パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

トイ・ストーリー4★★★・5

2019年07月17日 | アクション映画ータ行

世界初の長編フルCGアニメーションとして誕生し、人とおもちゃの心温まる絆をユニークかつ濃密なストーリーで描いたディズニー/ピクサーの人気ファミリー・アドベンチャーのシリーズ第4弾。新たな持ち主ボニーの部屋から逃げ出したおもちゃを追って外の世界へと飛び出したウッディらが、驚きと感動の冒険を繰り広げる。声の出演は引き続きトム・ハンクス。「インサイド・ヘッド」の脚本に参加したジョシュ・クーリーが監督を務める。

あらすじ:ある日、新たな持ち主の女の子ボニーを見守るウッディ、バズたちの前に、彼女が幼稚園の工作で作った手作りおもちゃのフォーキーが現れる。しかし、フォークやモールでできた自分をゴミだと思い込んだフォーキーは、部屋を抜け出して逃走。ボニーのお気に入りであるフォーキーを連れ戻すため、ウッディたちは新たな冒険へと踏み出し、やがて、一度も愛されたことのないおもちゃとの出会いや、かつての仲間ボーとの再会を経て、初めて目にする新しい世界へとたどり着く。

<感想>劇中の「おもちゃにとって、幸せとは何なのか」という問いを通じて、「私たちにとって、幸せとは何なのか」というテーマをも描出してきた本シリーズ。世界中を情動の渦で包み込むであろう「トイ・ストーリー4」が、ついに幕をあける。日本語吹替版での鑑賞です。完璧な吹き替えの元祖って、今やもう、唐沢寿明&所ジョージしかありえませんね。

1995年にシリーズ第1作が産声を上げた「トイ・ストーリー」。もしもおもちゃが生きていて、人間に見られないよう生活していたら……。想像をかきたてられるユニークすぎる設定はもちろん、おもちゃなのに人間味あふれるキャラクターが繰り広げる冒険は、世界中の子どもたちのみならず、大人たちをも夢中にさせてきた。前作から約9年の時を経て公開される最新作「トイ・ストーリー4」は、私たちシリーズファンの期待を軽々と超える“本当の結末”をつむいでいく。

今回は新たな持ち主ボニーを優しく見守るウッディや、その大親友であるバズらお馴染みの仲間たちに加えて、シリーズ初の“手作りおもちゃ”のフォーキーらが新たに登場します。ボニーの一番のお気にいりのフォーキーを守る役目に必死のウッディ。

逃げ出したフォーキーを探すウッディたちの大冒険、かつての仲間ボー・ピープとの再会、そして最後にウッディが選択する“驚きの決断”が描かれていく。

“手作りおもちゃ”のフォーキーは、天然なのに鋭いその発言に爆笑必死!ウッディたちの持ち主の女の子ボニーが、先割れスプーンを使って作った手作りおもちゃ。自分のことをゴミだと思っていて、目を離すとすぐにゴミ箱の中へ入りたがる困ったフォーキー。

この手作りおもちゃに振り回されて、ウッディは一度も愛されたことのないおもちゃ、ギャビー・ギャビーという可愛らしい人形と出会い、彼女が製造不良のため、お喋りができない。その彼女がウッディの背中にあるお喋りの機械を盗もうと計画をする。これはちょっとした事件ですね。でも、大親友のバズが助けに来てくれました。

ウッディたちはボニー一家とともに、キャンピングカーで旅行することに。道中は楽しく順調で……なんてわけもなく、またまた騒動が勃発する。フォーキーが自分をゴミだと思い込んで逃げ出してしまうんです。

ボニーのためにフォーキーを探す冒険に出たウッディは、アンティークショップに迷い込み、ギャビー・ギャビーという女の子の人形と不気味な腹話術人形たちと出会うのです。彼女たちは、ウッディが持つ“ある物”を狙って襲撃。一方でバズら仲間たちにもピンチが降りかかり、“まさか”の事態に巻き込まれていく……。

キャンピングカーから飛び出したウッディとフォーキーを追って、バズがたどり着いたのは、おもちゃにとって楽園のような移動遊園地。轟音を立てて稼働するメリーゴーランドなどが子どもたちを楽しませるなか、バズはひょんなことから従業員に拾われ、射的場の景品として磔(はりつけ)にされてしまう。そこには可愛らしい見た目の、射的の景品のぬいぐるみ。フワフワ、モフモフの可愛らしい見た目のあひるのダッキーとウサギのバニー。毒舌ぬいぐるみコンビがいて、バズと“乱闘”を繰り広げるわけ。

そして、カナダのスタントマン人形、デューク・カブーン(声はキアヌ・リーヴス!)が反則級の面白さ!結構活躍するも、臆病で度胸がないのに笑える。それよりも大事件だったのが、「トイ・ストーリー2」以来20年ぶりにシリーズに再登場したボー・ピープ。

ウッディと心を寄せ合う存在だった磁器製の美しい羊飼い人形。アンティークショップで埃をかぶって飾られる2年間を過ごした後、自分の意思で外の世界へ飛び出したのだ。

フォーキーを探して、アンティークショップに飾られているボー・ピープを見つけたウッディは、心が躍るくらい嬉しくて、彼女と今後一緒に暮らすことを決断することに。これには驚きでした。ウッディが恋をしていたボー・ピープと、これからは、サーカスの車に乗って一緒に世界中を旅することに決めたのですからね。

注目すべきは、それらを描写する深みのある映像美ですね。技術の格段の進歩により、「トイ・ストーリー」の世界観を保ちつつも、これまで以上に豊かな映像表現が可能に。プロローグでの迫力ある豪雨、美しくもダークなアンティークショップ、約30000点のライトが点滅するノスタルジックな移動遊園地の情景など、美しい映像に満たされ、物語の感動をさらに盛り上げてくれる。

オモチャにとって一番に大切なことは、いつも子供たちのそばにいること。でも、この映画の中のオモチャは、人間のように心があるので、だから人生を変える出逢いや、見たことのない新しい世界など、いつも持ち主の子供の傍にいることよりも、“ウッディ“が自分の思い通りの人生を生きる決断をすることを、選ぶことだったのですね。小さな子供には、オモチャの“ウッディ“の選択なんて理解できるわけもなく、大人のための物語だったようです。最後のオチに、ボニーが幼稚園で、フォーキーのために手作りナイフの人形を、作ってくれたことですかね。

2019年劇場鑑賞作品・・・105  アクション・アドベンチャーランキング

 

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アメリカン・アニマルズ★★★

2019年07月13日 | アクション映画ーア行

退屈な日常を送るごく普通の大学生4人が、刺激を求めて実行した実在の強盗事件を完全映画化した異色の実録犯罪ドラマ。刺激がほしいというだけの安易な理由と、犯罪映画を参考に練り上げた杜撰な強盗計画の顛末を、すでに刑期を終え出所した本人たちのインタビューを織り交ぜた異色のスタイルで描き出していく。主演は「X-MEN:アポカリプス」のエヴァン・ピーターズと「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」のバリー・キオガン、共演にブレイク・ジェナー、ジャレッド・アブラハムソン。監督はドキュメンタリー畑出身で本作が長編劇映画デビューとなるバート・レイトン。

あらすじ:大学生のウォーレンとスペンサーは、中流階級の家庭に生まれたごく普通の大学生。何不自由ない生活を送りながらも、平凡な日常に苛立ちと焦りを募らせていた。そんな時2人が目を付けたのが、大学図書館に所蔵されているジェームズ・オーデュボンの画集『アメリカの鳥類』という、10億円以上の価値がある貴重な本。それを盗み出せれば、人生が特別なものになるに違いないと思い立った彼らは、協力者として秀才のエリックと青年実業家のチャズをリクルートすると、さっそく綿密な計画を練り始めるのだったが…。

<感想>普通の大学生が起こした普通じゃない強盗事件。芸術と犯罪の抜き差しならぬ関係とは、「犯罪は芸術を模倣する」芸術と犯罪がのっぴきならない関係にあることは、間違いあるまい。最初に登場する画家志望の大学生スペンサーは、人生を変える体験をしたいと熱望していた。「絵が上手いだけではダメだ。芸術家には悲劇が必要だ。ゴッホは自殺し、モネは失明した」。そんな彼に、メフィストフェレスの如く現れた大学生のウォーレンが、大学の図書館に保管されている時価12億円の画集を強奪することを持ち掛ける。

ジョン・ジェームズ・オーデュポンの「アメリカの鳥類」初版だが、鍵付きのガラスのショーケースの中に陳列されており、そばには中年の女性司書が張り付いているのだ。

盗み出すのは至難の業だったが、ウォーレンの頭には決行しかなかった。スペンサーは躊躇するも、「画家であり犯罪者」になれるチャンスを簡単に捨てる決心がつかないのだ。結局は、あと2人の大学生を集め、4人で犯罪を決行するのだが、犯罪に関しては全くの素人だし、そもそも裕福な家庭のお坊ちゃんでしかない連中だから、大それたことを成功させるだけの根性がないのだ。

1人が「レザボア・ドッグス」を真似てコードネームを付けようとすると、もう1人が、「あれはタランティーノの駄作だ」と呟くのが面白い。犯罪が進行してもベースは限りなく青春ドジ物語であり、全員7年の刑を食らってジ・エンドということになってしまう。

こんなチャチな犯罪を映画にしたところで、面白くなるわけがないのだが、すべては実話というところに目を付けた監督がいた。ドキュメンタリー映画で頭角を現し、本作が劇映画デビュー作となるバート・レイトンである。

大学の図書館に2人が侵入して、「アメリカの鳥類」の傍にいるデブのおばさんをスタンガンでシビラせて、縛り上げ、その後に鍵で開けるどころかガラスを割って、「アメリカの鳥類」の本を敷物に包み、それから奥の扉から逃走の予定だったのが、間違ってエレベーターで1階に行き、慌てて地下へ行くも、倉庫のようで出口が分からないのだあ。慌てて2人はまた1階へ行き、図書室なのでみんなが本を読んでいるところから2人は逃走する。

しかし、「アメリカの鳥類」の本が大きくて重くて、とても持ち運べないので諦めるのだ。モタモタしているうちに、2人は警備員に捕まってしまう。

その前に、わざわざ、オランダまで行き、図書館から盗んだ貴重な蔵書を売る売人と出会うのだが、どうも怪しい人物なのだ。

実刑を終えた本物の4人を画面に登場させ、犯罪の初めから結末までを証言させる。冒頭のテロップで、「これは実話に基づいたものではなく、実話そのもの」だと、念を押すのだが、さりとてドキュメンタリー映画ではなく、4人に扮した若手俳優が再現ドラマを演じるのだから、会話などは当然のごとくフィクションだろう。しかし、そう思われては映画の意図が揺らいでしまうから、しきりに本人や関係者を登場させて、ドキュメンタリーのリアル感を崩さない。

それにしてもだ、面白くない犯罪を面白くないままに描きながら、映画としては面白いものに仕上げていく。という意図と自信は中々のものである。

まず目を見張るのは、画集に描かれた等身大の鳥たちを犯罪の象徴のように捉えた映像や、FBIが踏み込んで来るシーンの幻想的な色彩と照明など、カラフルなフィルム・ノワールと形容したくなるほどスリリングであります。

「犯罪は芸術を模倣する」とはこのことか、「芸術も犯罪も簡単に模倣されるほど、ヤワなものではない」ことも確かであり、最後にテロップで語られる彼らの現在の生活や今後の目標ににも愕然とさせられる! 

