パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

テルマエ・ロマエ  ★★★★★

2012年04月29日 | た行の映画
マンガ大賞2010、手塚治虫文化賞短編賞を受賞したヤマザキマリの人気漫画を映画化。現代日本にタイムスリップした古代ローマ人浴場設計技師が巻き起こす騒動を描くコメディ。出演は「麒麟の翼 劇場版・新参者」の阿部寛、『絶対零度 特殊犯罪潜入捜査』の上戸彩。監督は「のだめカンタービレ 最終楽章」2部作の武内英樹。

あらすじ:古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は、生真面目すぎる性格から時代の変化についていけず、職を失ってしまう。落ち込んだ彼は、友人に誘われて公衆浴場を訪れるが、そこで突然、現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう。そこで出会ったのは、漫画家志望の真実(上戸彩)たち“平たい顔族”、つまり日本人だった。日本の風呂文化に衝撃を受けたルシウスは古代ローマに戻ると、そのアイデアを利用して大きな話題を呼ぶ。タイムスリップを繰り返すルシウスは、ローマで浴場技師としての名声を得ていくのだが……。風呂を愛する2つの民族が時空を超えて出会った時、世界の歴史が大きく動き出す。(作品資料より)

<感想>原作のマンガは読みました。この奇想天外な設定だけでも笑える面白さ、まずキャスティングの妙に唸らされる。生真面目な性格から失業の憂き目に遭う主人公のルシウスには、日本人がやるとしたらもはや彼以外の配役は考えられない阿部寛。りりしい眉毛と雄弁な瞳を思う存分に駆使し、ルシウスの驚きやとまどいを豊かに表現する仕草。しかも露出度の高い役柄だけに恵まれた体格をさらに鍛え上げたのだろう、ギリシャ彫刻のごとき肉体美も見せてくれる。

その他第14代ローマ皇帝ハドリアヌスには、市村正親や、時期皇帝候補のケイオニウスには、北村一輝、皇帝の側近のアントニヌスには、宍戸開など、イタリア人キャストに交じっても違和感ゼロの“濃い顔”の面々が登場するのには感心した。
一方で、“平たい顔族”の日本人役には、上戸彩や笹野高史、竹内力、いか八郎、神戸浩など絶妙な配役がなされている。

撮影では徹底的に本物にこだわったそうで、イタリアの最大の撮影所、チネチッタの巨大オープンセットで撮影。温泉シーンでは、伊豆箱根国立公園の大滝温泉、那須温泉郷の北温泉で実際の名湯でロケ。
さらに浴場について悩むたびに水中を通じてタイムスリップを繰り返し、現代日本の銭湯や、家風呂、天然温泉、真実が働くショールームなどにスリップするごとに、そのつど衝撃の体験を重ねるシーンに笑いが込み上げる。
初めにタイムスリップした銭湯では、小ぶりの湯オケに脱衣かご、催し物のポスター、富士山の壁絵(ベスビオス山)、それにフルーツ牛乳など。ショールームのジャグジーのブクブク泡の心地よさにうっとりし、TVモニターに映るクラゲやキャンドルの香りなど癒しの空間。もっとも笑ったのは、阿部ちゃんが温水洗浄便座の進化したトイレに驚きの声を上げるシーン。

家庭風呂では、介護人のヘルパーさんと間違われ、シャワーやお風呂の蓋、爺さんが頭に被るシャンプーハットを平たい族の族長が被る帽子だと誤解する場面も大笑い。
温泉では、外の景色を眺める露天風呂に、湯を利用したバナナ園に温泉まんじゅう、それに外傷治癒や解毒などの温泉の効能にびっくり、地熱を利用したオンドル小屋にも2度びっくり。

クライマックスでは、マンガ家を目指して上京し、ショールームで働く真実と出会い、真実と共にローマにタイムスリップしたルシウスが、彼女から史実では次の皇帝はアントニヌスであり、もしケイオニウスが皇帝になれば、ハドリアヌスは神格化されず、歴史が変わってしまうと言われる。
ハドリアヌスを敬うルシウスは、彼が神格化されるためにはアントニヌスが、手柄を立てることが必要と判断し、戦場に赴きアントニヌスの提案として戦場に負傷兵の傷を治し鋭気を養う“湯治場”を作らせる。なにより、歴史に名を残す偉人たちを陰で支えたルシウスのような、名もなき功労者を称える創り手のメッセージに、胸が熱くなる思いを感じます。
栄華を極めた古代ローマの人々も、日本人同様に無類のお風呂好き、そんな共通点を喜びながら実感するのは、両国の風呂文化の奥深さである。私たちにとって入浴施設とは、単に汗を流すだけの場ではなく、リラクゼーションの場であり、日常の娯楽の場であり、社交場なのだと気付かされる。
もちろんルシウスの大きな瞳に映るのは、創意工夫に満ちた日本の風呂文化だけではない。“和”を重んじ努力する勤勉な日本人の姿こそが、彼の眼を開かせていくわけなのです。ルシウスが体験する究極のカルチャーギャップに大笑いしながらも、やがて爽やかな感動に包まれるのは、彼を通して日本の文化、そして日本人としての誇りを再発見できるからかもしれませんね。
それよりも温泉に行きたくなりますよね。そんな時間とお金のない方には、家風呂に温泉の素を入れてゆっくりと癒されて下さいな。
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タイタンの逆襲3D ★★★

2012年04月25日 | アクション映画ータ行
勇者ペルセウス、再び起つ!クリーチャー大増量の第2弾
ギリシャ神話を背景に、神と人間、魔物が壮絶バトル!未体験の映像と壮大なスケールで、強烈なインパクトを残した「タイタンの戦い」が、すべてをパワーアップさせて戻ってきた。
今回は、冥界に封印されていた“最強”の巨神が復活。人間界を地獄絵にしようと、さまざまな魔物が送り出されていく。救世主となるのは、前作と同じく、神と人間の間に生まれた勇者ペルセウス。

再び彼が戦いを決意する物語がドラマチックな上、監督を受け継いだのが「世界侵略:ロサンゼルス決戦」のジョナサン・リーベスマンなので、戦闘シーンの演出が半端じゃない迫力と臨場感もリアルである。
冥界の牢獄へ向かう迷路のような罠など、3D効果も最大限に生かされたシーンが続き、リーアム・ニーソン、レイフ・ファインズら名優たちが演じる神々にも、怒涛の運命が待ちうける。文字通り“神の域”を超える衝撃的アクション大作である。

物語は、前作から10年後の世界を描く、魔物クラーケンを倒してから10年。ペルセウスのもとに再び父、ゼウスが現れ、ゼウスは神々の力が弱まっていると告げて協力を請うが、平穏な暮らし望むペルセウスはこれを拒絶。だが、村に魔物が出現。さらに冥界の王ハデスとゼウスの息子、アレスが凶悪な巨神、クロノスを復活させるためにゼウスを捕えたと知ったペルセウスは、父と地上の人間たちを救うため、新たな仲間と共に冥界に旅立つ。
人間として静かに暮らし、二度と先頭に巻き込まれないと決意したペルセウスが、その使命感を復活させるドラマから本作は始まる。
次々と襲いかかる怪物との死闘、最大の見所は、ペルセウスの前に次々と現れる強大な敵たちとの闘い。魔物キャラの外見やパワー、さらには神々の闘争心など、すべてが前作からスケールアップしている。
ペルセウスの6番勝負、タイタン族の巨神クロノスを巡る神々の覇権争いだ。すべてを破壊する力を持つクロノスの復活を阻止するため、ペルセウスは地底深く、冥界の牢獄タルタロスを目指す。

注目すべきは迫力、質感、立体視、すべてが規格外にパワーアップした魔物とのダイナミック・バトルが繰り広げられます。平和な村で破壊の限りを尽くす双頭獣のキメラ、秘かに獲物を待ち構える狡猾な巨人サイクロプス、人心を惑わす妖術と怪力で行く手を阻む牛頭の怪物ミノタウロス、燃えたぎる溶岩から生まれた6本腕の戦闘鬼マカイ。
そして冥界の奥底に幽閉され、世界を破壊する日を待ちわびていたクロノス。邪悪なクリーチャーが次から次へと出現し、ペルセウスに襲いかかる。

VSクロノス戦:500メートルはあろうかという巨人な姿を現わす。元は世界を支配していたタイタン族の王。巨神族の王で、彼はハデス、ゼウス、ポセイドンの父。冥界の奥深くにあるタルタロスの牢獄に幽閉されているが、今回タルタロウスを設計・建造したという鍛冶の神に、ビル・ナイが扮しており、その設計されたタルタロスの中は、朽ち果てた神殿、パズルのような入り組んだ巨大なラビリンスなど、現象的なロケーションも、魔物との過酷なバトルを盛り上げる。
VSアレス戦:ゼウスの息子で、ペルセウスとは腹違いの弟である「戦いの神」。父がペルセウスに注ぐ愛に嫉妬しており、その凶暴な性格もあってハデスに利用される。獣や巨神よりも恐ろしいのが、アレスとの“兄弟”バトル。肉体レベルが同格ということもあって、意地をかけたガチ対決へと発展。「ボーン・アルティメイタム」のエドガー・ラミレスが演じています。

助っ人として、海の神ポセイドンの子供であるアゲノール、お調子者の半神で、盗みで投獄されていたが、ペルセウスが助け仲間に加わる。それに、前回でクラーケンから助けたアンドロメダ女王も、鎧と剣の完全武装で加勢に加わり、最後にはラブシーンも見られます。

しかしながら、今回の最強の敵クロノスには苦戦する。クロノスは、ハデスによって捕えられた、息子であるゼウスのパワーを吸収することで、大地を引き裂き現れる。
クライマックス、ペルセウスは空飛ぶペガサスに乗って、ゼウスの稲妻、ポセイドンの三叉槍、ハデスの二叉槍を合体させた三重の槍を持ち勇敢にも立ち向かっていく。
神々との戦いをド派手に描いた本作だが、人間と同等、むしろそれ以上に複雑な感情を持つギリシャの神々。神の反乱から始まる物語なのだが、その原因は親子ゲンカだったとは?・・・。

前作から引き継がれたゼウスとハデスの確執もヒートアップ。自分を裏切ったゼウスに対するハデスの愛憎が、怒涛のクライマックスを演出。しかしながら巨神クロノスを倒すために、兄弟ゲンカも仲直りして一緒にカメハメ波(稲妻)を出すシーンには、良かったと胸をなでおろす。
前作に引き続き、ペルセウスを演じるのはサム・ワーシントン。坊主頭からパーマ頭で今作でも、寡黙な中に熱き思いを覗かせる雄々しい勇者を熱演。しかし、今回のペルセウスはやられっぱなし、どれだけやられてもまた立ちあがる、それがペルセウスの強い意志を持っている勇者たる証。

