる日々を送り、結婚生活は崩壊してしまう。シェリルは人生について思い直し、自分自身を取り戻そうと決意。こうして彼女は旅に出たが、寒さが厳しい雪山や極度の暑さが体力を奪っていく砂漠が彼女を苦しめ……。

<感想>この映画を観て、エミール・ハーシュが演じた「イントゥ・ザ・ワイルド」人生に不満を抱えていた青年がアメリカを横断。その果てにたどり着いたアラスカの荒野で死ぬまでの心の軌跡を描いた映画。を思い出してしまった。

ですが、この作品の主人公も自分探しというか、シングルマザーであった母親が死に、それに絶望したというか、結婚生活も自分がコカインや浮気で、夫に離婚を迫られるわけ。自暴自棄になったのだろうか、死に場所を求めて旅にでたのだろうか。そんなふうに見えてもおかしくないのだ。だから、彼女に感情移入して、よくやったとか、偉かったとか、褒める要素は全然見つからない。

しかし、彼女が軽く考えていたほど旅は楽ではなかった。何でもそうだが、こういう破天荒な人生を歩んで生きた人には、確かに一度はどん底へ落ちるほどの刺激が必要かもしれない。
メキシコ国境からアメリカ経由、カナダ国境までアメリカ西海岸を「パシフィッククレストトレイル」南北に徒歩で縦走するハイキングがあるという。結構な人たちが、グループで、男だったら一人旅でと過酷な旅にチャレンジするのである。どのように歩くのか、地図もあり、地点ごとに休みどころがあり、食料や水を補給して、その店へ自分の名前で品物が届くようにすることも出来るのだ。

それなのに、この主人公ときたら、もの凄い重量の荷物を背負い歩くのだ。もう、いくらも歩かないうちに悲鳴をあげてしまう。そりゃ、今まで大学生で、その後は結婚生活で、日ごろジョギングや山登りなどはしていない。だから、身体が華奢な上に、重い荷物を背負って、慣れないきついキャラバンシューズを履き、途中で靴擦れや生爪を剥して痛々しいシーンもある。
そんな映像に断片的にフラッシュバックで、過去の母親との生活や、夫との結婚生活を映し出して行く。原作では26歳で1600キロの道のりを踏破した主人公を、映画ではアラフォーのリース・ウィザースプーンが演じているのが、今的である。

その道中を通して、彼女の生い立ちや母親との関係をつまびらかにする構成になっていて、そこが見どころとも言えるようだが。つまりはこの過去が、この旅の現在形を支えているようにも取れる。地形や環境の変化も、肉体的な苦痛や精神的な旅の舞台として、気楽なハイキングコースではないので申し分ないですね。

今回は旅の途中で、出会う人物が、善悪ふくめて多彩で、持っていた水が無くなり、途中の水タンクに立ち寄り蛇口を出しても何も出てこない。タンクの水が空になったことで起こる危機が、説明的に感じるのはそういった理由もあるからなのだ。
砂漠の真ん中で、男2人の若者に声を掛けられて、夜になったらこの男たちが襲ってくる恐怖に襲われるサスペンスもあり、砂漠なのでガラガラ蛇が出てきたり、テントの中に虫が入ってきたりと、その間に過去の物語がフラッシュバックで映し出される。

しかし、この主人公の生きざまというか、旅先でどうってことなく男と寝てしまうのが嫌だ。自分をもっと大事にして、まだ若いし、いくらでもやり直せるし、寂しくなると元カレに電話をして甘えて愚痴を聞いてもらい、食糧などを頼んでしまう。

それでも、この主人公はヒッチハイクをしながらカナダを目指して、徒歩で制覇するのだが、ヒッチハイクでも変なエロオヤジに出会うこともなく乗せてもらい、途中で挫折しようと思ったり、男に襲われたり、金品を盗まれたりとかがなかったので不幸中の幸いかも。
さて、試練を経てその後の彼女の生活こそが見たいのに、体験記がベストセラーとなり、貧困からは解放されているようで安心しました。
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私の少女 ★★★.5