スタイリッシュな映像と音楽で練り上げたクライム&青春映画だが、この映画の何を信じて何を信じないかは、観客それぞれが判断するしかなさそうですね。

2019年劇場鑑賞作品・・・104  アクション・アドベンチャーランキング

 

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パパは奮闘中!★★★

2019年07月13日 | アクション映画ーハ行

ある日突然、母親が理由も告げずに家を去り、残された父親と2人の子どもたちが、それぞれに葛藤を抱えながらも懸命に生きていく姿をリアルな筆致で描いたヒューマン・ドラマ。主演は「真夜中のピアニスト」「タイピスト!」のロマン・デュリス。監督は長編2作目のギヨーム・セネズ。

あらすじ:妻のローラと幼い2人の子どもたちと幸せに暮らしていたはずのオリヴィエ。ところがローラはある日突然、家を出て行ってしまった。残業続きの忙しい日々を送っていたオリヴィエだったが、それに加えて慣れない育児も一人でこなさなければならなくなり、家庭も仕事もトラブルの連続に。おまけに妻の失踪の理由がまるで分からず、精神的にも追い詰められていくオリヴィエだったが…。

<感想>ロマン・デュリスが、突然、妻に出て行かれて息子のエリオットと娘のローズの、子育てパパになりシングルファザーになるという大奮闘記。本作の監督ギョーム・セネズが離婚を経験し、仕事と子育てに向き合うようになった実体験から生まれた本作だそうです。

それに、会社では労働組合の役員になり、会社でも次々に解雇されていく社員たちの声を聴きながらの、職場の上司と対立しますが全く意見が通りません。こんな時に妻が突然家出というショックなことになってしまう。それも、妻は育児ノイローゼになり、夜も眠れない日々が続き、夫のオリヴィエに相談しようも、夜遅く帰る夫には悩みも打ちかけられなかった。それで、家出って、それも全然知らせも無く、父親が子供2人を抱えて、仕事にも精を出すということになるわけ。

これって、どこの国にもある夫婦の悩みなのだろうが、この映画の中のオリヴィエは自分の妹に相談したり、子供の世話を頼んだりして何とか暮らしている。

警察に相談するも、妻の家出という話には取り合ってもらえません。そういうのって、夫婦関係のことだからです。

仕方なく、パパはしばらくの間、2人の子育てをしながら働くしかありませんね。それに、今まで子育てをしたことがないらしく、子どもがお気に入りのシャツの事を話しても、何の事なのか分からず、寝かしつけるのも一苦労で苛立ちを隠せません。

子供たちに、夕飯に何を作って食べさせていいのやらさっぱり分かりません。それで、適当にあるもの、シルアルしかないので、それを食べさせて寝かせます。酷いパパですよね。

朝になっても、起きるのが遅いから朝食もシリアルですませて、學校へ送り届けるのにも時間がかかり、自分の職場に遅刻してしまうわけ。彼の仕事は、オンライン販売の倉庫で働いているのですが、労働組合もあり、会社側も厳しくてリストラしたり、それに、人がいないのに、労働力は2倍の忙しさです。

オリヴィエは長年一緒に働いてきた仲間を守ろうとしますが、自身の無力さを痛感する状況が続きます。だから、家へ帰っても、子供の世話どころか自分の疲れた体と、従業員たちの悩みとか、毎日が苦労のつづきです。

数日後、妻のローラから手紙が届きますが、勝手に出て行った妻に逆切れしたオリヴィエは、妻からの手紙を子供たちの前で破き、子どもたちとの間にも亀裂が入ります。

妻の失踪にショックを受けている子どもたちに、これまで家族の事を考えていなかったオリヴィエは、ベビーシッターを雇う余裕もないし、周囲の人間の協力を得ながら、仕事と子育てを両立させようとしますが、自分が子どもたちの事を何も知らなかったと実感します。果たして家族崩壊になるのではないでしょうかね?

母親が消えた事で、子供たちの中ではその存在感が増していく事は間違いありません。そうなった時、父親はどうするのか?父親は、子供たちにとってどんな存在であるべきか?と、本作は問いかけて来ます。

精神的に余裕が無くなり、心配して訪ねてきた妹のベティにも、悪態をついてしまいます。自分が子供の頃に父親から厳しくされて育ってきたパパ。だから、自分が子供たちを叱るときに、そのことを想いだし、自分が同じ父親になっていると気付くのですね。でも、いくら寂しいからって浮気はダメでしょう!

この作品は、人間ドラマの部分を強調する為、あらかじめ用意していた台本を重視せず、その場で俳優達が出てきた言葉を採用する、アドリブ重視の演出と行っていたそう。

2019年劇場鑑賞作品・・・103  アクション・アドベンチャーランキング

 

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エリカ38★★・5

2019年07月08日 | アクション映画ーア行

2018年9月に他界した樹木希林が生前、プライベートでも親交の深い浅田美代子のためにと、自ら初の企画を手がけた作品。実在の詐欺事件をモチーフに、浅田美代子が45年ぶりとなる主演を務め、実年齢を20歳以上も詐称し、巨額の投資詐欺に手を染めた女性の半生を描き、その複雑な内面に迫っていく。共演は樹木希林のほか、平岳大、木内みどり。監督は「ブルー・バタフライ」「健さん」の日比遊一。

あらすじ:水商売をしながらネットワークビジネスを手がける渡部聡子は、喫茶店で偶然知り合った女性・伊藤の紹介で、国境を超えたビジネスを展開している平澤という男性と出会う。平澤が手がける途上国支援事業の資金集めを手伝うようになった聡子は、そうして集めたお金を自分のために使い始める。やがて佐々木という裕福な男性と知り合い、彼のお金で手に入れた豪邸に母親を呼び寄せる聡子だったが…。

<感想>女の本性ってなんですか?本作自体が、まるで一個の女系犯罪ものであることが凄い。2年前に実際に起きた詐欺事件がベースの、“何が彼女をそうさせたか”が、被害者ふう加害者という中途半端な主人公像が、浅田美代子の及び腰の演技でさらに曖昧になり、ただ人騒がせな女を表面的になぞっているだけ。何だかそんな感じがした。

今までが、「釣りバカ日誌」シリーズの可愛い奥さん、みち子さんのイメージが頭から離れない。そんな彼女が今回演じたのが、女性詐欺師の物語。しかも、実際に起きた女性詐欺事件がモチーフになっている。

主人公の家庭環境や高校時代のエピソードも、生い立ちもフィクションですしね、何故ああいうこと(詐欺)を起こす人間になってしまったのかが分からない。父親のせいで抱えてしまった男性への想いとか、不信感とか。

もちろん父親は悪人ですよ。だからといって聡子が、悪いことをしてしまったことは間違いないないのだけれど。何故にそこに至ったかは、描かれていました。それが、取ってつけたように薄っぺらに映っていた。樹木希林さんの、ごひいきの引き出しからだしたような企画作品。

尽きぬ人間の欲望、それは主人公の聡子や、彼女を巧く取り込み利用する平澤育男に限ったことではない。この映画を観る私たちにも、少なからず欲望はあるだろう。お金、地位、名声、物質的に豊な生活。このどれにも興味を持たない人間を探す方が、実際は難しいことだと思う。

そして、平成の世にしっかりと、私たちの生活に根付いた“SNS”の登場によって、隣の芝生どころか、世界中の芝生が覗けて、さらには自らを世界にアピール出来る時代を迎えた。そうなると、ハマってはならない低次の沼に浸り続けることになってしまう。

欲望をコントロールできず、理性や自分の正義に背いた行動に走り、結果犯罪者になってしまったのが、この映画の主人公聡子なのである。

だが、その後に平澤の裏切りを知り、彼との関係を絶ち、旅先のタイで恋に落ちるのである。純粋な若い男に出逢い、恋に落ち、我を忘れて夢中になってしまう。この男は、エリカのお金のために、利用しているだけかもしれないのに。

聞けば本作中でも一徹な演技者の遺言として、その姿を刻む樹木希林が根本のアイデアをだしたというのだから。男も女も、実はいつ悪人に転じてしまうかなんて分からない。そういう要素を人間って誰でも持っているものだから。私に限って絶対無いと、思っている人間がいつしか陥っているという、風な感じに描かれていた。

樹木希林の期待に充分応えて熱演したであろう、浅田美代子とともに夫の内田裕也的な世界に、あたしたちはこんな風なのよと、返したもの。

せめて浅田美代子をもう少し綺麗に撮って欲しかった。そして、浅田美代子自身も、もう少し38歳を意識した“張りのある演技”をして欲しかったですね。

一つのフレームの中に、二つの情報を映り込ませることで、表裏のメタファーとなるスタンダードサイズを基本とした画面構成。また、暗部でゆらめくローソクの炎や、スローモーションを用いることで、登場人物の内面を映像に反映させているように見えた。

意図された画作りは、浅田美代子が演じるエリカという人物の不透明さを際立たせているようだった。女は誰でもが「エリカ」になり得る。私も、貴方も2018年の9月に、ひらひらと手を振って旅立った役者、樹木希林が企画し、朋友・浅田美代子に贈ったのがこの「エリカ38」であります。

2019年劇場鑑賞作品・・・102  アクション・アドベンチャーランキング

 

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凪待ち ★★★・5

2019年07月05日 | アクション映画ーナ行

「凶悪」「孤狼の血」の白石和彌監督が「ギャラクシー街道」「クソ野郎と美しき世界」の香取慎吾を主演に迎えて贈るヒューマン・サスペンス。再起を誓ったろくでなし男が、不条理な運命に翻弄されながら周囲の人々と織りなす愛と暴力の人間模様を切なくも力強い筆致で描き出す。共演に恒松祐里、西田尚美、リリー・フランキー。

