パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

フェアウェル★★★・5

2020年11月06日 | アクション映画ーハ行

             

中国で生まれアメリカで育ったルル・ワン監督が自身の体験に基づき描いた物語で、祖国を離れて海外で暮らしていた親戚一同が、余命わずかな祖母のために帰郷し、それぞれが祖母のためを思い、時にぶつかり、励まし合うながら過ごす日々を描いたハートウォーミングドラマ。「オーシャンズ8」「クレイジー・リッチ!」のオークワフィナが祖母思いの孫娘ビリーを演じる。

あらすじ:ニューヨークに暮らすビリーは、中国にいる祖母が末期がんで余命数週間と知らされる。この事態に、アメリカや日本など世界各国で暮らしていた家族が帰郷し、親戚一同が久しぶりに顔をそろえる。アメリカ育ちのビリーは、大好きなおばあちゃんが残り少ない人生を後悔なく過ごせるよう、病状を本人に打ち明けるべきだと主張するが、中国に住む大叔母がビリーの意見に反対する。中国では助からない病は本人に告げないという伝統があり、ほかの親戚も大叔母に賛同。ビリーと意見が分かれてしまうが……。

<感想>中国生まれ、アメリカ育ちの女性監督ルル・ワンが、自らの体験をもとに描いたファミリードラマ。監督の分身と言える主人公を演じたのは、中国系・韓国系アメリカ人の両親を持つ人気コメディ女優であるのオークワフィナ。

今年のゴールデングローブ賞の、ミュージカル/コメディ映画部門の主演女優に輝いたのが、オークワフィナというアジア系アメリカ人女優だった。えっ、その女優って誰なの?といぶかし気な顔する人がいるかもしれないが、ハリウッドでは「オーシャンズ8」や「クレージー・リッチ」ですでに知られていた存在なのだ。

この新作でもスクリーンで生き生きと素晴らしい演技を見せて、一段と評価を高めている。この作品でのCG賞では、主演女優賞の他に、外国語映画賞にもノミネートされたが、それもそのはず映画の舞台は主人公の住むニューヨークから、生まれ故郷の中国、長春へと移り変わり、英語と中国語が飛び交う賑やかな大家族の物語が始まるのだ。

一言でいえば、余命3か月という末期がんで、祖母の見舞いに中国の実家に駆け付けた孫娘のオークワフィナが、親戚一同の意向で、まだ医者の余命宣告を知らされていない祖母のために、悪戦苦闘するわけ。挙句の果てに従兄弟の結婚式があるという。

孫娘の突然の帰郷が、祖母の病気と関係があることを本人に悟られないために、何とも古典的な設定であり、さほど新鮮味はないのだが、孫娘のビリー、オークワフィナが登場すると俄然スクリーンに緊張感が走り、生き生きとした家族の物語が動き出すのだから、主演女優の面目は立派に成し遂げたわけ。感情を表に出しすぎという理由で、結婚式には出席NG。

もちろん祖母役のチャオ・シュウチェンら、中国や香港出身の実力派俳優たちが脇を固めていることもあってか、殆どウェルメイドの芝居を観ている気分になる。

脚本・監督はルル・ワン。北京生まれのアメリカ育ちの37歳の新人というが、なんとこの脚本は自分の体験にもとづく実話というのだから、驚かされる。

それにしても才気あふれる演出に独特の皮肉を絡ませたコメディーセンスは、新人の域を超えていると思う。ハリウッドの映画人に絶賛されたのも当然だろう。

重病患者に本当のことを教えないというのは、アメリカでは大問題になるところだが、中国では「優しい嘘」として黙認されるのだ。日本にも似たようなケースは少なくないだろう。思いもよらないカルチャーギャップに直面するビリーの視点からは、近代化しても混沌や矛盾から抜け出せない中国社会、そしてドライな西洋社会にはない、家族の頑固な関係性といった陰陽が、鮮やかに映し出されている。

そして、結末で明らかになる「嘘から出た真」という人生の真実。二転三転した後の、ハッピーエンドにはほっと胸をなでおろすのであります。つまりは、祖母の病気は、初期の癌であり、入院して治療をして長生きをしたという最後なんですからね。

それにしても、孫息子の結婚式での花嫁は日本人の女優で、みずはらあおいさんの中国語堪能な演技には、驚かされました。

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みをつくし料理帖 ★★★

2020年10月31日 | アクション映画ーマ行

         

ベストセラーとなり、TVドラマ化されたことでも知られる高田郁の時代小説を映画化。『犬神家の一族』以来プロデューサーとして活躍し、『笑う警官』などの監督作もある角川春樹がメガホンを取り、荒波に揉まれる女性たちの友情の物語を紡ぎ出す。ドラマ『この世界の片隅に』の松本穂香と『半分、青い。』の奈緒という注目の女優が共演する。

あらすじ:享和2年、大阪を襲った大洪水で離れ離れとなった幼馴染み・澪と野江。時は流れ、10年後、江戸・神田の蕎麦処「つる家」で働き始めた澪は、試行錯誤を重ねながら店の看板料理を作り上げていた。しかし、上方(関西)風の味付けで客の不評を買ってしまう。 一方、吉原遊郭の花魁野江・あさひ太夫は、つる家の茶碗蒸しの味に懐かしさを覚える…。  ≪どんなときも、道はひとつきり≫原作:高田郁 主題歌:手嶌葵『散りてなお』

<感想>テレビドラマや、NHKでもドラマ化されたらしいが、それは知らなかった。11年ぶりの角川春樹監督映画で、料理の映画にしては女性向きの作品だが、高田郁の原作を初映画化。姉妹のように仲がよい澪の松本穂香と、野江の奈緒の今が旬の女優2人が、大阪の大洪水で生き別れとなり、10年後に澪は、江戸の神田の蕎麦屋の料理人となっていた。

野江の方は、吉原遊郭の花魁となり、2人の数奇な運命の物語を描いているが、料理映画にしては女性向きの内容であり、2人の生い立ちと、大人になってからの生き方に感動して泣けてくる。

11年ぶりの角川春樹監督映画ではあるが、ずいぶんと地味な題材を選らんだものだと思いつつも、演出は基本に忠実でありながらも、全般におとなしい作品でもありました。

江戸時代が舞台の本作だが、冒頭から占い師の反町さん始め、かなり贅沢な俳優が大勢出演していて、少しもったいない感じがした。

しかし、花魁役の奈緒の儚さを艶っぽく描き、しっとりとした落ち着いた世界を丁寧に描いているのも良かった。花魁の奈緒の付き人として、中村獅童が好演しており演技が巧かった。

蕎麦屋の主人には、石坂浩二が演じ、そこに働いている女には浅野温子が場を盛り上げており、その蕎麦屋の客の物書きの藤井隆に、その妻には、角川春樹が育て上げた薬師丸ひろ子が演じて懐かしく思いました。

江戸時代で女性が仕事で打ち込み、恋に悩む姿には現代女性にも通じるものがあります。暑い夏の盛りに冷たい茶碗蒸しを考案し、客が大勢押しかけて来て、その冷やし茶碗蒸しを大手の食事処に真似をされるという試練もあった。

それと、花魁の奈緒が病気で伏せて、使いの中村獅童が澪のところへ来て料理を頼む姿と、澪が子供のころに奈緒の好物だった金柑の甘煮を持たせるところなど。

これが生涯最後の監督作品と宣言し、出演者にも角川春樹監督ゆかりの、鹿賀丈史、松山ケンイチ、野村宏伸、浅野温子、渡辺典子、石坂浩二など、そして薬師丸ひろ子と贅沢三昧の役者陣たちがとっかえひっかえと出演するので見ごたえがありました。

見どころは料理屋の大座敷など、大人数を一画面に入れて芝居をさせるシーンは、圧巻でした。そして、2人が出会うシーンは、吉原の行事で明神様のキツネのお面を付け白い着物を着て、コーン、コンと歌いながら踊る花魁の奈緒が、美しく大人になった元気な澪の姿を見つけるところ。

それに、2階の障子に手の指でキツネの真似をして、コーン、コンと澪とのやりとりが胸を締め付けて泣かせてくれる。

 

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・60  アクション・アドベンチャーランキング

 

 


事故物件 恐い間取り★★・5

2020年10月20日 | アクション映画ーサ行

       

「事故物件住みます芸人」として、実際に9軒の事故物件に住んだ芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクション「事故物件怪談 恐い間取り」を亀梨和也主演で映画化。監督は、「スマホを落としただけなのに」「貞子」の中田秀夫が務めた。

