パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ダウントン・アビー★★★★

2020年02月21日 | アクション映画ータ行

大邸宅に暮らす貴族・クローリー家と使用人たちの生活を描き、ゴールデングローブ賞やエミー賞に輝いたイギリスの人気ドラマを映画化。2010年から2015年まで全6シーズン放送されたドラマ版の最終回から2年後のクローリー家が描かれる。マギー・スミス、ヒュー・ボネビル、ジム・カーター、ミシェル・ドッカリーらドラマ版のキャストに加え、映画版で初登場となるモード役でイメルダ・スタウントンが出演。ドラマ版に引き続き、オスカー受賞のジュリアン・フェローズが脚本、マイケル・エングラーが監督を務める。

あらすじ:1927年、英国国王夫妻が訪れることとなったダウントン・アビーでは、グランサム伯爵家の長女メアリーが執事のカーソンを復帰させ、パレードや豪勢な晩餐会の準備を進めていた。そんな中、先代伯爵夫人バイオレットの従妹で何十年も音信不通となっていたメアリー王妃の侍女モード・バッグショーとバイオレットの間にぼっ発した相続問題など、一族やメイドたちのスキャンダル、ロマンス、陰謀が次々と巻き起こる。

<感想>世界で最も評価が高いテレビドラマとして、ギネス記録認定になった「ダウントン・アビー」。放送終了時から2年後、この映画は、NHKのTVドラマシリーズで、毎回鑑賞していました。イングランドの北東部ヨークシャーのダウントン村にある、このイギリス貴族の広大なる土地に建つ、高層ビルのような大邸宅を舞台に、例によってロマンスや陰謀、スキャンダルが渦巻く濃密な人間ドラマが展開する。

今作では国王夫妻来訪とともに、相続問題からテロまで、数々の難問題が勃発するのです。物語では、ドラマ同様、当主のグランサム伯爵のクローリー家の人々と、クローリー家に仕える使用人の人々の、生き様が交錯する模様をダイナミックに描くもの。

 

近隣のヨークシャーを訪れる国王夫妻一行が、ダウントン・アビーにも立ち寄ることになり、国王をお迎えする大騒動を追っていくものである。もともと、テレビドラマでは、時間をかけて複雑なストーリーを立体的に紐解くものだっただけに、映画という限られた時間内であの壮大なるドラマ性が成立するのかという疑問がないわけでもなかった。

国王夫妻に召し抱えられている使用人たちも来訪して、とにかく国王夫妻の食事は、自分たちが作るからキッチンを貸してくれという。それに、食材も持参して来ていて、いっさい触らせないのだ。

呆れる果てるクローリー家の使用人たちは、怒りをおぼえるも従うしかなかった。しかし、国王のシェフがのんびりとしていて、よく休養するのをみて、クローリー家の使用人たちは一作をこうじるのであった。それは、見事なファインプレーであり、長年勤めていた使用人たちの生きざまのようでもあった。

台所では、これまた食事を作る使用人が5、6人いて、食事を運ぶ男たちも5、6人いる。それに運転手に、狩猟する時の馬屋の使用人と、一緒に行く犬の世話をする人達とか、とにかく家族よりも使用人の方が多いのである。

使用人一人一人の部屋もあり、また客人用の部屋もたくさんあります。賄い付きの住み込み使用人の数の多いことと言ったら、名前を覚えるのに苦労する。それに良く辞めるので、入れ替わりも多い。このお屋敷の貴族は実在しており、今も住んでいる。

貴族や王室の生活を覗くという好奇心を満たしつつ、絶えず流動していく人間関係とドラマを丁寧にエンターテイメントとして堪能させるという、この作品の最良の魅力がいかんなく発揮されていて、素晴らしかった。

しかし、さすが作品の原案者のジュリアン・フェローズが脚本を一人で仕上げただけあって、ものの見事に登場人物が全員、それも王室も含めて、それぞれにもつれるように、絡み合って最後にはしっかりと、大団円を迎えて見せていたのに感心する。

スタッフもTV版とほぼ同じ顔触れで嬉しい。キャストも当主のロバートに、ヒュー・ボネヴィル、その母親の先代伯爵夫人のマギー・スミス、ロバートの妻にエリザベス・マッガヴァンと、常連俳優たちがずらりと並ぶ。そして初登場の名女優イメルダ・ストーントンが映画版を締めるのであります。

TVドラマのように、濃密な人間ドラマというわけにはいかないが、物足りなさが残るものの、素晴らしい俳優陣たちの演技に加えて、時代考証をふまえた煌びやかな衣裳や美術が素晴らしい出来栄えでした。

大画面で観る映画ならではの迫力にしばし、時の経つのを忘れた次第。各キャラクターの個性も見事に描かれていて、物語のオチもとても微笑ましくて、また続編を作られることを望んでおります。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・15  アクション・アドベンチャーランキング

 

 

 

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グッドライアー 偽りのゲーム★★★・5

2020年02月20日 | アクション映画ーカ行

「クィーン」でアカデミー主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンと、2度のオスカーノミネートを誇る「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイアン・マッケランという、ともにイギリスを代表する2人の名優が共演したクライムミステリー。ニコラス・サールの小説「老いたる詐欺師」を原作に、夫を亡くした資産家と冷酷な詐欺師が繰り広げるだまし合いを、「美女と野獣」「ドリームガールズ」のビル・コンドン監督のメガホンで描く。

あらすじ:インターネットの出会い系サイトを通じて知り合った老紳士のロイと未亡人のベティ。実はベテラン詐欺師のロイは、夫を亡くしてまもない資産家ベティから全財産をだまし取ろうと策略をめぐらせていた。世間知らずのベティは徐々にロイのことを信頼するようになるのだが、単純な詐欺のはずだった計画は徐々に思いがけない方向へと進んでいき……。

<感想>この物語は、ヘレン・ミレンとイアン・マッケラン、芸達者な二人の、巧妙な騙し合いに、まんまと乗せられてしまう。それも78歳のベティと80歳のロイのような歴史があるから成り立つのであって、他の設定だったら成立しない。2人の年齢が物語のキーポイントであり、それがまた面白いところなのである。ラストのどんでん返しが、また爽快でありました。ロイの終焉を見事に作り上げてしまう、ベティの復讐が見事でしたね。

夫を亡くしてまもない資産家ベティ(ミレン)に狙いを定めたベテラン詐欺師のロイ(マッケラン)は、出会い系サイトを通じてベティに近づく。紳士然とふるまうロイと何度か会ううちに、ベティは彼をたやすく信用したかのようだが、実はすべてベティの仕掛けた恐ろしい罠だったのだ。

実に面白い「タイトルどおり嘘と偽りが交錯するの」とヘレン・ミレン。マッケランが「臨場感あふれるスリラーで、パズルさ」と、それぞれ予測不能の展開を示唆する。そのほか、本作を盛り上げるロケーションの数々が映し出されるほか、紳士然とふるまうロイが見せる詐欺師の悪い顔、そして最後に「嘘が上手になった」と冷徹な表情を浮かべるベティも収められている。

ベティの孫のスティーブン(トベイ)が不信感をあらわに質問をぶつけるシーンが面白い。ベティの家で、3人で食事をしていると、スティーブンは突然ロイに軍への入隊経験を尋ね、さらにロイの首の傷跡についても追い込むかのように言葉を重ねる。ロイは一瞬うろたえるが、陸軍に入隊していたことは認め、傷については「私は何よりも不誠実なことが嫌いだ。だから作り話をするより、なぜ傷を負ったかということについて話さずにいたい」と落ち着いた口調で答える。

ベティは傷跡を見て少し驚くが、表情を読み取るかのようにロイをじっと見つめている。そして、攻撃的な態度のスティーブンに決して怒らず紳士然とふるまうロイを信用したかのように、スティーブンに対してたしなめるかのような表情を見せる。

スティーブンを演じたトベイは、3人の関係について「スティーブンは、彼女を守る役を買って出るが、過剰反応し過ぎだろう。彼はベティの生活に入り込んできたこの男を不審に思い、ベティとロイがあまりにも急に親密になったことに苛立っている。自分の感情を抑えることはスティーブンにとって難しく、ロイにとって目の上のこぶになるからだ。

キッチンでロイの髪の毛を切ってあげるという甘い行為など、ちょっとした違和感もすべて計算ずくだったとはね。能面のようなヘレンの顔を思い出すと、改めて身震いをし、すっかり騙されて、面白かったと最後まで終わらないところが、「大人のライアー・ゲーム」たるところなのかも。

刻々と変わるロイの表情、穏やかで何も言わないが目線や仕草で何かをほのめかすベティ、そして緊張感を生み出す孫のスティーブン。ロイに騙されているベティだが、そのまま騙されるだけの展開ではないことを予感させていた。

二人のレジェンド俳優による、観客を高みへ連れてゆく演技バトルをご覧ください。極上のライアーゲーム、極上のサプライズ、極上の製作陣、極上の映画的体験など、映画ファン&サスペンスファンが絶対に見逃してはならない、驚嘆必至の一作であります。

前半はハートフルだが、後半は怒涛のだまし合い。信じていたものがひっくり返され、「そうくるか!」とカタルシスが襲う筋書きが非常に面白い。

世間知らずのベティは、徐々にロイのことを信頼するようになるはずが、物語はそう簡単には進まない。ベティは気品あふれる純朴なマダムでもなんでもなく、実は“最強の悪女”だった! 詐欺師・ロイを逆に陥れようと、罠を張り巡らせ続けていた。

このお二人さん、意外にも初共演だそうで、イギリスが誇る名優の演技に圧倒されること間違いないです。本作のミレンの魅力を例えるなら、“危険な香りがする大輪の花”ですね。それは、上記の映像を見てもらえればよくわかるだろうし、気品あふれる華やかな笑みを浮かべながらも、常に何かを企んでいるように眼が怪しく光る。