あらすじ:ギャンブル依存症で、定職にも就かず無為な毎日を送る木野本郁男。恋人でシングルマザーの亜弓とその娘で高校生の美波のためにもとギャンブルから足を洗い、亜弓の故郷・石巻に移り住み人生をやり直す決意をする。実家では末期がんに侵されながらも漁師を続ける亜弓の父・勝美がひとりで暮らしていて、ご近所の小野寺が何かと世話を焼いていた。そんな中、郁男は印刷会社で働き出し、再起に向けた新生活がスタートする。ところがある日、亜弓と衝突した美波が夜になっても戻らず、心配でパニックになった亜弓に八つ当たりされた郁男は、彼女を車から降ろし、置き去りにしてしまう。その後、亜弓は何者かに殺され、遺体となって発見される。責任を感じ、次第に自暴自棄となっていく郁男だったが…。

<感想>誰が殺したのか?なぜ殺したのか?・・・香取慎吾ファンで鑑賞しました。でも解せませんね。主人公の郁男が、ギャンブル依存であらゆる金を次ぎこんでしまう男、しかも、寡黙でキレると凶暴。魅力あるかなあ、この男は、今ならばDV、パワハラで訴えられて、奥さんに“出て行け”と言われてもしょうがない男の話です。

何故にあんなに娘や爺さんに、嫁の友達にも愛されてるかが、意味不明なのでイマイチ引き込まれない内容でした。確かに今までがアイドルだった香取慎吾が、新たに生き直して前向きに選んだ作品、もっとも大きな再生に重ねた映画なのかもしれません。

あえて東日本大震災の爪痕の残る石巻を舞台に設定し、主人公は恋人の故郷である見知らぬ土地で、漁師の義父と亜弓の連れ子の高校生の美波と4人で家族になろうとするのだが、・・・。ところが、印刷業へ就職したものの、そこで知り合ったギャンブル仲間と友達になり、新天地へ行っても彼の遊びであるギャンブルは止められなかったのだ。

確かに、愛した女・亜弓は乱暴されて殺されたのだが、娘は元父親が地元にいるので、そこへ行って学校へ通いたいと言う。義父は癌を患い、幾ばくも無いのだから。どうして、自分から義父の漁師の仕事を引き継ぐと、言い出さなかったのかが分からない。漁師の仕事は朝早くて体も大変だし、そんなに金を稼ぐわけでもないのだ。

冒頭から、抜け殻のような香取慎吾を見せられて、後ろ姿が哀れでしょうがない。でも、みんな辛くても生きているのだから。簡単にギャンブルで金儲けをしようという根性が嫌だった。それも、ヤクザの金貸し(のみや)から金を借りて、膨大な利子が付いてくるのに。あっと言う間に300万円の借金ができてしまった。袋叩きに会い、金を工面する方法もなく、飲み屋で暴れて椅子、テーブルなどを壊し、その支払いも亡き妻の友人である氷やのリリー・フランキーが立て替えてくれる。

若い男が働きのせずにギャンブル通いをしては、情けないたらない。「ぼくはどうしようもないろくでなしです」と言う郁男。立派な体があるじゃないか、やり直しは利くはずだ。他にも、郁男が働いている印刷工場の仲間にもそういうやからがいる。何もかもが波にさらわれてしまい、生きる術がないと嘆く人たち。でも自分だけじゃない、周りを見てごらんよ、足を引きずりながらも仕事をしている人だっている。

この映画に登場する人たちは、「あの時、ああしていれば」と、後悔を抱えた者ばかり。美しい波という名前の少女は、そんな男たちの心に“凪”を与えて導く存在なのだ。

だから、香取慎吾に対して義父が船を売って300万円の金を作り、借金返済にしろと優しい言葉をかける。俺はどうせ癌で、後幾ら生きるかしらないからと。その金を持って借金を返すのだが、悪いことに50万円ばかり残ってしまう。よせばいいのに、その金をまたもやギャンブルに賭けるのだ。

それが運よく当たり券で、300万円を儲けてしまうのだが、相手はヤクザでその当たり券を口の中へ押し込んで飲んでしまう。これが「のみや」というものだと馬鹿にされてしまう。怒った郁男がヤクザ相手に喧嘩をする。勝てるはずもなく、怪我をして帰って来る。

だが、義父がヤクザの親分の知り合いで、そのことを聞き、子分に当たり券の300万円を払ってやるようにと命令する。それに、義父が言うには、亡き娘が結婚届けを書いていたことも、2人の結婚を承諾して欲しいと義父に頼んだと言うのだ。

やっと気づいた郁男が、義父の船を買い戻して、自分も漁師をやると宣言して、最後は仲良く船に乗り、新しい船出に出発するという。どうして、もっと早くに気づかなかったのだろうか、人間ってどん底まで落ちないとダメなのかな。

これまで観たことのない厳しいやさぐれ男の役どころに、香取慎吾という俳優の新境地を観たという終幕は美しい。

2019年劇場鑑賞作品・・・101  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ホットギミック ガールミーツボーイ ★★

2019年07月05日 | アクション映画ーハ行

「5つ数えれば君の夢」「溺れるナイフ」の山戸結希監督が相原実貴の人気少女コミックスを、主演に乃木坂46の堀未央奈を迎えて実写映画化したガールズ青春ストーリー。自分に自信が持てず周囲に流されやすい女子高生のヒロインが、タイプの違う3人の男子との初恋に揺れ動きながら成長していくさまを瑞々しいタッチで描く。共演は清水尋也、板垣瑞生、間宮祥太朗。

あらすじ:女子高生の成田初は、両親と兄・凌、妹・茜と都内のマンションで暮らしていた。ある日、妊娠したかもしれないという茜のために購入した妊娠検査薬を、同じマンションに住む幼なじみの亮輝に見つかり、秘密にしてやる代わりに奴隷になれと脅迫されてしまう。以来、亮輝の無茶な命令に振り回されていく初。そんな中、小学校の時に突然転校してしまった幼なじみの梓が、人気モデルとなってマンションに戻ってきた。亮輝から自分を守ってくれる梓に心惹かれ、付き合い始める初だったが…。梓にはある目的があり、さらに兄・凌の秘密をも知ってしまう。

<感想>原作は、累計発行部数450万部を突破した相原実貴氏の同名コミック。“片思いが成就すること”に主眼を置き、それまでの少女漫画というカテゴリーを大きく飛び越え、男女の繊細な駆け引きを活写している。

漫画は未読ですが、主人公・成田初(なりた・はつみ)に乃木坂46の堀未央奈が扮していて、同じ社宅に住む幼馴染みの橘亮輝(たちばな・りょうき)には、清水尋也君が演じており、おさな馴染みの小田切梓(おだぎり・あずさ)には板垣瑞生くんが、兄の凌(しのぐ)にはベテランの間宮祥太朗が演じていて、彼は影のある兄貴として頼りになる存在でもある。

高校生の初が、本物の恋を求めて三種三様の王道の恋愛を展開し、若い読者には少し背伸びをした内容も話題を呼んだ模様。2000年から「Betsucomi」(小学館刊)で始まった連載は、05年に終了したものの、女の子が本質的にドキドキするような恋愛が細部にまで描かれていたことから、現在でも“恋愛漫画の金字塔的な作品”という呼び声が高いということです。

つまり男女4人は、それぞれが物憂げに違う方向を見つめており、「3つの初恋。1つの答え。」というコピーと相まって、すれ違う初と3人の男性の関係性を象徴していると思います。主人公初の身体は純潔なのだろうが、その心は乱れたヒロイン不安定さの源はそこにあると思う。奥手な長女の初よりも、男関係のある妹の茜に頼まれて買った妊娠検査薬が、同じマンションに住んでいる同級生の橘亮輝に見つかってしまうところが、何だかはっきりしなくて、イライラしてしまいました。

橘亮輝(清水)に共感できないのは、初のことをモノ扱いしてしまうところ。それって、思春期によくある“好きと嫌いが表裏一体”っていうことだし、ケンカしているわけでもないのに険悪になったりとか。こじらせ過ぎているところはあるんですけどね。でも、きっと好きなのに素直に言えないのだ。

注目する点では、「溺れるナイフ」の山戸結希監督らしく、朝、昼、夕それぞれの時刻の東京の街と、初ら登場人物4人を組み合わせ、時の流れと人の心情が等しく移りゆくものであることを表現しているのが良かった。

サブタイトルは「ボーイ・ミーツ・ガール」を反転させたもので、王道の恋愛映画ではなく新しい恋愛青春映画を届けたい、という山戸監督の思いが反映していた。「自分自身の主体性を奪われる恋ではなくて、自分自身の主体性を知るための恋が、もしもこの世にあるのなら、そのようなものをこそ、今新しく生まれる青春映画に映し出してみたいという念願があったそうです。

他にないものをみせようという作り手の熱と、野心に圧倒されましたね。実際、それを実現していることにも、執拗なインサートカットや音楽の貼り付けが的確な効果かどうかは、明瞭ではないが、映像表現が新鮮でいい。

自然がいっぱいの風土と、若い主人公たちの無自覚な欲望と苛立ちを、痛みと共に映し出していて、無機質なコンクリートの世界観や、その上で閉鎖的で限りなくミニマムな空間での初恋の絡み合いなど、観ているだけで息苦しい。

何度も出て来る高層マンションの外階段でのおしゃべりは、宙ぶらりんの主人公たちの、宙ブラリンの関係の場所としては意味があるのだろうが、現代っ子の結論を出さないと前に進めないという感じを見せられてもつまらない。

それは無機質な印象を与える建築物を映し出し、彼女または彼たちの住まいとすることで、心象風景を生み出しているのが巧い。彼らは、自身の内面が空っぽであることに、ある種のコンプレックスを抱いているようだが、視覚的にもそのように見えるのは、ロケーションを観ていても良く分かる。

主人公の初を演じた堀未央奈は、「劇中でもいろんな人の心の叫びが映し出されています。自分の叫びを言えなくて、毎日苦しんでいる方に『もっと思いをぶつけていい』と伝えられる映画になればいいですね。私はそういう女の子の背中を押したくて一生懸命に初ちゃんを演じたので」と心情を吐露してくれました。高校生って純真なのね、片思いとか失恋とか、思い通りにならない恋もあるけれど、若いんだからそれを糧にして前向きに進んで行って欲しいです。

2019年劇場鑑賞作品・・・100  アクション・アドベンチャーランキング

 

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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム★★★・5

2019年07月03日 | アクション映画ーサ行

トム・ホランドがスパイダーマンを演じたアクション・アドベンチャー「スパイダーマン:ホームカミング」に続くシリーズ第2弾。「アベンジャーズ/エンドゲーム」のその後の世界を舞台に、アイアンマンを師と仰ぎ、真のヒーローを目指して奮闘する高校生ピーター・パーカーが、ニック・フューリーの下で新たな脅威に立ち向かうさまを描く。共演はサミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダーズ、ジョン・ファヴロー、マリサ・トメイ。また異次元から現われ、ピーターと共闘する謎多き男ミステリオ役でジェイク・ギレンホールがMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品初参戦。監督は引き続きジョン・ワッツ。