あらすじ:売れない芸人・山野ヤマメは「テレビに出してやるから事故物件に住んでみろ」と先輩から無茶ぶりされ、テレビ出演と家賃の安さから殺人事件が起きた物件に引っ越す。その部屋は一見普通の部屋だったが、部屋を撮影した映像には謎の白いものが映り込み、音声が乱れるなどといった現象が起こった。ヤマメの出演した番組は盛り上がり、ヤマメは新たなネタを求めて事故物件を転々とする。住む部屋、住む部屋でさまざまな怪奇現象に遭遇したヤマメは「事故物件住みます芸人」として大ブレークするが……。

<感想>だいぶ前に鑑賞したもの。亀梨くんが主演だというので期待して観たが、ホラーものはあまり好きじゃないので、それでも音響効果が大で、それなりに怖かったですね。この作品は、原作者の実体験らしく、住んだアパートに以前の居住者が自殺、殺人、孤独死、事故などで亡くなってしまい、霊感がある人には目でその死んだ人の姿が見えるというのだ。

その幽霊を主人公の亀梨くん扮するヤマメという芸人が、TVに出たいがために、事故物件に住んで体験を披露するというもの。実際には、ヤマメは幽霊の姿が見えない霊感なんてない人間。だが、TV局の女性小坂梓ちゃんには、その女性の姿が見えてしまうという。実際には、スクリーンの中でも白い姿が見えて、それに出て来る前から効果音がおどろどおろしく恐怖感を煽るのだ。

まぁ、霊感がするどい人にはそれなりに見えて、映画の中でも見えてしまうのでしょう。ヤマメには見えてないので、霊感の鋭い小坂梓に一緒に来てもらう。道路でも赤いドレス女の人が見えており、部屋の中でもそれなりに見えて、カメラにも映り込んでいるというのだ。亀梨くんには、いくらか霊感というものがあるらしく、それなりに怖かったという。

事故物件のアパートを、一軒目、2軒目、と住んでみるヤマメの目には、その姿は見えないが、なんとなくそれらしき雰囲気というか、夜中で誰もいない部屋で、出て来る幽霊は、やはりその部屋で殺されたのか自殺をしたのか理由は知らないが、怨念というか、殺されても浮かばれない理由があるのでしょう。

特に面白かったのが、ラストで車にひき逃げされる不動産やの江口のり子さんの演技が、あまりにもあっけらかんとした風貌で上手いし、事故物件を扱っているのに、その部屋の供養とかお祓いとかをしないでいるのも、バチ当たりな感じがするし、やっぱり最後に死ぬ運命なのかと思いましたね。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・59  アクション・アドベンチャーランキング

 

 


浅田家!★★★・8

2020年10月14日 | アクション映画ーア行

         

様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田政志の実話をもとに、二宮和也と妻夫木聡の共演、「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督のメガホンで描いた人間ドラマ。本作で中野監督の下には、二宮をはじめ、黒木華菅田将暉、風吹、平田、妻夫木ら日本アカデミー賞の受賞経験がある実力派キャストが結集。さらに渡辺真紀子北村有起哉池谷のぶえ駿河太郎篠原ゆき子ら中野組常連とも言える俳優陣も顔をそろえた。

あらすじ:4人家族の次男坊として育ち写真家になった主人公・政志を二宮、やんちゃな弟をあたたかく見守る兄・幸宏を妻夫木が演じ、家族の“愛の絆”や“過去と今”をオリジナル要素を加えつつ描き出す。浅田家の次男・政志は、父の影響で幼い頃から写真に興味を持ち、やがて写真専門学校に進学。卒業制作の被写体に家族を選び、浅田家の思い出のシーンを再現した写真で学校長賞を受賞する。卒業後しばらくはくすぶっていたものの、再び写真と向き合うことを決意した政志が被写体に選んだのは、やはり家族だった。様々なシチュエーションを設定しては家族でコスプレして撮影した写真で個展を開催し、写真集も出版され、権威ある賞も受賞する。プロの写真家として歩み始めた政志は、全国の家族写真の撮影を引き受けるようになる。しかし、2011年3月11日、東日本大震災が発生。かつて撮影した東北に住む家族のことが心配になった政志は被災地に足を運ぶが、そこで家や家族を失った人々の姿を目の当たりにする。

<感想>一家全員でさまざまな職業や場面になりきるユニークな家族写真が大きな話題を呼び、写真界の芥川賞と呼ばれる木村伊兵衛写真賞を受賞し、ついには映画化までされることになった写真集『浅田家』。成りきりコスプレの撮影が一番大変だったという浅田一家の面々。

父、母、兄、そして写真家本人の4人家族が、ラーメン屋や消防士や極道など様々なシーンに扮するシリーズ、『浅田家』。すべて、地元の三重県でいろいろな方の協力を得ながら撮影した写真は、「演出」の見事さ以上に、家族のかかわりがもたらす「記念写真」の力にあらためて驚かされる。

その中でも「あまちゃん」ふうのコスプレを撮影した日が、寒くて一番辛かったという妻夫木さん。最初の「消防士」はすごくいいクオリティーで撮れたそうで、その後の「選挙」からが大変だったそうです。

1日で最大5カットの撮りで、遊園地での「疲れたヒーロー」だけは別の日に撮ったそうです。遊園地と、ライブハウスにラーメン屋は現存していなかった。

平田さんが父親のお父さんに似せようと苦労したらしい。見た目も骨格も全然違うので、でも本当にみなさんよく似てらっしゃると思いましたね。ラストでの父親が危篤という知らせを受けて、故郷へ帰る政志。だが、それは嘘で、父親が家族全員が揃うにはこれしかないと、葬式のシーンを撮影するシーンには、驚きました。

監督は、写真撮影を通じて絶対に家族になれるというのが、監督の狙いだったようだ。真似をするってことは楽しいもので、すべてが本当に面白い。

母親役の風吹ジュンさんは、極道の妻、看護婦、など、そこにどれだけ寄せていけるだろうかと苦労したそうです。本物の母親は、プロの看護婦だったのでね。

中野監督作品は、家族がそろって囲む食卓のシーンが印象的だ。本作でも、主夫である父・章(平田)が作る皿うどんやたこ焼き、政志が好きな辛いカレーなどが登場し、家族の時間をあたたかく彩る。

「家族って決まりはない、それぞれの価値観や形があって。家族の定義はないんだけど、象徴という意味では『食卓を囲む人たち』だと思っています。だからこの映画では、食卓を一緒に囲むシーンが多い。“食べる”というのは“生きる”ことの基本だから、食事をともにするのは、とても尊い行為だなと思っています。今回、実際の浅田家の大皿から取り分けるという食べ方を取り入れて、食卓シーンを作りましたと言う監督の思いが伝わってきます。

後半では、劇中で政志は、何度も涙を流す。二宮がそれぞれ異なる思いを宿らせているからこそ、全てが違う涙に見え、そして全てが本物の感情として観客を揺さぶってくる。

ある日、東日本大震災という未曾有の天災が発生する。東日本大震災での、泥の中から出て来る遺族たちの写真。それを丁寧に何度も水で洗って、乾かす仕事には本当に観ていて頭が下がりました。そして、遺族の写真の中から、家族の方たちが見つけて嬉しそうに、思い出しながら涙を流すシーン、観ている方も涙、涙でした。

その中でも、始めに地元で写真を水で丁寧に洗って乾かしている青年を見つける。彼は、菅田将暉君で、始めは誰だか判らないような地元の青年ふうで、自分のオーラを隠して演じてましたね。さすがに演技の巧い菅田将暉くん、主人公の二宮さんを立てており、地元青年の役にハマっていましたよ。

震災に遭う前に、政志が出会った病気と戦う子どもを持つ佐伯家の写真を撮り、ファインダー越しに政志が涙するシーン。被災地の掲示板で知り合いの家族の安否を確認するシーンでは、政志は涙までは流していませんが、目を潤ませて、とても感情が伝わってきましたね。『たった1枚の写真に救われる』という話をたくさん聞きましたが、やっぱり人間は、生きる歴史の土台がないとふらふらしてしまう気がしていて。1枚でも『自分がこうやって生きてきた』という証があるだけで、人間は今を生きられる。

近年、いろんな自然災害が毎年のように起きているし、困難な時代が来ることは分かっているからこそ、今、そういう困難に立ち向かう力になる映画が必要だなと思いました。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・58  アクション・アドベンチャーランキング

 

 

 

 


糸★★★・5

2020年10月09日 | アクション映画ーア行

        

 

1998年にリリースされた中島みゆきのヒット曲「糸」をモチーフに、菅田将暉、小松菜奈演じる平成元年に生まれた男女の18年間を生活者からの視点から見た平成史とともに描いていく、瀬々敬久監督作品。漣役の菅田、葵役の小松のほか、斎藤工、榮倉奈々、山本美月、倍賞美津子、成田凌、二階堂ふみ、高杉真宙らが顔をそろえる。