特にベティが「ライアーゲームを始めましょう」と低い声で宣言し、薄明りに顔が照らし出されるシーンは、その表情を見るや身震いするほどの戦慄が襲ってくる。ベルリンで、彼女がまだ幼い頃、英語の先生としてロイがやってくる。ベティ、本当の名前はリリー。家は資産家であり、豪邸に住んでいた。そこで事件が起きるのだ。それは、3人姉妹の末っ子であるリリーが、その英語の家庭教師に来ていた彼に、突然レイプされてしまう。まだ、世間知らずの幼い娘であり、男のことなど何も知らず、まさか自分の家の中でそんな凶暴なことが起こるとは思っていなかったのだ。リリーは、悔し涙にくれ、誰にも話さず心の中にしまって置き、何時の日にか、彼に復讐をしてやると心に誓うのである。家の壁に掛けてある「リリー」の花が、最後の伏線なんですね。

一方でマッケランは、“雄大な氷河”を思わせる。ベティを慈しむおおらかさと、財産をかすめ取ろうとする冷徹さが、シーンごとに流れるようにスイッチされていくさまは見ものです。注目はラストでの地下鉄ホームでのひと幕。見ていて「えっ!?」と思わず声を出してしまうほど、衝撃的な映像が網膜に焼き付いてくる。やはり、歳には勝てないものだ。二人で作った銀行口座。二人の全財産を入金して、二人はそのまま別れるのだ。ロイはすぐにでも銀行から全額を引き出し、何処かの銀行へ移そうと考えていたに違いない。しかし、衰えてきた頭脳もひらめきが直ぐには浮かばないし、大事な銀行口座の「パスワード」を忘れてしまい、その上、それを書いてある書類を全部ベティの家に忘れて来てしまったのだった。歳は取りたくないものだ。

ラストが実に愚かな自分に気づいているのかは、定かではないが、老人ホームの中にいる姿は、それは余りにものショックであり、頭が混乱してしまい殆ど認知症状態に陥ったのであります。ロイが昔、自分が取った行動を、まさか老人になって復讐されるとは、微塵にも思ってなかっただろう。

ほかの出演者には、ロイの詐欺師仲間役を担ったジム・カーター(「ダウントン・アビー」シリーズ)や、ベティの身を案じる孫役のラッセル・トベイら、脇を固めるキャストも印象深い。予測はできるが最後までスリリングなのは、やはり2人の裏の裏まで、計算され尽くした巧妙な演技テクニックと、そのアプローチの違う組み合わせの妙だろう。前半のユーモラスなやり取りの、ほのぼの感に騙され、ラストは心底ゾッとしました。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・14  アクション・アドベンチャーランキング

 

 

 

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キャッツ★★★・5

2020年02月17日 | アクション映画ーカ行

1981年にロンドンで初演されて以来、観客動員数は世界累計8100万人に達し、日本公演も通算1万回を記録するなど、世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔「キャッツ」を映画化。「レ・ミゼラブル」「英国王のスピーチ」のトム・フーパーが監督、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務め、英国ロイヤルバレエ団プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワードのほか、ジェームズ・コーデン、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト、ジュディ・デンチ、イアン・マッケランら豪華キャストが共演した。

あらすじ:人間に飼いならされることを拒み、逆境の中でもしたたかに生きる個性豊かな「ジェリクルキャッツ」と呼ばれる猫たち。満月が輝くある夜、年に一度開かれる「ジェリクル舞踏会」に参加するため、街の片隅のゴミ捨て場にジェリクルキャッツたちが集まってくる。その日は、新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜であり、猫たちは夜を徹して歌い踊るが……。

<感想>映画「キャッツ」の元となったのは、81年ロンドン初演の舞台ミュージカルである。ミュージカルといえばブロードウェイと思いがちだが、ロンドン生まれのヒット作も多いのだ。82年にブロードウェイ開幕、83年には日本でも上演が始まる。ロンドンで21年、ブロオードウェイで18年のロングランを記録。

さらにはリバイバルもされた。日本では東京を皮切りに各地で巡演、現在は東京で上演中であります。ローレンス・オリヴィエ賞、トニー賞を受賞し、作品的評価も高い。国境も文化も超える人気で、これまで40か国以上で上演されいる。なにしろ名曲ぞろいであるからにして。なかでも「メモリー」は作品を離れて大ヒットして、いまやメロディを聞けば誰もが知るスタンダード・ナンバーになっている。

奇跡の映像はこうして作られた!…今回もっとも困難を極めたのは、猫でありながら俳優の顔が隠れず、その表情までがわかるビジュアルを作り上げること。

バレエ、ストーリーなど激しいダンスをする俳優たちの動きを完璧に捉えて、VFX化する作業は、ビジュアルエフェクトの限界への挑戦ともいえた。一方、俳優たちも、それらの動きをこなしながら生歌を歌うという困難に挑んで見せたのだった。

物語は、ゴミ捨て場に集まった猫たちから、天上に上る一匹が選ばれるというシンプルなもの。彩る猫たちのキャラクターが楽しい。オバサン猫、セレブ気取りの猫を始め、人間社会の縮図のようだ。

実は、ミュージカルの原作は、T・S・エリオットの子供向け詩集「おとぼけおじさんの猫行状記」。多彩な猫キャラは、各々一篇の詩から生まれたものだった。後の「オペラ座の怪人」でも知られる作曲家アンドルー・ロイド・ウェバーが、これらに曲を付け始めたのは77年。

中々ミュージカルにまとまらなかったが、新たに発見されたエリオットの遺稿からドラマ設定に繋がり、ついに完成したという経緯がある。

そこに盛り込まれたのは、「天上に上る」というキリスト教的救済のテーマだった。でも、テーマなど関係なく、猫たちが披露する歌とダンスを楽しむだけで、十二分に楽しいシーンになっている。

だからこそ、子供からお年寄りまで、また人種やカルチュアを超えて、世界中で長く愛されるミュージカルになり得たのである。

ちなみに、映画版で長老猫を演じる名女優ジュディー・デンチは、ロンドン初演でグリザベラを演じるはずだったが、怪我で出演できなくなったという因縁がある。この作品では、オールドデュトロミーという猫たちの偉大なる長老を演じ、新しい人生を得る一匹の猫を選ぶ役目を演じている。

今回では、「天上に上る」猫として選ばれるのは、ジェニファー・ハドソン演じるグリザベラ、かつては絶世の美しさを誇っていたが、今では毛並みもボロボロ。誰からも愛されない孤独な猫。朗々と歌い上げる「メモリー」が素晴らしかったです。

人間に捨てられた若く臆病な子猫のヴィクトリアに、フランチェスカ・ヘーワードが、ジェリクルキャッツたちとの出会いで人生が変わるという。バレリーナなので、とても美しい踊りが見られます。

映画音楽、ダンスなど様々なジャンルのトップが集結した本作では、中でも目を見張るのが、バレエダンサーたちの豪華すぎる顔ぶれ。主人公ヴィクトリアを演じるのが、英国ロイヤルバレエ団のプリンシバル、フランチェスカ・ヘーワード。同じくプリンシバルのスティーヴン・マックレー、NYCBのプリンシバル、ロビー・フェアチャイルドなど驚きの面々が揃っている。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・13  アクション・アドベンチャーランキング

 

 

 

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リチャード・ジュエル★★★・5

2020年02月13日 | アクション映画ーラ行

「アメリカン・スナイパー」の巨匠クリント・イーストウッドが、1996年のアトランタ爆破テロ事件の真実を描いたサスペンスドラマ。主人公リチャード・ジュエルを「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のポール・ウォルター・ハウザー、母ボビを「ミザリー」のキャシー・ベイツ、弁護士ブライアントを「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルがそれぞれ演じる。

あらすじ:96年、五輪開催中のアトランタで、警備員のリチャード・ジュエルが、公園で不審なバッグを発見する。その中身は、無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。多くの人々の命を救い一時は英雄視されるジュエルだったが、その裏でFBIはジュエルを第一容疑者として捜査を開始。それを現地の新聞社とテレビ局が実名報道したことで、ジュエルを取り巻く状況は一転。FBIは徹底的な捜査を行い、メディアによる連日の加熱報道で、ジュエルの人格は全国民の前で貶められていく。そんな状況に異を唱えるべく、ジュエルと旧知の弁護士ブライアントが立ち上がる。ジュエルの母ボビも息子の無実を訴え続けるが……。

<感想>1996年に起きた米アトランタ爆破事件の実話である。主人公の警備員のリチャード・ジュエルは、英雄的行動により人々の命を救ったにもかかわらず、容疑者にされてしまった“世界一不幸な男”と、彼を救うために立ちあがった“世界一無謀な弁護士”による実話を描き出す。

メガホンをとったのは、「アメリカン・スナイパー」「ハドソン川の奇跡」「15時17分、パリ行き」「運び屋」など、実話映画で世に問いかけ続けてきたクリント・イーストウッド監督。御年89歳だが、恐るべき時代感覚と言わざるを得ない。

印象的だったのは、「あなたにも起こり得る事件?」という設問の回答だった。実際に、誰にでも起こり得る誤認逮捕されることが、さまざまな人々が自分事化して強く没入できる作品である、と思いますね。

主演は「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」「ブラック・クランズマン」で独特の存在感を放ったポール・ウォルター・ハウザー。心優しい一方、尊敬を集めたいという下心が透けるリチャードの内面や言動を、絶妙なコントロールで表現しきっている。