あらすじ:あまりにも大きな代償を伴う壮絶な戦いが過ぎ去り、その大きすぎる喪失感に苦しみながらも、“スパイダーマン”としてニューヨーク市民を守るために活躍を続けてきたピーター。心身共に疲れ果てた彼は、ネッドやMJら学校の仲間たちとヨーロッパ旅行を計画する。しかし楽しいバカンスを満喫しようとした矢先、元S.H.I.E.L.D.長官のニック・フューリーにつかまってしまう。新たな脅威が迫っていて、どうしてもスパイダーマンの力が必要だというのだった。そんな中、“エレメンタルズ”という自然の力を操る複数の敵がヨーロッパ各地に出没し、猛威を振るい始める。ニックはピーターに異次元から来たというミステリオを引き合わせ、2人は共闘して敵に立ち向かっていくのだったが…。

<感想>スパイダーマンが帰って来る。ホームタウンのニューヨークを離れ、ヨーロッパに。物語は「アベンジャーズ/エンドゲーム」のその後。彼らはスクールトリップでベネチア、プラハなど、ヨーロッパの代表的な都市を回る。15歳だった前作からあまり変わらないピーターは、まだまだ友たちと遊びたい無邪気なハイスクール・キッズだが、ニックにリクルートされ、ミステリオと組んでヨーロッパを攻撃する新たな敵と戦うように言われる。原作ではミステリオは悪役だが、本作のなかでは善玉なのだ。

夏休みに友人たちとヨーロッパ旅行に出かけたスパイダーマンこと高校生のピーター・パーカー(ホランド)の前に、かつてアベンジャーズを率いていたニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が現れる。それに、トニー・スタークから預かって来た黒縁のメガネを渡す。それは父親と慕っていたスタークの分身のようなもので、AIナビゲートで数えきれない機能を備えている。イーディスは、命令すれば何でもやってしまう優れものだ。

フューリーからの依頼を受けたピーターは異次元から来た男ミステリオ(ジェイク・ギレンホール)と協力し、伊ベネチア、独ベルリン、英ロンドンを襲う、自然の力を操るクリーチャーに立ち向かっていく。実はミステリオは、ピーターがアイアンマンから貰った黒縁のメガネを狙っていたのだ。

今回の最強の敵は、ザ・エレメンタルズと呼ばれる、火、水、風(空気)、土の4つのクリーチャーたち。ピーターたちが、呑気にベネチアの観光を楽しんでいるときに突如街を襲うのが、水のクリーチャーなのである。

撮影現場に足を踏み入れるや目に入ったのは、ベネチアのランドマークのひとつであるリアルト橋のセット。橋の上には土産もの屋が立ち並び、途中でブルーバックに変わっていなければ、本物と見紛うほど細部まで凝っている。

前作から続投するジョン・ワッツ監督のかけ声とともにカメラが回ると、モーターによってタンクの水に波が沸き起こり、橋のたもとにいたピーターや親友のネッド(ジェイコブ・バタロン)、MJ(ゼンデイヤ)らが、見えない敵を見上げながら叫び声をあげて逃げ出す。クリーチャーはすべてCGで作られるため、かなりスペクタキュラーなシーンになっていた。

一方、エレメンタル・クリーチャーズとの壮絶な戦いとパラレルに進行する、ピーターとMJの接近も気になる。ヒーロー活動は小休止して、意中のMJへの告白を計画。スパイダースーツは置いていくつもりだったのに、メイ叔母さんに持たされてしまう。高層ビルのないヨーロッパの街で彼は活躍できるのだろうか。MJに告白すべく念入りなプランを立てたピーターは、そのことで頭がいっぱい。フューリーの要請などそっちのけだ。つい、MJと仲良くしている男にヤキモチを焼き、メガネを使ってしまい、大変なことになってしまう。

一方、彼の親友でヒーロー活動をサポートするネッドは、旅行を通じて学園の美女ベティ(アンガーリー・ライス)とイイ仲になってしまう。

やがてエレメンタルズによって、ネッドやMJらも脅威にさらされる。ピーターは新しいスパイダースーツに着替えて、彼らの命を守るために全力で立ち向かうが、まったく予期しない事態が彼を最大の危機へと導くのだった。

通常の赤いスーツでは目立ちすぎると思ったフューリーが、開発させた黒いステルス・スーツ。ブラック・ウィドウと同じものを使っている。寄生エイリアンが憑依して生まれた「スパイダーマン3」のブラック・スーツとは異なる。

今回のヴィランは、“エレメンタル・クリーチャーズ”といい、もの凄くエキサイティングなのだ。水の都であるベネチアでは、水を使った怪物が襲って来る。

スーパーヒーローとしては華奢な体つきだが、極めてパワフル。マグワイヤ版では暴走する列車を止めるし、ホランド版ではフェリーの船体が裂けるのを糸と怪力で食い止めるのだ。これは直後にアイアンマンの助けも借りたのだが。スタミナがあり、肉体の回復力も高いのだ。しなやかでタフな体、華麗なスィングも、糸と俊敏性があればこそ。研ぎ澄まされた五感+スパイダーセンス。第六感的な能力も備え、宇宙船の襲来に腕の産毛が逆立つ形で反応を示す。

プラハの街では、黒のステルス・スーツで活躍する。巨大な炎のエレメンタルを相手に、このスーツで立ち向かう。

そして、岩と砂の大地メキシコ郊外に、サンドマンが出現。強力な掃除機で吸い込むといった強敵である。ラストではエレメンタルが合体するってことになるわけ。

だが、騙しのミステリオがヒーローとして抜擢されるが、ミステリオの存在そのものが、彼お得意の“騙し”だと確信せざるを得ない。原作のビジュアルを忠実に再現し、球体型のマスクも着けている。果たして彼の正体が、予想通りに“嘘”であるか、それともそうした心理を逆手にとった“騙しの騙し”であるかは、映画を観てのお楽しみということに。

“師匠”として、そして“保護者”として、トニーがピーターに教え、託した“ヒーローの生きざま”が、彼の死後ピーターにどう受け継がれていくのか? 本作でピーターは、どのような“成長”を遂げるのか? 「大いなる力には、大いなる責任が伴う」――その言葉の本当の意味を、我々は目の当たりにすることになる!

2019年劇場鑑賞作品・・・99  アクション・アドベンチャーランキング

 

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旅のおわり世界のはじまり★★★

2019年07月03日 | アクション映画ータ行

「岸辺の旅」「散歩する侵略者」の黒沢清監督が「もらとりあむタマ子」「イニシエーション・ラブ」の前田敦子を主演に迎え、ウズベキスタンで撮り上げた日本・ウズベキスタン合作映画。テレビ番組のロケでウズベキスタンを訪れたレポーターのヒロインが、異国の地で孤独に苛まれ、迷子になりながら繰り広げる心の旅路を、ウズベキスタンの美しい風景とともに綴る。共演は加瀬亮、染谷将太、柄本時生。

あらすじ:ウズベキスタンの湖に棲むという幻の怪魚を求めて番組クルーとやって来たテレビリポーターの葉子。本当は歌を歌いたいと思いながらも、レポーターの仕事をこなしていく葉子だったが、なかなか思い通りにロケは進まず、スタッフは苛立ちを募らせていく。そんな中、ふらりと一人で街に出た彼女は、いつしか美しい劇場へと迷い込んでしまうのだったが…。

<感想>私の心は迷子になった。ドキュメンタリーみたいな撮影をしていながら、それを映画が撮っている。本当のクルーと一緒に旅をしたことが、そのまま映し出されていて、前田敦子にしか成し得ない何かが映っていた。バラエティ番組撮影のため、超小編成のクルーと共にウズベキスタンを訪れたリポーターの葉子。

本作での前田敦子が素敵なのは、主人公が自分の「初めて」に出逢う瞬間が記録されているからだと思う。戸惑いも危険も、それが初めてである限り、感動を呼ぶのだということ。

葉子が街中に放り出された時、その差異が作品の中で一体化するのか不安だったという前田敦子。小さなバスに乗り、市場へと行くも、身振り手振りでやり通す葉子の図太さに感心した。市場で果物と水を買うも、お金のレートを知っているのか、適当に払っているようにみえた。

ところが、そのシーンでも、自分で勝手に考えてやってみるということが出来ず、監督の意図に全部引っ張られて撮影、だが、それが自然体で良かったと思う。始終、不愛想であるが監督に不愛想でいて欲しいと言われ、ドキュメンタリー的なシークエンスが主軸にあるとはいえ、映っているのは前田敦子の素ではないと語る。まぁ、こういう場面では不愛想でもいいと思うので。

そして、彼女がハンディカメラを持って、一人で街の中を散策するシーンもある。そこでは、街の中で迷ってしまい、警察が立っていて、カメラを撮ってはいけない場所で、見つかってしまい警官に追いかけられるシーンもある。

汚い遊園地でのグルグルと回る回転遊戯に一人で乗るシーンでは、本当に大丈夫なの?と思うくらいに激しい回転の仕方であり、現地人の係の人が、前田敦子を見て、背が低いし痩せているしで、まるで10歳くらいの子供だと認識して、「こんな遊戯に子供を乗せるんじゃない、脳が危険だ、破裂したら少女は死ぬ」と言って注意をするところもある。プロデューサーに染谷くんが扮していて、現地の人に「大人の女優ですから大丈夫です」と笑いながら言う。彼女も歯を食いしばって乗ってましたね。

それに、アイダール湖で魚を獲るシーンも、胸まで水につかって魚を獲るのだが中々獲れないのだ。現地の人が言うのは、湖のボートには女性が乗ってはダメだという決まりがあると言っていたのに。魚を獲るまでロケを止めない。

すると葉子が、山羊が囲われていて可哀そうだから、山に放してあげるのを撮影してみてはと提案する。それはいいと、山羊の持ち主へ金を払い、トラックに乗せて山へと行き、草原の草むらに山羊を放してやるという撮影をする。

ここでは、その山羊の飼い主が車で来て、山羊を野放しにしたら捕まえて帰るというのだ。そこで染谷プロデューサーが、金を払えば自由にさせてもいいのだろうと交渉する。この辺は、何でも金、金、金ですね。

そうそう、ウズベキスタンの地元の食事プロフを葉子が披露するシーンでは、米が生で硬くて食べられないし、野菜も肉も味付けが合わないのかマズイと言う。それを我慢して口に入れて食べ、「美味しい」とレポートする女優の意地の見せ方。