 

 

あらすじ:平成元年生まれの高橋漣と園田葵。北海道で育ち、13歳の時に出会った2人は初めての恋をするが、葵は母親に連れられて北海道を去ってしまう。8年後、21歳になった漣は、友人の結婚式のため訪れた東京で葵との再会を果たす。しかし、漣は北海道でチーズ職人、葵は東京、沖縄へと自分の世界を広げ、2人は別の人生を歩み始めていた。さらに10年の時が流れた平成最後の年、2人は運命の糸によってふたたびめぐり会うこととなる。

 

 

<感想>中島みゆきの名曲「糸」の台詞が所々に織り込まれており、曲に乗せて描かれるふたりの男女の切ない生き方、そしてその周囲の人々の物語。一本の赤い糸のように、男と女が平成という時代を織り込み、厚みのある一枚の布となった幾重もの糸の物語。それは、好きで愛し合っていても中々結ばれない男女のドラマがあり、そして物語の喜怒哀楽に心を動かされてしまう。

 

 

さすがに主役の2人菅田将暉の演技力と、小松菜奈の魅力がぴったりとハマっており、それは見事に1本の糸で繋がっており、中々この主人公2人が結ばれないもどかしさとか、きっと最後には巡り合って結ばれるのだと信じて疑わなかった。

手を替え品を替えての物語の運びに工夫が凝らされており観る者を飽きさせない。主人公は二人だが、小松菜奈の方が、いわば冒頭での虐待も含め受難の連続で、斎藤工に一方的に去られて後、シンガポールでは仕事仲間の山本美月に裏切られ逃げ出されたあと、母親の死にも遭う受難。

菅田将暉の歩む過程は、北海道でのチーズ作りで真っすぐだ。それでも愛妻の死に見舞われ、それでも娘をもうけて一つのヤマ場を成している。

 

 

それがラストで、とんとん拍子に2人が出会い、結婚をするまでの長い道のりを、スクリーンで描かれてゆく脚本に涙が止まらなかった。しかしながら、この作品は『弥生、三月 君が愛した30年』と類似している点が多々あり、評価の上では前に上映された『弥生、三月 君が愛した30年』の方が良かったと思う。

ですが、俳優たちが適材適所で素晴らしく、誰もが魅力的な人物像を彫り上げていた。子供食堂の倍賞美津子が豊かな包容力で、主人公2人をさりげなく繋ぐ役割を果たしていた。全編、山あり谷ありの切実な人生模様を作り上げていた。

 

 

主人公の漣は北海道でチーズ工場で働きながら、そこの娘 榮倉奈々と結ばれ子供が授かり、幸せな結婚生活に恵まれる。

 

 

一方の葵は、13歳の時に出会った漣と恋をして、彼の絶対に君と結ばれると誓いあったのに、葵は養父の虐待を逃れて一度は漣と駆け落ちをするも、まだ幼い2人は警察に保護されて別れ別れになってしまう。

 

 

その後、葵は実業家の斎藤工に救われ、世界中を飛び回って沖縄に住むことになるが、斎藤工の事業が失敗して葵はまた一人になってしまう。そして21歳になった葵と漣は、友達の結婚式で久しぶりに出会い、お互いに別々の人との幸せを掴んでいた。

 

 

ところが、漣はまだ心の中に葵のことをあきらめてはいなかった。娘を授かったのに妻が癌で亡くなり、チーズ作りをしながらきっと心の中では葵のことを思い出していたに違いない。だから葵の方も、漣との繋がりを求めて斎藤工のところから逃げ出して、北海道へと戻っていく。

 

 

17年後の2人の再会では、きっと漣と葵が結ばれるのだと確信を持って観ていたが、さすがに涙が零れて仕方がなかった。もちろん最大なのは東日本大震災でしょうかね、上手く物語に織り込んであると思いました。人生ってこんなにも巧く行くわけないと思うのですが、映画の中だもの、この2人には幸せになって欲しいと願うばかりですね。

 

 

そうそう、私の大好きな成田凌くんが、友人で出演していましたね。彼の作品はTVで良く観ています。

 

 

 

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・57  アクション・アドベンチャーランキング

 

 

 

 


2分の1の魔法★★★

2020年09月24日 | アクション映画ーナ行

               

「リメンバー・ミー」「トイ・ストーリー4」のピクサー・アニメーションによる長編作品。亡くなった父親にもう一度会いたいと願う兄弟が、魔法によって半分だけ復活した父親を完全によみがえらせるため奮闘する姿を描いた。監督は「モンスターズ・ユニバーシティ」を手がけたダン・スキャンロン。

あらすじ:かつては魔法に満ちていたが、科学技術の進歩にともない魔法が忘れ去られてしまった世界。家族思いで優しいが、なにをやってもうまくいかない少年イアンには、隠れた魔法の才能があった。そんなイアンの願いは、自分が生まれる前に亡くなってしまった父親に一目会うこと。16歳の誕生日に、亡き父が母に託した魔法の杖とともに、「父を24時間だけよみがえらせる魔法」を書かれた手紙を手にしたイアンは、早速その魔法を試すが失敗。父を半分だけの姿で復活させてしまう。イアンは好奇心旺盛な兄バーリーとともに、父を完全によみがえらせる魔法を探す旅に出るが……。

<感想>主役は“内気な弟イアン”と、“陽気な兄バーリー”… 父をたった1日だけ生き返らせるため冒険の旅にでる。16歳になった誕生日に母親からイアンにプレゼントがあったのだ。兄のバーリーは父親との思い出があるが、イアンには父親の記憶がなかったのだ。

イアンが父親からのプレゼントの杖で、父さんを生き返らせようと、魔法オタクの陽気な兄バーリーとともに呪文を唱えてみると、杖から青白い閃光が飛び出し、それはみるみる人の形になっていった。イアンには魔法の才能があったのだ。しかし、杖の先端にある“不死鳥の石”が粉々に砕け散り、魔法は失敗に終わってしまう。父は生き返らなかったのではなく、“体の半分だけが生き返る”という意味不明な状況に陥ってしまった。タイトルの”2分の1”には、半人前であるイアンの魔法で”半分だけしか復活しなかった父親”という意味が込められている。

魔法の効力は、わずか24時間。それまでに兄弟は、父親を“完全に蘇らせない”と永遠に会えなく成るのだ。兄のバーリーとともに、イアンは新たな不死鳥の石を求めて冒険の旅に出る。

幼少期に父親を亡くしたダン・スキャンロン監督の思い出がベースになっている本作。半分しか見えない父親への憧れと、その偉大な父親と中途半端な自分を比べては落ち込む少年の葛藤と成長、対照的な兄との絆といった家族愛に、涙腺を刺激されるはずですね。

「父さんとやりたいことリスト」と書かれたメモ帳を、大事そうに抱えながら――。設定は今回もユニークであり、舞台は、かつて魔法があふれていた世界。炎や雷などの魔法があふれていた世界だ。はるか昔、人々は魔法で火を灯したり、悪者を退治したり、冒険に繰り出したりしていた。だが、科学技術が発達すると、人々は魔法よりも、スマホなどを重要視するように成った。次第に誰もが魔法を使わなくなってしまった。

兄弟の冒険に待ち受けるのは、プールで自撮りをする人魚や野良犬のようなユニコーンなど。個性豊かなファンタジー世界の住人たち。世界が神秘的な魔法に満ち溢れて居たのは、遥か昔のこと。

科学が進歩するにつれ、小人や妖精たちは便利な世界に憧れ、魔法は殆ど消えていた。伝説の生き物だったドラゴンも、今ではペットとして飼われている。

つまり観客にとって馴染みぶかい風景の中に、ユニコーンがうろついるような独創性を表現しようと考えていたり、エルフやトロールたちがスケートボードで遊んでいたり、バスに乗っていたりする姿を想像するのは楽しいものだよね。

魔法の消えかけた日常を通して便利になりすぎる現代社会へ警鐘を鳴らしつつ、冒険心を爆発させる彼らがユーモアたっぷりに描かれているのが良かった。

イアンの魔法の見どころと言ってはなんだが、亡き父をよみがえらせようとする旅の途中で、イアンが魔法でガソリンタンクを大きくしようとするシーンである。慣れない魔法に集中しようとするが、隣にいるバーリーがお節介を焼いてしまい、結局イアンは魔法に失敗する。ガソリンタンクではなく、兄のバーリーを小さくしてしまったのだった。