当初、リチャード役はジョナ・ヒルが演じる予定だった(ちなみにワトソン役はレオナルド・ディカプリオ)が、諸々の事情で彼らはプロデューサーに専念し、代わりにウォルター・ハウザーが主演に抜擢。実母ボビをはじめ関係者が驚くほどの激似ぶりと好演を見せ、物語に“実直な真実”を付与した。

サム・ロックウェルが、言葉の端々にアツさがにじむ弁護士ワトソン役に。「スリー・ビルボード」「ジョジョ・ラビット」と合わせ、“サム・ロックウェル三部作”とも呼べる出色の芝居を見せている。

さらに「バカどもを打ち負かそう」など、セリフがとにかく良い。なぜワトソンがリチャードを信じるのか、なぜリチャードがワトソンを頼るのか、その理由に感涙もののドラマが隠れているので注視してもらいたい。

それに、見せ場がとにかく感動的な母親のボビ役のキャシー・ベイツ ですね。

物語に愛をもたらしたのは、「ミザリー」「タイタニック」「アバウト・シュミット」などのキャシー・ベイツ。それでもあの“演説”を目にした時、涙が止まらなかった。第77回ゴールデングローブ賞では、助演女優賞にノミネートされていた。残念ながら、「マリッジ・ストーリー」のローラ・ダーンが助演女優賞を獲得した。彼女キャシー・ベイツは、「ミザリー」でオスカーを受賞しており、演技の力量があるので、その内必ずオスカー受賞者になるでしょう。

物語でのFBIによる無根拠かつ強引な捜査はもちろんだが、リチャードを窮地に追い込むのは、むしろメディアによる報道である。“無実”にもかかわらず“犯人である”かのように報道され、“虚偽が世間で広く共有”され“事実”と化していく。

前日まで「英雄だ」と称揚していたテレビコメンテーターが、今日はあっさり「怪しいと思っていた」と手のひら返しする。その光景にリチャードたちは、絶望感にくずおれそうになってしまう。マスメディアとSNSによって、センセーショナルな出来事が虚偽だろうが事実だろうが関係なく、爆発的な速度で拡散されてしまう現代社会の負の側面と重なっていくのが目にみえて辛いです。

本作の良さは、物語展開の巧みさ、現代へ突き刺さるテーマ、キャストの熱演、スタッフの熱量による賜物だと思いますね。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・12  アクション・アドベンチャーランキング

 

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フォードVSフェラーリ★★★★

2020年02月07日 | アクション映画ーハ行

マット・デイモンとクリスチャン・ベールが初共演でダブル主演を務め、1966年のル・マン24時間耐久レースで絶対王者フェラーリに挑んだフォードの男たちを描いたドラマ。シェルビーをデイモン、マイルズをベールがそれぞれ演じる。監督は「LOGAN ローガン」「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」のジェームズ・マンゴールド。

あらすじ:ル・マンでの勝利を目指すフォード・モーター社から依頼を受けた、元レーサーのカーデザイナー、キャロル・シェルビーは、常勝チームのフェラーリ社に勝つため、フェラーリを超える新しい車の開発と優秀なドライバーの獲得を必要としていた。シェルビーは、破天荒なイギリス人レーサーのケン・マイルズに目をつけ、一部上層部からの反発を受けながらもマイルズをチームに引き入れる。限られた資金と時間の中、シェルビーとマイルズは力を合わせて数々の困難を乗り越えていくが……。

<感想>アメリカを代表する自動車メーカーながら大衆車しか作ってこなかったフォードが、ヨーロッパで高級車メーカーとして君臨してきたフェラーリに挑戦状を叩きつけたお話です。

実際は63年から66年にかけてのお話なんだけれど、映画では65年から66年の2年間にダイジェストしている。フォードは国内トップの座をゼネラルモーターズに奪われた危機感から、若者向けのレーシングカー業界への進出を決定したのだけれど、このアイディアを出したのが、映画の中ではジョン・パーンサルが演じているリー・アイアコッカ。80年代には破産寸前だったクライスラーを立て直したことで、アメリカ産業界の英雄とまで言われた人物なのだ。この映画を観てもそのキレ者ぶりが分かりますよね。

自動車産業はアメリカにとっての誇りだから、ゼロからのスタートで絶対王者フェラーリに勝つという無謀にみえる挑戦がドラマでは描かれている。

監督は「LOGAN ローガン」「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」のジェームズ・マンゴールド。3回出て来るカーレースシーンは凄い臨場感であり、カメラがレーサー目線になっているので、自分もレーシングカーに乗ってサーキットを走っている気分にさせてくれるのだ。

特にクライマックスでの、ル・マンのシーンだ。24時間ずっと車が走っているだけだから、単調になってもおかしくない場面だけれど、30分以上もあるのに、全く持って退屈させず、いろんな駆け引きや、思惑を盛り込んで見せきっているのには感心しました。演出の力ってことを実感しましたね。

基本的にはマット・デーモン扮するキャロル・シェルビーと、クリスチャン・ベール演じるケン・マイルズの友情と挑戦のドラマが展開するのだけれど、実はそれだけじゃないのだ。

映画のタイトルは「フォードVSフェラーリ」なのに、むしろ敵は身内にいるから。大企業の倫理からはみだした者のマイルズを排除しようとする重役と、マイルズとの友情の板挟みになるシェルビーの苦悩は、まるで池井戸潤原作の企業ごラマを観ているみたいだ。

徹底的に空気が読めず対人関係は最悪で、経営していた自動車修理工場を差し押さえられてしまうマイルズ。過去の名声を巧みに利用して自動車販売業を成功させているシェルビーのキャラクター分けも面白かったです。

特にクリスチャン・ベールの大熱演はすごいですから。この人って役作りの為に、激やせしたりして、実際に歯を抜いてしまったりと、とんでもないことを平然とやる役者さん。今回も本当にキレているんじゃないかと、何度も思ってしまった。

マイルズの息子役のピーターを「クワイエット・プレイス」の、ノア。ジューブが演じており、そのピーター本人も制作に協力しているので、その分リアル感がハンパないですから。

際限といえば60年代の再現度も最高でした。登場する車の数々は、ほとんどレプリカだけども、中にはとんでもない価格になるアンティークカーの本物も混じっているとか。レース場も当時のもの、そのままになっているようで、ファッションやヘアスタイルにもこだわっているのも嬉しい。こういうところにお金をかけるって、さすがにハリウッドらしいですね。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・11  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ジョジョ・ラビット★★★★・5

2020年02月06日 | アクション映画ーサ行

「マイティ・ソー バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティ監督が第2次世界大戦時のドイツに生きる人びとの姿を、ユーモアを交えて描き、第44回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞した人間ドラマ。主人公のジョジョ役をローマン・グリフィン・デイビス、母親役をスカーレット・ヨハンソン、教官のクレツェンドルフ大尉役をサム・ロックウェルがそれぞれ演じ、俳優でもあるワイティティ監督が、ジョジョの空想の友だちであるアドルフ・ヒトラーに扮した。

あらすじ:第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、空想上の友だちであるアドルフの助けを借りながら、青少年集団「ヒトラーユーゲント」で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかいの対象となってしまう。母親とふたりで暮らすジョジョは、ある日家の片隅に隠された小さな部屋に誰かがいることに気づいてしまう。それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女だった。

<感想>ヒトラーユーゲントに熱狂する軍国少年の物語なのに、ストーリー運びが妙に能天気であります。意図が丸見えの漫画っぽいタッチが少々惜しい気がしましたね。ところが、戦争の影が近づくと、次第に恐ろしさが増してきて、気が付いて見ると、恐怖が込み上げてきた。

結局は、ジョジョ少年が、空想上の友だちであるアドルフと仲良く友達となって、戦争の中の暮らしを明るくユーモアに生きているのだ。どちらかと言うと、「チャップリンの独裁者」などを彷彿とさせるようなコミカルな作品でもあります。

監督のタイカ・ワイティティは、マオリ系ユダヤ人であり、その彼自身が幼少のころ受けた偏見の経験と憎しみからくる葛藤を、主人公2人の関係性で体現している。さらには、ジョジョの妄想の中のヒトラーとして出演している。

その矛盾した存在は、ジョジョにアドバイスを送り続けるのだが、それが滑稽でもあり可笑しいのだ。現実の中の不条理が浮き彫りになっていくのだった。

母親には、スカーレット・ヨハンソンが、それに教官のクレツェンドルフ大尉役をサム・ロックウェルが演じて、ジョジョ少年を助ける役目。

後半では、少年が戦地とかした街中で、立ち尽くすシーン。冒頭でのヒトラーユーゲントの合宿へと街中を駆け抜けるジョジョ少年との対比。

美しい日々と戦場のコントラスが見事だ。蝶々を追っていくと、広場で吊るされている母親の死体を見つけ、泣き出す少年。いつも靴紐を結べなくて母親に結んでもらっていた。母親の遺体に抱き着き、靴の紐を結んであげる息子が最高。父親のことは描かれていないので、家に匿われているユダヤ人の少女エルサと、仲良く暮らさなければならないのだ。

しかも、母親が匿っていたユダヤ人の少女エルサを、空想上のヒトラーは彼女を排斥しようと躍起ですが、ジョジョは聡明なエルサに次第に惹かれていきます。そこへ、ゲシュタポの家宅捜索があり、黒服の男たちが現れて、エルサをユダヤ人とみなして、連れて行こうとする。だが、エルサは利口な少女であり、ジョジョの亡くなった姉に成りすまして、上手く立ち回るのでした。

少年ジョジョとユダヤ人の娘エルサの二つの顔が、呼吸をするようにもつれ合いながらも、ドアを開けて勇気を出すラストへと。

音楽が、ビートルズから始まり、デエビット・ボーイで終わる選曲も良かった。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・10  アクション・アドベンチャーランキング