後で、食堂のおばさんが、その食事を柔らかく煮込んで持ってきて、それはプロデューサーたちが食べたのだ。カメラマンには加瀬さんが扮してた。

一番素敵だったのが、かつてシベリアに抑留された日本人捕虜たちが、太平洋戦争終了後、ウズベキスタンに送られて、「ナヴォイ劇場」の建築と劇場内部の装飾に携わり、苦労の末に見事に終わらせたというお話。

それを、葉子が放浪の果てに、道に迷いこみ「ナヴォイ劇場」に辿り着くという話になり、その劇場で、歌手を夢見た葉子がオーケストラの演奏で、「愛の賛歌」を歌い上げるシーンもある。オペラ歌手が歌う劇場なので、前田敦子が声を張り上げて歌っても、シャンソンの「愛の賛歌」は、軽々しく歌ってはダメだと思う。だが、監督が選んだ曲だから、頑張って前田敦子が歌ってくれた。このシーンは葉子が歌手志望ということで、一瞬の間夢を見たという設定だったというのだから。

しかし、結構本気で練習をしたというから、それは前田敦子の声量で歌い上げるというものでした。東京にいる恋人が消防隊で、TVで東京湾の火災に出ているので心配する葉子。携帯電話をしても繋がらないし、安否を気遣う葉子。

最後にもう一度山の上で、恋人を想いながら歌う「愛の賛歌」は良かったですね。もちろん、葉子が放牧をした山羊もいましたね。

いったいこの旅はどこに辿り着こうとしているのか、スクリーンから目が離せなかった。前田敦子が山の斜面を駆け上がり、草原を疾走し、凶暴な遊園地の機械に振り回され、疲れ果てて大の字に横たわる。遠く離れた恋人を想って涙し、そして愛の歌を歌う。これまで観てきたスクリーンのどの表情とも違う、彼女の顔がそこにあった。成熟でもなく、集大成でもなく、経験を積み重ねて新たな映画へ向けての旅のはじまりでもあったのだ。

 

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劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん★★★・5

2019年07月01日 | アクション映画ーハ行

『ファイナルファンタジー』のオンラインゲームを通して父との絆を取り戻していく過程を綴り評判を呼んだ人気ブログを、ドラマ化に続いて映画化した感動ストーリー。主演は「今夜、ロマンス劇場で」の坂口健太郎と「嘘を愛する女」の吉田鋼太郎。共演に佐久間由衣、山本舞香、佐藤隆太、財前直見。監督はドラマ版に引き続き野口照夫。またゲーム・パートの監督も引き続き山本清史が担当。

あらすじ:広告代理店に勤めるアキオは、仕事人間だった父・暁とはほとんど会話らしい会話もなく、ずっとすれ違ったままだった。そんな父が突然会社を辞めて、一日中家にいて暇を持て余し始めた。何も語ろうとしない父に母も妹も困惑するばかり。そこでアキオは、父をオンラインゲーム『ファイナルファンタジーXIV』に誘い、本音を聞き出そうと考える。こうしてアキオからゲームソフトをプレゼントされた父は、戸惑いながらも自分のキャラクターに“インディ・ジョーンズ”と名付けてゲームを始める。一方、ゲームの中では“マイディー”という名でプレイしているアキオは、やがて正体を隠してインディに近づくと、一緒に冒険をこなしていくことで、少しずつ2人の距離を縮めていくのだったが…。

<感想>そこには、少しぎこちない《光の戦士》がいた。これはFFオンラインやゲームをプレイしたことない人、あるいはドラマ版の鑑賞経験の有無などに関係なく誰にでも楽しめる映画になっている点がいいですね。実は私もオンラインゲームなど一切したことのないので、どうかと思って観たのですが、父親と息子の心の触れ合いを描いている物語とでもいうのか、突然仕事を辞めて家へ帰って来て、1日中ごろごろしている父親をみたら、家族はどうしようと悩んでしまう。特にお母さんが一番に憂鬱になってしまう。

それに、父親は仕事に疲れて辞めたわけではなく、どうやら病気を初病しているらしいのだ。父親が自分から言ってくれたらいいのに。でもきっと今まで単身赴任をしていたので、家族には言いずらいのかもしれない。そこで、長男が子供のころに父親が買ってきて、一緒にオンラインゲームをしたことを想いだして、早速『ファイナルファンタジー』を買ってきたわけだ。

初めは躊躇していた父親も、家族と話をするわけでもなく無口な父親は、1日中TVを見てボーっとしているらしく、退屈まぎれにゲームを引っ張り出してやり始めたのだ。

それをサポートするのが息子の坂口健太郎くん。爽やかな青年でスキです。ゲームの中でアバターとして、女性の“マイディー”役でプレイして、父親の“インディ”を助けるのだ。

ゲームの中ではオンラインで、不特定多数のユーザーと繋がれるようになった時、可能性が無限に広がるのだ。プログラミングされたシナリオをこなしていってクリアする、という遊びの枠を超えて、リアルタイムでログインしている他のユーザーとコミュニケーションを筆頭に何かが生まれるという。

プログラムされたシナリオをなぞるのではなく、バーチャルな世界で起こるさまざまな出来事を経て、ユーザーが操るキャラクターが経験値を積み、成長していくことでストーリーが織りなされるのである。

それにアキオが、仲間の人たちにも連絡して、一緒にサポートをして怪物退治をしようというものだ。

アキオの仕事場でも、広告のプランを考える時に、ふと父親のことを思い出すのだ。

やっと父親が自分の病気を告白する日がやってきて、病院で手術をすることになり、母親も妹も甲斐甲斐しく病院へ足を運ぶのである。

単身赴任の父親は現在も多いのだろう。出世に遅れを取り、仕事に疲れ果て、定年退職まで頑張って働かなければ、老後の年金はもらえない。それに、専業主婦である妻と老後を暮らすのには、年金だけでは生活費が足りないのだ。

そういうことを考えると、父親というシガラミは、肩にずしりと重く潰れそうになるも、踏ん張ってガンバルしかないのだ。

これは、家族で鑑賞するといいと思いますね。いろいろと今後のことを話し合うきっかけにもなるかもしれませんもの。

2019年劇場鑑賞作品・・・97  アクション・アドベンチャーランキング

 

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パピヨン★★★・5

2019年06月28日 | アクション映画ーハ行

アンリ・シャリエールの壮絶な実体験をスティーヴ・マックィーンとダスティン・ホフマンの共演で映画化した73年の名作「パピヨン」を、「パシフィック・リム」のチャーリー・ハナムと「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレックでリメイクした感動ドラマ。自由を求めて何度も脱獄を繰り返す男の不屈の精神と、囚人仲間との熱き友情を描く。監督は、これが長編3作目となるデンマークの新鋭、マイケル・ノアー。

あらすじ:1931年、パリ。胸に彫られた蝶の刺青から“パピヨン”と呼ばれた金庫破りの男は、身に覚えのない殺人の罪で終身刑を言い渡され、フランス領ギアナにある史上最悪の流刑地“悪魔(デビルズ)島”に送られる。周囲を海に囲まれた脱出不可能なこの場所で、囚人たちは過酷な労働を強いられていた。尊厳を踏みにじられ、誰もが絶望とともに生きていく中、パピヨンだけは諦めることなく自由を求め続け、必ず脱獄すると誓う。やがて偽札づくりの天才ルイ・ドガが仲間に加わると、いつしか2人の間に奇妙な友情が芽生えていくのだったが。

<感想>実話を基に、無実の罪をきせられた男の脱獄劇を描いた「パピヨン」。73年に生まれた脱獄モノの名作が時を超えて、45年ぶりの現代に甦った。リメイク版では、「キング・アーサー」で華麗なアクションを披露したチャーリー・ハナムが、金庫破りのプロで、殺人の濡れ衣を着せられてしまうパピヨン役を務める。「ボヘミアン・ラプソディ」で伝説のバンド「クイーン」のフレディ・マーキュリーに扮し、その熱演が話題となったラミ・マレックが、パピヨンと奇妙な絆で結ばれるドガ役を担う。

リメイク版でのハナムとマレックの演技は、だいぶ昔に観たオリジナル版と比較しても遜色はないと思う。2人が並んだその姿は若き日のマックィーン&ホフマンを彷彿とさせ、その気迫を十二分に感じることができる。

あまりにも過酷で残虐な刑務所の状況を生々しくリアルに描写。だからこそパピヨンの脱獄への強い意志と生きることへの渇望が、鮮やかに伝わって来る。

中でも、恐怖の独房で過ごすパピヨンを演じたハナムが、やせ細りながらも筋トレを課し鍛え上げた肉体美を披露しているシーンもある。その後18キロ痩せたそうです。

何度も同じ絶望と痛みを共有し、いつしか目的を超えて結びついていくパピヨンとドガ。次第に芽生える男同士の友情にも、胸を熱くさせられます。

一度目の脱獄計画では、4人でしたが、やはりボートが必要なのでお金が必要で、お金はドガがお尻の穴に隠し持っていた札束を渡す。それも刑務所の見張りの見つかり、捕まってしまう。

そして、パピヨンは独房へ2年間入れられ、そこでは食事も酷いもので、でも、ドガが手をまわしてくれて、ミズを入れるバケツの中にココナツを入れてもらう。それもバレてしまう。

この独房生活は、狭い檻の中で暗いし、食事なんてしろものではない。汚い缶にスープだけだ。グロテスク極まりない。原作では床を這うゴキブリ、ムカデを腐ったスープの中へ入れて食べたと言うのだから。

そして、2年の独房生活の後に、ドガと再会してまたもや脱獄計画を立てる。今度こそ失敗したら、脱獄のできない島へ送られてしまうのだから。

ドガが最後に隠していた全財産で、ボートを手に入れてまたもや脱獄をするも、船はボロ船で穴が開いており、海水が入って来て沈んでしまうので、ひっきりなしに海水を汲んでは捨てる。嵐が来て船は転覆して、パピヨンとドガたちは、ある島へ漂流して助けらる。だが、そこにも刑務所からの追手がやって来る。それから、5年間の独房生活に舞い戻り、脱出不可能な断崖絶壁の島、悪魔島へと流される。そこでも脱獄の夢は諦めずに、手作りの浮袋を使って潮の流れに身を任せて、脱出に成功するパピヨンの自由へのあくなき執念たるや、凄いと唸るしかない。

原作はフランス生まれの作家、アンリ・シャリエールの実体験を基にした回顧録であり、13年間の獄中生活で9回もの脱獄を試みた経験が綴られている。本作の基になっているのは、シャリエールの原作と、名脚本家ダルトン・トランボによる73年版のシナリオ。前作にはなかったパリのエピソードなども加えられ、オリジナルに敬意を払いながらも新しい作品になっている。