そのガソリンスタンドでは、小さい妖精たちが暴れまわっていて、外には乗っているバイクがあり、イアンたちに因縁をつけて来る。イアンは大急ぎで小さくなった兄をポケットに入れて、車にガソリンを入れて慣れない運転で車を走らせる。バイクで追いかけて来る小さい妖精たち。それに、心配して子供たちの後を追いかける母親は、酒場のマンチュア(ドラゴンの)へと向かう。

イアンの運転する車に、パトカーが追いかけてきて質問をするのだ。兄は小さくなりポケットの中、イアンを助ける半人前の父親。するとイアンが兄と一緒に魔法で義理の父親ケンタロウスの警官に化けるのだ。難なくそこを乗り切って前へと進む。

すると崖があり、向こう岸には跳ね橋がある。イアンが魔法で向こう岸まで恐る恐る渡るのだが、腰には兄が持つロープが握られていて、最後近くで腰のロープがないのに気が付き宙に浮き落ちていくのを、必死で崖の淵を掴むイアン。やっと跳ね橋を向こう岸に渡して兄と車を通すのだった。ガソリンスタンドで買ったお菓子を魔法の杖で大きくして、ボートにして川を渡るのだ。

そこからは川を渡り岸につき、洞窟の中へと進み、まるで「インディジョーンズ」のような仕掛けがあったりしてハラハラ、ドキドキ、兄弟は下半身の父親を連れて前へと進む。洞窟を出るとそこは、現代の町が現れ、兄も元どうりに大きくなっていた。

旅の終わりに近づくと、弟のイアンに変化が見えてきて、旅の中で様々な危険に遭遇し経験をして、少しづつ自信を持ち始めて成長するイアンの姿に嬉しい思いが込み上げてくる。

兄が町の古い泉を撤去しているところへ行き、この泉に”不死鳥の石”がきっとあると確信する。日没まで数時間しかない。兄弟で仲良く魔法の杖で父親を蘇らせることができるのだろうか。

イアンは母親の力も加わって、大切な人との絆が一歩づつ踏み出す勇気をくれて、最後の夕日に見える父親と兄が抱き合っている姿を、岩の隙間から見つめるイアンについ涙が込み上げてくる。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・56  アクション・アドベンチャーランキング

 

 


コンフィデンスマンJP プリンセス編★★★★

2020年09月11日 | アクション映画ーカ行

        


長澤まさみ、東出昌大、小日向文世が共演した人気テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版第2弾。共演には、劇場版前作「ロマンス編」の竹内結子、三浦春馬、テレビドラマ版の広末涼子、江口洋介らシリーズでおなじみのキャストに加え、「町田くんの世界」の関水渚、「アクシデンタル・スパイ」のビビアン・スー、「GENERATIONS from EXILE TRIBE」「EXILE」の白濱亜嵐らが新たに参加。



あらすじ:世界有数の大富豪フウ家の当主レイモンドが他界した。10兆円とも言われる遺産をめぐりブリジット、クリストファー、アンドリューの3姉弟が火花を散らすが、執事トニーが相続人として発表したのは、誰もその存在を知らない隠し子ミシェルだった。世界中からミシェルを名乗る詐欺師たちが“伝説の島”ランカウイ島に集結する中、ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人もフウ家に入り込み、華麗かつ大胆にコンゲームを仕かけるが……。



<感想>映画を観に行く前に三浦春馬君の訃報を知り、とても切なくて泣けて泣けて、まだ若いのに惜しい俳優さんをなくしました。この映画が彼の最期の作品なのかもしれませんが、彼、春馬くん(ジェシー)の顔をじっと見つめながら、特に画面で笑っている顔が印象的で、涙が出てたまりませんでした。



本作品の中では、ダー子に頼まれて、地元の金持ちの女性たちを騙す役割をしてました。真っ赤なスーツを着こなして、ゴージャスな雰囲気を醸し出し、金持ちのぼんぼんというような役柄で、始終ご機嫌な様子を見せていましたね。



前作と同様の、相も変らずのダー子の長澤まさみ、ボクちゃんの東出昌大、リチャードの小日向文世が主役の詐欺師たちによる、ドタバタ喜劇でございます。今回もたくさんの俳優さんたちが出演しており、デビ夫人やらGacktさんとか、本当にちょいとの出演でもよく引き受けたと感心しきり。この作品への力の入れようが伺われました。



大富豪フウ家の当主レイモンドが他界したことにより、莫大な遺産をめぐり長女のブリジット、長男のクリストファー、次男のアンドリューの3姉弟が火花を散らすなかで、執事トニー(柴田恭兵が中々良かった)が相続人として発表したのは、誰もその存在を知らない隠し子ミシェルのことだった。



早速ダー子は、隠し子ミシェルにふさわしい純真な女性を探しにいくも、何と孤児のメガネっ子のブス女をそのミシェルに仕立て上げることにした。さて、そのお手並みを拝見しようではないか。



驚いたのが、そのメガネブスっ子(関水渚)が見違えるように大変身して、教養や、その他、隠し子ミシェルに訓練するわけ。これには参った。ダー子の腕もあるが、本人がその気になり、体の中からそのミシェルに相応する女性として作り上げたのである。最初のコックリと名付けた彼女よりも、最後のミシェルの関水渚の美しいレディになった大変身にはびっくりしました。



そもそも大富豪フウ家の当主レイモンドが、相続に加えた隠し子ミシェルとは、ダー子が発案者だったから、そのことを最後に知るのでなるほどと、納得。ミシェルの母親には、なんと竹内結子が現地の母親として様変わり変身術をみせて凄かったです。



そして、この隠し子騒動に加わるのが、いつもの江口洋介扮する赤星の親分に子分たち。執事トニーが金庫の中に隠している黄金の印鑑が、なんと財産の半分以上の値段だというのだから、ミシェルが全財産を相続することが決まった時に、その印鑑で捺印するというので、ダー子はミシェルにその印鑑とそっくりの贋作を作り、すり替える作戦をすることになる。



世界をまたにかけた騙し合いが展開される本作。撮影は国内に始まり、後半はマレーシアへと!。クアラルンプールで3日間、その後はランカウイ島での撮影。マレーシアを代表する繁華街、マーケット、高級リゾートホテルなど、各地で撮影が行われた。マレーシアに行ったことのある人も、行ってない人も、見ているだけで旅行気分を味わえるような映像には圧巻ですから。



また、ダー子(長澤まさみ)の衣装にも注目です。普段着や変装姿、豪華なパーティドレスと、あわせて何と29変化とは、ため息がつきますね。前回を超えるスケール感、サプライズのシークレットゲストなど、見どころ盛りだくさんという点に於いては、一切の騙しはナシですから。



しかしながらダー子たち3人が、赤星たちに拳銃で撃たれて死んでしまうシーンがあるが、これはきっと芝居で裏に何かあるのではないかと思ってしまった。案の定、全員生きていて、死んでいない。



ラストでの海岸でのミシェルに成りきった関水渚のレディ感や、ダー子が育ての親のような別れに涙がホロリ。いつもの詐欺師としてのダー子は何処へやら、金儲けのことはさておいて、ミシェルの幸せを願い、別れのシーンは良かったです。





長女のブリジット、長男のクリストファー、次男のアンドリューの3姉弟たちにも財産分しているので、本当は長男は昆虫博士を望み、長女は、売れない画家との恋を望み、次男は、ゲイなので男たちとの生活を望むということになる。


最後にオマケの映像がたくさんあるので、最後まで席を立たずにご覧ください。


 

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・55  アクション・アドベンチャーランキング


 


水曜日が消えた★★★

2020年08月27日 | アクション映画ーサ行

         

中村倫也が、曜日ごとに入れ替わる7つの人格を持った男を演じた主演作。中村が7つの人格を持つ主人公を演じるほか、石橋菜津美、元「乃木坂46」の深川麻衣、きたろう、中島歩、「ゲスの極み乙女。」の休日課長などが顔をそろえる。MVやCM、短編作などで注目される吉野耕平の初の長編監督作。

あらすじ:幼い頃の交通事故により、曜日ごとに性格も個性も異なる7人が入れ替わる「僕」。彼らは各曜日の名前で呼び合っているが、中でも「火曜日」は一番地味で退屈な存在で、他の曜日から家の掃除など面倒なことを押し付けられる損な役回りだった。しかし、ある時、1日を終えてベッドに入った「火曜日」が、水曜日に目を覚ます。僕の中の「水曜日」が消え、「火曜日」は水曜日を謳歌するが、その日常は徐々に恐怖へと変わっていく。

<感想>だいぶ前に観たが、思い出しながら。7人の人格を中村倫也が演じるという、ふれこみだが、その設定をこれみよがしなフックにしないで、周囲との関係をめぐるドラマとして、描き出している。だが、中村倫也の1人7役という演技力が乏しくて、映像、設定等を加えてもとても高評価にはならない。なんだか内容的に薄く感じました。