 

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男はつらいよ お帰り 寅さん★★★★

2020年02月05日 | アクション映画ーア行

山田洋次監督による国民的人情喜劇「男はつらいよ」シリーズの50周年記念作品。1969年に第1作が劇場公開されてから50周年を迎え、97年の「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」以来、22年ぶりに製作された。倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆らに加え、シリーズの看板俳優であり、96年に亡くなった渥美清も出演。さらに、歴代マドンナからは後藤久美子、浅丘ルリ子と「男はつらいよ」でおなじみのキャストが顔をそろえる。

あらすじ:柴又の帝釈天の参道にかつてあった団子屋「くるまや」は、現在はカフェに生まれ変わっていた。その裏手にある住居では車寅次郎の甥である満男の妻の7回忌の法事で集まった人たちが昔話に花を咲かせていた。サラリーマンから小説家に転進した満男の最新作のサイン会の行列の中に、満男の初恋の人で結婚の約束までしたイズミの姿があった。イズミに再会した満男は「会わせたい人がいる」とイズミを小さなジャズ喫茶に連れて行く。その店はかつて寅次郎の恋人だったリリーが経営する喫茶店だった。

<感想>渥美清主演の伝説的人情喜劇シリーズ『男はつらいよ』の映画シリーズ開始50周年記念作にして、第49作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』(1997年)から約22年ぶりとなる第50作です。シリーズの生みの親である山田洋次が自身の監督作通算88作目となる本作でもメガホンを執り、新規に撮影された部分と4Kリマスターされた過去の厳選されたシーンを融合、寅さんの甥の満男と初恋の人イズミの再会がこれまでの登場人物の“今”と共に綴られていきます。吉岡秀隆、倍賞千恵子、前田吟らオリジナルのレギュラー陣に加えて23年ぶりの女優復帰となる後藤久美子、往年のマドンナ役の浅丘ルリ子らが出演、主題歌をサザンオールスターズのリーダー桑田佳祐が歌っています。

物語は、今は小説家として働いている満男の物語で進行していきます。結婚して妻が6年前に亡くなり、中学3年生になる一人娘のユリ(桜田ひより)と暮らしています。出版社に向かった満男は、担当編集者の高野節子(池脇千鶴)から著書のサイン会開催を提案されますが、恥ずかしいからという理由で断りました。

後日、満男の亡き妻の七回忌が柴又の実家で営まれ、満男の母で寅さんの妹のさくら(倍賞千恵子)、満男の父・博(前田吟)、ユリ、妻の父・窪田(小林稔侍)らが集い、先代からその座を受け継いだ御前様(笹野高史)を迎え入れて法要が始まりました。

その後に、やっぱりサイン会に行くことにした満男は、何だか寅さんに似ているような感じがしました。優柔不断で、直ぐに決断できないところなんてそっくりです。

そのサイン会で、あの初恋の人泉と再会することになるからです。泉は今やヨーロッパで結婚してイズミ・ブルーナと名乗り、国連難民高等弁務官事務所の職員として働いているのです。丁度日本に来ており、満男のサイン会で巡り合うわけなんですね。

久しぶりに再会を果たした満男は、イズミを寅さんのかつての想い人だったリリー(浅丘ルリ子)の経営する神保町のジャズ喫茶に連れて行きました。イズミには既に二人の子がおり、満男も娘がいることまでは話しましたが、妻に先立たれたということまでは話せませんでした。リリーと再会を喜び合ったイズミは、どうして寅さんと結婚しなかったのかとリリーに問いかけてみました。リリーはかつて、さくらを通じて間接的にプロポーズを受けたことを明かしましたが、それを聞いた満男はいつも肝心な時に自分から逃げ出す寅さんの悪い癖を思い出しました。

満男はイズミを両親の住む柴又の実家の2階に泊まることをすすめると、両親のさくらと博は喜んで迎え入れ、次の日には、満男が神奈川の介護施設で暮らす泉の父・一男(橋爪功)に会いに行くという彼女を車で送ることになります。

満男の家では高野がユリに英語を教えつつ帰りを待っており、編集長から依頼されている書き下ろし小説の話をしてきました。高野さんも、本当は満男が好きなようですね。帰った後で、寅さんは自らの恋愛をはぐらかす満男に「思っているだけで言葉で言わないと何もしないと同じだ」という言葉を思い出すのでした。

満男の娘ユリもまた、お隣の朱美の息子・浩介(中澤準)に好意を持っているようです。仏壇のメロン事件で、さくらが、昔、叔父さん夫婦やみんなでメロンを切って食べていると、そこへ寅さんが帰って来て自分のメロンが無いことで、喧嘩になった思い出を振り返るのです。

しかし、満男は明日にもヨーロッパに戻る泉と離れる寂しさを、寅さんに聞いて欲しくてたまりませんでした。おじさんが生きていたらなぁと。いつも優柔不断で物事をハッキリと決められない性格の満男。

別れ際に満男は、泉の負担になると思って妻の死を明かさなかったことを打ち明け、泉は「満男さんのそういう所が好き」とキスをしてきました。思いがけない泉の心を知り、満男は内心嬉しくてたまりません。

帰宅した満男は、娘のユリから「この3日間、パパは遠い所に行ってた気がしたから」と言われた。満男は編集員の高野さんに依頼されていた、書き下ろし小説を書くと連絡し、タイトルを「お帰り 寅さん」と決めたのです。小説の中では、寅さんはものすごく美人な奥さんと結婚をして幸せそのものでした。満男は寅さんから「困った事があったら風に向かって俺の名前を呼べ。どこからでも飛んで来るから」と言われたことを思い出して、懐かしくおじさんの思い出に浸るのでした。

満男くんの回想シーンでは、たくさんの亡くなった人たちが出て来て、とても懐かしくもあり、涙が出て来るシーンもありました。満男くんには、寅さんが一番の尊敬する人であり、相談ごとをする人でもあったようですね。寅さんの大ファンであり、また喜劇人としての渥美清さんの演技と、存在感には改めて懐かしく感じ入りました。まだ寅さんが生きていたらと、そう思いつつ、とてもいい作品に仕上がってました。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・9  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ヒックとドラゴン 聖地への冒険★★★・8

2020年02月04日 | アクション映画ーハ行

クレシッダ・コーウェルの同名児童文学を原作に、バイキングの少年とドラゴンの友情と成長を描いたドリームワークス製アニメ「ヒックとドラゴン」シリーズの劇場版第3作。前2作に続き、「リロ&スティッチ」のディーン・デュボアが監督・脚本を手がけた。

あらすじ:かつてドラゴンは人間の敵だったが、弱虫なバイキングの少年ヒックと傷ついたドラゴンのトゥースの活躍によって両者は共存する道を選び、バーク島で平和に暮らしていた。ところが、急激な人口&ドラゴン増加により、バーク島は定員オーバーに達してしまう。亡き父の跡を継いで若きリーダーとなったヒックは、皆と島を出て新天地を探し求めることを決意。しかし旅の途中、一行は最凶のドラゴンハンターに命を狙われ、トゥースの前には謎の白いドラゴン“ライト・フューリー”が姿を現す。やがて彼らがたどり着いたのは、人間が住むことのできないドラゴンだけの“隠された王国”だった。

<感想>前作から1年後では、亡き父親の後を継いで、バイキングのリーダーとなった。今作では相棒のドラゴン、トゥースと人間のヒックの成長物語にもなっている。ドラゴンのトゥースは、愛するドラゴンのライト・フューリーと出会い、不器用な愛の表明を経て、トゥースもまた大人になっていくのだ。

もちろん、人間のヒックも恋人アスティが出来て、結婚を考えるようになる。しかし、現在住んでいるバーク島は、人間と同居するドラゴンの数が増えて定員オーバーになってしまう。そこへドラゴンハンターが船で現れ、窮地に追いやられる。

ドラゴンと一緒に住む新天地を求めて旅に出るのだが、直ぐには見つかるはずもなく、ドラゴンハンターに仲間を捕らえられ、助けにいかなくては。

そのドラゴンハンターは、ドラゴンを食料にするというのだ。早く助けにいかないと殺されてしまう。ところが、ヒックの相棒のトゥースが捕まってしまう。

トゥースは、ナイトフューリーの最後の1匹と思われていた。それをドラゴンハンターのグリメルが、トゥースを捕まえるべく、メスの真っ白い“ライト・フューリー”を囮に罠を仕掛けるのだった。

そのドラゴンハンターには、巨大なモンスターのドラゴン、デス・グリッパーという凶暴な殺戮ドラゴンがいる。前足がカマキリで尻尾はサソリ。下あごには大きく反り返った太い牙があり、口からは毒液を撒き散らす。このドラゴンの暴れっぷりとトゥースたちとの、空中バトルをたっぷり味わうのは、スクリーンで。

それと、ドラゴンたちが暮らす新天地は、とても美しいもので、ドラゴンだけが住んでいるところです。ヒックはそれを見て、トゥースも家族と暮らすようにと考えて、人間だけで暮らせる島を見つけるのでした。

2010年の「ヒックとドラゴン」、2014年の「ヒックとドラゴン2」に続く3部作の完結編。10年かけて観てきた3つの物語の終わりを見ることになるのだから。

ファミリー向けのアニメーションとして評価の高いシリーズだが、侮るなかれ、最新作で描かれるのは、主人公たちの成長と生き方の選択。責任や絆をテーマとした物語は、目の肥えた映画ファンにもきっと満足できるはず。

もちろん、ドラゴンにまたがっての飛翔シーンや、爽快なアクションも有りの誰もが楽しめるアドベンチャーになっている。

 