2015年08月01日 | アクション映画ーワ行
『クラウド アトラス』などで国際的に活躍するぺ・ドゥナと、『冬の小鳥』などのキム・セロンが共演した社会派ドラマ。元エリートの女性警察官と一人の少女との交流を、家庭内暴力や性的マイノリティー、外国人の不法就労といった社会問題を織り交ぜて描く。『オアシス』などのイ・チャンドン監督がプロデュース、本作が初の長編作となったチョン・ジュリが監督を務め、第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門、第15回東京フィルメックスコンペティション部門で上映されるや高い評価を受けた。
あらすじ:ソウルからとある港町の派出所所長として赴任した女性警察官ヨンナム(ぺ・ドゥナ)は、母親に捨てられ養父と義理の祖母から暴力を振るわれている少女ドヒ(キム・セロン)と出会う。何とかドヒを救い出そうと手立てを考えるヨンナムだったが、自身の過去が世間に知られ窮地に陥ってしまう。そんなヨンナムを助けるべく、ドヒはある決断を下すが……。

<感想>ショートボブへアのぺ・ドゥナが、警察官の制服に制帽を被っている。彼女が演じる田舎の女警察署長は、所長席に似合わないぺ・ドゥナの制服姿。女で若くても階級制度の韓国の警察制度では、大学卒の女官僚が生まれるのだろう。ソウルで起こした同性愛者の問題も、ゲイやニューハーフに比べてまだまだ韓国では、市民権や認知度が低いのだ。だから、蔑視どころか左遷されてしまい、警察署で、遅れて署長を出すタイミングもそうだし、それに、挙句の果てには家庭内暴力を受ける少女を守ろうとして、そのことが裏目に出て逮捕されてしまう。ぺ・ドゥナと初めて出会ったのは是枝裕和監督作の「空気人形」でした。

だからなのだろう、典型的な少女ドヒを演じたキム・セロンが、画面の中心を占めて圧倒しているのだ。いつの間にか背が伸びて大人びた少女のなっていたキム・セロン。彼女を初めて観たのは『冬の小鳥』の名演技でした。2000年生まれというから、現在では15歳の高校生である。そして「アジョシ」でも子役ながらメキメキと演技の幅を伸ばして、これからどんな女優になるのかが楽しみです。
田園風景の積み重ねのなかで、観客を睨みつけるようなカエルの狂暴さが凄いですよね。いきなり自転車の通り過ぎる瞬間につなぐなど、この監督は編集に独特の感覚を持っているようだ。
地方の村の閉鎖的な雰囲気、外国人労働者に対する差別、東南アジア諸国から出稼ぎにきた男たちは、殆どが不法滞在者であり、彼らを雇用している会社経営者は給料を搾取して、国に帰りたいという外国人労働者に対する暴力も見逃せない。ある意味、韓国のあまり良くない部分を描いているような感じがする。

後半では、少女のミステリアスな動きが中心となってくる。少女ドヒの場合は、親からの愛や関心を一度も得たことがないため、それがどんなことなのかも知らない子供なのだ。始めは長い髪のキム・セロンが、義父に追いかけられて逃げ惑う姿が映し出される。
ですから、この少女と出会うことになる女性警察官ヨンナムが、自分がどれだけ孤独であるかを理解しながら、少女を助けようと埋没していき運命のように受け入れていく。眠れないからといって、持ちこんだ酒を毎晩のように飲む。少女の家族のお婆さんと義理の父親も酒を飲む。だから、ある晩のこと、婆さんが酒を飲んで、少女を叱り赤いバイクで追い掛けて、海岸に転げ落ちて事故死ということに。そして、毎晩のように酒を飲んでは、少女を叩いて逃げる彼女を追い掛ける義父。飲酒が一つのテーマでもあるにも関わらず、その描写が上手くないのだ。
そして、ソウルから女性警察官ヨンナムを訪ねてくる同性愛者の女。酒を飲み絡んで、二人は別れ際にキスをする。それを少女の義父に見られてしまい、村中に女署長が同性愛者であることが知れ渡る。
あろうことか、義父は夏休みの間、娘のドヒを預かるという女署長に対して、少女性的虐待だと告発するのだ。ソウルから田舎の村に左遷され、粗面楚歌状態のぺ・ドゥナも、少女が風呂場で裸で一緒に入り、体を触られたと児童相談所の人に答えてしまう。ドヒは、それが、自分に対してこれから恐ろしい結果になるとは思ってもみなかったのだろう。
虐められる義父の元へと連れ戻されるドヒが考えた計画には、驚かされます。確かに、自分が安心して生きるには、誰と一緒に住むのがいいのか。身体が大人びて制服も小さくなり、女署長が新しく制服を新着してくれ、髪の毛も短くカットして、自分のためにしてくれる好意が本当に嬉しいのに、こんな結果になろうとは思ってもみなかったのだろう。