1作目のペルセウスは、ただリベンジを果たそうとする男だったが、今回は彼には息子という守るべき存在がある。そういう意味でも、彼がもつ人間的な側面を表現していると思う。いまや父となったペルセウスも息子のために一歩も引かず、全力でぶつかる激しさは、クリーチャー・バトルに負けるわけにはいかないのだ。
神話でお馴染みの神や魔物をリアルに創作したビジュアルは圧巻です。より見応えのある3D映像で描かれる、神々と勇者の壮絶なバトルを思いっきり体感して下さい。
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バトルシップ  ★★★★

2012年04月24日 | アクション映画ーハ行
ハワイ沖に突如英エイリアンの侵略部隊が出現、戦いの最前線に立ったのは、世界の連合艦隊と、各国を代表する海の精鋭たちだった。人類と宇宙人の洋上バトルを壮大なスケールで描くSFアクション。
監督は「ハンコック」のピーター・バーグ。主演は「ジョン・カーター」のテイラー・キッチュと浅野忠信が主要キャストのひとりを演じる。
元ネタは、なんとそれ自体には登場人物もストーリーもない、アメリカ発のレトロでシンプルな戦闘ボード・ゲーム。ビジュアルの迫力とは裏腹に、ストーリーが薄味にならないかが不安だったという。「ゲームのバトル・シップ」は2人の対戦者が、相手に見えないようにマス目の描かれたボードをそれぞれ持ち、5隻の艦船をマス目のどこかに配置して始める遊び。だが、それを戦艦同士の戦いではなく、エイリアンと人間の戦艦が戦うという荒唐無稽な設定にアレンジしたそうです。
エイリアンの設定や造形もユニークだ。クリーチャー的なものでなく、喜怒哀楽の感情をもった中身も外見も人間に近い。エイリアンの母船は形も動きもアメンボを参考にしたそうです。
それが、臨場感満点の映像で迫る未知の敵との激烈バトル。遥か彼方の惑星に電波を送り、それに反応した何かが地球に襲来する。
心ざわめくエピソードで幕を開ける本作は、太平洋上に落下した未知の巨大物体と、合同軍事演習を行っていた世界14か国から集まった艦隊による、予想外の戦いへとなだれ込んで行く。

これまでもエイリアンの侵略を描いた映画は数多くあったが、本作は大海原でのバトルが斬新である。環太平洋合同演習中に、宇宙から謎の飛行物体がハワイ沖に落下。米海軍のアレックスらの調査中に突如巨大な敵艦が出現して、日米3隻の駆逐艦がバリアで閉じ込められてしまう。主人公アレックスが物体に触れたことで、エイリアンの母船が起動。強力なエネルギー波で洋上にバリアを作り、ハワイ諸島を含んだ地域が閉鎖空間となる。
エイリアンの攻撃で早々に2隻が壊滅。敵の姿を見失うが、自衛官のナガタが敵艦を見つける作戦を思いつく。それは津波作戦なのだが、しかし敵艦を攻撃したことで、相手にも自らの場所を知らせることになるとは。

各国の軍艦や、島が攻撃にさらされるのだが、衝撃的なのはその展開の凄まじさだ。変形する宇宙船と人類側の軍艦による砲撃戦は、息つく間もない怒涛の展開。
さらに宇宙船が遠くの島に向けて放つ戦闘機のような物体の破壊力、軍艦に乗り込んだエイリアンの実態は、そして日本のナガタが指揮をする相手の先を読んだ奇襲作戦。
海面にブイを流すことでレーダーに映らないエイリアンの動きを読み、敵母船への先制攻撃に出る。ミサイルが飛びかうド派手な撃ち合いと同時に、戦争映画の醍醐味でもある緻密な攻略作戦の面白さも楽しめます。そのすべてが臨場感満点の映像で迫ってくるのですから。
でも、ハワイ島にいるアレックスの恋人サムから連絡が入り、エイリアンがサドルリッジ山の電波基地から通信を試み、人類侵略の足がかりを築こうとしていた。アレックスたちは基地の破壊を狙うが、次々と出現するエイリアンの猛攻におされ、やがては船を沈められてしまう。
激しい攻防が繰り広げられる中、アレックスらはエイリアンの捕獲に成功する。だが、パワードスーツを着たエイリアンは、圧倒的な戦闘能力を発揮してアレックスたちを苦しめる。ところが、ヘルメットを取り払ったエイリアンの目を見て、隊員の中でカメレオンをペットに飼っていた者が、まるでカメレオンの目だと言う。

それにヒントを得た、犬猿の中だったアレックスとナガタは、極限の状況で次第に絆を深めていくのであった。人類存亡を懸けたエイリアンとの戦闘の最終局面で、2人は日の出を利用した作戦に打って出る。
3隻の駆逐艦も襲撃にあい海の藻屑となり、アレックスが考えたのが誰もが予想しなかった驚きの戦術だった。それは、展示用の戦艦ミズーリ号を始動させること。それには第二次大戦に活躍したご老体の応援が必要で、それがみなさん現役のような力を発揮してさすがですよね。これには拍手喝さいですね。1トンもある大砲の弾をみんなで持ち上げ運ぶ、その団結力には感心しきり。

これで敵艦のバリアも破り、アメリカ海軍提督のリーアム・ニーソンが、バリアを破ったことで戦闘機を出動開始、それからは見事な展開でした。
そんな激烈バトルを盛り上げるのは、破天荒なアレックスの成長ストーリー。無謀で自己中心的だった男が、エイリアンとの攻防でリーダーシップを発揮し、確執のあったナガタとは信頼の絆で結ばれる。それに、提督の娘サムと恋仲になり、父親であるリーアムの承諾を得るのに、困惑するアレックスの姿もコメディさながらで面白い。
ドラマチックな過程が並行して描かれ、誰もが共感せずにはいられないはず。人類を守るため、未知の敵に対して試される勇気と決断、そのシビアかつ豪快なドラマは、アクションや映像に劣らず、とことん熱く燃えまくりです。面白かったです。

追記:惑星ゴルディロックス=生物の生息が可能な大きさや環境条件をもつと考えられる“グルディロックス”と呼ばれる惑星から巨大な母船で地球各地に飛来。海底に潜んでいたが突如姿を現わし、演習中だったアレックスたちの艦隊をはじめ世界の都市を攻撃する。乗組員は科学者が中心だが、彼らを守る戦闘要員もいる。2足歩行型で、金属製と思われる装甲スーツ(パワードスーツ)を着用。爬虫類を思わせる身体的特徴も一部もち併せるものの、外見上は非常にヒトに近い。太陽光線に弱いという情報もあり。
2012年劇場鑑賞作品・・・29 
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劇場版SPEC~天~ ★★★

2012年04月23日 | アクション映画ーサ行
警視庁公安部の特別捜査官が、特殊能力(=SPEC)を持った犯人に立ち向かう姿を描くTVドラマの劇場版。新たなSPECを持つ強敵が登場、さらなるスケールでバトルを繰り広げる。監督は「はやぶさ HAYABUSA」の堤幸彦。出演は「DOG×POLICE 純白の絆」の戸田恵梨香、「永遠の僕たち」の加瀬亮、「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」の伊藤淳史。
あらすじ:通常の捜査では解決できない特殊な事件を専門に扱う「警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係」通称“未詳”。特別捜査官の当麻紗綾(戸田恵梨香)と瀬文焚流(加瀬亮)のもとに“ミイラ死体殺人事件”のニュースがもたらされる。これはスペックホルダーによる犯行なのか。事件はやがて国家をも揺るがす大事件となっていく。シンプルプランとは?ファティマ第3の予言とは?その時、当麻の左手に激痛が走る……。(作品資料より)

<感想>科学で解明できない難事件を担当する公安部“未詳”の捜査官コンビが、スペック(人知を超えた超能力や特殊能力のこと。スペックを保持する人のことをスペックホルダーという)を持つ犯罪者に立ち向かう姿を描いたTVドラマ「SPEC~」。
主人公2人と能力者=スペックホルダーたちの強烈なキャラ、国家的陰謀が見え隠れする底深いストーリー、そして全編に盛り込まれる脱力系のギャグや小ネタなどなど、堤幸彦監督が創り上げた“SPEC”ワールドは、コアなドラマファンの心をわし掴みした。だが、このTVシリーズは起承転結の“起”にすぎなかったのだ。
多くの謎をはらんだまま終了した全10話のその後は、4月に放送されたTVスペシャル「翔」と劇場版「天」で語られるのだから。全然見てない(-_-;)
「天」の始まりは、洋上クルーザーの中で、乗客全員がミイラ化して死亡するという怪事件。変人にして天才の当麻と協調性ゼロの筋肉男、瀬文は捜査を進め、船の乗客たちがスペックホルダー抹殺計画をひそかに話し合っていたことを知る。
彼らはスペックホルダーたちを統率して権力を握ろうとする一(にのまえ)の一派によって殺されたのだ。当麻に敗れて死んだはずの一がなぜ?・・・再び目の前に現れた最強の敵、一の野望を当麻&瀬文は止めることができるのか?・・・。
公安部公安課未詳事件特別対策係:スペックホルダーの犯罪を研究してきた秘密警察。彼らを壊滅して隠蔽を目論んでいる。証拠や目撃証言のほとんどない事件。科学では解明できないような事件を担当する特殊な部署。

主人公の当麻紗綾(戸田恵梨香):京都大学理学部卒、IQ201の才媛で特に記憶力と洞察力に優れる。かつて一を逮捕しようとした際の爆発で左手首を切断。だが、その左手には重大な秘密が?・・・事件の核心に迫ると書道をして、事件のキーワードを半紙に書き、それを破って宙にまくことで的確な推理をする。結論が出た時の決め台詞が「いただきました」口が悪くて餃子を愛する大食漢、常に赤いキャリーバックを持っているなど、傍から見るとただの変人。中部日本餃子のCBCは当麻が通い詰める店。「天」で当麻はロボットが作る“流し餃子”をほおばる。なおCBCの餃子は、堤監督の母親の味を再現しているそうで、画面からそんなこと分かるワケないのにね。
瀬文焚流(加瀬亮)元警視庁特殊部隊(SIT)の隊長だったが、部課の誤射事件を機に末詳へ飛ばされる。口より先に手が出る短気な男。規律を重んじ情に厚い。スペックに対して懐疑的だが、無骨な性格ゆえ真面目に任務を果たす。荷物を紙袋に入れて持ち歩く習慣がある。
公安零課の津田(椎名)スペックホルダーせん滅を図る公安特務班の幹部。
未詳係長待遇の野々村(竜雷太)一見頼りないが実は切れ者で、当麻&瀬文を見守る。ゴリさんの愛称も。