1週間を日替わりの僕として生きる青年に起きる異変という設定も、妙にすんなりと受け入れられ、そんな驚きのなさが企画の乏しさのせいなのかと、悶々としたものの、ひっかかりのないままに観終えてしまった。なんだかハリウッドの「セブン・シスターズ」と同じネタだ。

7人というわりには、火曜日と水曜日の二人の僕しかいなかったかもと、姑息的な文句を飲み込みながら、7人格を筋として絡めて演じ分ける中村倫也を観たかったのだと自分に言い聞かした。

吉野監督、オリジナル脚本とVFXも、観終わって奇妙な夢を見たという感じだ。観客がついていけるギリギリを狙ったとしか思えないが、全体の希薄さも狙いだったようだ。舞台は、近未来なのか、現代なのかはっきりとは分からないが、静と動の漂わせ方、及び透明感ある映像の美しさは良かった。

そして、随所で挟み込まれる、”幼き僕”が交通事故に遭った際のアスファルトに横たわる”僕の目”が、画面いっぱいにクローズアップされ、その後、道に転がるサイドミラーに映し出される飛翔する鳥の姿。最初は7羽、5羽、2羽と減っていくところは実に見事。

火曜日が寝たあと1週間分の夜が来るはずが起きたら水曜日。図書館に行って喜ぶ火曜日だけど、その内木曜日までやってきてと。そんな緩い展開なのだが、対人関係や恋心というのがメインであり、掃除するのは火曜日の役目。

それに通院するのも火曜日。映画とかビデオってのは他の曜日はどうなんでしょうかね、さすがにビデオを借りるのが「トレマーズ」とはびっくり、何だか一ノ瀬さんと気が合うような。

ラストで、深刻な顔をはっきり始末していないのもなんだかなぁ。曜日ごとに変化する多重人格で、一番地味な火曜日をベースにした選択はよかったが、中村倫也の他の曜日の演技がわざとらしのも仕方がないのか。それにしても女性たちが表面的にしか存在しないのも不思議だ。

そして、医師もその助手もそうだ。そう考えるとすべてが記号的に見えて、それが狙いだったのかもしれない。それにCM的な口当たりのよさに始終した画作りには、今一つのめり込めないのも残念。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・54  アクション・アドベンチャーランキング

 


ランボー ラスト・ブラッド★★★

2020年08月14日 | アクション映画ーラ行

         

シルベスター・スタローンの「ロッキー」に並ぶ代表作で、1982年に1作目が製作された人気アクション「ランボー」のシリーズ第5弾。監督はメル・ギブソン主演作「キック・オーバー」を手がけたエイドリアン・グランバーグ。

       

あらすじ:グリーンベレーの戦闘エリートとして活躍していたジョン・ランボーは、いまだベトナム戦争の悪夢にさいなまれていた。ランボーは祖国アメリカへと戻り、故郷のアリゾナの牧場で古い友人のマリア、その孫娘ガブリエラとともに平穏な日々を送っていた。しかし、ガブリエラがメキシコの人身売買カルテルに拉致されたことで、ランボーの穏やかだった日常が急転する。娘のように愛していたガブリエラ救出のため、ランボーはグリーンベレーで会得したさまざまなスキルを総動員し、戦闘準備をスタートさせる。

<感想>だいぶ前に鑑賞したのだが、歳を老いても一生懸命に映画を撮る、シルヴェスター・スタローン好きですね。ロッキーは断トツにひいき目で最高でした。「ランボー」の最後だというので鑑賞したのだが、相変らず年を云っても一人で敵の本陣に乗り込み、一人で戦う孤高の男を演じている。ちょっと甘い目で鑑賞しましたが、中々でした。

可愛がっていたお手伝いの孫娘が、治安の危ないメキシコへ父親探しに行き、誘拐されたと聞き、一人で乗り込んでゆくのだ。メキシコにいる女友達から父親の住所を聞き行くのだが、すでに父親は女とその間にできた子供と住んでおり、娘が訪ねてきても迷惑そうな顔をして、金になる自分の娘をカルテルの親分に売り渡すのだ。

ジョンは、始めは無防備で話だけでもと行くのだが、カルテルの手下に、コテンパンに殴るけるの重傷を負い、現地の女性に助けられるジョン。しかし、どうしても女の子を助けたい一心で、売春宿へと一人で奪還しにいく。薬物でヘロヘロの娘を助け出して家へ帰るのだが、手下たちが追いかけて来る。

次は自分の家の周りに爆弾やら、落とし穴やら、地雷とかを仕込んで自分一人でも勝算があるようにと戦う姿には、昔の「ランボー」のような元気な姿を披露させてくれました。中でもサバイバルナイフや、弓矢などの腕もまだ健在でした。

しかし、今どきの若い女の子はいくら大人が危ないからと注意をしても、実際に痛い目に遭わないと言うことを効かない。だから、娘も薬漬けにされて売春婦として働かされて、自分の身体がボロボロになって初めて大人の言っていることが分かるのだ。まぁ、娘が死んでいなかったことで、大目にみよう。

ラストの怒涛のアクション劇は最高に燃えました。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・53  アクション・アドベンチャーランキング

 


MOTHERマザー★★★

2020年08月01日 | アクション映画ーマ行

         

「日日是好日」「光」の大森立嗣監督が長澤まさみ、阿部サダヲという実力派キャストを迎え、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得て描いたヒューマンドラマ。プロデューサーは、「新聞記者」「宮本から君へ」など現代社会のさまざまなテーマを問いかける作品を立て続けに送り出している河村光庸。

あらすじ:男たちと行きずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきたシングルマザーの秋子は、息子の周平に異様に執着し、自分に忠実であることを強いてきた。そんな母からの歪んだ愛に翻弄されながらも、母以外に頼るものがない周平は、秋子の要求になんとか応えようともがく。身内からも絶縁され、社会から孤立した母子の間には絆が生まれ、その絆が、17歳に成長した周平をひとつの殺人事件へと向かわせる。長澤まさみがシングルマザーの秋子、阿部サダヲが内縁の夫を演じる。息子・周平役はオーディションで抜てきされた新人の奥平大兼。

<感想>実際に起きた“少年による祖父母殺害事件”に着想を得た本作。自堕落で奔放なシングルマザーの秋子を演じた長澤まさみには、汚れ役としては初めてではないか、しかし結構ハマリ役ともいえる。あばずれ役は慣れているので、阿部サダヲとのベットシーンでもあまり違和感がなく、男なしでは生きていけないような女を演じていた。

少年役の奥平大兼くんは、とても初めての映画とは思えないくらいに自然な演技で良かった。二人の子供とも自分が生んだ子供なのに、生活苦があまり困難にはみえなかった。何とかなるという考えなのか、いつも行き当たりばったりの生活。

児童施設の福祉職員は、周平や妹を引き取ろうとするのだが、秋子は子供と離れるのを嫌がり、特に息子は手放すことはできないという、母親というよりも自分が生きてゆくための手段というか、周平の父親も始めは出てきてお金を子供にあげたりしていたが、そのうち音信不通になる。

せっかく、生活保護の人たちの恩情で住む家と、お金が入ったのに全部パチンコに使ってしまう。お金が入ったら、一番に子供と自分の食べ物を買うでしょうに。この母親は、子供を何だと思っているのか、自分勝手に生んで、学校へも通わせないで、いつも着た切りすずめのような、風呂も入ってないので体や髪の毛が汚い。

つまりは毒母なのか。暴力・暴言で子どもを追い詰め、ネグレクト(育児放棄)、または過干渉などによって子どもに悪影響を及ぼす母親のことなのだが。

それに、秋子は男にだらしないときてる、行きずりの男と肉体関係を持ち妊娠をして、そのお腹の子供をどのように育てるのかなどは、あまり深刻には考えていないのだ。

子供は、母親しか頼ることができず、ただすがりつきくっついて歩く。子供とはそういうものだから。見ていて腹ただしいやら情けないやら、実際にこのような無知な女が存在しているのだから。

国の世話にもなっても、その部屋に男が金貸しから追われて訪ねて来る。人間は雨露をしのいで、食べていければそれでいいのではないのだ。

自分の両親を頼りにしては、周平に金をせびりに行かせる。両親もあきれ果ててもう金は出さないし、親子の縁を切ると暴言を吐く母親。自分の娘が働きもしないで子供を産んで、その子供を連れて実家へ頼るのは当たり前だろうに。せめて、孫だけを引き取り、娘とは縁を切るというのはダメだったのだろうか。