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アイリッシュマン★★★・5

2020年02月02日 | アクション映画ーア行

「タクシードライバー」「レイジング・ブル」など数々の名作を生み出してきた巨匠マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロが、「カジノ」以来22年ぶり9度目のタッグを組み、第2次世界大戦後のアメリカ裏社会を生きた無法者たちの人生を、ひとりの殺し屋の目を通して描いた力作。脚本は「シンドラーのリスト」「ギャング・オブ・ニューヨーク」のスティーブン・ザイリアン。Netflixで2019年11月27日から配信。日本では第32回東京国際映画祭のクロージング作品としても上映。

あらすじ:伝説的マフィアのラッセル・バッファリーノに仕えた実在の殺し屋で、1975年に失踪した全米トラック運転組合委員長ジミー・ホッファをはじめ、多くの殺人事件に関与したとされるフランク・“アイリッシュマン”・シーランをデ・ニーロが演じるほか、ジミー・ホッファ役のアル・パチーノ、ラッセル・バッファリーノ役のジョー・ペシと、ハリウッドのレジェンド級俳優が豪華共演する。

<感想>巨匠マーティン・スコセッシが新境地を拓いたマフィアものの秀作である。主人公は“アイリッシュマン”のフランクを演じているロバート・デ・ニーロが、老人ホームでの回想劇から始まる。本当だったら、警察に捕まって死刑宣告ならび、永久に刑務所暮らしだろうに、今まで何人を殺して来ただろうか。数え切れないくらい、気に入らなければ、特にイタリアンマフィアであるはハーベイ・カイテルが影のボスであり、その子分がラッセルというジョー・ペシが演じている。

とにかく、昔の話なのでみんなCG加工で若いです。精肉(牛肉の塊)を運ぶトラックの運転手として働いているフランクが、肉塊を横流しながら生計を立てていた。それが、ある時、トラックに積んである肉の塊が盗まれるという事件が発生する。会社から訴えられるフランクは、有能な弁護士ビル(レイ・ロマノ)を雇い、彼の手腕により無罪になります。

弁護士とレストランで祝杯をあげようと入った店で、イタリアンマフィアのボス、ラッセル・ファブリーノ(ジョー・ペシ)を紹介されます。ラッセルとは、前に彼の乗っていた車のエンジン・トラブルで、フランクが巧く修理をしてやるわけ。まさか、レストランでその男、ラッセルに気に入られとはね。フランクはラッセルの組織との関係が密になります。

殺しの場面があるかと思うと、教会で赤ん坊の洗礼の場面もある。暗殺の次には、教会での娘の結婚式があるのだ。実話であり、マフィアの殺し屋の人生を描いているのだ。世界一豊かな国として繁栄を誇った戦後のアメリカには、こんな日常的に暴力、殺人が行われていたのかと驚く。

クリーニング店に出資しているウィスパーズからライバル店を潰してくれと頼まれ、(殺し屋)実行します。後日、フランクは組織から呼ばれ、そのライバル店は組織と仲の良いユダヤ系マフィアが、投資をしていることを知らされて、フランクはケジメのためウィスパーズを殺めます。まるで殺し屋稼業ですよね。

それからフランクの元に組織の汚れ仕事が増えていくわけで、淡々と仕事をこなす彼は、ラッセルから全米トラック運転手組合のボスであるジミー・ホッファ(アル・パチーノ)を紹介されるのです。そして、フランクはジミーの依頼をこなし、認められ、ジミーの右腕として働くこととなります。

ジミー役のアル・パチーノは、始終ドスの利いた声を張り上げ貫禄充分の演技です。フランクのデ・ニーロは、よきパパであり、と同時に殺し屋。この男の中では、暴力と日常生活が同居している。それはアメリカ社会の裏表のあらわれになっているようだ。マフィアの一員となったフランクは、大物ボスの指示で次々と殺人を繰り返す。いきなり拳銃で殺すのだ。その拳銃は川に捨てる。川底に無数の拳銃が沈んでいた。

その後、イタリアンマフィアの念願であるアイルランド系の大統領が、誕生するのですが、しかし、それはマフィアとの縁のある人物ではなく、ジョン・F・ケネディでした。それで自動的に、弟ロバート・ケネディが司法長官に任命され、FBIを使っての捜査や盗聴を行い、ジミーを攻撃し始めるのです。

ジミー(アル・パチーノ)は、陪審員の買収などあの手この手を使って捜査をかわすのですが、その時、ケネディ大統領がダラスで狙撃されるのです。そうそう、こんな時代でしたね。

ケネディ大統領の死後、ジミーは組合年金の不正運用で詐欺罪となり、逮捕されるのです。ジミーが刑務所に入っている間、部下のフィッツ(ゲイリー・バサラバ)に年金の運用を任せますが、裏切られてしまいます。

そこでジミーはユダヤ人のドーフマンに命じて、フィッツのマフィアへの融資を止めます。怒ったラッセルは、フランクにドーフマンへの威嚇射撃を命じます。またもや、殺し屋フランクの出番ですね。なんか、ラッセルのいいように扱われている気がするのですがね。

また、別の組織のボスのトニー・プロ(スティーブン・グレアム)が恐喝により投獄され、トニーは、ジミーに年金を取り返してほしいと頼みますが、ジミーは断り、喧嘩になってしまう。

それから数年経ち、ニクソン大統領の特赦によりジミーは刑務所から出所。フィッツは全米トラック運転手組合のボスとなり、トニーと親しくしていました。ジミーは、再び全米トラック運転手組合のボスとなるために、トニーと会いますが、再び喧嘩をしてしまいます。ジミーは自分勝手であり、フランクにも融通を利かすようにと耳打ちして、絶対に返り咲きたいジミーは、組合がマフィアと関係を持っていることを公表したりして、マフィアへの融資を止めたりするのです。

そのことで怒ったラッセルは、フランクにジミーに忠告することを命じます。その時、ラッセルは、フランクに世界に3人しか持っていない指輪を渡すのです。組織と友人であるジミーとの板挟みになったフランクは、ジミーに渋々忠告します。しかし、ジミーはこの組合は俺のものだと言って聞き入れません。

結局は、ラッセルの命令でジミーを殺すようにと言われる。迷いながらも、自分は“アイリッシュマン”だと自覚して、ジミーを殺害するのですね。その後、フランクとラッセルは共に逮捕され、時は経ち、刑務所生活の中でラッセルもフランクも老人になってました。

人間の最後ということを痛感せざるを得ないですね。老人ホームで、牧師に懺悔をして自分の半生を悔やみ、祈るのです。若い時は、妻や娘たちと仲良く食事を囲んでいる風景を目にしましたが、孤独となった老人のフランクを誰も訪ねる人はいません。

ロバート・デ・ニーロ演じる、ホッファの右腕を務めていたフランク・シーランが、ライターのチャールズ・ブラントに自分の過去を語るシーンから始まります。それによって書かれたノンフィクション『I Heard You Paint House』(1999)が本作の原作となっています。

 

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マザーレス・ブルックリン★★★

2020年01月29日 | アクション映画ーマ行

エドワード・ノートンが「僕たちのアナ・バナナ」以来となる約19年ぶりの監督業に挑んだ作品で、1950年代のニューヨークを舞台に私立探偵が殺人事件の真相を追うアメリカンノワール。ノートンが監督のほか脚本、製作、主演も務めた。共演にはブルース・ウィリス、ググ・バサ=ロー、アレック・ボールドウィン、ウィレム・デフォーらが顔をそろえる。

あらすじ:障害を抱えながらも驚異的な記憶力を持つ私立探偵のライオネル・エスログの人生の恩人であり、唯一の友人でもあるボスのフランク・ミナが殺害された。事件の真相を探るべく、エスログがハーレムのジャズクラブ、ブルックリンのスラム街と大都会の闇に迫っていく。わずかな手掛かり、天性の勘、そして行動力を頼りに事件を追うエスログがたどり着いたのは、腐敗した街でもっとも危険と称される黒幕の男だった。

<感想>あのエドワード・ノートン、20年ぶり監督&初脚本で1人4役に挑戦した、新時代のアメリカン・ノワールの誕生です。主人公が脳の障害で藪からぼうに寄声を発するのだ。

主人公は、チック症を抱えながらも驚異の記憶力を持つ私立探偵であり、キャラクター設定がとてもユニーク。チック症の症状は自分で抑えることができないので、緊張感のある場面で思わず声が出てしまったりと、ハラハラドキドキしましたね。

それがちょっと笑えたり、逆に緊張感が高まったり、彼自身の人間性が見えたり、探偵ものに留まらない人間ドラマとしての厚みをもたらしています。観ていると幾つものノワール傑作が脳裏を過ぎるが、ここではとても多いので書き切れない。だから、セリフが多すぎる気もするが、フィルム・ノワールはもともと早口多弁なのであろうと思う。

ライオネルは事件の真相を追うことに。やがてたどり着いたのは、大都市開発にまつわる腐敗。そして、この街でもっとも危険と称される黒幕の存在だった。

だからこそ、謎を解明するおもしろさはもちろん、それを政治的な駆け引きにどう使うのかも見どころの一つ。人の弱点、プロジェクトの弱点、それをどう突いていくのか、主人公による頭脳戦を楽しんでください。

50年代のNY、探偵が腐敗した都市の闇に巻き込まれた美女を救う普遍的なノワール、と思いきや主人公は、トゥレット症候群であり、思ったことを直ぐに口に出してしまうが、驚異的な記憶力を持つという設定だからこそである。これが全体的にダークなトーンを、ギリギリのユーモアとして乱していて、それが本作の魅力といえよう。演じているノートンが、監督も兼任しているので、その絶妙なバランスを表裏でコントロールしており、彼自身の祖父が実際に関わっていた都市計画を、基にした物語でもあり、思い入れが満載の理想的な自作自演の映画でもある。