時を止める少年:一十一「にのまえじゅういち」(神木隆之介)時を止める、正確には常人の数万倍速く動く力を持つ。実は飛行機事故で死んだはずの当麻の弟。
新スペックホルダーとして、マダム陽(浅野ゆう子)と伊藤淳史が登場。ドラマ版をはるかに凌ぐ能力を備えたスペックホルダー。笑いながら羽根の扇子を仰ぎ、人間を瞬時に凍らせて冷気を自在に操り、人間をミイラ化にできるマダム陽。伊藤は、アロハシャツに麦わら帽をかぶり、見た目普通の人なのに、自在に伸びる指先には鋭い鉄の爪が、まるでウルヴァリンのようだ。それにその腕が蛸のように伸び、吸盤が恐ろしいことに。
御前会議:卑弥呼の時代から世襲制で伝わってきた、裏で日本の政治を操作する選民たちによる集会。
TVシリーズの最終話、黒幕の男が当麻に向けて銃弾を発射した直後に“時が止まり”彼女は勝利を得る。これは当麻がなんらかのスペックを使ったと考えるのが最も自然だが、「天」では彼女に関する驚きの事実が判明。まさか予告編で語られる“左手に火の剣をもつ天使”が彼女なのでは?
鍵を握るのは瀬文の元恋人の青池里子の娘。里子の娘の潤を瀬文は自分の子供だと思いこむ。だが里子によれば娘は彼の子供ではなく、キリストのような、父なく生まれたと言うのだ。当麻や里子らは一にさらわれた潤を救出しようとするが、終盤、潤にさらなる災いが。

一の狙いは御前会議参加。謎の復活を遂げた一、彼は集団ミイラ化殺人に続いて、里子の娘、潤と警視総監を誘拐する。さらに姉である当麻をも仲間に取り込もうと誘う彼の目的は、日本を陰で動かす御前会議に参加し、社会を操ることなのだ。
浅野ゆう子のマダム陽のキャラは、彼女にピッタリの役で占い師のおばさんのような派手なメイクと服の妖艶さに驚き、バトルシーンでは瀬文がワイヤーに吊られて、足のギブスを脱いで凍りついた足が、真っ赤に皮が剥がれた足で歩いて来るシーンにびっくり。不死身すぎるのに違和感がある。
テレビドラマ見ていないし、原作も知りません。それでこの映画を見て面白いのかというと、意味不明な点が多くて困惑しきり。
でも初めて見たのに意外に笑えるシーンが満載で、演じている役者さんたちは真面目に台詞をいい、演じきっているのに、どこかそれが笑いを生む可笑しさが堪らなく好きです。
ただ、冒頭で長い文章が映し出されこの物語の一応説明だと思うが、それだったら見ていない初めてこの映画を見る人に、回想シーンとしての映像が欲しかったと思いました。
レンタルしてTV版見なくちゃ、面白くてハマリそうです。
続編が作られるような、誘拐された里子の娘の行方も分からず、それに謎の男向井さんが現れてお終いなんて、そんな終わり方でした。
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わが母の記 ★★★★

2012年04月22日 | アクション映画ーワ行

井上靖の自伝的小説『わが母の記~花の下・月の光・雪の面~』を「クライマーズ・ハイ」の原田眞人監督が映画化。母に捨てられたという想いを抱きながら生きてきた小説家が、老いた母親との断絶を埋めようとする姿を描く。出演は「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―」の役所広司、「朱花の月」の樹木希林。
あらすじ:1959年。小説家の伊上洪作(役所広司)は、父・隼人(三國連太郎)の見舞いに行った湯ヶ島の両親の家から東京の自宅に帰ってくる。妻の美津(赤間麻里子)、長女の郁子(ミムラ)、二女の紀子(菊池亜希子)が、伊上の新作小説にせっせと検印を捺している。
それはベストセラー作家の家族の大切な仕事であったが、三女の琴子(宮崎あおい)の姿はない。自室にこもって夕食にも降りて来ない琴子に不満を募らせる伊上。深夜、持ち直したかに見えた隼人の訃報が入る。
1960年。父亡き後、伊上の妹・桑子(南果歩)が母・八重(樹木希林)の面倒を見ているが、八重の物忘れはますますひどくなっていく。1963年。八重の誕生日に、川奈ホテルに集まる一族。伊上のもうひとりの妹・志賀子(キムラ緑子)、夫の明夫(小宮孝泰)、運転手の瀬川(三浦貴大)、秘書の珠代(伊藤久美子)も参加しての盛大なお祝い会。だが、八重の記憶はさらに薄れていた。

1966年。結婚した郁子が赤ん坊を抱いて里帰りした日、湯ヶ島は大騒ぎになっていた。八重が、交通事故に遭って家で療養している明夫を罵倒するというのだ。しばらく伊上が引きとることになるが、八重を冗談のタネにする家族に、琴子が突然怒り出す。さらに話は伊上の子育て批判に発展、紀子までもが初めて父に反抗する。日頃から家族を小説やエッセイのネタにする父への不満が一気に爆発したのだ。
琴子の提案で、八重は軽井沢の別荘で暮らし、琴子と瀬川、手伝いの貞代(真野恵里菜)の3人で面倒を見ることに。
1969年。伊上が5歳の時から8年間、伊豆の山奥の土蔵で彼を育てた曾祖父の妾・おぬいの五十回忌の法要で、顔を合わせる一族。琴子はプロの写真家になり、瀬川と付き合っている。紀子はハワイへの留学を父に許される。八重は夜に徘徊するようになり、もう誰が誰かも分からなくなっていた。
ある朝、おぬいに息子を奪われたという八重の言葉に感情を抑えられなくなった伊上は、初めて母と対決しようと「息子さんを郷里に置き去りにしたんですよね」と問いつめる。しかし、八重の口からこぼれたのは、伊上が想像もしなかったある“想い”だった。
こらえきれず、母の前で嗚咽する伊上。母との確執を乗り越え、晴れ晴れとした気持ちで紀子を送るハワイ行きの船に乗りこむ伊上。だが、伊上のもとに八重がいなくなったという知らせが届く……。(作品資料より)

<感想>4月12日試写会にて。50年もの間、母親の愛情を疑っていた息子の心の中にあったしこりが、死にゆく母と過ごす14年の中で消えていく様子を、丁寧に描き出している。役所広司、樹木希林、宮崎あおいという実力派が豪華共演。祖母から孫まで、親子の関係を描いた笑いと感動の人間ドラマ。
役所広司扮する頑固な作家、伊上洪作と、宮崎あおい演じる反抗期の娘、琴子が言い争いを始めたかと思えば、樹木希林による物忘れが激しくなった洪作の母親、八重が、強烈なツッコミを入れる。そんな演技の巧い俳優さんたちが、見事なアンサンブルを奏でているような、そんな映画です。
昭和を代表する文豪・井上靖の自伝的小説が映画化と聞けば、一見重厚な物語を想像するが、描かれているのは普遍的な家族の姿や親子の絆。長年、確執を抱えていた母子の関係が、母の老いと共に徐々に緩和されていくさまは、まるで極上のラブストーリーを見ているようだ。

また、洪作の娘たちと八重との世代を超えた“女子トーク”や、洪作と八重との50年越しの感動的な“ある秘密”も描かれるなど、老若男女すべてが楽しめるエンタテインメント性豊かな家族ドラマに仕上がっている。
それにしても、老母に扮した樹木希林のとぼけた演技が絶品です。幼かった息子と離れて暮らしたことを後悔し、彼との溝を埋められずに生きている。
父の死後、妹と暮らすことになった八重と接する機会が増えた洪作。だが、長年抱えた不信感が拭いきれず、母と素直に向き合えない。八重が自分の育ての母を悪く言うことにも苛立つ洪作。
伊豆の妹の夫が交通事故で足を骨折、妹に代わり、今度は洪作の娘琴子が軽井沢の別荘で八重の面倒を見ると言い出し、そんな娘の想いやりに触れ、洪作は親子の絆を再確認する。だが、目の離せない八重の周りに家族が集まるようになる。
八重の物忘れが進み、やがて洪作のことも分からなくなった。

家族が台湾に渡った昔、妹たちだけを連れ、5歳の自分を郷里に置き去りにした母への“捨てられた”という思い込みがある。洪作は、何気なく他人のフリをして息子を捨てた過去について尋ねると、母から意外な言葉が返ってくる。八重は不意に「あの女に預けたのは一生の不覚」と、幼い洪作を手放した後悔をしきりにつぶやく。
それは戦前の時代のことで、後取り息子の長男を台湾まで連れて行くことは出来ない。もし船で病気にでもなったならと、母の心配してのことだった。戻って来てみると、息子は預けた父の愛人の家がいいと戻ろうとしない。しかし、5歳の記憶では、自分だけ何故一人ぼっちにされて置いていかれたのかなんて、知る由もない。この時の若い八重を演じたのは、樹木希林の娘の内田也哉子さんです。どしゃぶりの雨の中、軒下で幼子の妹たち2人の手を握り、息子を一緒に連れていけない辛さと哀しさ。それが、軽井沢の別荘から東京の自宅へ連れて帰った時、毎晩懐中電灯を持って徘徊して歩く八重は、きっとあの時の息子を探しているに違いありません。

痴ほう症は、昔のことは鮮明に覚えているというから、洪作が少年時代に書いた詩のノートの切れ端を大事に持っていた母、その詩をすらすらと朗読する八重の顔に涙が、・・・これさえ持っていればいつかきっと息子に会えるというのだ。その何気ない母の言葉が感動を呼び起こす。
徘徊が酷くなり、浜辺まで歩いていった八重、探し歩いて母を見つけ優しく背中におんぶしてやる洪作。その背中の八重はまるで赤子のように愛らしく、安心しきった顔で息子の背中にしがみつく。このシーンでの樹木希林の嬉しそうな笑顔につい涙がこぼれた。意固地になっていた洪作が、やっと母親の気持ちを知り許すことにした母と子の絆。
誰もが最後は、家族が恋しくなるような、優しい気持ちになれる作品です。
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Black & White/ブラック&ホワイト★★★