しかし、小さい怪物が潜んでいる少女の心の中には、恐ろしい計画が、それに気づいた女署長、お婆さんの事故死も、もしや彼女が殺したのではと疑ってしまう。少女が計画した夜のこと、義父が酒で酔いつぶれている傍で、服を脱いで裸になり横たわる。そして、警官宛にケータイ電話をかけてそのままにして、義父がさも自分をレイプしたように泣き叫び、自分で壁に体をぶつけて自傷行為というか、これも女署長の家でも、自分を可愛がらないと自傷行為をする場面が見られます。
駆け付けた警官により、義父は幼児性的暴行、虐待の嫌疑をかけられ逮捕される。韓国の中央と地方の格差、官僚組織などを背景にして、上手く組み立てられているドラマではあるものの、ヒロインの抱えている重大な問題を、観客に伏せておくことによって、引っ張っていくという作劇術は邪道なような気もしたのだが。
二人の関係は、場面が進むごとに、ドキュメンタリー的なスリリングさを増して行くのです。それは社会的問題を一篇の虚構に昇華しようと苦闘する新人監督の記録でもあるのだろう。
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ワイルド・スピード SKY MISSION★★★★★

2015年04月18日 | アクション映画ーワ行
高級車や名車が続々と登場し、迫力満点のカーアクションが繰り広げられるヒットシリーズの第7弾。ヴィン・ディーゼル演じるドミニクら、すご腕ドライバーにしてアウトローの面々が、東京、アブダビ、ロサンゼルスといった世界各地を舞台に壮大な戦いに挑む。メガホンを取るのは、『ソウ』シリーズなどに携ってきたジェームズ・ワン。オリジナルメンバーに加え、ジェイソン・ステイサム、カート・ラッセル、トニー・ジャーがシリーズに参戦する。スリリングな展開はもちろん、故ポール・ウォーカーの勇姿も必見。
注意:ネタバレで書いているので、これからご覧になる方にはごめんなさい。

<感想>もうこれで最後かと思うと、居ても立ってもいられず昨日1番で観賞しました。テンションとストーリーの盛り上がりが、マックス超越えを続けている奇跡のシリーズ「ワイルド・スピード」の7作目。ですが、主演のポール・ウォーカーが突然の事故死ということで製作中断になっていたのに、それを乗り越えてのカーアクション最高峰シリーズとして盛り上がりです。

冒頭からして、いきなり暗殺者デッカードこと、ジェイソン・ステイサムが飛んでもない適役を発揮して、捜査官ボブスことドウェーン・ジョンスンと肉弾バトル。ステイサムとロック様とのパンチとキックを繰り返し、勝負は互角のようだが、部屋もろとも小型爆弾で爆破する。爆風で吹き飛ばされたボブスは暫くは病院のベッドで休憩ですから。そこで、デッカードはドムたちのデーターを奪い去っていく。

お次が、ドミニクの家へと悪魔の手が忍び寄る。何と荷物の中に小型爆弾が仕掛けられていて、遊びに来ていたブライアンの家族を巻きこみ大爆発。しかし、間一髪で気が付いたドクが皆に叫ぶのだ。そして、東京にいるハンが殺されたことを知る。ハンの葬式に懐かしい顔ぶれが揃う。しかし、そこに不審な車が、後を付けるドム、デッカードとドムの車が正面衝突するとは、2人共無傷でバケモノのようで、そこへ謎の特殊部隊が現れる。

実は、今回のミッションは、秘密作戦司令官のミスター・ノーバディことカート・ラッセル。凶悪テロリストがラムジーという天才プログラマーを誘拐したという。彼女の開発したのは、世界中の監視システムにアクセスできる驚異のプログラム“神の目”で、これが悪人の手に渡ると世界は破滅するというのだ。

ドクたちの仕事は、テロリストからラムジーを救いだすこと。それが、コーカサス山地の1本道を移送中。そこで、ドミニクたちが空から敵を襲うという信じられない作戦。
何しろ、大型輸送機に乗ったドミニクたち仲間の車が、数千メートルの空の上からダイブして急降下、もちろんパラシュートで着地なんですが、そこが断崖の細い道なんです。ですが、見事に得意のチームプレーでトラックに乗った天才ハッカーの奪還に成功します。