2019年劇場鑑賞作品・・・96  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ザ・ファブル★★★★

2019年06月26日 | アクション映画ーサ行

「SP」「図書館戦争」の岡田准一が、一般人として普通の生活を送るという過酷なミッションに挑む伝説の殺し屋を演じる痛快アクション・コメディ。南勝久の大人気コミックスを原作に、誰も殺してはならないというボスの指令を忠実に守ろうとする主人公に、次々と試練が襲いかかるさまを、迫力のアクションとともにコミカルに描く。共演は木村文乃、山本美月、佐藤二朗、安田顕、佐藤浩市。監督は「ガチ星」「めんたいぴりり」の江口カン。

あらすじ:どんな相手でも6秒以内に殺してしまう伝説の殺し屋“ファブル(寓話)”。ある日、彼の育ての親でもあるボスに呼び出され、一年間の休養を命じられる。しかも、その間は決して人を殺してはならないとクギを刺される。ボスには絶対服従のファブルは佐藤アキラという偽名を使い、相棒のヨウコと兄妹のフリをして、大阪の街で一般人として暮らし始める。不慣れなことばかりで戸惑いつつも、真面目に普通の生活を学び、一般社会に溶け込もうと奮闘するアキラ。バイト先の女子社員ミサキや社長の田高田とも親しくなり、少しずつ普通の生活が板についてきたアキラだったが…。

<感想>あなたの隣のちょっとヘンな人は、休業中の殺し屋かもしれない。“伝説の殺し屋”が挑む究極のミッション!1年間一般人として暮らすことを命じられた彼は、殺人厳禁と言う新たな掟(破るとボスに殺される)に従って、「プロの普通」を目指すのだが、・・・。

「どんな相手でも6秒以内に殺す」をモットーに、伝説の殺し屋と言うと、デンゼル・ワシントンの「イコライザー」を真似した感じであり、拳銃の撃ち方は、キアヌの「ジョン・ウィック」のようでもあり、プロフェショナルな殺戮を繰り返して来た凄腕の殺し屋のアキラ。それを演じているのが時代劇での殺陣技が続いていた俳優の岡田准一。

そんな、実写化するには物理的にも肉体的にも、相当ハードルが高いことが予想される、南勝久の大人気コミックのトリッキーな設定を、ガチンコハードなアクションの造形と、肩の力を抜いたユーモアの合わせ技で痛快エンターテインメントに仕立て上げてしまったのが、この「ザ・ファブル」である。

邦画の現代劇でここまでアクションを全面に押し出し、血が湧き肉躍るような動的な興奮を呼び覚ます作品は、近年まったくもってなかったと思う。だが、それが格闘家のプロである主演の岡田准一の、肉体のリアリティなくしては実現不可能だったに違いない。しかも彼はアクション制作にも参加して、シーンを理解しながら自分たち役者が動く、リズミカルな導線を自らガンガン引いていくという活躍なのだ。

岡田准一のアクションセンスは、ここまでスピーディに動ける俳優は観たことがない、と絶賛したくなるほどの、人殺しを禁じられた「殺し屋」という役の中で魅せているのだ。

劇中で、まさに水を得た魚のごとくの大活躍を見せるシーン。驚いたのが、岡田が演じるプロの殺し屋「ファブル」が、机を挟んで座る組織の人間(光石と安田)を、机を飛び越え瞬殺するその俊敏さ(これは、ファブルの妄想シーン)。

そして、ゴミ処理場でのアクションは、まるで映画の中で誰かが言ってた「ジャッキー・チェンか」みたいな風体でもあった。それくらいキレキレの技量と銃撃戦とか、敵が大勢いてもどうってことない。ファブルは黒の目出し帽を被っているので、当然顔を隠しているので、例えばファブルが壁と壁の間をスルスル登っていくシーンも、スタントマンなしで、自分でやっているのだ。

例えば、大人数の敵が入り乱れて戦うシーンを、殺し屋役の福士蒼汰君と、上下になって闘うようなシーンで、いかにプロ対プロの闘いに見えるか、拳銃の構え方や見ずに撃つ動作など、芝居部分でも「ファブル」のキャラクター感を足しながら、ハンディカムで追いかけながらリアルに撮る映像美に痺れました。

そうなんです、アクション映画として究極な質と実績のフォーカスが絞られた作品なのだが、そこにはオフビートな笑い(実は猫舌)や、お笑い芸人、ジャッカル富岡のつまらないギャグを見て大笑いをする場面とか、温かなヒューマニズムが当たり前に同居しているのが本作の魅力だと思う。

女優さんでは、清水ミサキに扮したちょっと水商売には向いていない山本美月が、借金とりの刑務所帰りの小島に脅されるところとか。

他にも、刑務所帰りの小島に扮した柳楽優弥の、完全なるやさぐれヤクザにハマっていたのも、そして同じ組の福士蒼汰が扮していたフードに、向井理が扮していた砂川。砂川が組を乗っ取る計画を知り、世話になっている安田顕の海老原に教える。つまり、福士蒼汰も向井理も殺し屋みたいなもの。

「来る」で演じた胡散臭いフリーライター役の、岡田くんのやさぐれっぷりも良かったが、彼の芝居の引き出しの多さを改めて実感する機会が続いた映画にもなる。「ザ・ファブル」の続編が観たいですよね。

2019年劇場鑑賞作品・・・95  アクション・アドベンチャーランキング

 

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X-MEN ダーク・フェニックス★★★・8

2019年06月25日 | アクション映画ーア行

マーベルコミック原作の大ヒット作「X-MEN」シリーズの7作目で、原作コミックでも重要な作品として名高い「ダーク・フェニックス サーガ」を映画化。大ヒットテレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」で注目され、前作「X-MEN:アポカリプス」でジーン役に抜てきされたソフィー・ターナーが、今作でも再び同役を演じる。そのほか、プロフェッサーX役のジェームズ・マカボイ、マグニートー役のマイケル・ファスベンダー、ミスティーク役のジェニファー・ローレンスら、おなじみの豪華キャストが出演。これまでの「X-MEN」シリーズや「デッドプール」「LOGAN ローガン」などで製作や脚本を務めてきたサイモン・キンバーグがメガホンをとり、長編映画監督デビューを果たした。

あらすじ:X-MENのリーダーであるプロフェッサーXの右腕として、メンバーからの信頼も厚い優等生のジーン・グレイだったが、ある宇宙ミッションでの事故をきっかけに、抑え込まれていたもうひとつの人格「ダーク・フェニックス」が解放されてしまう。ジーン自身にも制御不能なダーク・フェニックスは暴走をはじめ、地上の生命体が全滅しかねない、かつてない危機が訪れる。

<感想>さよなら、M-MEN。また会う日まで。00年公開の1作目を皮切りに、スピンオフ作「ウルヴァリン」「デッドプール」も含めると、計11作品が制作されてきた「X-MEN」の映画シリーズ。人気の面では「アベンジャーズ」に追い抜かれた感が否めないが、マーベル・ヒーロー映画のカラフルな楽しさを最初に教えてくれた点では、その功績は実に大きかったと思う。

でも、20世紀フォックス社がディズニーに買収されたことにより、現行のシリーズは、事実上の“閉店”が確定。本作は、20年続いた「X-MEN」のフィナーレを飾る「最終作」であります。

今作でのヒロインは、謎の熱放射を浴びたジーン・グレイであり、自らの身体に強大なパワーが宿っていることに気づくが、次第にその力を制御できなくなっていき、プロフェッサーXやミスティークなど、お馴染みのX-MENメンバーも勢揃いする本作では、ある種の「異端者」でもあるミュータントたちの悲しみに焦点を当てている点では、シリーズの総決算にふさわしいストーリーとなっている。

ジーン・グレイがダーク・フェニックスとなり、彼女が目覚めたシーンの暴走を止めようとしたミスティークが、ジーン・グレイに吹き飛ばされて、材木の下に落ちて背中から角材を貫き通して死亡する。

あっと言う間の出来事で、誰にもジーンの暴走を止めることは出来なかった。チームの姉御であり、新シリーズを支えた青き英雄のフィナーレ、雨の葬式が悲しみを誘う。

ミスティーク=レイブンを演じるジェニファー・ローレンス、足技中心のアクロバティックな体術、青い鱗が波打つような独特な変身シーン、全身が青塗りの爬虫類めいた外見だからこそ得られる高まりのようなものがあった。変身能力で若さを保ちつつ、プロフェッサーX、ビースト、マグニートーとの間で、揺れ動く恋多きミュータントだった。

暴走したダーク・フェニックスによって滅ぼされた悲劇の星、ドゥバリ帝国には50億もの人々が一瞬で消滅した。謎の女ヴークのジェシカ・チャステインは、その生き残りで、元々はマーガレットなる裕福な家の女性であり、豪邸でパーティを開いているところへ、ドゥバリ帝国の宇宙人に殺害され、そのままアイデンティティを乗っ取られてしまう。

彼女は冷酷非情で、何を考えているのか分からない女で、恐るべき強敵である。後に戦闘用アーマーを身に着けてスターハンマーと名のり、ジーンに復讐しようとする。

チャールズ・エグゼビア=プロフェッサーXを演じるジェームズ・マカボイ。まだまだ人格面で不安定さが見え隠れしており、一貫してミュータントの平和共存を目指すものの、そのために親友エリックと志を違えて宿敵同士となった末、半身の自由を失う。今回の物語は、かつて幼いジーン・グレイに施したある精神操作が露見する。これで、ジーンはおろかレイヴン、ハンク・マッコイら旧友たちからの信頼を失なってしまう。

見どころは、人類になすすべ無し、大地が割れ、列車が宙に舞い、人々は木っ端微塵に。初めての宇宙大作戦から始まり、チームは宇宙で事故に見舞われたスペースシャトル・ディスカバリー号の救難に向かう。大統領からの命令で宇宙へヒトッ飛び、ミスティークの指示のもと、それぞれの能力を活かして連携を見せるX-MENたち。

ここでは時間の中を一人超スピードで駆け巡る、クイックシルバーの活躍が見られ、レスキュー作戦に向かう。

X-MENと決裂したジーンは、今や政府からも追われる身となってしまう。やむなくマグニートーの築いたミュータント・コミュニティを訪ねる。ジーンは招かざる客だったが、追ってきた米軍の部隊から彼女を匿ってやる。しかし、ジーンはそこでもテレキネシスでヘリを投げ飛ばし、平和なミュータント島に大混乱をもたらす。マグニートーはそれを見て、磁力操作で何とかこれを食い止め、憎いはずの人間たちを助けようとするのだ。米軍の部隊を残ったヘリに乗せて逃がしてやる。ここでは、ジーンとマグニートーがヘリを使った綱引きバトルを見せつける。