2012年04月21日 | アクション映画ーハ行
凄腕のトップエージェント二人が、一人の女性をめぐって前代未聞の恋の全面戦争を巻き起こすアクション・ロマンス。監督は「ターミネーター4」のマックG。出演は「アンストッパブル」のクリス・パイン、「インセプション」のトム・ハーディ、「恋人たちのパレード」のリース・ウィザースプーン。
あらすじ:ある日、CIAの凄腕コンビFDR(クリス・パイン)とタック(トム・ハーディ)は、闇商人の取引現場を抑える極秘任務でターゲットを逃走させてしまい、謹慎処分になってしまう。暇を持て余したタックは恋人紹介サイトで知り合ったローレン(リース・ウィザースプーン)という女性とデートをすることに。
一方FDRはレンタルビデオ店でナンパをするが、思い通りにならない美女に夢中になってしまう。その女性はローレンだった。紳士的なタックとロマンチストなFDR、ローレンの心は揺れ動き、ついつい二股をかけてしまう。
ところが、とある出来事でFDRとタックはお互いの恋人が同一人物だと知り、ローレンを我がものにするべく、それぞれ“重要任務”と偽って精鋭チームを招集。二人がCIAだとは知る由もないローレンの影で、宿命のライバルは史上最大の恋の戦争を始めようとしていた……。(作品資料より)

<感想>同じ女性に惚れたCIAエージェント2人が、持ち前の諜報メソットと恋のテクニックをフルに活用して、熾烈な女性争奪戦を繰り広げる。大作出演が続くクリス・パイン&トム・ハーディが、ラブコメディに挑戦。
2人を天秤にかけるヒロインにはリース・ウイザースプーン。ムムっ、少し年がいっているような顔に皺があるし、相手の男優二人と釣り合わない気がする。でもオスカー女優さんだもんね。嫌いな女優さんじゃないけど、もっと若い女優の方が良かったと思う。

マックG監督らしいハイテンションなアクション満載が見所の一つ。闇商人を捕える極秘任務に失敗し、内勤に回されたCIA捜査官のタックとFDR。暇になったタックは出会い系サイトに登録。ローレンという女性とデートすることに。ちなみにタック役のトム・ハーディは、若い頃のケビン・コスナー似なのよね、それにバツイチで男の子がいる。
FDRは、独身生活を謳歌して、別に女性に困っている様子はない。お互いに同じ女性ローレンと付き合うことになるとは、初めは相棒タックのデート相手と知らずにFDRが彼女をナンパする。最初は冷たくあしらわれるが、返って興味をそそられ彼女とデートすることに。この2人、ローレンをものにしようとハイテク諜報機器を駆使して、邪魔をし合う場面が爆笑もんですから。
勝手にローレンの部屋に監視カメラを設置、本部で部下を使って彼女の趣味とか好きな物とか、いろいろと調べさせたり、車でデート中には小型偵察機飛ばして監視、それを銃で撃墜させるのもお手の物。
部屋でローレンとキスをしていいムードになっている最中に、天井の火災報知機で水を降らすし、FDRがローレンといい雰囲気になり、ソファで待っている彼に麻酔銃を撃つなんて考えられません。完全に超公私混同の、職権乱用ですから。

ついに二人の友情にヒビが入り、だが彼らを恨む闇商人にローレンが拉致されたことによって、彼らはまたタッグを組み救出に向かうのです。
これは面白かった。とにかく二人の男のアクションがハンパじゃない。それに、ローレンと友達のトリッシュとの会話に爆笑ですから、それを盗聴しているし。結構下ネタで盛り上がって、下品な会話が多い。
ラストは、闇商人を捕えるべくローレンも一緒に大活躍するし、FDRも幼い頃に両親を亡くしておばあちゃん子だったから、祖母の家へローレンを連れて行くわけ。よほどでないと女の人実家へ連れて行かないよね。で、本命なんですねこれが。
タッグは息子が可愛いしで、別れた奥さんと寄り戻したいらしく上手くいくと思うよ。
スパイ&ラブコメというと、『Mr.&Mrs.スミス』が最高に面白かった。しかし、とにかく、彼女と見るデートムービーには最適かも。
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センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島3D ★★★

2012年04月21日 | アクション映画ーサ行
ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」をベースにした冒険映画『センター・オブ・ジ・アース』の第二弾である本作は、同じくヴェルヌの「神秘の島」を映画化。
さらには「海底二万里」の要素も取り入れ、空・陸・海を舞台にした手に汗握る冒険の数々を楽しむ事ができる。
前作に引き続き少年ショーンをジョシュ・ハッチャーソンが演じるほか、“ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソンや『ハイスクール・ミュージカル』シリーズのヴァネッサ・アン・ハジェンズが出演。大自然やクリーチャー、スリル満点のアクションなど、観る者を圧倒する映像に注目だ。

あらすじ:17歳になったショーン・アンダーソン(ジョシュ・ハッチャ―ソン)は、危険な海域にある謎の島から遭難信号をキャッチする。その発信源を追跡するため旅に出ようとする彼に、新しい義父・ハンク(ドウェイン・ジョンソン)は、やむなく付き添うことになる。
ふたりは唯一ガイドを引き受けてくれたヘリコプター操縦士・ガバチョ(ルイス・ガスマン)と、強い意志を持った彼の娘・カイラニ(ヴァネッサ・ハジェンズ)と共にその島を探し出そうと繰り出す。“嵐の目”を通って彼らは、遂に島を見つけるが、そこに待っていたのはショーンのおじいちゃんで冒険家のアレキサンダー(マイケル・ケイン)だった。
そしてこの島こそ、かつてジュール・ヴェルヌが書いた“神秘の島”であった。そこには巨大トカゲや巨大蜂、小さな象などの大小サイズ逆転の奇天烈な生物が生息し、さらに驚くべき秘密が隠されていた。だがその島は衝撃波によって、島とそこに潜む数々の宝が永遠に海底に沈もうとしていた……。(作品資料より)

<感想>この作品は4月7日に鑑賞したものです。ジュール・ベルヌの小説に基づく3Dアドベンチャーの続編です。前作も見ているので、それに前作から引き続いて出演しているジョシュ・ハッチャーソンの、成長ぶりも嬉しいですよね。それと爺ちゃんにマイケル・ケインが扮して、これまた大活躍なんですから。
今回は「神秘の島」に題材を得て、前作から4年後という設定。地図にない島に辿り着いた人々の冒険を描いている。少し大まかな説明ですが、映像が奇麗でやはり3D効果が抜群ですね。

主人公のショーン以外の登場人物を一新して、ロック様ことドウェイン・ジョンソンら、濃い面々が加わった。前作では、ブレンダンのパパだったのに、離婚しちゃったの。
見所は、この島は大きさが“反転”した動物たちの生息地で、岩のようなトカゲの卵が転がり、ということはママは恐竜サイズだよね。ハチや蝶は巨大化し、だが逆にゾウは手乗りサイズなのだ。

巨大な卵の上を歩いて、卵を割ってしまいこれは大変なことに、そうなんですね、母親はもの凄く大きなエリマキトカゲで、追いかけられます。
火山は黄金で出来ていて、海中にはネモ船長の潜水艦が隠されていたという、ここはまるでテーマパークなのだ。

そして、奥地にはアトランティスの遺跡が広がり、そこは周期的に海に沈んでいく。火山が爆発しその時期が迫ってくるから、大変なことに。
前回もそうだったけど、突然現れる桃源郷のような神秘的な映像に驚かされ、そこに生息している動物に襲われ、火山の噴火で自分たちのいる場所から逃れるのに危険がたくさん。
だから大きな蜂に乗り、移動することに。でもハチを狙う大きな鳥が襲ってくる。

それに、海に潜っている大昔の潜水艦を動かすのに巨大電気ウナギを使って発電させて、潜水艦を浮上させみんなを助けるという。これには拍手喝さいでした。
火山が爆発して、目の前に火の粉が飛んできたり、ハチに乗って空を飛ぶ爽快さ、電気ウナギは怖かったし、母親のオオトカゲが怒って襲ってくるのも怖かった。
ヘリ操縦士のガバチョも娘を留学させ、あのネモ船長の潜水艦を観光船にして大儲けと、もちろん、新しい義父のドウェイン・ジョンソンと息子のジョシュ・ハッチャ―ソンは、仲良くなりましたよ。
エンディングでゾウが海の中を泳いでいたけれど、沈んでしまったアトランティスの遺跡は、また浮上するんでしょうね。「月世界旅行」を匂わせているので続編がありそうな気配がします。楽しみです。
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STAR WARS エピソード1/ファントム・メナス 3D ★★★★