それでも、ハラハラするシーンが満載でした。彼女の乗っているバスにはポールが乗り込んで行くと、ムエタイの使い手が襲い掛かり肉弾アクションの対決に。ラムジーを素早くドムの車に移して、ポール一人で闘うのですから、それに運転手も撃たれてバスは崖下へと転落していくのですから。ポールはバスの上に這い上がるも、寸での差でバスのバンパーにぶら下がる。亡きポールの大活躍がたっぷりと堪能できるシーンです。

そこからは、またもや兄貴のステイサムが現れて、ドムとデッカードとのダウンヒル・カーチェイスも凄まじい。ですが、そこへジャカンデの傭兵軍団が取り囲み、ドムがとったのは崖を下って真っ逆さま。

ところが、ラムジーは“神の目”を友達に送ってしまい、その友達はアブダビの王子に売ったというのだ。砂漠のど真ん中にそびえ立つ超高層ビルの群れ、その一つのビルの最上階にある真っ赤な高級車、ライカン・ハイパースポーツ。その車の中に取り付けてあるいうのが“神の眼”パーティへ乗り込んだ彼らは、余りにも厳しいセキリティに時間を取り、ブライアンとドムはその車を奪い取り、隣の高層ビル目がけてアクセル全開、ガラス窓を突き破り宙を飛びそのまま隣のビルへとジャンプ。ブレーキが利かないので、また隣のビルへとはぶっ飛びもん。

これって、特撮でもCGでもなく本物のスタントだというから凄い。まるで「ミッションインポッシブル」の映画みたいと喜んではいられないのだ。
しかし、折角取り返したのに、その“神の目”でデッカードが潜んでいる工場を見つけて襲い掛かるわけ。そこには、テロリスト軍団のジャカンデー一味に返り討ちに遭い特殊部隊は全滅に、“神の目”も奪われてしまうのです。

それで、“神の眼”を無力化できるのは作ったラムジーだけで、LAにいるテロリスト軍団のジャカンデーの近辺にいれば、ハッカーして壊してしまうことができるというのだ。決戦の舞台は自分たちの生まれ育ったLAのストリート。愛車のダッジチャージャーに乗り込むドム、この時、ブライアンは死を覚悟して妻に別れの電話をする。

これは第1作へのオマージュ。妻ミアとの間には息子が生まれて、それにお腹には妹が出来ているというのだ。幸せな2人に、危険な仕事で命を落としかねないとは。それと、ドムの恋人レティのミシェル・ロドリゲスも、今回は記憶を取り戻してドムとまた幸せになります。

ところが、敵も戦闘ヘリで襲い掛かってくる。それに、無人機ドローンによるミサイル攻撃と敵の攻撃に四苦八苦のドムたち。猛スピードのカーチェイスにブライアンとキエットのファイナルバトルが炸裂。そして、ドムとデッカードの因縁の対決は、鉄パイプにスパナの2刀流での肉体と肉体のぶつかり合い。これは、どうみても車だけのレース展開ではなく、スパイ大作戦のようになってきているのには驚いた。

そこへ助っ人参上のロック様ことボブスである。ガトリングガンを手に人間兵器と化して暴れまくる勇姿に惚れ惚れしました。そして、ドムの車のニトロエンジンが火を噴いた時には、この激闘に決着がつくのである。

最後の海辺が映されて、ドムとブライアンが車を走らせ別々の道を行くシーンに、そして、過去の「ワイルド・スピード」のポール・ウォーカーの懐かしい映像に、思わず涙が込み上げて来て止まらなかった。
今まで「ワイルド・スピード」を盛り上げて来てくれた、ヴィン・ディーゼル他の俳優さんたちに、最高の映画をありがとう!
そして、さようならポール。本当にありがとう!
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ワイルドカード ★★★

2015年02月02日 | アクション映画ーワ行
『トランスポーター』シリーズなどで人気のジェイソン・ステイサム主演のクライムアクション。『明日に向って撃て!』『大統領の陰謀』で2度のアカデミー賞を受賞した脚本家ウィリアム・ゴールドマンが自身の原作の脚本を手掛け、元軍人のすご腕用心棒とラスベガスを牛耳るマフィアとの死闘を描く。監督は、『メカニック』『エクスペンダブルズ2』でジェイソンとタッグを組んだサイモン・ウェスト、アクション監督を『レッドクリフ』シリーズなどのコリー・ユンが務める。
あらすじ:以前は優秀な兵士で、現在はラスベガスの裏社会で用心棒をしているニック(ジェイソン・ステイサム)。ある日、誰かにひどい暴行を受け重傷を負った元恋人から犯人捜しと復讐(ふくしゅう)を依頼される。瞬く間にそれを成し遂げたニックだが、犯人の背後には権力を駆使しラスベガスを支配する凶悪マフィアが控えていて……。