女性キャラクターがキーパーソンになっていて、さりげない流れでラブストーリーも入ってくるので、女性でも楽しめると思いますよ。

さらには、ジャズの映画音楽が良すぎて映画を喰ってしまいそうだが、強靭なストーリーと、匂い立つような風景がとてもマッチしており、映画を彩るモダン・ジャズも、主人公の脳内と融合していて、魅力的でした。

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ラストレター★★★・5

2020年01月26日 | アクション映画ーラ行

「Love Letter」「スワロウテイル」の岩井俊二監督が、自身の出身地・宮城を舞台に、手紙の行き違いから始まった2つの世代の男女の恋愛模様と、それぞれの心の再生と成長を描いたラブストーリー。主人公・裕里を松たか子、未咲の娘・鮎美と高校生時代の未咲を広瀬すず、鏡史郎を福山雅治、高校生時代の鏡史郎を神木隆之介がそれぞれ演じる。

あらすじ:姉・未咲の葬儀に参列した裕里は、未咲の娘・鮎美から、未咲宛ての同窓会の案内状と未咲が鮎美に遺した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるため同窓会へ行く裕里だったが、学校の人気者だった姉と勘違いされてしまう。そこで初恋の相手・鏡史郎と再会した彼女は、未咲のふりをしたまま彼と文通することに。やがて、その手紙が鮎美のもとへ届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎と未咲、そして裕里の学生時代の淡い初恋の思い出をたどりはじめる。

<感想>この作品は、想いをしたためてから相手に言葉が届くまでタイムラグがある“手紙”をモチーフに物語を紡いだ作品といえる。私自身は、日常的に手紙を書くということはありませんね。むしろスマホでメールを活用しているわけです。でも、昔、学生時代に坂のぼると、やはり手紙か、ハガキで文通というか、相手と通じ合うことをしていたわけで、懐かしいかぎりです。

携帯電話やネットの発達で、男女間の機微、ひいては出逢いや再会を物語としては、描きづらくなった時代に、発想の転換を示した作品ともいえるのではないかと思います。

この作品の中では、勘違いから始まった文通が、初恋の記憶を甦らせる、そんな妹・裕里の物語が、初恋の相手の、姉の未咲の文通の男、鏡史郎との再会を描いている。現在は結婚をして2児の母親になっている裕里にとって、胸がときめく青春時代の、初恋の相手と再会できるというチャンスだったわけで。

この手紙は、自分が初めて恋をした男性、神木隆之介が演じた鏡史郎が、姉の未咲に恋をしてしまうのですね。姉の未咲宛てに書いた恋文を、妹の裕里が自分勝手に、姉には渡さないで自分で読み、返事を書いていたわけで、本当だったらとても意地の悪い妹でもあり、姉がその手紙を受け取っていれば、もしかして返事も書かずに終わっていたかもしれませんね。

姉の未咲は、大学卒業後、夫の阿藤(豊川悦司)と結婚をして娘を生み、夫の暴力やDVで悩み、夫婦仲も悪くなり、離婚をしてから自殺未遂を何度も続けて、最後には自殺をしてしまったというのが本当のことで、しかし、世間体のこともあり、両親は病気で亡くなったことにしていた。

葬儀の後に、姉の高校時代の同窓会のハガキが届き、それを見て、何を想ったのか、妹の裕里が姉の代わりに出席をしたのだった。それに、同級生たちは、姉にそっくりの妹を姉の未咲だと勘違いをして、そのまま、裕里も姉に成りすまして近況を報告するのでした。

その席で、裕里の初恋の人、鏡史郎(福山雅治)も来ており声をかけて来るのだ。初恋の相手であり、姉の代理での文通の相手でもある彼に会い、心がときめく裕里だったが、やはり、鏡史郎は自分の手紙が裕里が書いたものだと見抜いていたようだった。姉が亡くなったことを知らせると、驚く鏡史郎。

そして、姉が誰と結婚をしたのか、結婚の時の住所は何処なのかとか、ねほりはほり聞いて来るわけで、その後は、姉の住んでいたアパートへ行くと言うのだ。

その昔の姉が住んでいたアパートを、訪ねて行く鏡史郎がそこで出会ったのは、夫の阿藤(豊川悦司)であり、同棲をしている女・中山美穂が、夫は酒場で飲んでいると言う。その酒場を訪ねると、未咲の人生を滅茶苦茶にしたと思われる阿藤(豊川悦司)という男に会う。だらしなくて、酒飲みで、妻の未咲を殴ったりしたのだろう、それでも娘と3人で生計を立てて夫婦生活をしていたと思うと、やりきれなさが込み上げてきたと思う。

だが、阿藤は鏡史郎のことを知っており、小説家だということ、その1番目に書いた小説が「未咲」というタイトルで、初恋の未咲をモデルにした小説であり、幾つかの賞も取ったようだ。その小説のことをボロクソに言われ、怒る鏡史郎だが、それでも酔っ払い相手の阿藤を殴る気にはならなかったようだ。

彼にしてみれば、初恋の女,未咲と再会して、また小説が書ければいいと想っていたようだった。その後、結婚もしていないで、未咲のことを未だに追い続けているような鏡史郎。20数年もの間、彼女のことを想い、小説が書けないでいるのだ。

鏡史郎が最後に書いた手紙が、実家宛てに届き、その手紙をかってに開けて読み、その返事を母親に代わって書く娘の鮎美がいた。何てことだ、またもや本人の未咲は天国へ召され、代わりに書いたのがその娘だったとは。

それに、同窓会で再会した妹の裕里もまた、鏡史郎に手紙の催促をして、書くようにと懇願するのだ。彼からの手紙を待ち続ける裕里、その手紙のことで、スマホのメールには、鏡史郎からの確認のメールが。それを見た夫が、怒り心頭で、スマホを風呂場の裕里が入っていたお湯の中へと投げ入れるとは。

裕里の夫は、漫画家の庵野秀明さんで、おっとりとしてそんな短気な性格にはみえないのだ。まぁ、怒っているにはそうだが、妻が浮気をしているとか?・・・まさかそんな在り得ないことで、よくよく考えてみれば何事もない状態なのだ。

姉の未咲を演じた広瀬すずが、自分の娘の鮎美との二役を演じており、広瀬すずの演技の幅が広がったことと、妹の裕里の松たか子の巧いしたたかな演技に、鏡史郎の高校生の神木隆之介と、大人の福山雅治のお二人さんもそれぞれに輝いてましたね。

岩井俊二監督の故郷である白石市に仙台市と、地元である私にとってはとても嬉しいことであり、舞台となる風景や、地名など、美しい杜の都がスクリーンに映し出されており、本当に喜んでおります。

残念ながら「Love Letter」を鑑賞してないので、これからでもDVDで鑑賞したいとおもってます。

 

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カイジ ファイナルゲーム★★★

2020年01月21日 | アクション映画ーカ行

福本伸行の人気コミックを藤原竜也主演で実写映画化した「カイジ」シリーズの3作目。前作「カイジ2 人生奪回ゲーム」から9年ぶりの新作となり、原作者の福本が考案したオリジナルストーリーで、「バベルの塔」「最後の審判」「ドリームジャンプ」「ゴールドジャンケン」という4つの新しいゲームを描きながら、シリーズのフィナーレを飾る。福士蒼汰、関水渚、新田真剣佑、吉田鋼太郎らがシリーズ初参戦し、過去作からも天海祐希、松尾スズキ、生瀬勝久らが再登場。監督は過去2作と同じ佐藤東弥。

あらすじ:2020年・東京オリンピックの終了を機に、国の景気は急激に失速。金のない弱者は簡単に踏み潰される世の中になっていった。派遣会社からバカにされ、少ない給料で自堕落な生活を送るカイジは、ある日、帝愛グループ企業の社長に出世した大槻と再会。大槻から、金を持て余した老人が主催する「バベルの塔」という、一獲千金のチャンスを含んだイベントの存在を知らされ…。

<感想>あの藤原竜也の「カイジ」が9年ぶりに帰って来た。堂々と「ファイナルゲーム」と冠する今作は、原作者の福本伸行が脚本から携わり、オリジナルギャンブルを考案し、もちろんカメオ出演もする。

舞台は2020年、オリンピック開催後に景気が失速し田時代という皮肉の効いた設定に加え、全財産を金に換えて重さを競う「人間秤」や、10人中に9人が命を落とす「ドリームジャンプ」などなど、再び容赦のない常識と倫理観をぶっ壊してくれるのだ。

このシリーズがここまで愛されている理由は、荒唐無稽な設定自体ではなくて、その舞台で繰り広げられる芝居合戦だろう。

今作では、藤原竜也が15歳で蜷川幸雄に見出され、舞台「身毒丸」で主演デビューした藤原は、続いて映画では無人島で中学生が殺し合う衝撃作「バトル・ロワイアル」では主演を務め、鮮烈な印象を残した。その後も豊かな感情表現を武器に、緩急をつけた演技で存在感を発揮。死神の能力を手にした高校生役を狂気交じりに怪演した「デスノート」を始め、時効を迎えた連続殺人鬼を飄々と4演じた「22年目の告白―私が殺人犯です!」とか、包帯姿で素顔を覆った悪役ハイテンションで挑んだ「るろうに剣心」など、一癖も二癖もあるキャラクターを全身を使って体現してきた藤原竜也。

ラストでゲームに勝利して、ビールを飲む藤原の名ゼリフ「キンキンに冷えてやがる」など。そんな彼にとって「カイジ」はまさにハマリ役でした。不況のどん底に陥った未来の日本を舞台に、人生を懸けたゲームに挑んでいく主人公の最後の勇姿を、まさに見せてくれる集大成的な、ぶっ飛び演技を見せつけてくれる。