出て行けとマグニートーに追い出されるジーンは、ニューヨークにいる謎の女ヴークのジェシカ・チャステインのところへ。追いかけるX-MENたちと、レイブンがジーンに殺されたことを知り、怒りに燃えて殺すといい、NYへと向かう。NYのド真ん中で激突する両陣営を尻目に、ジーンは暗黒のパワーをますます増幅させる。

ミュータントたちが捕らえられた、護送列車の中でラストバトルが繰り広げられる。列車の中でそれぞれのミュータント・パワーが全開し、地に足がついた肉弾戦が展開。次々と襲い掛かるエイリアンの群れを、片づけて行くX-MENたちがかっこいい。

ナイトクローラーのテレポーテーション能力も、使いようには殺人スキルになることも分るし、サイクロップスも、これまでにない勢いでオプティック・ブラストを出しっぱなしだ。

そして、これまでは重金属を持ち上げては投げるという戦法だったが、緩急の利いた磁力操作のバラエティを見せてくれるのだ。

潜在能力はマーベルヒーロー中でも有数だったジーン・グレイが、宇宙空間での事故によって悪の道に“覚醒”したことで最強無敵のパワーを解放させてしまい、かつてない壮絶バトルになってしまう。観客は度肝を抜かれることになるだろう。その果てに到達する、長く語り継がれるであろう万感のラストご覧あれ。

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きみと、波にのれたら★★★

2019年06月23日 | アクション映画ーカ行

「夜は短し歩けよ乙女」「夜明け告げるルーのうた」の湯浅政明監督が、消防士の青年と出会ったサーファーの女子大生の甘く切ない恋と成長を描いた青春ラブストーリー。声の出演は消防士の港役に片寄涼太、ヒロインのひな子役に川栄李奈。共演は松本穂香、伊藤健太郎。

あらすじ:サーフィンが大好きな大学生のひな子は、消防士の港と運命的に出会い、たちまち恋に落ちる。永遠の愛を誓ってくれる港は、いつしかひな子にとってかけがえのない存在となっていく。ところがある日、港が海の事故で命を落としてしまう。すっかり憔悴してしまったひな子だったが、ふと2人の思い出の歌を口ずさんだ時、港が水の中に現われた。思い出の歌が港を呼び戻してくれるとわかり、2人だけの世界に浸って幸せを感じるひな子だったが…。

<感想>守りたい人がいる。会いたい人がいる。このアニメは、恋愛映画というよりも、千葉ボートタワーが舞台のサーフィン映画であると共に、消防士やバリスタ、そしてライフセイバーなどの仕事の手順についてのヴィヴィッドな描写が、魅力的な職業をめぐるアニメーションの映画にもなっていた。

主人公のひな子は幼いころからサーフィンに夢中になり、今ではいっぱしのサーファーになっていた。そこへ登場する消防士の港との恋、それにひな子がまだ小さい頃に、海で溺れていた港を救助したという運命の相手だったのだ。

彼は卵サンドを素早く作れる男で、名前が雛罌粟港(ひなげし・みなと)という変わった名前の男で、サーフィンを教えてあげるひな子との交流や、オムライスも作れないひな子とのこれから愛を育むはずだったというのに。ひな子のことを、港は「あのこは僕のヒーローなんだ」と、いつもみんなに言っていた。

だが、その運命も港が事故で亡くなってしまう。諦めきれないひな子の心は、水を見ると港を思い出してしまう。その他にも、港の妹洋子と、港の後輩の消防士である川村山葵という、もう一組のカップルが生まれるという展開もある。

そして港の死に寄り、海に近づけなくなったひな子が、グラスの水に向かって思い出の歌を歌うと、そこに港が現れる。ファンタジックです。絶対に港は死にきれなかったのだと思う。だから、ひな子の前に水の精となって出てきたのだと思った。

他の人には見えない、自分だけの港だから、嬉しくってイルカに水を入れて、その中に港を閉じ込めて街のなかを走り回るひな子。だが、港と出会ったのは、ひな子が引っ越しをしてきたアパートの火事でのこと。消防士である港がひな子を助けてくれたのが始まり。

その火事のことが、後でトンデモないハプニングに発展していく結末に、驚きます。

ある夏のこと、廃墟で街の若い連中が花火をして遊んでいた。空き家の廃墟だから、花火の引火で火事が起きても平気な若い連中。その花火を見て、きっと火事が起こると注意をしに行く、ひな子と港の妹の洋子がその廃墟へと急ぐ。

しかし、そこはマンションで階段を上ると、そこからの海の眺めは抜群でもあり、そこで花火を上げるのも綺麗なのだが、その花火の炎が廃墟の木材やビニールに燃え移り、大事になってしまうのだ。

火事の騒ぎで消防士の川村山葵も出動するも、彼女たちはだいぶ上の階に避難しているも、火は上空へと燃え上がり、彼女たちは上の屋上へと非難する。ところが彼女たちのところへも火の手が伸びてきた。

ひな子は水のある場所で、歌を口ずさめば必ず亡くなった港が現れるのを知って、その場所でペットボトルの水に向かって歌い、港が現れるのだ。

だが、今度は比べ物にならないほどの高層ビルの廃墟であり、火事を起こした若い連中もいるし、港は悩んだ末にドでかいことを計画する。いくら水の精でもありえないことをするんです。

そこへ消防車も来て、消火活動が行われるも、火事の場合は上へ逃げては危険なのに、彼女たちは、花火で遊んでいたやつらを写真に撮り、通報しようとしたことがアダとなり、危険なことに炎は自分たちのところまで来るのだ。

 

ペットの中の港に助けを求めるひな子、洋子は足をねん挫して歩けないし、どうしたらいいのか。そこで、港のダイナミックなマジック的な水の芸ともいうべき、ビルの下から水が屋上へと水の渦巻きが起きて、屋上へいたひな子と洋子の2人は、びっくりするやら、港の一世一代の水のマジックショーですよ。そしてひな子に「水の上でサーフィンをして、下まで降りるのだ」と言うのですから。

屋上まで消防士である川村山葵が助けに来てくれて、洋子を頼み自分はサーフィンで、屋上から下まで波乗りダイブを楽しむひな子なのでした。

もう、最後が港がこれで自分の勤めも果たしたかのように、天に昇って行くのが見えましたね。なんというファンタジーな物語、こんなのって現実にあったら凄いのにね。火が大きな花火で綺麗でしたし、水の精になって現れる港の男らしさにも、これほどまでに水と火を、新しい感覚で描いたのは初めてでした。

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町田くんの世界★★★・5

2019年06月22日 | アクション映画ーマ行

安藤ゆきの人気少女漫画を「舟を編む」の石井裕也監督が、ともに映画初主演となる細田佳央太と関水渚を起用して実写映画化したハートフル青春ストーリー。何事にも不器用で地味でありがら、どこまでもピュアで善意に満ちた町田くんが、その無自覚な優しさで周囲を包み込んでいくさまと、町田くん自身の成長をハートウォーミングに綴る。共演は岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子。

あらすじ:物静かでメガネの男子高校生・町田くんは、その見た目に反して勉強が苦手で、しかも見た目どおり運動はまるでダメ。自分ではまったく取り柄がないと思っている町田くんだったが、人が好きで誰に対しても心の底から優しくできるという最強の才能を持っていた。ある日、授業中にケガをした町田くんは、保健室でサボっていた猪原さんと出会う。“人が嫌い”と言い放つ猪原さんのことが気になり始める町田くん。一方の猪原さんも、いつしか町田くんに恋心を抱くようになるのだったが…。

<感想>この世界は悪意に満ちている。でも――町田くんがいる。「そもそも町田くんって誰?」、そう思う方もいるだろう。町田くんとは、安藤ゆき氏の人気コミックを「舟を編む」の石井裕也監督が映画化した本作の主人公。「全人類を家族だと思っている」ほどの超・親切さんで、困っている人を放っておけないお人好しな男子高校生だ。

この町田くん、“親切”のスケール&熱意が半端じゃない。その規格外の優しさで、出会う人全員を幸せにしてしまう「ヒーロー」なのだ! 「え!? 気になる」と思ったアナタは、以下に記載する体験者の“声”に耳を傾けてほしい!

 “人を愛する才能”と“人から愛される才能”を持つ男子高校生・町田が、“人間嫌い”のクラスメイト・猪原奈々(関水渚)と出会い、生まれて初めての感情と向き合いながら、周囲を取り巻く人々の価値観までも変革していく姿を描いていく。オーディションで抜てきされた細田と関水が主演を務めているのも良かった。

みんなをトリコにする“とにかく今、気になる男”・町田くん。しかし本作の真の実力は、そこにとどまらない! “魅力的なキャラクター”に加え、“常識をぶっ壊す展開”が見た者の間で大きな反響を生み、これほどの“熱狂の渦”に成長しているのだ。

一番気になったのが、モテモテの高校生の氷室を演じた岩田剛典が、町田につかみかかるシーン。自身に好意を寄せる高嶋さくら(高畑充希)からのプレゼントを捨てる氷室に対し、町田は「君はもっと人の気持ちを大事にしなきゃだめだ。これはゴミなんかじゃない。君は自分の気持ちを考えないから、人の気持ちもわからないんだ、もっと自分を大事にしたほうがいい」と“町田語録”をぶつけていく。これって、勇気のいる行動ですよね。

町田につられヒートアップしていく氷室は「なんでおまえはいつも一生懸命なんだよ! そんなに必死こいて生きても意味ねえぞ!」と胸ぐらをつかむ。町田との出会いを通して氷室が変化していく瞬間を切り取った、重要なシーンになっている。

それに、町田くんの家族構成の、母親に松嶋菜々子が扮している。お腹が大きい妊婦役である。父親は北村有起哉が扮していて、家にはいつもいないし、仕事は学者のようだ。兄弟姉妹がたくさんいて、一が長男なので父親が不在の間は、弟や妹たちの面倒を良く観ているのだ。

それだけでも大変なのに、學校でも登校する間にも、みんなに親切にするのだから、こんな人間になってしまったのは、両親の教えか教育のせいなのかもしれませんね。

中でも、町田くんの心の代弁者で語り部的な役割をも担うのが、栄りら役の前田敦子であります。手のかかる主役カップルの成り行きに、いちいち口を添えるスケバン系キャラの怪演である。ひねくれ者の応援団であり、出番は多くないが、ジレったがっての一言が、話の軽い節目となり実に笑える。