最期がきつかった。息子の周平に金をせびりに行かせて、そして両親の悪口を息子に昏々と言い聞かせて、「殺せ」と命令する。まさか、周平が母親の言う通りに「両親を殺す」とは、あってはならないことだ。最後では、ただ2人の子供を連れて、道路に佇む親子がいる。なんとも哀れでならない。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・52  アクション・アドベンチャーランキング

 


ジョン・F・ドノヴァンの死と生★★★・5

2020年07月28日 | アクション映画ーサ行

       

「Mommy マミー」「たかが世界の終わり」などで高い評価を得ているカナダ出身の若き俊英グザビエ・ドランが、初めて挑んだ英語作品。出演は「ゲーム・オブ・スローンズ」のキット・ハリントン、「ルーム」のジェイコブ・トレンブレイをはじめ、ナタリー・ポートマン、スーザン・サランドン、キャシー・ベイツら豪華実力派がそろった。

あらすじ:2006年、ニューヨーク。人気俳優のジョン・F・ドノヴァンが29歳の若さでこの世を去る。自殺か事故か、あるいは事件か、謎に包まれた死の真相について、鍵を握っていたのは11歳の少年ルパート・ターナーだった。10年後、新進俳優として注目される存在となっていたルパートは、ジョンと交わしていた100通以上の手紙を1冊の本として出版。さらには、著名なジャーナリストの取材を受けて、すべてを明らかにすると宣言するのだが……。物語は、ドランが幼いころ、憧れていたレオナルド・ディカプリオに手紙を送ったという自身の経験から着想を得た。

<感想>半自叙伝ともいえる「マイ・マザー」でデビューしたのが19歳。「レオス・カラックスの再来」とか「フランスのアンファン・テリブル(恐るべき子供)」などと映画界では最大の賛辞を彼に贈った。グザビエ・ドラン。自らの容姿の美しさも大きな武器になっただろう。臆することなくゲイであることも公言している。以来、10年。

ドランにとっての初めての英語作品。そしてハリウッド豪華キャスト。それでも自身のテーマを貫く”恐るべき子供”の成熟の仕方とは。

オープニングシーンで、女性が部屋をのぞいて「シド・ヴィシャスの死んだ部屋みたい」という。それより別なショットになるので、なんだか意味が分からないのだが、ずっと後になって、ハリウッドの若手スター、ジョン・ドノヴァンが急死していたのを発見された部屋であることが分かってくる。

セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスは、1978年ニューヨークの友達のアパートで死んだ。自殺とも薬物による事故死ともいわれた。この映画はそんな、1970年代の記憶から始まる。

ハリウッドのスター、ドノヴァンとロンドンで母親と暮らす少年ルパート・ターナーとの文通によって、奇妙な友情が生まれる。しかしドノヴァンはゲイの問題がスキャンダルになり、追い詰められ、急死してしまう。いじめられっ子であった少年は、憧れのドノヴァンの死を傷つきながら、やがて成長して、自分も映画俳優としての道を歩き始める。そしてドノヴァンとの思いでを女性ルポ・ライターに語る。

ドノヴァンのアメリカ映画界での生活と、少年のロンドンでの学校生活という二つの物語がめまぐるしくカットバックしながらよりあわされていく。かなり複雑ではあるが、グザヴィエ・ドラン監督は実に巧みに描かれていた。

ドランは監督自身、「これまで自分が描いてきたテーマの集大成」と語っているから、相当気合が入った作品なんだろう。脚本を書きあげるのに5年もかけたそうだし。それにしても、冒頭でいきなり一方の主人公であるジョン・F・ドノヴァンが死んでしまったのにはびっくりさせられる。

母親と息子の関係、俳優として生きること、ゲイとしての自分とそう向き合うか。これって今までのドランの作品で描かれてきたテーマだよね。この映画ではそれがすべて含まれる上に、母親と息子は二組も登場する。思いっきり気まずい家族団らんの風景を見ていると、あぁ、ドランの映画を観ているんだなと、思わせてくれる。

二人の主人公には、監督自身の人生が投影されている。ドラン監督自身、5歳の時から子役として活動していたから、ルパートには彼の経験が投影されているんだろう。

実はドランも、8歳の時に「タイタニック」を観て、大ファンになったレオナルド・ディカプリオに手紙を書いたことがあるということで、そのころの気持ちが人気俳優と内緒で文通を続けていたルパートの描写に活かされているのかもしれませんね。

そのルパート少年を演じたジェイコブ・トレンブレイが素晴らしかった。「ルーム」「ワンダー 君は太陽」「ザ・プレデター」などと、いずれも主役級の役どころで名演技を見せてくれた子役なんだけど、確かに今回のルパート役もお見事といえる。

母親にも言えない秘密を抱え、学校ではイジメられて孤独なのに、大好きなものの前で見せる無邪気な表情や、スターと文通をしていることを誰にも信じてもらえなくて、絶望の中で勘定を爆発させるところなんかは、もう観ていていじらしくって溜まらなかった。

そんな彼を愛しながらも、隠し事をされていたことに、ショックを受ける母親のナタリー・ポートマンも熱演でしたね。自分的には「レオン」の中のあの少女が、こんな生活に疲れた母親役が似合うようになったんだと、感慨深かった。

女優さんたちの素晴らしさ、ルパートの母にはナタリー・ポートマンが、ドノヴァンの母にスーザン・サランドンが、ドノヴァンのマネージャーにキャシー・ベイツなど、ドノヴァンとルパートを包む女性陣がいずれも素晴らしい。

TV「ゲーム・オブ・スローンズ」で人気のキット・ハリントンが演じたジョン・F・ドノヴァンにもまた、ドラン監督が投影されていた。俳優として役を演じ続けることで、自分を偽って生きてきたんじゃないか、という彼の悩みは、現役の俳優としても活躍しているドラン監督自身の想いなんじゃなかろうか。

そう考えると、極めて個人的な映画なんだと思った。主人公の片方の死から始まる映画という、一見暗い作品なのに、最後には未来への希望が見えてくる辺りでは、ドランの現在の充実ぶりが表れていると思います。

それに、音楽と映像のシンクロ具合にも注目して欲しい。特に、有名な映画のタイトルにもなっているオールディーズの名曲が、新たなアレンジで流れるシーンでは、とても感動的でした。

グザヴィエ・ドラン監督の作品:「マイ・マザー」(09)

「胸騒ぎの恋人」(10)「わたしのロランス」(12)

「トム・アット・ザ・ファーム」(13)「Mommy/マミー」(14)「たかが世界の終わり」(16)

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・51  アクション・アドベンチャーランキング

 


ブラッドショット★★・5

2020年07月27日 | アクション映画ーハ行

               

「ワイルド・スピード」シリーズのビン・ディーゼル主演で、アメコミ「バリアント・コミックス」の人気キャラクター「ブラッドショット」を実写映画化したアクション。

あらすじ:アメリカ海兵隊員のレイ・ギャリソンは、何者かの襲撃を受けて妻ジーナとともに拉致され、襲撃の首謀者マーティン・アレックスの手によって妻を殺されてしまう。自身も撃たれて生死の境をさまよったレイだったが、とある組織のナノテクノロジーによって蘇生に成功。記憶を失ったものの、体中の血液が生物工学ロボット「ナナイト」に置き換わり、圧倒的なパワーと回復能力を持った超人へと生まれ変わる。やがて、あることがきっかけで妻を殺された記憶を取り戻したレイは、愛する妻を殺したマーティンを見つけ出し、復讐を果たすが……。

<感想>『ワイルド・スピード』のヴィン・ディーゼル主演による、生死を彷徨った兵士をハイテク義肢等で超人に蘇らせる、RST社の開発した血液内のナノマシン「ナナイト」で驚異的なパワーと、回復能力を持って蘇ったレイを演じている。まるで「ウルヴァリン」のような、血液中の生物工学ロボットが、人体の傷を瞬時に修復してしまうという、トンデモ設定は、いかにもアメコミ原作という感じがした。

だが、生半可な化学的な説明や、ワサワサと動く血中ナノロボットを、可視化させる欲張りな描写が作品世界のリアリティをぼかしてしまい、内輪もめに始終する物語の方も盛り上がりに欠けている。

もはや見どころはCGとアクションだけであり、、そちらはハリウッドのお家芸なので確かに凄いといわせるだけはあった。だが、全体的に、今までのアメコミ実写化よりは、新鮮さがなかった。

タイトルに恐ろし気な想像を掻き立てられが、いざ始まってみると、マッチョな主人公とその周辺人物のキャラクター設定は、美女がいて悪役のガイ・ピアーズがゲス過ぎる怪演をしていたのだ。しかしヒロインのタルラ・ライリー。もう一人は『アリータ: バトル・エンジェル』で、殺人サイボーグを演じていたエイザ・ゴンザレスと可愛い。