蜷川演劇で共演を重ねてきた吉田鋼太郎が、カイジが所属する派遣会社の社長・黒崎が敵として立ちはだかる。

その黒崎が相手役であり、ゲームの場所で審判をする、活き活きと悪役に扮する福士蒼汰くんが立ち塞がるのだ。福士蒼汰のビシとしたスーツ姿に目が眩み、いい男に仕上がっているのに驚く。

大きなリスクが伴うことは知り尽くしているのに、給料日に楽しく一杯やることすらできない状態のカイジは、またもや危険なゲームの誘いに乗ってしまう。 待っていたのは、人生全てを天秤にかける大掛かりなギャンブル。 倒れるまで働いても暮らしがちっとも良くならない、東京オリンピック後のすさんだ日本の様子も気になりますね。

それに、帝愛グループ企業の社長に出世した大槻は、実は会長の本当の息子で、母親が愛人であり自分の身の上を隠していたのだった。だから、会長の全財産をカイジに賭けて、信頼しているからこそ全財産を投資するのだ。

一番酷いのが、国民の預貯金を全部無しにして新札を発行するという、企画を立てた内閣財務省の高倉(福士蒼汰)が、一番の悪い奴。それに便乗したのは、閣僚たちが自分たちの全財産を高倉に渡して、新札に変えるということを、つまり金融改革を行おうとしていたのだ。今まさに、庶民の現預金は失われるのだ。その国民の現預金で、国家の赤字債権を全て帳消しにしようと企んだのが、高倉の考えたことであります。

それに映画は、前作オマージュもたっぷりと、セリフもセットも演出も、過去最高に過剰であり、最初から最後までこってりと増しましております。その中でも文字通り息も付かせぬガチンコの舌合戦もあり、騙し合いや(会社をクビになった中年の女、実は時計職人だったのをカイジが巧く使った)煽り合に(ドリームジャンプでは、10本の内1本だけが当たりのロープ。後は切れて下へと落下。その時にあのラッキーガールの指のQのサインだった。)、大立ち回りでキメキメのゼリフを叩きつける快感たるや、相変わらずクズ・クズな、クズの人生をただただ繰り返して死んでいくだけだ。なのに、カイジがみんなのヒーローになって、そう見えてくるほどかっこよかった。

ラストなので、前の出演者が出て来て、カイジの応援をする。中には、天海祐希が出て来て、ピンチを救ってくれる代わりに、必ず勝つことを前提にして、儲けの3割を貰うことにするも、カイジが欲を出して大きなカバンを選び、最後に酒場で冷えたビール飲んでいるも、結局は天海にしてやられるのだった。

その極上のエンタメを味わったあと、その裏に刻まれた人間の心理と社会への警告に触れて「こんなフィクションだろう」と、言い切れない後味のザワザワまで、そういえば、今回はバックのザワザワが少なかったが、それでもしっかりと堪能して欲しい。

2009年カイジ 人生逆転ゲーム

 

特別な才能もなく、人生の目標もない、どこにでもいる典型的な“負け組”カイジ。保証人になったために多額の借金を抱えてしまったカイジは、悪徳金融の遠藤に言われるままギャンブル・クルーズに参加する。そこで行われているのは、命を賭けた究極のゲームだった…。

2011年 カイジ2~人生奪回ゲーム~

数々の命懸けのゲームに勝利し、多額の借金を帳消しにした伊藤カイジ(藤原竜也)。まさに人生の逆転を果たしたと思いきや、1年も経たないうちに、またしても借金まみれの「負け組」に。再逆転を目指すカイジが今回挑むのは、当たれば10億円以上を稼げるモンスターマシーン、通称“沼”だった…。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・5  アクション・アドベンチャーランキング

 

 

 

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パラサイト 半地下の家族★★★★・5

2020年01月20日 | アクション映画ーハ行

「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」の監督ポン・ジュノと主演ソン・ガンホが4度目のタッグを組み、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞した作品。共演に「最後まで行く」のイ・ソンギュン、「後宮の秘密」のチョ・ヨジョン、「新感染 ファイナル・エクスプレス」のチェ・ウシク。

あらすじ:キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。

<感想>第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞した鬼才ポン・ジュノ監督の話題作。全員失業中、昼間でも薄暗く、水はけは極めて悪く、酔っぱらって立ちションする男が丸見えの半地下住宅で暮らす貧困家族。父親ギテクにはソン・ガンホが、度々事業に失敗し現在は無職。元ハンマー投げ選手だった母親は楽天的で、無計画な夫に代わり逞しい生命力で家庭を切り盛りしている。長男のギウは大学受験に落ち続けながらも、現代社会でのサバイバル術を磨いている。美大を目指す長女ジョンは、予備校に通えないため独自に入学方法を模索する。

谷底の街のさらに底という、格差社会の底なる一家の象徴的な住居。韓国ではもちろんこれと対比されるのが、坂を上がって行った上に建つ富裕層は、IT長者の邸宅なのだ。

物語のテーマをセリフやストーリーで説明するのではなく、視覚的に語ってしまう新しい映画的な表現が素晴らしい。それに、貧困家族の環境からなる体に染みついた匂いである。匂いが階級と結びついていることが、とてもユニークで鋭い洞察でもあります。目には見えない匂いを、2つの階級の間に横たわる目には見えない巨大な壁でもある。

この映画の中では、さまざまな角度から我々に、階級社会に対するメッセージを理解させてくれる。ポン・ジュノ監督は、彼ならではの、とても奇妙で、ナンセンスなドラマとして、我々に見せつけ考えさせる。

ネタバレ厳禁なので、少しだけ言うと、半地下住居の中では、トイレというか便器の場所が、半地下の中二階のような場所にあるのだ。息子と娘が、隣のWi-fi電波にただ乗りしようと、電波の届くわずかな場所を求めてトイレの便器の上で携帯をいじるのだ。この半地下住居の難点はだ、大雨が降ると水浸しになり天井まで水がくる床上浸水状態。だから湿気が多くてカビ臭いし、洗濯物だって乾かないし、常に来ている服も匂っているのだ。しかし、この家族にとっては、日常茶飯事のことで、匂いなんて感じなくなってくる。

貧乏家族の長男が、まずは坂の上に建つ富裕層家族の、長女の英語の家庭教師として入り込む。そして、その家の弟が情緒不安定な子供で、両親も手が付けられなく暴れるのだ。

だが、絵だけには感性豊かな才能が開花したようで、妹が美術の家庭教師で入り込み、それに、妹が運転手に家に送られるのだが、それを嫌い自分のパンティを後部座席に隠して置く。それを見つけた主人のパク氏は、運転手が女を車に連れ込んで、セックスをしたと勘違いをして運転手をクビにする。

代わりに、長男が父親のソン・ガンホを紹介して、次はお手伝いの中年女性の番。次々とパラサイトしてゆくわけですが、先住パラサイトというべきお手伝いのおばちゃん。彼女は地下室に夫を匿っていて、食事の世話から何でも上の富裕層家族の物を頂いて生活をしているのだった。

だから、このお手伝いさんは、手ごわいのだ。でも弱点はある。果物の桃がアレルギーを起こす体質で、その桃の汁をお手伝いのおばさんに触らせて、顔に体中に吹き出物が出て、富裕層家族の親に見つかり、何か悪い伝染病にでも感染したように見せかけて、このお手伝いも追い払うのだが、一つ問題があり、地下室の夫のことである。

地下室に寄生している夫は、パクの会社の社員でクビになった男。何処にも行く当てもなく、妻の働く家の地下室で生き抜いているのだ。この男を殺すには忍びない。

それに、キム一家がここへ入り込むのには、富裕層家族のパク家族が全員で旅行へ行く時である。まってましたとばかりに、旅行へ出かける家族を見送り、一家で上流階級の生活を満喫しているところへ、夜になって予定を変更して家族が帰って来る。

テンヤワンヤで、テーブルの下へ息を潜めて隠れるキム一家。すると、パク夫妻がソファでセックスを始めるのだが、これがパジャマを着たままで触りっこしておこなう性描写に驚いた。慌てて、この家から脱出するのだが、アイニクの大雨に遭い、坂の下の下にある自分たちの家へ帰るのだが、家は床上浸水で住める状態ではなく、急いで高台へと避難する。日本のように学校や公民館とか、高台の避難収容所はない。

この作品では、お金は上から下には流れないが、雨、水は最も重要な視覚的なテーマになっています。水は高いところから低いところへと流れる。この映画のなかでの階級制度、縦の階層があり、金持ちは丘の上の二階建てで、地下にも二階あります。

そして、坂のはるか下の方には、一番低い層の貧しい人々が住み、そのさらに半地下にソン・ガンホたちは暮らしている。水は上から流れ落ちてゆき、決してその逆にはいきません。お金は上から下へは流れないのに。

金持ち一家も、貧乏家族も、別に悪人ではない。それなのに何故、こんな惨劇が起こってしまうのか。イギリスやインドのように、生まれや身分などから差別される階級社会とは少し意味合いが違いますが、格差は将来の階級社会の温床になりうるし、階級制度が撤廃されても、目に見えない格差は残り続けるのだろう。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・4  アクション・アドベンチャーランキング

 

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この世界の(さらにいくつもの)片隅に★★★★★

2020年01月17日 | アクション映画ーカ行

片渕須直監督がこうの史代の同名漫画をアニメーション映画化して異例のロングランヒットを記録し、国内外で高い評価を得た「この世界の片隅に」に、新たなシーンを追加した長尺版。片渕監督のもと、主人公すず役ののん、今作でシーンの追加されたリン役の岩井七世らキャスト陣は変わらず続投。