2012年04月21日 | アクション映画ーサ行
遠い昔、はるか彼方の銀河系。平和だった銀河共和国に混乱が訪れていた。通商連合は辺境の惑星との交易ルートヘの課税問題に決着をつけるべく、武装艦隊で惑星ナプーを武力封鎖。即位間もない若き女王アミダラは連合の要求を拒否し、事態は悪化。元老院は調停のため、二人のジェダイの騎士クワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービを派遣するが、背後では暗黒卿ダーク・シディアスによって巨大な陰謀が進行していた。
二人は砂の惑星タトゥイーンで少年アナキンと出会う。アナキンに秘められたフォースの力を感じ取ったクワイ=ガン・ジンは、彼をジェダイ騎士団に入れようとするのだが……。
1999年に公開された『STAR WARS エピソード1/ファントム・メナス』は、映画史に燦然と輝くスター・ウォーズ・サーガの16年ぶりとなる再開であり、サーガを完結するための新たなる3部作の始まりでもあった。
2005年に『STAR WARS エピソード3/シスの復讐』が公開され、スター・ウオーズ・サーガ全6部作は完結したが、世界中を熱狂させたシリーズが最新テクノロジーを駆使した3D映画として帰ってきた!ILMによる最新3D映像136分は、公開時よりも3分間長く(ブルーレイ版と同じ)、パペットだったヨーダがCGに差し替えられた最新バージョンとなる。(作品資料より)
<感想>「昔々、はるか彼方の銀河系で・・・」という文句で「スター・ウォーズ」サーガが幕を開けたのは、1977年。振り返ればその歴史は、映像技術の進歩と共にあったと思う。自分のビジョンをスクリーン上に描くために、これまでずっと、よりよいやり方を追求してきた、と語るジョージ・ルーカスにとって、現在考えうる最高の3D化技術で「エピソード1」を蘇らせる試みも、サーガを理想形に近づけるステップなのかもしれない。
「アバター」の大画面での、3D映像の素晴らしさを観た誰もが思ったであろうこと、これを「スターウォーズ」で観られたらどんなに凄いだろうと、それがいよいよ現実のものとなった。しかし数億人とも言われる「SW」ファンにとっては一大事。臨場感あふれるポッドレース、グンガン族VSドロイド部隊の決戦、そして2人のジェダイとダース・モールの死闘。いくつもの名シーンが3D&大スクリーンで見られるのだから。サーガの新たな出発点となるであろう「エピソード1」の3D版で“遥か彼方”を再訪した気分になる。
やっぱり見所の一つは、ポッドレースですよね。冒頭の会場の興奮度マックスの映像から、さらにはレース中の荒野を疾走するスピード感や、岩&ライバルが迫りくるスリルは、さしずめ3Dアトラクションに乗っているかのよう。そこでは、アナキン・スカイウォーカーがレーサーから外れてしまったケーブルを、磁石の付いた棒で掴もうと手を伸ばすシーン。オリジナル映像に立体感が無かったため、棒の先に新たな処理を施し、シャープに飛びだして見えるように変更してある。
そして、クワイ=ガン・ジンとオビ=ワンが、ダース・モールと対決する中盤のクライマックス、バトルシーンでは、3人が振り下ろすライトセーバーの切っ先が目の前に現れるのも3Dならではの迫力です。
グンガンとドロイドの地上戦と、ナブーの戦闘機VS通商連合艦隊の宇宙船が交互に描かれるクライマックスでは、大軍同士の激突に息を飲み、舞台の広さが感じられスケール感は段違いです。
それと、DVD化時に体が真っ二つになるバージョンに修正されたダース・モールの最期。3Dでは彼が落ちるピットの深さが強調され、暗い底に吸い込まれるて行くような印象の壮絶な最期が見られます。
もう一つ進めの見所は、ナブー脱出を図る宇宙船の故障をなおすR2―D2の活躍にハラハラ。同じく船外で修理に当たっていたドロイド3機が、次々に爆破され後方に吹き飛ぶ様は、3D効果が生きていますね。
久しぶりに観て驚いたのが、ナブーの指導者アミダラ女王、パドメに扮したナタリー・ポートマンのメイクと衣装ですね。真白い顔に真っ赤な口紅、ヘアースタイルはまるで芸者のカツラ、衣装の派手さは十二単のような着物。ジェダイの2人もダース・モールも柔道着ふうの、日本の服装を重視しているような、見慣れたとはいえ印象に残る。
それでも元になるのは父と息子の話しで、新3部作は過ちを犯した父親の物語で、旧3部作は前世代が犯した過ちを正そうとする。善人がなぜ悪になったのかと、悪になることを拒否した息子が、旅の途中で父親の罪を償う姿を描いている。2つの世代に渡り、自分の前の世代がやったことを、次の世代では世界をより良くしていかなければならないというメッセージが込められていると思います。
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ジョン・カーター3D ★★★

2012年04月21日 | アクション映画ーサ行
SF作家エドガー・ライス・バローズが生んだ主人公ジョン・カーターは、その後のSFヒーローの原点となったアイコン的存在だ。『アバター』や『スター・ウォーズ』誕生に大きな影響を与えた1912年発表の傑作「火星のプリンセス」を原作に、『ファインディング・ニモ』『ウォーリー』で2度のアカデミー賞長編アニメ賞に輝くアンドリュー・スタントン監督が初の実写作品として創造力を駆使したファンタジー・アドベンチャー巨編である。主演は『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』で注目された新鋭テイラー・キッチュ。モーション・キャプチャーに挑戦したウィレム・デフォーら米英の実力派俳優が脇を固める。ウォルト・ディズニー生誕110周年記念作品。
エドガー・ライス・バローズのSF小説『火星のプリンセス』を「ウォーリー」のアンドリュー・スタントン監督が映画化。家族を失い、人生に絶望していた大富豪ジョン・カーターが、未知の惑星で壮大な冒険を繰り広げる。出演は「バトルシップ」のテイラー・キッチュ、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」のリン・コリンズ。
あらすじ:1881年のニューヨーク。大富豪ジョン・カーター(テイラー・キッチュ)が謎の失踪を遂げる。しかし、愛する妻と娘を失って以来、他人とのつき合いを絶ってきた彼は、唯一心を許していた甥エドガー・ライス・バローズ(ダリル・サバラ)に一冊の日記を残す。
そこに記されていたのは、想像を越えた体験談だった。家族を亡くし、生きる意味を見失っていたジョン・カーターは、不思議な現象によって未知の惑星バルスームに迷い込んでいたというのだ。
しかし、地球を凌駕する高度な文明を持ったこの星は、全宇宙を支配しつつあるマタイ・シャン(マーク・ストロング)によって滅亡の危機に瀕していた。地球上でも強靭な意志と身体的能力を誇っていたジョン・カーターだが、重力の異なるバルスームでは桁違いの超人的パワーを発揮。
ヘリウム王国の王女デジャー・ソリス(リン・コリンズ)や彼女に忠誠を尽くすカントス・カン(ジェームズ・ピュアフォイ)、サーク族のタルス・タルカス(ウィレム・デフォー)など、バルスームの民たちと心を通わせてゆく。
その一方で、ソダンガ王国の王子サブ・サン(ドミニク・ウェスト)はマタイ・シャンに操られ、ヘリウム王国を滅ぼそうとしていた。滅亡の危機にあるバルスームを救うことが、自分に課せられた使命であることに気づくジョン・カーター。
しかし、妻と娘を救えなかったという無力感が、戦うことを躊躇わせていた。だが、マタイ・シャンの無慈悲な攻撃にさらされるバルスームの惨状は、彼の中に新たな感情を芽生えさせる。それは、愛する者を二度と失いたくないという強い思い。果たしてジョン・カーターと惑星バルスームの運命は?(作品資料より)
<感想>惑星バルスームを舞台にしたロマンあふれるアドベンチャー、独特の世界観で引き込み冒険心や共感を誘う物語。その作り込まれた別世界への文明は、人類が宇宙へ飛ぶはるか以前の発想とは考えられない。いや、逆に言えばだからこそ可能だった自由奔放で驚きの連続です。
100年に渡って世界中の読者を魅了した名作が、最新技術と現代的なセンス、軽やかなユーモアを吹き込まれて、3D時代ならではの体感型ファンタジー・アドベンチャーとして生命を吹き返したのだ。もはやタコ型火星人は過去のもの。
物語の展開は、エドガー・ライス・バローズが、叔父ジョン・カーターの日記を紹介する形で進行する。南北戦争で家族を亡くした失意の現象によって、惑星バルスームにテレポートしてしまう。
そのテレポートの瞬間が、荒野でネイティブアメリカンたちに襲われ、洞窟へ逃げ込む。そこで謎の男、サーン族の男と出会い拳銃で撃ってしまう。その男が持っていたメダリオンに呪文を唱えてテレポートしたってわけ。
砂の荒野が広がっている惑星、サーク族のタルス・タルカスに助けられた彼は、ヘリウム国の王女、美しきデジャー・ソリスとの出会いを通して、惑星の命運を懸けた争いに巻き込まれて行きます。
惑星には、ゾダンガ王国とヘリウム王国があり、地球人に良く似た風貌を持つ赤色人が住んでいて、ゾダンガ王国が掲げている赤い旗は、攻撃的な、略奪を重ねている。サブ・サン王子は、マタイ・シャンに利用されてヘリウム国を乗っ取りデジャー王女との結婚を希望。
ヘリウム国は、かつてあった海洋を渇望し青い旗が誇りなのだが、ゾダンガ国が侵略してきてバルスームを支配することを恐れている。
宇宙で最も進化した種族“サーン族”の教皇に、悪役専門になってしまったマーク・ストロングが、マタイ・シャンを演じている。妖術使いのような超能力を用いる、変身術がお見事。
そして、アバターのようなサーク族。攻撃的、好戦的な性質を持つ緑色人。身長は3mと巨大で、顔の両頬には牙があり、4本の腕があるのが特徴で、一族内で敵対している。
荒涼とした大地で繰り広げられる肉弾戦、大空を舞台にしたドッグファイト、当時の地球は飛行機が発明される以前だったのに、謎の青い光線を動力にした空中戦には驚きもんです。巨大な戦艦や高速の小型戦闘機が飛び交うバルスームは、まさに夢のワンダーランドなのだ。
それに、サーク族のコロシアムで、巨大なモンスター“大白猿”が二匹も登場し、ジョン・カーターと決闘するシーンは、まるで「」を見ているような迫力がありました。
スペクタルな見せ場が次々と登場。しかし映画の核にあるのは、種を超えた恋や友情、家族の絆の物語なのだ。
愛する者を失う痛みを知るカーターが、戦いの中で新たな希望を見出す姿には、誰もが共感するに違いありません。
そんなドラマを彩るのが、地球とは異なる生態系を形成するバルスームの生物たち。4本の腕を持つ身長3mもの緑色のサーク族。カーターの愛犬となるキャロットのウーラはキモ可愛い系ですが、走るのがもの凄く速い。サーク族が馬代わりに乗る8本足の大型生物ソート、さらには巨大で凶暴な白猿など、個性豊かなクリーチャーが続々登場します。
地球に比べて重力が小さいため、カーターに超人的パワーや跳躍力が備わるなどユニークな設定も見どころですね。様々な種族が争いを続けるバルスームに未来はあるのだろうか?・・・そしてカーターとこの惑星を結ぶ秘密とは、伝説のメダリオンが謎に関わっているという。そこでカーターはデジャーと共にサーク族の街から逃走して、聖なる門にある神秘的な建物に侵入。この星とメダリオンの秘密を知るが、・・・。
ユタ州の砂漠地帯で12週間の長期ロケ。臨場感がある映像にこだわったスタントン監督、CGだけに頼らずできるだけ本物の素材を利用しながら、デジタル加工を施して、惑星バルスームの広大な景観を創り出した。地球の大自然とCGの魔法が融合した驚異の映像は必見です。ミステリアスな展開とダイナミックな映像に、スクリーンから目が離せませんね。
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J・エドガー   ★★★★