ヴィン・ディーゼルの魅力は満載であり、今回は復讐心を燃やす内相的な役で、あまり輝きが見られなかった。とはいえ、義体による身体機能拡張のギミックや、エレベーターシャフトでの重力を利用したソリッドな戦闘描写は、ビデオゲーム出身で視覚効果に関わってきた監督なので、力量が発揮されており、娯楽アクション映画としての見どころが最低限押さえていると思う。

ストーリーにも目新しいアイデアがなく、予想通りに展開して終わる。ただテクノロジーを駆使したヴァーチャルな映像世界を楽しむにはいいかも。その分、アクション映画に特有の俳優の肉体が発する熱は極めて低いのであり、ゲーム画面を見ているようだった。ところが、記憶を失っていたものの、そこで知り合った同情的な女性兵士KTと会話していく中のふとしたキッカケで、記憶に残る妻の仇の顔を思い出し制止を振り切ってぶっ殺しに行き成し遂げます。

ところがその記憶は、都合良くRST社社長ハーティング(ガイ・ピアース)が、レイに消させたいヤツの顔を記憶操作して実行させていただけで、実際の妻も生きており、5年前には自分が失踪しており妻は家庭を持っていましたとさ。

ストーリーはミステリーの構成で面白かったのだけど、別にそんなことしなくてもという印象が深い。それと、両手の機械をつけた敵が、4本の腕を活かしきれてない感じがした。2本の腕で主人公の腕をつかんで、残りの二本でボコボコにすればいいのに、そんな場面もちょっとあったけど、結局はロボット再生で生き返るという。

全体的にメカデザイン等非常に凝っていたし、肉体再生のシーンなどのCGやアクションもなかなか見応えがありましたね。設定面が攻殻機動隊やユニバーサルソルジャーといった、既視感あふれる感じなのが逆にアクションシーンを集中して見られたのかもしれません。最近の見る映画が少なかったので、仕方なく鑑賞した。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・50  アクション・アドベンチャーランキング

 


エジソンズ・ゲーム★★★・5

2020年07月24日 | アクション映画ーア行

               

発明王エジソンとライバルたちがアメリカ初の電力送電システムをめぐって繰り広げたビジネスバトル=電流戦争を映画化。「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のベネディクト・カンバーバッチがトーマス・エジソン、「シェイプ・オブ・ウォーター」のマイケル・シャノンがライバルのカリスマ実業家ジョージ・ウェスティングハウスを演じ、共演にも「女王陛下のお気に入り」のニコラス・ホルト、「スパイダーマン」シリーズのトム・ホランドら豪華キャストがそろった。

あらすじ:19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていた。白熱電球の事業化を成功させた天才発明家エジソンは、大統領からの仕事も平然と断る傲慢な男だった。実業家ウェスティングハウスが交流式送電の実演会を成功させたというニュースに激怒したエジソンは、ネガティブキャンペーンで世論を誘導。事態は訴訟や駆け引き、裏工作が横行する世紀のビジネスバトルへと発展していく。監督は「ぼくとアールと彼女のさよなら」のアルフォンソ・ゴメス=レホン。

<感想>誰もが知る発明王トーマス・エジソンにも、脅威のライバルがいた。その名はジョージ・ウェスティングハウス。技術者でカリスマ実業家だった彼と、エジソンはアメリカ初の電力送電システムを巡って、直流か交流かという”電流戦争”を繰り広げていた。

実はこのバトルが今の電気の原点を決定づけたのだった。そんな歴史的事件を映画化したもの。主演のエジソンには、ベネディクト・カンバーバッチがハマリ役。非凡だが、勝つためなら手段を選ばないという偉人としての、イメージを覆いかくすような人物像を作り上げていた。

対するジョージ・ウェスティングハウスには、マイケル・シャノンが、ウェスティングハウスを重厚感たっぷりに熱演。カリスマ実業家の苦悩を重厚に表現し、エジソンの妨害工作にも動じることなく、パワフルに勢力図を広げていく様は見ものだ。

またエジソンの右腕である秘書のインサルには、トム・ホランドが。野心家の天才科学者テスラをニコラス・ホールトが演じている。監督はアルフォンソ・ゴメス=レホン。

物語の中盤からは、次第に堕ちていくエジソンとのコントラストがすさまじい。観ていると、ニコラス・ホールトの天衣無縫の天才を縦横無尽に体現しており、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」では映画ファンを熱狂させたニコラス・ホルト。数々の独創的な発明を残したテスラは、現代もなお“技術革新のカリスマ”として尊敬を集めていると思う。

テスラは当初、エジソンの会社に加わるが、彼にコケにされたことを根に持ち離反。後にウェスティングハウスと手を組み、エジソンへの攻勢を強めていく。彼の活躍ぶりで、ソリッドな演技合戦を盛り上げていくのも良かった。己の才能を信じたものと、それに惚れ込んだ者たち。男たちがプライドと情熱を賭けた世紀の戦いの全貌とその行方を見届けずにはいられないですね。

天才発明家とカリスマ実業家による,エジソンとライバルたちが繰り広げた“ビジネスバトル”。現在の我々の生活を支える“電気”の供給方式をめぐって勃発した “電流戦争”である。

エジソンは「私の直流方式は安全で扱いやすい。交流は強力すぎて危険であり、感電死を招く」と主張。対するウェスティングハウスは「直流は大量の発電機が必要なので高コスト。私の交流方式は1基の発電機で遠方まで電気を送れるため低コスト」と主張した。

2人は真っ向から衝突し、「どちらの方式が多くシェアを占めるか」をめぐって激しく敵対。やがて相手を蹴落とすためのネガティブキャンペーンや、裏工作などが横行していく……。ここに、世紀の“電流戦争”が勃発したのである。直流と交流、どちらが優れているか……。彼らの戦いがあったからこそ、我々は家庭で電気を利用し、豊かな暮らしを送ることができている。

しかし莫大な資金が動く特許争奪戦。マスコミ操作や裏取引など、知られざる歴史の裏側を活写する。天才たちによる世界を変えた歴史の一幕。それがまさかアメリカの死刑制度の電気椅子を作ることになろうとは、この実験には、獣の焼けた死臭がするなど、評判がよくなかった。

本作でのベネディクト・カンバーバッチは、エジソンに扮しており、不屈の努力を続けた“歴史上の偉人”というイメージではなく、“狂気の発明家”という側面を強く打ち出している。勝つためには汚い手段もためらわず、大統領の依頼でさえ「気に入らない」と断るほど傲慢。「産業の父」とも称されたエジソンの“別の顔”や、人生の光と影をも体現してみせている。

それに、エジソンは人間の話声やピアノの演奏などを録音する、録音機の発明に力を注いだ。これは、あまり世間には評判が良くなくて、資金源もなくかなり金に困ったようだ。

その後に、無声映画ができ、ピアノ伴奏による弁士の朗読よりも、この録音機の方が断然素晴らしく、生前の父親の声や子供たちの声など、後の世の中には欠かせない物となった。最期に世界初の動画撮影装置・キネトグラフを発明したエジソン。世界初の映画用スタジオを設立しており、いわば映画の父とも呼べる存在でもある。本作の冒頭とラストには、水しぶきに煙るナイアガラの滝を撮影するエジソンが登場する。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・49  アクション・アドベンチャーランキング

 


ザ・ピーナッツバター・ファルコン★★★・5

2020年07月20日 | アクション映画ーサ行

           

ツキに見放された漁師と施設から脱走したダウン症の青年、施設の看護師の3人による青年の夢をかなえるための冒険の旅を描いたヒューマンドラマ。タイラー役をシャイア・ラブーフ、エレノア役をダコタ・ジョンソン、ザック役を作品製作のきっかけとなったザック・ゴッツァーゲンが演じ、ジョン・ホークス、トーマス・ヘイデン・チャーチらが脇を固める。監督は本作が長編初監督作となるタイラー・ニルソン&マイケル・シュワルツ。2月7日

あらすじ:養護施設で暮らすダウン症のザックは、子どもの頃からの夢だったプロレスラーの養成学校に入るため施設を脱走する。兄を亡くして孤独な日々を送る漁師のタイラーは、他人の獲物を盗んでいたことがバレたことから、ボートでの逃亡を図る。そんなタイラーと偶然に出会ったザック、そしてザックを捜すためにやってきた施設の看護師エレノアも加わり、3人はザックのためにある目的地へと向かう。

<感想>だいぶ前に観たのだが、思い出しながらレビュー。施設を脱走したダウン症候群の青年が出会ったのは、傷ついたのは極貧逃亡者だった。自らダウン症候群であるという主人公のザック・ゴッツファーゲンは、ひょんなことから旅を共にすることになったタイラーに対して、純粋に自己紹介としてと「ぼくはダウン症候群なんだ」と言うのだが、タイラーに軽くあしらわれてしまったのだ。