あらすじ:日本が戦争のただ中にあった昭和19年、広島県・呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれ、新たな生活を始める。戦況の悪化に伴い生活も困窮していくが、すずは工夫を重ねて日々の暮らしを紡いでいく。そんなある日、迷い込んだ遊郭でリンという女性と出会ったすずは、境遇は異なるものの、呉ではじめて出会った同世代の女性であるリンと心を通わせていくが……。

<感想>2016年12月7日にレビューしてました。「この世界の片隅に」★★★★★で、戦争を知らない私たちには、このような世界があったということを忘れてはなりません。日本がどんなに現在が平和で、物資も豊富で、経済的にもそれなりに豊かであり、贅沢を言ったら切りがありませんもの。

どんなにか辛い時代だったでしょう。戦争というのは人間をダメにする、人間が人間を殺しあい、国を攻めてその国を何も無くなるような瓦礫の山にしてしまう。

それに経済も疲弊して、農作物も取れず食べる物にも困ってしまう。生き残った人間は、行き場が無く、隣の国や遠く離れた国へと離散する。そんなことを今更考えても、どうにもならないことで、これから先にのことを想えば、絶対に戦争をしてはいけないと言うことだけです。何もいいことはありませんから。

CGで描かれた呉市の街、海の上には大きな大砲を備えた航空母艦や、軍艦が見えて、それは迫力のある光景でした。

主人公の北條すずさんの物語で、この時代に嫁入りをして、その嫁ぎ先でので小言を事細かく描いていました。本編では、前の30分のシーンを追加した別バージョンもの。

私が、映画や旅行で行った広島の原爆ドーム、瓦礫のビルの鉄の棒がふにゃりと曲がって、写真では、亡くなった人達や、ただただ茫然と何もする気力がなく立っている人。原子爆弾の威力は、並大抵のことではなく、広島市以外の土地までに、その原爆の威力が残り、人間も体に放射線を浴びた人は、それに、直ぐに黒い雨が降ったのでその雨を浴びた人達も、放射能の被害を被ったわけで、おびただしいその後の悲惨さに涙が出て止まらない。

この映画は、たくさんの人に観て欲しいと思いますね。主人公のすずさんの生きざまというか、その後の生活を描いてました。運悪く、爆弾の破裂がまだだったその場所に、小さな義理のお姉さんの娘、はるみちゃんの手を引き歩いていた。

すずさんの不注意かもしれないが、その爆弾が破裂して「はるみちゃん」は亡くなり、自分は手を引いていた右腕を失ったのだ。

不自由な生活を送りながらも、嫁ぎ先で義理の姉から毎日のように娘の「はるみ」を死なせてしまったことを言われて、形見の狭い生活を強いられる。利き腕の右腕が無いすずには、台所の仕事も何もかもが出来ずにいて、ただお使いや庭掃除ぐらいしかできない。

すずと「りん」との交流や、広島に生き残った妹「すみ」を案じて過ごすなかで迎える昭和20年の9月の枕崎台風のシーンなどが追加されていた。

嫁ぎ先で、いたたまれないすずが出かけるのは、呉市の娼館の「リン」に会いにいくことだ。彼女と話しをしていると心が休まるからだ。「りん」もすずと話すと何故か自分の家族のような、懐かしい感じがするから。「りん」は幼いころに両親とはぐれて、まだ結婚をしてない広島のすずの家の天井に暮らしていた女の子だと思う。下へ降りて来ては、台所の残り物を食べて飢えをしのいでいた。そして、すずの家族に見つかり、孤児院へと入る。

その後は、広島の娼館で売春をして働く。そこへ周作が初めて女性を抱きにやって来て、彼女「りん」を好きになり、「りん」見受けをして自分のお嫁さんにしたいと、両親に相談する。だが、大反対の末に、周作は「りん」と別れることとなり、その時に「りん」に名札を書いてやるのだ。

すずが、嫁ぎ先の納屋で、桃色にりんどうの花が描いてある飯茶碗を見つける。たいそう気に入り、自分の茶碗にしようとするも、家族に聞いてみるとあまりはっきりとしたことを言わないのだ。まさか、それが秀作が嫁にしたいと思った「りん」のために買ったものとは知らなかった。だから「りん」とすずの絆は、きっとそういうことがあったからかもしれない。

すずがどんなに過酷な出来事に襲われても、自分を保てたのは、彼女との友情があったからこそだ。

すずがその桃色の茶碗を持って「りん」に会いに行くも、不在でそこにいた女性(風邪を引いて寝ていた)と話しをして、彼女の故郷は温かい南国だというので、窓の下に雪が積もっていて、そこに南国の絵を描いてやるすずの優しさが滲み出る。

3年前の「この世界の片隅に」のロングヴァージョン。詩情あふれるカットの数々に、3年前に観た記憶が蘇る。新しきもあり古くもある独特の抒情は、やはり記憶の奥底まで深くしみ込んでいて、消え去ってはいなかったのだ。

この世界の片隅に」2016年12月7日

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・3  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ラスト・クリスマス★★★

2020年01月11日 | アクション映画ーラ行

1984年の発売以降、クリスマスの定番ソングとして全世界で愛されている「ワム!」の「ラスト・クリスマス」をモチーフに、「世界一キライなあなたに」や「ゲーム・オブ・スローンズ」のエミリア・クラークと「クレイジー・リッチ!」のヘンリー・ゴールディング主演で描いたロマンチックコメディ。脚本は「いつか晴れた日」でアカデミー脚色賞を受賞し、女優として本作にも出演するエマ・トンプソン。監督は「シンプル・フェイバー」のポール・フェイグ。

あらすじ:ロンドンのクリスマスショップで働くケイト。華やかな店内で妖精エルフのコスチュームに身をまとうケイトは仕事に身が入らず、乱れがちな生活を送っていた。そんなある日、ケイトの前に不思議な青年トム現れる。トムはケイトが抱えるさまざまな問題を見抜き、彼女に答えを導き出してくれた。そんなトムにケイトは心をときめかせるが、2人の距離は一向に縮まることはなかった。やがてケイトはトムの真実を知ることとなるが……。

<感想>「ラブ・アクチュアリー」などで知られるオスカー女優エマ・トンプソンが原案・脚本・出演と3役を果たした渾身の一作は、笑って泣けてキュンとする、このシーズンにピッタリの感動作に仕上がっている。

主人公のケイトには、エミリア・クラークが演じているが、だらしない私生活や他人に気を遣えない行動で周りの人に迷惑をかけ続ける。これが主人公なのねと、以前は痩せていて本当に美人だと思っていた。でもね、目がぱっちりして美人さんなのかもしれないけど、今作ではまったくかわいくないよねと、いう印象を持ちましたね。

そんな彼女の前に現れる青年がトムだ。「クレイジーリッチ」、「シンプルフェイバー」と立て続けに出たヘンリー・ゴールディングを観ました。基本的に爽やかな青年役がよく似合うのでトムの配役としてはぴったりだと思うが、アジア系の俳優が恋愛ものの主役として堂々と名前を連ねられるようになったのは時代だなと感じた。

オーディションに行けば、伴奏なしでアカペラで歌わされるし、宿無しの、孤立無援のヒロインのアカペラ感が凄くて、これは一体何なのか?・・・と思ていたら、結末への伏線だったとはね。

冒頭での、旧ユーゴラスビアの教会で、高らかに歌っていた少女が、ラストでは、イギリス・ロンドンのシェルターで歌う。何処にいても、センターでスポットライトを浴びるべき宿命の、明るいヒロイン・ケイトをエミリア・クラークがチャーミングに演じている(バスの中でのシーンも素敵)。

ケイトの母親を演じたオスカー女優エマ・トンプソンや、ケイトが勤めるクリスマスショップのオーナー役に、ミッシェル・ヨーが扮していて、奇跡的なキャスティングも楽しい。

子供のころから、心臓が弱くて体育の授業もさぼりっぱなしで、友達から嫌味を言われたりしてきたケイト。でも、根は明るい娘だったので、いつの日か女優になりたいと希望を持っていたのだ。

ケイトがクリスマスの夜に、持病の心臓が弱って来て入院をしている時、誰か心臓移植をしてくれる人がいれば助かるはずの命。ちょうど、そこへ交通事故で運ばれて来た男の子の命が亡くなる寸前に、ケイトに心臓移植のチャンスがやって来る。ですが、せっかくもらった命なのに、ケイトはぞんざいに扱っているようだ。だから、その心臓の持ち主が、心配をして天国から舞い降りてきたという訳なのね。初めは、ケイトは自分にもモテキが訪れたとばかりに、目の前に現れた素敵な彼にぞっこんでした。でも、彼は何故か不思議な男だった。

もう、これだけでも分かるはずなのに、ケイトは最後の方で、彼が現れなくなってから気付くのですもの。鈍いよね、でも彼のメッセージが届いたはず。

そして全編、Wham!の"Last Christmas"が流れるのだが、失恋の曲なんですよね。懐かしすぎるジョージ・マイケルの曲に彩られた、ご機嫌なラブコメに仕上がっているのだ。主人公の自己中女、ケイトが謎の男性と出会い、己をかえりみて変化してゆく、という定番の展開でもあり、演じているのはエミリア・クラークであり、カリスマ性のある役柄の印象が強いので、性悪なビッチでの登場は新鮮に映ると思いますね。

人物たちの多彩な出演もクールで胸が熱くなる。音楽は「ビッチ・パーフェクト」をちらっと引用していて、ディケンズ以来の正しいクリスマス・ストーリーになっていた。どちらかと言うと、80年代テイストでありながらも、現代的なラブコメ、という印象になっていました。観終わるとすぐに見直したくなりますよ。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・2  アクション・アドベンチャーランキング

 

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