2012年04月17日 | さ行の映画
「インセプション」のレオナルド・ディカプリオが、FBI初代長官ジョン・エドガー・フーバーに扮し、創設から50年もの間、そのトップに君臨し続けた権力者の隠された生涯を描く。監督は「ヒア アフター」のクリント・イーストウッド。共演は「フェア・ゲーム」のナオミ・ワッツ、「007/慰めの報酬」のジュディ・デンチ。
あらすじ:FBIのジョン・エドガー・フーバー長官(レオナルド・ディカプリオ)は、人生の終盤に差し掛かり、部下に命じて回顧録を書き取らせる。記憶はFBI誕生以前へと遡り、彼の表の経歴が語られるとともに、その裏側の野望、企み、葛藤、苦悩が次第に明らかにされていく……。
20世紀の半分を占めるおよそ50年もの間、アメリカで大統領さえも及ばない強大な権力を手にしていた男。そのたった一人の人間が、アメリカのあらゆる秘密を掌握し、国さえも動かしていたという事実。
50年間に入れ替わった大統領は8人にのぼり、その誰もが彼を恐れた。それが、ジョン・エドガー・フーバーFBI初代長官である。20代でFBI前身組織の長となり、以後、文字通り死ぬまで長官であり続けた。今日では当たり前とされる科学捜査の基礎を確立し、犯罪者の指紋管理システムを作ったのも彼なら、FBIを子どもたちの憧れの的にまで押し上げたのも彼だった。紛れもない英雄であるにもかかわらず、彼には常に黒い疑惑やスキャンダラスな噂がつきまとった。
やがて、国家を守るという絶対的な信念は、そのためになら法を曲げてかまわないというほど強く狂信的なものとなる。それゆえ彼は正義にもなり、悪にもなった。国を守るという大義名分のもと、大統領を始めとする要人たちの秘密を調べ上げ、その極秘ファイルをもとに彼が行った“正義”とは一体何だったのか?映画やコミックを使ってFBIの素晴らしき喧伝させる裏側で、彼は何を画策していたのか……?あきなく高みを目指した男の深い心の奥底が描かれる。(作品資料より)
<感想>クリント・イーストウッド監督作と聞けば、ハイレベルが保証されたようなもの。アメリカは、4年ごとに大統領選があり、大統領が替わる度にほぼ全ての政府機関の長官や次長が替わり、どの省の方針も一変します。でもこの作品で描かれるJ・エドガー・フーヴァーは、1935年にFBIが設立されてから1972年に77歳で亡くなるまで、ずっとFBI長官を務めていました。
つまり、フーヴァーは、37年という半世紀近くの長きに渡って、ルーズヴェルト、トゥルーマン、アイゼンハワー、ケネディー、ジョンソン、ニクソン、という6人の大統領の政権下でFBIを仕切ってきた、ということなのです。
実際には、フーヴァーはFBI設立当時は、真に正義感が強く、アメリカ国民を犯罪者から守るために尽力し、アメリカン・ヒーローと見なされていた時代もありました。
「パブリック・エネミー」に出てくるフーヴァーからは、悪事を取り締まるために若い逸材を集めて近代的な犯罪対策組織を作った人物、というイメージを受けますよね。しかし、おおかたのアメリカ人は、フーヴァーは本作で描かれている“盗聴によって入手した情報で相手を脅迫する恐ろしい人物”で、盗聴、秘密警察、警察国家の代名詞となっています。
40年代には、フーヴァーは概に法を盾にとって職権乱用する男というイメージで見られていたということが分かります。フーヴァーは30年余りに渡って政界の影の黒幕だったと信じられているわけで、彼の存在感は侮れません。
アメリカの歴史に名を残す男の“真実”があぶり出されていく。極端な人間不信で、敵対する者は徹底的に攻撃。大統領にも恐れられるフーヴァーだが、自分でついた嘘を真実だと決めつけ、私生活ではゲイでマザコンだったかも、・・・というエピソードの数々に、誰もが衝撃を受けてしまうはず。
「ニクソン」でボブ・ホスキンズが演じたフーヴァーも、ディカプリオのフーヴァーも“美形の青年が好き”という設定で、これは様々な証言に基づく事実です。とは言え、フーヴァーが女装が好きだった、というのは単なる噂に過ぎず、確たる証拠はないようです。しかしながら、生涯独身を貫き、トルソンとは長年の絆を結んだことから、フーヴァーがゲイだった可能性は濃厚で、さらに母親が死ぬまで同居し、その母の洋服に興味を示すなど、数々の性癖もあったようである。権力者とはいえ、内面は複雑なり。
側近はトルソン、秘書のヘレン、愛する母の3人。犯罪を解決する立場で権力を掴みたかったフーヴァーは、あえて人間関係を築くことを避けた。信頼できたのは、わずかに3人、彼らのアドバイスだけは受け入れ、長官としては独裁者のように振る舞った。
FBI長官の地位を守るために行った悪行とは、長官の地位をに居座れたのは、自分より権力を持つ政治家らの弱みを握っていたから。盗聴してまで大統領やその妻のスキャンダルの証拠を掴み、脅迫行為も辞さない。敵に回したら、世にも恐ろしい男に豹変するのだ。
ディカプリオが大熱演です、まるでジャック・ニコルソンのような中年の姿に。野心溢れる青年時代はもちろん、特殊メイクをほどこした晩年時代はディカプリオの鬼気迫る演技に圧倒されます。眉間のシワも含め、ジャック・ニコルソンの狂気の表情にそっくりなんですから。
男同士のキスシーンや老けメイク、超デブの裸体までに挑んだディカプリオが、一瞬のスキも見せない渾身の演技で圧倒するが、フーヴァーの秘書役のナオミ・ワッツや、右腕役のクライド・トルソン、フーヴァーの母親のジュディ・デンチら共演陣のアンサンブルも見応えがあります。
そして、イーストウッドの演出する映像と音楽は相変わらずセンス抜群で、スクリーンに引き込まれること間違いありません。FBIと政治の裏事情に驚きつつ、最後は権力者に孤独と悲哀が胸に迫り、極上の人間ドラマに仕上がっています。
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ダーク・フェアリー ★★

2012年04月16日 | た行の映画
TVムービー『地下室の魔物』のリメイク。欧米に伝わる子供の歯を食べる邪悪な妖精“トゥースフェアリー”をモチーフにしたショッキング・スリラー。製作・脚本は、「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ。監督は、イラストレーターのトロイ・ニクシー。出演は、「バットマン ビギンズ」のケイティ・ホームズ。
あらすじ:建築家アレックス・ハースト(ガイ・ピアース)はロードアイランド州プロヴィデンスの郊外で、家主の失踪によって100年近く放置されていた屋敷ブラックウッド邸に、助手で恋人でもあるインテリア・デザイナーのキム(ケイティ・ホームズ)と住み込み、修復に携わっている。
彼には、ロスで暮らす別れた妻と小学生低学年の娘サリー(ベイリー・マディソン)がいた。アレックスとキムは、両親の離婚で心を閉ざしたサリーを屋敷に呼び、一緒に暮らし始める。屋敷に来たサリーは、通風孔の奥から何者かが話しかけてくるのを感じる。翌日、サリーは地下室を見つけ、アレックスに伝える。
祖父の時代から屋敷を管理してきた使用人ハリスの制止を振り切り、アレックスは封印されていた地下室に入っていく。そこは、著名な動物画家だった家主ブラックウッドのアトリエだった。
サリーは地下室で、厳重に封印された小さな扉を見つける。夜な夜な話しかけてくる声がそこから聞こえるのに気づいたサリーは、大人の目を盗んでその扉を開ける。その夜、扉の奥から這い出した小さな魔物たちは悪戯を始める。魔物たちは、子供をさらいその歯を食べる“トゥースフェアリー”という邪悪な妖精だった。
ハリスは地下室の小さな扉が開いているのに気づき閉めようとするが、魔物たちに襲われ瀕死の重傷を負う。
サリーは魔物たちの仕業だと2人に告げるが、彼らは信じなかった。しかし、ハリスの見舞いに行ったキムは、サリーを屋敷から逃がすよう言われ、公立図書館で屋敷に関する公式記録を見るよう助言される。
記録には、約100年前トゥースフェアリーが原因でブラックウッドと8歳の息子が行方不明になったことが記されていた。キムはただちに屋敷から逃げるべきだと主張するが、その夜には屋敷修復のスポンサーを集めたパーティーが予定されていた。しかしパーティーの最中、サリーが魔物たちに襲われる。アレックスも脱出を決意するが、群れをなした魔物たちは彼らに襲いかかる。(作品資料より)
<感想>ギレルモ・デル・トロがリメイク権獲得から16年来の企画を実現させたファンタジー・ホラー。おぞましい妖精が登場する“おとぎ話”をグロテスクなクリーチャー造形などオリジナル版にアレンジを加え、より不気味に仕上げています。
元ネタは1973年制作のTV映画「地下室の魔物」。子供時代に見て最も怖かった映画だったというデル・トロは、自ら権利者を見つけ出し、リメイク権を獲得。
邪悪な妖精トゥースフェアリーをビジュアル化し、独創的なクリーチャー・ムービーを生み出した。そのクリーチャーのデザインが、本当は実寸以上のセットを作り、人間にスーツを着せて演じさせる方法も考えたそうで、だが、予算がないので本作ではCGを使ってちょっと子供に見せるにはキモイ、グロテスクなネズミと蜘蛛が合体したような言葉を話す、頭のいいクリーチャーがお目見えする。
だからって言うわけではないが、ホラー色の濃い映像に仕上がっている。でも、こういうグロテスクなクリーチャーは見慣れているので、そんなに怖くはありません。主人公のサリーが地下室から聞こえる声に興味を持ち、そして恐ろしい現象が起き、実際にサリーの寝室のベットまで忍び込む小さな妖精たちが不気味です。それに地下室の通風孔を開けると、穴が奥深く掘り進みそこからワラワラと小さなクリーチャーが出てくるのですから。可愛いというよりもキモイ、グロ、凶暴、そんな感じです。
パパに話しても聞き入れてくれません。離婚で母親と離ればなれになっているので、娘の我儘と思っているようです。サリーはこんな怖い物がいるこの屋敷から出ようと、家でをするのですが、パパに引き戻されてしまいます。
ですが、トゥースフェアリーたちは子供のサリーの歯を狙っているわけで、なんとかして地下室へと、サリーをその通風孔の中へと引っ張り込もうとする。それをパパの恋人のキムに相談したところ、本気にしてくれてどうやら光に弱いという弱点を見つけポロライドカメラをプレゼントしてくれる。パパは屋敷を高く売りつけることばかり考えているので、そんな娘の話しを聞き入れないのだ。
ところが客人を呼んでのパーティの夜に、サリーがクリーチャーに地下室へさらわれ、キムが助けに行くも自分が餌食になり通風孔の穴の中へと引っ張り込まれる。パパの方は、これは一大事と客を返してガレージへ車を出しに行くと、そこへクリーチャーたちがたくさん押し寄せてきて襲いかかる。
ドアの鍵穴を覗くパパに、反対の鍵穴から鋭い針のようなものを突き刺すクリーチャー。危なく目を刺されるところだった。
ギレルモ監督の作品では「パンズ・ラビリンス」が有名ですが、あれは子供が母親の再婚で寂しい森の中へ連れて行かれ、怖い厳格な義父に虐められ森の中にある井戸のようなところに、お伽噺の国があることを信じて迷い込んでしまう。
こちらもそのような、子供をさらって歯を食べる邪悪な妖精トゥースフェアリーというお伽噺のようにも取れますが、後半から次第にお伽噺どころか、身も凍る恐ろしい地下室に潜んでいる、邪悪なクリーチャーに襲われてしまうという怖いお話になっている。
それに、通風孔の穴へ引きずり込まれたキムはどうなったの?・・・声は聞こえるのに、レスキュー隊とか頼んで地下室の通風孔を壊して見るとかしないのよね。犠牲者がパパの恋人で、せっかくサリーとの間に母娘の愛が生まれて、サリーの継母になるはずだったのに。
ただ、何度も主人公のサリー役のイリー・マディソンの絶叫シーンにびっくりさせられ、彼女の叫ぶ声の凄まじさには参りましたね。ファンタジーどころか、おどろおどろとしたホラー・サスペンスになっているのも不満です。
地下室に子供がというと「永遠のこどもたち」を思いだしますが、あちらの方がいかにもホラー・サスペンスで、物語がよく出来ていたように感じました。
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アーティスト ★★★★