<感想>今年もジェイソン・ステイサムのアクション映画が多く観れるのが嬉しい。ですが、さすがに最近は物語がマンネリ化して、出てくれば特殊部隊上がりの傭兵とか、元CIAとかで敵をバッタバッタとなぎ倒して、ハッピーエンドで終わるのがつまらなくなってくる。

今回もラスベガスの裏社会で、腕一本で暴力を受けている依頼人を助ける用心棒の役どころ。相変わらず拳銃は使わず、格闘技でその辺にあるものを掴んでは武器にして敵をやっつけるのだ。
監督が「エクスペンダブルズ2」、「メカニック」のサイモン・ウェストで、武術指導には「トランスポーター」のコリー・ユンという、安心しきっての映画に仕上がっている。何が不満かというとどうってこともないが、とにかくいつもの敵をなぎ倒すアクションとカーチェイスの見事さは完璧なので、もうさすがに褒めるところ無しですからね。

それに、本作はバート・レイノルズ主演作の「ビッグヒート」のリメイクだそうで、昔のアクションスターのバート・レイノルズとは違って気持ちのいいスタントマンなしのアクションですから、見た目も綺麗ですよ。

女たちの中には、あの有名なアンディ・ガルシアの娘、ドミニク・ガルシア=ロリドが出ています。父親に目が似ているよね。

イタリアマフィアに暴行を受けたホーリーが、ニックの後ろから来て、マフィアのボスの○○○○を植木バサミでちょん切るというのだから、本当には切らなかったけど、男にはこういう罰ゲームもいいと思う。

すぐさま犯人を見つけ出し、彼らのいるホテルに乗り込む。そして、ニックがそのホテルに乗り込んだシーンでは、なんと赤いサンタの帽子を被って登場。自分のいでたちに恥じらいがあるのか、ドアを開けた人物に対してはにかんだような笑顔を浮かべるニックのお茶目さんぶり。
しかし、部屋へ入るや否やそこにある灰皿を武器にしたり、カードをまるで手裏剣のように使い、相手の顔や喉、腕を切る殺人技のアクション、後はテーブルのナイフとスプーンを武器に闘う姿は、してやったりと拍手もんです。

しかし、悪党から頂いた5万ドルを女と半分ずつ分けて、自分の2万5千ドルをカジノでバカラに賭ける、ギャンブル中毒症のニックの顔が見られますから。一応は、50万ドル儲けたのに、その50万ドルと元手の25000ドルの全財産を賭けての大勝負。

もう観てられませんから、結局スッカラカンになって、お金を稼いだら、夢のコルシカ島へ永住しようと考えていたのに、それでも、ベガスで若い青年サイラス(マイケル・アンガラノ)の用心棒になった。彼もギャンブルでは勝てないと嘆くが、実は大金持ちのお坊ちゃん。最後にニックにコルシカ島のチケットと50万ドルの小切手をプレゼントするサイラス。
そうそう、イタリアマフィアのカジノのオーナーに、大物俳優スタンリー・トゥッチが出演していて色を添えています。本当にラストのダイナーでのナイフとスプーンを武器にしての、アクションには驚きますから。それでも、ベガスから出ていくニックの後ろ姿に「お帰りは安全運転で、またお越しください」の看板がチラつく。もう、戻って来るなよと祈りたい。
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わたしは生きていける★★★.5

2014年11月11日 | アクション映画ーワ行
メグ・ローゾフのベストセラー小説を基にした、異色の青春ドラマ。テロリストによる核爆発と第3次世界大戦によって混乱するイギリスを舞台に、16歳の少女が織り成す決死のサバイバルをいとことの恋を交えながら映し出す。監督は『ラストキング・オブ・スコットランド』などのケヴィン・マクドナルド。『ハンナ』などのシアーシャ・ローナンを筆頭に、『ディファイアンス』などのジョージ・マッケイ、『インポッシブル』のトム・ホランドらが結集。絶望の中でも希望をつかもうとするヒロインの姿に胸を打たれる。
あらすじ:生後間もなく母親がこの世を去るなど、複雑な家庭環境で育ってきた16歳の少女デイジー(シアーシャ・ローナン)。彼女は会ったことのないいとこたちと過ごすため、1人でニューヨークからイギリスへとやってくる。純真ないとこたちと触れ合い、自意識過剰で反抗的だったデイジーの心境に変化が生じる。やがて、いとこの長兄エディ(ジョージ・マッケイ)に惹(ひ)かれるように。そんな中、ロンドンで核爆発テロが起き、第3次世界大戦が勃発する。戒厳令が敷かれ、デイジーたちは軍によって離れ離れになってしまう。