漁師のタイラーがもしかして学がなく、ダウン症候群のことを知らなかったのかもしれない。でもそれで良かったのだ。自然体で、特別扱いなどしない普通の人間としてザックと接してくれたのだから。親から捨てられ、老人施設で暮らしていた。彼にはビッグでアメリカンなドリームがあったのだ。それはプロレスラーになること。大昔の悪役のプロレスラーのソルト・ウォーター・レッドネックに心酔していて、ソルト・レターが開校したというレスラー養成学校への入学を夢見ていた。

一方の漁師のタイラーは、面倒見のいい兄貴を亡くしてからというものの、自堕落な生活を送っていたのだ。それに、他人の獲物をパクッた罪でキツイお咎めを受けるも、そのはらいせで猟場を放火するのだ。見つかってしまいボートで逃げるが、そのボートにはザックが身を潜めていたのだった。

こうして出会った二人の逃亡者による旅が始まるのであった。監督が障害のある俳優たちが集まる場所でザックを見つけて、「映画スターになりたい」というザックの夢を、監督のマイケル・シュワルツは、それを否定していたのだが、ザックの熱い熱に促されてこの作品を作ったそうです。

逃亡者の二人は、裏通りを歩き時には道なき道を歩く。さらには広大な川を、手作りイカダでワイルドにゆくのだった。だが、ザックを追いかける看護婦のエレノア(ダコタ・ジョンソン)が合流する。3人は絆を深めて、ザックが夢見るレスラー養成所を目指すのですが、・・・。

タイラーは、死んだ兄貴が自分にしてくれたように、ザックの兄貴みたいに分け隔てのない接しかたをする。そんなタイラーを見て、エレノアは自分がザックを特別扱いしていたことを恥じるのだった。今までみんなが、自分を特別扱いをするのに対して嫌だったザックは、生まれて初めて自分の人生を満喫するのが楽しそうに見えましたね。

シャイア・ラブーフというと、ジョージア州で2017年の撮影中にアルコール依存症で逮捕される。警官に向かって悪態をつき人種差別発言をしたことで、世間は大バッシング。映画も公開を危ぶまれたが、ザックがシャイアに対して言った言葉が、「君はすでに十分有名だけど、この映画は僕のチャンスなんだ。それを台無しにしたんだ」と、ザックに言われて、リハビリ施設に入院して反省し、映画の中ではザックのいい兄貴分として、ザックの夢の後押しをしたのに、現実ではザックに後押しされての更生道を歩きだしたそうです。

それにたどり着いた所では、世間から隔離された人たちが寄り添って暮らすようなコミュニティがあり、住人たちは青空プロレスを楽しんでいた。まるで、本当に異世界に迷い込んだような気になってしまう。
主人公が憧れるレスラー役には、俳優のトーマス・ヘイデン・チャーチだが、レスラー仲間には本職のレスラー、ジェイク・ロバーツが、そしてレフリー役にはこれまたレスラーのミック・フォーリーが演じている。特にジェイク・ロバーツという人物の危うさが、そのままクライマックスの不穏さに繋がっていく。まるで、アメリカン・プロレスの闇が紛れ込んでくるような瞬間に、ハラハラさせられました。

ダコダ・ジョンソンというと、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(2014)を思い出す妖艶な体がうりの女優さん、でもここではザックを見守る看護婦として、一生懸命な女性エレノアを演じていました。

ロードムービーの宿命として、強烈な人間と出会うし、ハラハラ、ドキドキな、命からがらの冒険も経験する。タイトルは、まさかの、ザックの「リングネーム」 でした。SXSW映画祭で観客賞を受賞し、全米では当初17館から1490館に拡大公開された。

 

 

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デッド・ドント・ダイ★★★

2020年07月07日 | アクション映画ータ行

          

鬼才ジム・ジャームッシュがビル・マーレイとアダム・ドライバーを主演にメガホンをとったゾンビコメディ。ジャームッシュ作品常連のマーレイ、「パターソン」に続きジャームッシュ組参加となるドライバーのほか、ティルダ・スウィントン、クロエ・セビニー、スティーブ・ブシェーミ、トム・ウェイツ、セレーナ・ゴメス、ダニー・クローバー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、イギー・ポップらが顔をそろえる。2019年・第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

     

あらすじ:アメリカの田舎町センターヴィルにある警察署に勤務するロバートソン署長とピーターソン巡査、モリソン巡査は、他愛のない住人のトラブルの対応に日々追われていた。しかし、ダイナーで起こった変死事件から事態は一変。墓場から死者が次々とよみがえり、ゾンビが町にあふれかえってしまう。3人は日本刀を片手に救世主のごとく現れた葬儀屋のゼルダとともにゾンビたちと対峙していくが……。

<感想>「パターソン」などで知られるアメリカ・インディーズ映画界の鬼才ジム・ジャームッシュ監督が、ゾンビ映画に初挑戦。というからには絶対に観にいかなくちゃ、といっても警察官が3人しかいないアメリカの田舎町で起きたゾンビ・パニックを、現代社会への風刺を交えながら監督独特のオフビートなスタイルで描いていた。

余りにもイメージが違うから、恐怖映画じゃなくて、一風変わったホラーコメディなので、呆気に取られた感じでした。でも最近ではヴァンパイアが主人公の「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」(13)なんか撮ってたから、そんなに驚くことはない。

警察署長クリフ(ビル・マーレイ)と巡査のロニー(アダム・ドライバー)は、住民のトラブル処理に追われていた。だが、翌朝、ダイナーの経営者と従業員が殺されているとの一報が入り、捜査を始めたクリフとロニーは、墓地で謎めいた穴を発見。ロニーはゾンビの仕業だと言い出してクリフを驚かせるが、その不吉な予言はやがて現実のものとなる。

中でもインパクト大なのが、葬儀屋のティルダ・スウィントン扮する,日本刀を振り回す女性の役名も”ゼルダ・ウィンストン”だしね。遺体の死に化粧の派手なメイクには笑ってしまう。でも、オフビートというのか、これって笑っていいのという微妙なユーモアを散りばめているのは、いつものジム・ジャームッシュ節だけど。

今回はけっこうゾンビ映画としてちゃんと怖がらせようとしているようだ。ちょっとエグイのが人間の内臓に食らいつくところとか、ロニー警官が、「ゾンビの頭を切らなきゃ死なないよ」といった定番は、しっかりと押さえていた。

確かジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画の古典「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」に影響を受けたそうです。だからオマージュでもあるわけ。ちなみにセレーナが出演しているのは、ジャームッシュ監督が彼女の曲のファンだからなんだって。ゾーイ役で、男ともだちとドライブ中の都会の少女役で、モーテルに宿泊してゾンビに襲われる。

特にラスト近くで、ティルダ・スウィントンがトンデモ展開にしていくのには本当に目が点になってしまった。何で、何なんだこれは?・・・。この肩透かし感が、ジャームッシュらしいと言えばそうなんだけど。

だからってわけじゃないが鬼才ジム・ジャームッシュ監督は、ゾンビに現代の世相を反映させて、コーヒー・ゾンビやWiFiゾンビ、ギターゾンビなど、生前の物欲に従う”生きる屍”を登場させている。「コーヒー」と喚く最初のゾンビはイギー・ホップである。

物語でゾンビ発生の原因は、アメリカがオイルを掘削するために北極圏の粉砕を始めていて、そえが原因で地球の地軸がずれたことらしいと推測できる。自然破壊や、物質依存への警鐘が鳴らされているということだね。

森の番人のトム・ウェイツ扮する世捨て人のハーミット・ボブだけが、ゾンビに襲われないのは、彼が文明を拒否しているからかもしれない。

スティーヴン・ブシュミ扮する人種差別主義者の農夫が被っている帽子に、「MAKE AMERICA WHITE AGAIN」なんて書いてあるのは、ドナルド・トランプ政権への批判なのかもしれませんね。トランプ大統領は経済優先で、環境問題を無視しているからかもしれないなぁ。

最初に墓場から出てくるゾンビが、ジャームッシュのパートナーであるサラ・ドライバーと、歌手のイギー・ポップというのだから笑ってしまった。テーマソングを歌うグラミー賞歌手のスタージル・ソンプソンまでも、ギターを引きずるゾンビ役なのだ。それにしても結論が、投げっぱなしで観客に解釈まで全て委ねていたのには驚きました。

風変りなホラーコメディに見えるけれど、「このままでは世界は滅んでしまうぞ」という想いが込められていると思う。

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