2012年04月11日 | アクション映画ーア行
1920年代、映画がサイレントからトーキーへと移行する時期のハリウッドを舞台に、サイレントの大スターとトーキーの新進女優の恋物語を情感豊かに描くモノクロサイレント映画。出演は、本作でカンヌ国際映画祭男優賞受賞のジャン・デュジャルダン(「ブルー・レクイエム」)、「ブラウン夫人のひめごと」のベレニス・ベジョ。

あらすじ:1927年、サイレント映画全盛のハリウッド。大スター、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は、共演した愛犬とともに新作の舞台挨拶で拍手喝采を浴びていた。熱狂する観客たちで映画館前は大混乱となり、若い女性ファンがジョージを突き飛ばしてしまう。
それでも優しく微笑むジョージに感激した彼女は、大胆にも憧れの大スターの頬にキス。その瞬間を捉えた写真は、翌日の新聞の一面を飾る。写真の彼女の名前はペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)、未来のスターを目指す新人女優だった。
映画会社キノグラフでオーディションを受けた彼女は、愛らしい笑顔とキュートなダンスで、ジョージ主演作のエキストラ役を獲得。撮影後、楽屋を訪ねてきたペピーに、ジョージは“女優を目指すのなら、目立つ特徴がないと”と、アイライナーで唇の上にほくろを描く。

その日を境に、ペピーの快進撃が始まる。踊り子、メイド、名前のある役、そして遂にヒロインに。1929年、セリフのあるトーキー映画が登場すると、過去の栄光に固執し、“サイレント映画こそ芸術”と主張するジョージは、キノグラフ社の社長(ジョン・グッドマン)と決別する。
しかし数か月後、自ら初監督と主演を務めたサイレント映画は大コケ。心を閉ざしたジョージは、心配して訪ねてきたペピーすら追い返してしまう。それから1年。今やペピーはトーキー映画の新進スターとして人気を獲得していた。一方、妻に追い出されたジョージは、運転手クリフトン(ジェームズ・クロムウェル)すら雇えなくなり、オークションで想い出の品々を売り払う。
執事にその全てを買い取らせたペピーは、ジョージの孤独な背中に涙を流す。酒に溺れるジョージは自分に絶望し、唯一の財産であるフィルムに放火。愛犬の活躍で救出されたジョージの元へ駆けつけたのは、変わらぬ愛を抱くペピーだった。“銀幕のスター”ジョージを復活させる名案を携えて。(作品資料より)

<感想>全編ほとんど台詞なしのサイレントで、しかもモノクロ。劇中劇でジョージが主役を演じるのは、フェアバンクスの「怪傑ゾロ」シリーズを思わせ、チャップリンの名作やSFの元祖「メトロポリス」など、サイレント映画へのオマージュ満載。ジョージのモデルは伝説のスター、ダグラス・フェアバンクス。
一切台詞が使えないので、俳優たちは表情の変化や身振り手振りで感情を伝えている。その豊かな表現力に感心!特にジョージの眉に動きが絶妙。その完成度の高さが評価され、今年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞他計5部門の栄冠に輝いた話題作。
作品賞がフランス映画にもたらされるのは初の快挙だが、ハリウッド黄金時代を描いたことで、多くの映画人から支持されたのですね。

サイレントからトーキー映画に移る1920年後半を舞台に、落ちぶれていく映画界の大スターと新進女優のドラマが、切なくもロマンチックに展開する。名作へのオマージュも盛り込まれるが、余計なことを考えなくても素直に感動できるのが本作の魅力。
キャストの名演技も光る中、天才ワンコのアギーがジョージと一緒に映画に出演し、撃たれて死ぬフリなど、様々な名人芸をこなす天才犬。ジョージのピンチにも思わぬ大活躍には、観客を虜にするはずですね。
サイレントというシンプルな技法が、ラブ・ストーリーを語るのに適しているのだと思う。あえて古きよきモノクロ&サイレント映画のスタイルを徹底して、役者の表情と動きと音楽というシンプルな要素が、多くの感情を伝えているのが読み取れる。
斬新な試みではあるけれど、進化していく世界に人間がどう順応していくかという現代的なテーマが見えて、サイレントを現代に甦らせた本作品は、台詞のない映像だけで、飽きさせずに1時間以上の物語を見せること。

劇中で見せるペピーが、ジョージを思う気持ちを表すロマチックなシーンでは、ジョージの洋服が掛けられているハンガーを相手に抱きしめる場面とか、フランス俳優陣の中に混ざってジョン・グッドマン演じる映画会社社長や、運転手のジェームズ・クロムウエル。それにペピーがエキストラとして出番を待っている時に、隣の席にマルカム・マクダウエルが少ない出番で光っていました。ラストの主人公ジョージと新人女優ペピーの華麗なタップダンスが見ものですね。

観客は現実から少し離れた“サイレント”の世界を、子供に返ったような純真な目線で受け入れようとするでしょう。それは作品の世界に素直に入っていけるんですね。トーキーでは滑稽に見えるポエティックなシーンも、映像だけならすんなりと見られる。それがサイレントの利点ですもの。
サイレントは、1920年代で幕を閉じた古いイメージがあるけれど、その後も騒々しい音を排除した自分自身の声を見つけている。サイレントは単にセリフを抜き取った“欠如の映画”ではなく、セリフがないからこそ観客の心に直接響き、純真にイメージを受け取れる「可能性が広がる映画」だと思います。
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スーパー・チューズデー~正義を売った日~★★★

2012年04月10日 | アクション映画ーサ行
アメリカ大統領選挙を背景に、その舞台裏に渦巻く真実をスキャンダラスに暴き出すサスペンス。監督・出演は「ラスト・ターゲット」のジョージ・クルーニー。共演は「ラブ・アゲイン」のライアン・ゴズリング、「マネー・ボール」のフィリップ・シーモア・ホフマン、「ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える」のポール・ジアマッティ。

あらすじ:アメリカ合衆国大統領の座をめざし、民主党予備選に出馬したマイク・モリス(ジョージ・クルーニー)は、選挙ツアー最大の正念場を迎えようとしていた。ペンシルベニア州知事として政治家の実績を積んだモリスは、ハンサムで弁舌に優れ、カリスマ性も十分。
そのうえ清廉潔白な人柄と揺るぎない政治信条で多くの有権者を魅了し、ライバル候補のプルマン上院議員をじわじわと引き離しつつある。来る3月15日のオハイオ州予備選に勝利すれば、その勢いに乗って共和党候補をも打ち破り、ホワイトハウスの主になることはほぼ確実。
いよいよ一週間後に迫ったスーパー・チューズデーの決戦に全米の注目が集まっていた。モリスを支えるのは、ベテランのキャンペーン・マネージャー、ポール・ザラ(フィリップ・シーモア・ホフマン)と、広報官スティーヴン・マイヤーズ(ライアン・ゴズリング)。
ある日、スティーヴンのもとに、プルマン陣営の選挙参謀トム・ダフィ(ポール・ジアマッティ)が電話をかけてくる。極秘の面会を求められ、一度は拒んだスティーヴンだが、何らかの情報提供をちらつかせるダフィの言葉巧みな誘いに負けてしまう。ダフィの目的は、スティーヴンを自陣営に引き抜くことだった。

だがモリスに心酔しているスティーヴンは、その申し出を即座に拒絶。その夜、スティーヴンは選挙スタッフのインターンである若く美しい女性モリー(エヴァン・レイチェル・ウッド)とホテルで親密な一夜を過ごす。翌日、スティーヴンはダフィとの密会の件をポールに打ち明け、謝罪するが、何より忠誠心を重んじるポールの怒りは想像以上だった。
二人の間には亀裂が生じ、ダフィとの密会は新聞記者アイダ(マリサ・トメイ)にも嗅ぎつけられてしまう。圧倒的優勢を見込んでいたスーパー・チューズデーの雲行きも怪しくなり、スティーヴンを取り巻く状況はまたたく間に悪化していった。そんな中、ポールからクビを宣告されたスティーヴンは、プルマン陣営への寝返りを決意するが、態度を豹変させたダフィにすげなく門前払いされてしまう。怒濤の嵐が吹き荒れるスーパー・チューズデー前夜、正義を売る者たちの最後の壮絶な駆け引きが始まった……。(作品資料より)

<感想>大統領選挙の裏側を生々しく描いている政治サスペンス。ヒラリー・クリントンの選挙スタッフを経験した劇作家ボー・ウィリモンの戯曲を、ジョージ・クルーニーが監督、制作・脚本・を兼ねた政界ドラマで、抜群の好感度で支持を集める大統領候補も演じている。
選挙の実態は、足の引っ張り合い?・・・候補者のために、一丸となって戦っているかのように見える選挙スタッフだが、みんな自分の地位を上げようと疑心暗鬼になっている。陣営内の人間関係から、意外とモロく崩れてしまうのには驚く。
信頼できるものなど誰もいないのだ。選挙スタッフを取り仕切るマネージャーのポール(フィリップ・シーモア・ホフマン)は「何よりも忠誠心が大事」と説くが、彼自身もかつては先輩を蹴落として現在の立場に就いている。野心こそが政界の原動力なのか?・・・。何が本当なのか、何が正義か、答えはない。