<感想>この映画を観て思ったこと。戦争とは子供たちにとって「絶望と希望、死ぬことと生きること」そして、「生と死」なんてそんな手垢にまみれたものとは違う、胃をぎゅっと締め付けられるほど鮮烈なのだ。
16歳の彼女が、目の周りを黒く塗ってパンクファッションに身を包み、黒いマニキュア、タイツがアナだらけを穿いて反抗的なシアーシャ・ローナン。すでに美少女路線からジャンル女優への道をばく進中の彼女。次回作がライアン・ゴズリングの初監督作品だそうで、これまたクセの強い選択ですよね。

イギリスの叔母を訪ねた孤独な少女と、それを受け入れる天真爛漫な従兄弟たちと大自然。そんな彼女の心を溶かして行くのが従兄のエディ。中々イケメン青年の『ディファイアンス』に出演していたジョージ・マッケイ。
牧歌的な田園風景に、突然暴風と雨、そして死の灰が降り注ぐ。モチーフは第三次世界大戦のようだが、基本はラノベ的な青春ラブストーリーなのだ。だから、結果としては戦争の惨たらしさをやたらリアルに描写した、強烈な異色作に出来上がってしまったようだ。
第三次世界大戦という架空の戦時下を舞台にした話題のジュブナイル小説を、アカデミー長編ドキュメンタリー賞監督が描いた本作。まるで英国版「ザ・ロード」とも言うべき、美しくて残酷な臨場感に背筋が凍ります。

サバイバルものを見ている時の「自分だったらどうする?」というイマジネーションすら遮断するようなリアリティは凄いにつきます。そして、本作のもう一つのテーマは、失楽園に放り出されたアダムとイブのような初々しいラブストーリーになっているんですよ。

従弟同士の運命的な出会い、そこへ「ロンドンで核爆発が発生」という大異変が勃発。この事態でデイジーが「全部私のせい。私の行くところで悪いことが起きるの」と、自意識過剰のやさぐれた孤独な魂が、少女戦士へと変わる。映画の中で、彼女の囁きに似た声が独りよがりに自分を追い込むような感性。
そして聖母のように変化するシアーシャ・ローナンの演技には、目が離せないし、「サンシャイン/歌声が響く街」で、息子のデイヴィー役を演じたジョージ・マッケイが、エディを演じてすこぶる良かった。でも、これって従兄弟同士であるから、近親相姦なのでは。

ですが、戦時下を舞台にした映画とはいえ、派手なコンバットシーンはなく、少女たちは、生ごみのように棄てられた野菜(じゃがいも、ニンジン他)を拾い集め、それに畑の重労働、女子と男子の別々の区域に別れて暮らす知らない人たちとの暮らし。
そして、戦争と言うと必ず兵士たちのレイプは日常茶飯事。弱い女子たちが獣のような男たちに弄ばれ殺される。彼女たちだけではない。幼い男の子たちの避難地域では、集団で殺害されて積み上げられている山のような死体が。黒いビニール袋に包まれたその死体の中には、従兄弟のメガネっ子がいた。

こんなにも死体が出て来る映画に、希望とか見出されるのだろうか。観ていて必ず生きて家に帰るというデイジーの強い気持ちが、一緒に逃亡していた幼いパイパと共に、放射能に汚染された川や森の木の実など、生きるための最大限の物を確保するため、“生きる”という厳しさを改めて感じました。しかしながら、映像の中では小さなリュック一つで、水は汚染されて飲めないし食べ物だって出て来る時に少ししか持ってこなかった。どうやって飢えをしのいだのか描かれていないのが残念ですね。

この映画を観て、日本の我々が観ると「3.11」のイメージに近いようにもとれる。いくら避難区域に指定されても、この家を絶対に離れないと、エディが頑張ろうとするシーンなど。長い道のりを歩いて帰るデイジーの強靭な精神力に脱帽しました。
大人の勝手な争いで故郷を追われた子供たちのサバイバルを通して、未来への不安と希望を映し出している優れた作品だと思います。
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