もう一人、人物造形に深みを持たせた高畑充希の演技アプローチが秀逸でしたね。純粋でいることが、これほど困難な時代であるという事実に、絶望させられるがゆえに、町田くんの猪突猛進な姿は、みんなに希望を抱かせるのもいい。

善意の天使の町田くんと、人嫌いの女性徒との綱引きドラマは、さして珍しくはないが、緑と水辺のロケ地が、新人コンビの真っ直ぐな演技を、ビジュアル的に支えていて、この映画の余裕にもなっていた。

町田くんがお気にいりの川べりの場所で、ヒロインと追っかけあう遠景のカットとか、こういう画面としての遊びはかつてVシネマ時代の黒沢清映画で、しばしば見たように覚えているが、それが邦画の進歩かどうかは分らないが、変化ではあると思う。

 

週刊誌の記者、吉高洋平(池松壮亮)は世界に絶望していた。したくもない仕事に追われ、妻ともすれ違いの日々です。上司からは次のスクープを獲ってこいとせがまれ、書きたいものが書けなくなっていました。そんな彼の前に“劇的イイ人”な町田君が現れ、彼の心を大きく揺さぶります。町田くんの影響で、生き方をリセットする週刊誌の記者、池松壮亮が嘘っぽく見えた。

氷室に冷たくされ、町田くんに優しく慰められるさくらは、町田君に好意を持ち始める。積極的にさくらに好きだと言われる町田くんは、恋愛について初めて考えます。ただ、さくらの気持ちはまだ氷室のもとにあるのではと、感じています。

やがて、町田くんの心に変化が生じて、猪原という存在によって彼の心の中には、今までにない感情が芽生えていることに気付き、戸惑う彼ですが、その一方でいよいよ臨月を迎えた母親のことも心配で、いつになく頭がいっぱいです。

六人目の弟である六郎の誕生に合わせて、世界中を飛び回っている生物学者の父親が帰ってきます。一は父親に、自分の気持ちについて相談を持ち掛けるのですが、ついに、猪原のへの気持ちが恋だと確信しました。しかし、猪原は海外留学を決めてしまうのです。

空港に向かう電車の中で、猪原は週刊誌の記者・吉高に『町田くんの世界』というタイトルの原稿を渡される。そこには、世界には絶望で溢れている、しかし“町田くんの見る世界は美しいに違いない”と綴られていたのですね。

町田くんの初めての恋、必死になって猪原を追いかける姿に、彼のその背中を前田敦子や最初に恋の相談をした西野。そして、毎日のように彼からの善意を受け取った人たちが、町田くんの背中を押してくれのです。

空港では、『町田くんの世界』を読み終えた猪原が、町田くんに会いたくなったと感想を伝えます。その時、必死に追いかけてきた町田くんの手が、彼女の手を掴むのでした。もう離さない、これからはいつも一緒にね。

 

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マローボーン家の掟★★★

2019年06月20日 | アクション映画ーマ行

「永遠のこどもたち」「インポッシブル」の脚本家セルヒオ・G・サンチェスが、同作の監督J・A・バヨナの製作総指揮の下、記念すべき監督デビューを飾ったサスペンス・ホラー。母を亡くし子どもたちだけになったマローボーン家の4兄妹を待ち受ける哀しくも恐ろしい運命をミステリアスな筆致で描き出す。主演は「わたしは生きていける」のジョージ・マッケイ、共演にアニャ・テイラー=ジョイ、ミア・ゴス、チャーリー・ヒートン。

<感想>マローボーン家の4兄弟が、守る“掟に隠された謎”が打ち破られた時、あなたは衝撃の結末を目撃する!まず本作は登場人物、とくに子どもたちの面々が非常に素晴らしいです。ローズが連れてきたジャック、ジェーン、ビリー、サムの4人。見えない何かに怯える兄弟の対立と愛を描いた作品です。

かなり細かく作られた内容なので、ホラー映画というよりはストーリーの展開を楽しむ映画になっています。特に時系列をよく理解することが大切ですね。母親のローズが亡くなるまえに、長男のジャックに法的に大人になる21歳になるまで、この家のことを頼みます。と遺言します。それが、マロンボーン家の掟、(1)成人になるまでは屋敷を離れてはならない (2)鏡を覗いてはならない (3)屋根裏部屋に近づいてはならない (4)血で汚された箱に触れてはならない (5)“何か”に見つかったら砦に避難しなくてはならない の5つ。 

全ては「大人になるまで、屋敷を離れない事」という、母親の遺言でもある第1の掟を守る為に作られた約束事です。中には「鏡を覗かない事」「屋根裏部屋に近づかない事」など、不可解な掟も存在します。しかし、これら全てには意味があり、兄弟たちが屋敷内で安全に暮らすには不可欠なのです。家族は、長男のジャックに長女のジェーン、それに弟のビリーと末っ子のサム。そして、友達になったアリーという少女です。

母親の死後6か月に黒服の男が銃を屋敷に向かって発砲します。恐怖におびえる子供たち、長男のジャックは天井の上や、屋根裏部屋、鏡の中の存在を異常に気にするようになる。この家の弁護士であるポーターが、ジャックたちと友達になった美少女アリーに恋愛感情を抱くのですが、アリーがジャックと恋愛関係になっていくのです。

ポーターが家の手数料の200ドルを請求するのですが、この家にはお金はありません。仕方なく、死んだ父親が遺したあの秘密の古い缶を思い出し、それが海の近くの洞窟の中にあることを想いだし、見つけに行く。古い缶の中にはイギリスの紙幣であるポンドの札束が入ってました。

そのお金を娘のジェーンが綺麗に洗ってアイロンをかけ、兄のジャックはそのお金をポーターに渡すのですが、小切手でくれと言うのですね。そして、母親のサインがいるとのこと。困ったジャックは、ポーターには、母親が病気で部屋で寝ていると嘘をついていたので、困ったジャックは、妹のジェーンに母親のサインを真似るように練習をさせます。

何度も練習をして、母親のローズと言う字に真似て書き、渡すのですが、それが後で、偽物のサインだということが見破られるのです。それでも、ジャックはこれでこの家に安心して住んでいられると大喜びです。その夜は兄弟、妹でパーティを楽しむのです。でも、末っ子のサムが何だか幽霊がいるといい、その存在を感じるのです。

次男のビリーは、父親のお金を使ったから幽霊が出たのだといい、ジャックはその古い缶を屋根裏へ置いてこいとビリーに命令をし、ビリーは怖がりながらも屋根に上り、煙突から屋根裏部屋にその古い缶を落とすのですね。

そのころ、ジャックはアリーと恋仲になり、海岸でデートを楽しみキスをしてお互いの愛を確認するのですが、家へ帰ってみると、下の弟2人と妹たちが、ジャックばかり遊んでと怒り、しまいには兄弟げんかになってしまう。

末っ子のサムは、亡くなった母親の部屋に入り、そこで昔の新聞記事を見て、そこに父親の写真を見て、お化けだといい気を失うわけ。ジャックはそのことを知っており、父親の弔いをしていないので、化けで出てきたのかもと言う。幽霊の正体は、そのせいかもなんて思ってしまう。

それに、弁護士のポーターは、アリーを旅行に誘うのですが、アリーはジャックの事が好きなので、断ります。すると、ポーターは、古い新聞記事に載っていたジャックの父親のことを知り、父親が逃走中だと判り、家の事もまだ母親に会ってないので、何か隠し事をしているのかと疑い始める。

ジェーンが、屋根裏部屋の隙間に動物がいることを知り、それがアライグマだということがわかり安心します。ですが、次にジャックがそのアライグマが隙間から顔を覗かせたと言うのを信じて、自分ものぞくとそこには、人間の手があり、アライグマを捕らえて消えたのです。

弁護士のポーターは、契約書のサインが母親のサインではないことを見抜いて、きっと娘のジェーンによる偽造だと知ってしまう。だが、ポーターは自分が出世をするために、別の弁護士事務所に行くのには、投資金が必要だということで、新聞記事で読んだジャックたちの父親が10,000ポンドの大金を盗んだと言うことがわかる。

そうして投資金の金策に、ポーターはジャックに偽造したサインのことを非難して、その代わりに、1万ポンドの口止め料を支払えと迫るのです。

困ったジャックは、弟のビリーに屋根裏へいって、またあの古い缶を持ってこいと命令するのですが、ビリーは怖くて屋根裏部屋には行きたくないと断るのですが、仕方なく屋根裏部屋へ降りて行くと、死んだと思っていた父親が、やせ細った幽霊のような男が潜んでいて、傍には、アライグマの死骸や鳩などの死骸が散乱していて、どうやら、父親は屋根裏部屋で、動物を食べて生きていたのですね。

ビリーは、その父親と思われる幽霊男に乱暴されて、血だらけになって戻ってくるわけ。長男のジャックは、そのことを知り失神してしまう。

ここからが重要なシーンで、実は母親が亡くなった後に、家に男が銃を持って現れて、家族のみんなを恐怖に陥れます。それからが、実はこういうことだったのね、という結末が想像されます。

だって、家族は、どうやって食べていままで暮らしてきたのか?・・・ジャックにしろ、ビリーとジェーンにして、學校へも行かないで、お金は誰が働いているのか、今までに、食事の風景が映っていなかったし、これって、生きているのは、長男のジャックだけってことなのでは、と思ってしまう。

つまりは、その後に、父親が家の中に入って来て、兄弟妹の3人を殺してしまう。本当は、父親はとんでもない悪党で、子供たちよりも、盗んだ金が欲しくて帰って来たらしい。家族全員を射殺して、金を持ってここで一人で暮らすことを考えたのでしょう。

長男のジャックが失神したのは、そのことを全部思い出して、ポーターは、屋根裏部屋から出てきた父親に殺されてしまい、アリーも父親に見つかり殺されそうになるも、ジャックが勇気を奮い、父親に銃を向けて殺してしまう。結局は、今までアリーの前では、ジャックはビリーやジェーンにサムと3人の兄弟たちと想像の世界でお話をして暮らしてきたのですね。

精神科医の医師が、ジャックの精神病のことを想って、いままでの記憶を忘れてしまう薬をアリーに渡します。これで、ジャックは嫌な思い出を忘れて暮らせると。でも、アリーの優しさが、ジャックがいつまでも兄弟と幻覚の中で暮らすことを選び、薬を飲ませることはしませんでした。

すみませんね、ネタバレですが、何だかこれでは、あまりにも残酷過ぎて、ジャックの思い出の中でこの後も死ぬまで生きていくことになるというのも、悪くないなぁって思いました。

これまでのお話の展開では、少なくとも『永遠のこどもたち』が好きな人は、この映画も大好きな作品となるでしょう。

 

2019年劇場鑑賞作品・・・91  アクション・アドベンチャーランキング

 

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