政治をまともな方向へ導くためには、まともな政治家が選ばれるべきなのに、選挙に勝つためには、多少の問題には目をつぶる必要がある。アメリカに限らず、どの国でも起きていることですよね。
本作では、選挙参謀である広報官スティーヴン (ライアン・ゴズリング)の活躍が注目される。彼の手腕で大統領選挙戦のヤマ場である予備選挙が行われる“スーパーチューズデー”がもうすぐ。
その時スティーヴンが敵陣営の幹部ダフィ(ポール・ジアマッティ)から引き抜きを打診される。
敵陣営からも自分が高く評価されていることに、ご満悦なスティーヴンだったが、これは敵陣営のワナだった。引き抜き工作があったことを上司のポールに報告するも、敵陣営との接触はご法度だと罷免されてしまいクビになってしまう。

さらに、スティーヴンが付き合っていた彼女とモリスのスキャンダルが発覚。モリスの不道徳行為を知り、もみ消しに奔走する。彼女は妊娠をしており、これは一大事だとスティーヴンが後始末をするわけなんですが、彼女はホテルで薬を飲み自殺をして死んでしまうのです。これも闇に葬るように隠蔽工作します。ポールにクビにされたスティーヴンが、モリスと取引する厨房での会見も見ものです。
政治の世界を題材にしながらも、クルーニー監督の語り口は明快でスリリング。毒を併せ飲む覚悟がないと、トップの座には就けないことを思い知らされる展開がお見事です。
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ドライヴ  ★★★★

2012年04月09日 | アクション映画ータ行
font size="3">昼は映画のスタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手が裏社会の抗争に巻き込まれていく様を描くクライム・サスペンス。ジェイムズ・サリスの小説を原作に「プッシャー」のニコラス・ウィンディング・レフン監督が映画化。出演は「ラブ・アゲイン」のライアン・ゴズリング、「わたしを離さないで」のキャリー・マリガン、「エンジェル・ウォーズ」のオスカー・アイザック。
あらすじ:天才的なドライビングテクニックを持つ寡黙な“ドライバー”(ライアン・ゴズリング)は、昼は映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手というふたつの顔を持っていた。家族も友人もいない孤独なドライバーは、ある晩、同じアパートに暮らすアイリーン(キャリー・マリガン)と偶然エレベーターで乗り合わせ、一目で恋に落ちる。
不器用ながらも次第に距離を縮めていくふたりだったが、ある日、アイリーンの夫スタンダード(オスカー・アイザック)が服役を終え戻ってくる。その後、本心から更生を誓う夫を見たアイリーンは、ドライバーに心を残しながらも家族を守る選択をするのだった。
しかし、服役中の用心棒代として多額の借金を負ったスタンダードは、妻子の命を盾に強盗を強要されていた。そんな中、絶体絶命のスタンダードに助けを求められたドライバーは、無償で彼のアシストを引き受ける。計画当日、質屋から首尾よく金を奪還したスタンダードだったが、逃走寸前で撃ち殺され、ドライバーも九死に一生を得る。
何者かによって自分たちが嵌められたことを知ったドライバーは、手元に残された100万ドルを手に黒幕解明に動き出す。だが、ドライバーを消し去ろうとする魔の手は、すでに彼の周囲の人間にも伸びていた……。やがて、恩人の無残な死体を発見したドライバーは、報復、そして愛する者を守るため、逃走から攻撃に一気にシフトチェンジするのだった……。(作品資料より)

<感想>車を走らせている時のみ、生を実感できる孤独な青年のノンストップな暴走犯罪サスペンス。ドライバーと呼ばれる主人公は、普段は自動車修理工場で働き、カーアクション映画の危険なスタントもこなしている。
主人公はヤサ男だが、バイオレンスシーンはかなりのエグさ。また彼には死の恐怖心がないことが徐々に分かり、ぞっとさせられる。確かにハードボイルド・アクション満載で、ジェイソン・ステイサムの「トランスポーター」を思い浮かべるが、それとは別ものだと見て分かる。
今時の男の子は車にあまり興味を示さなくなったと言われておりますが、映画の世界では車は男の魅力をアピールする不滅のアイテム。リアルでも運転が上手いってだけで男っぷりは一気に上がりますし、車をバックさせる時にシートに腕をかけて振り向く仕草には、ついドキとさせられます。

そして、男っぷりを上げるのはハードボイルドなアクション映画。そうです!ライアン・ゴスリングの男っぷりも本作品で激しくアップしたのですね。「きみに読む物語」「ラースとその彼女」以来、世界の女史が彼にときめいていたという声が聞こえてきそうですが、男心も痺れさせてこそ男はナンボなんですよ。
とにかく、このゴスリングはかっこいい! 昼は修理工場で働くかたわら、ハリウッドのカースタントを務め、夜は強盗の逃走を請け負うドライバーが、愛する者のために命をかけちゃうのです。
男子が惚れる俳優というとトム・クルーズとか、女もうっとりできちゃう男は最近すくなくなったけれど、その系譜に「アジョシ」のウォンビンに続いて、ゴスリングも名を連ねたわけですよ。まぁウォンビンの好き嫌いは別としてね。
さて、このドライバーは映画史上類を見ない寡黙な主人公という触れ込みなのですが、口数は少なくても佇まいからして素敵なんです。「スーパー・チューズディー」で、現実と理想のはざまで苦悩する若き選挙参謀を演じて、ナイスガイなインテリぶりでもときめかせてくれているゴスリング。この間レンタルした「ラブ・アゲイン」でのゴスリングも、鍛えた体を惜しげもなく披露してモテモテ男を演じていた。

劇中で、微妙な表情で愛する女とその息子への、深い愛情を滲ませているのは言わずもがな。エレベーターの中、急にアイリーンを抱き寄せてキスをするシーンにも驚かされる。そのさりげないうまさにはもちろん感心するけれども、やっぱり肝心な逃走シーン、依頼人たちの仕事を待っている間や、警察の追跡をかわそうとする張りつめた状況でも、あくまで抑えたトーンで醸しだすのはいまだかつてないハードボイルド感。
カーチェイス・シーンで流れるテクノ調の音楽が、スタイリッシュでありながらどこか懐かしい独特のムードを生みだしている。
おまけに、彼のイケメン度に関してはかなり疑問を抱いていたのですが、ここ数年秀作続きのおかげでだんだんイケメンに見えてきているのです。男の顔は履歴書っていいますけど、ゴスリングの顔もキャリアと年齢を重ねるにつれて、どんどん良くなってきていると思うのは私だけではありませんよね。
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ヘルプ 心がつなぐストーリー  ★★★★

2012年04月09日 | は行の映画
キャスリン・ストケットの全米ベストセラーを映画化した感動のヒューマン・ドラマ。人種差別意識が根強く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、勇気ある行動で世の中に大きな波紋を投げかけた作家志望の若い白人女性とメイドとして働く黒人女性たちとの友情の軌跡を綴る。主演は「小悪魔はなぜモテる?!」のエマ・ストーン、共演にヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、ジェシカ・チャステイン、ブライス・ダラス・ハワード。監督は原作者とは同じ南部出身の幼なじみで、これが長編2作目の新鋭テイト・テイラー。

あらすじ:アメリカ南部、ミシシッピ州ジャクソン。上流階級に生まれ、黒人メイドに育てられた白人女性スキーター。作家志望の彼女は大学卒業後、地元の新聞社で家事に関するコラムの代筆を担当することに。
しかし家事に疎い彼女は、友人宅のベテラン黒人メイド、エイビリーンに相談する。話を聞くうち、彼女たちが置かれた立場に違和感を覚え始める。そして、黒人メイドたちの証言を集めて本にしようと思い立つ。
ところがエイビリーンは、黒人が真実を口にするようなことがあれば、この町では生きていけなくなると、取材を頑なに拒否するのだが…。(作品資料より)

<感想>今年のアカデミー賞をにぎわせた本作。見事に助演女優賞を受賞したオクタヴィア・スペンサーを始め、同賞候補になったジェシカ・チャステイン、主演女優賞候補のヴィオラ・デイヴィス、さらに現在注目度ナンバーワン女優のエマ・ストーンら、全キャストのアンサンブル演技が素晴らしい。
舞台は1960年代前半のアメリカ南部。黒人メイドの現状を本にして出版しようとした、若き白人女性スキーター(エマ・ストーン)の苦闘を、ドラマチックに綴っていく。
“苦闘”といっても、スキーターの奔放な行動力は爽やかそのもの。幼少時代に育ててくれたメイドとの秘話や、彼女が取材する黒人メイドたちのユーモアを忘れない日常など、感動と笑いが絶妙なタイミングで盛り込まれ、誰もが感動移入する仕上がりになっています。

暗くなりがちな人種問題をユーモア交えて痛快に描く、本作のテーマはアメリカ社会がいまだ抱え続けている人種差別なので、かなり深刻なんです。そのテーマをきっちり踏まえつつ、差別に反抗するドラマで胸をすっきりさせる点が共感を呼ぶ。
子供を産んでも子育てはメイドに任せ、自分の都合のいい時にしか愛情を注がない白人の母親たちに、やりきれない思いを抱くエイビリーン。彼女には愛する息子を不幸な事故で亡くした過去があった。

スキーターの同級生のヒリー、白人婦人たちのリーダー。人種差別意識が強く性格も陰険。各家庭に黒人メイド専用のトイレを設置させる活動に熱心で、スキーターの新聞のコラム欄に、ヒリーの家で「古いトイレ回収」と載せたことで、家の前には古い便器がたくさん置いてあったことも。
ヒリーの家で働いていたミニー、やむを得ず白人の家族専用トイレを使って怒りをかい、クビになる。日頃から性悪なヒリーに腹を立てていたミニーは、料理の腕を生かして(チョコタルト)とんでもない仕返しをする。
笑いと感動を絶妙にブレンド、スキーターの熱意や、黒人メイドたちの不屈な精神が心を熱くする一方で、要所ではユーモアもたっぷり。メイド同士の痛烈な会話や、上流階級のバカげた自意識に笑ってしまう。

それに女優たちの控えめでしっかりした演技。アカデミー賞で3人が候補のなっただけあり、繊細な表情も駆使した各女優の演技はハイレベルだ。賞レースでは評価されていなかったが、ブライス・ダラス・ハワードの怪演も必見ですね。
この作品はわずか50年前の話で、人種差別や、性差別は黒人や女性だけの問題じゃない。普遍的なテーマを描いているのですね。60年代の南部を再現した美しく、鮮やかな映像も見所の一つですが、黒人メイドたちの声にできない心の叫びを、シリアスな問題を扱っていながら、社会的なメッセージを強調せず、苦難に耐えて前向きに生きる女性のたくましさに、勇気をもらえ、温かい気持ちに包まれますね。全米で口コミによって大ヒットしたのも納得です。
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