パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

コンフィデンスマンJP プリンセス編★★★★

2020年09月11日 | アクション映画ーカ行

        


長澤まさみ、東出昌大、小日向文世が共演した人気テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版第2弾。共演には、劇場版前作「ロマンス編」の竹内結子、三浦春馬、テレビドラマ版の広末涼子、江口洋介らシリーズでおなじみのキャストに加え、「町田くんの世界」の関水渚、「アクシデンタル・スパイ」のビビアン・スー、「GENERATIONS from EXILE TRIBE」「EXILE」の白濱亜嵐らが新たに参加。



あらすじ:世界有数の大富豪フウ家の当主レイモンドが他界した。10兆円とも言われる遺産をめぐりブリジット、クリストファー、アンドリューの3姉弟が火花を散らすが、執事トニーが相続人として発表したのは、誰もその存在を知らない隠し子ミシェルだった。世界中からミシェルを名乗る詐欺師たちが“伝説の島”ランカウイ島に集結する中、ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人もフウ家に入り込み、華麗かつ大胆にコンゲームを仕かけるが……。



<感想>映画を観に行く前に三浦春馬君の訃報を知り、とても切なくて泣けて泣けて、まだ若いのに惜しい俳優さんをなくしました。この映画が彼の最期の作品なのかもしれませんが、彼、春馬くん(ジェシー)の顔をじっと見つめながら、特に画面で笑っている顔が印象的で、涙が出てたまりませんでした。



本作品の中では、ダー子に頼まれて、地元の金持ちの女性たちを騙す役割をしてました。真っ赤なスーツを着こなして、ゴージャスな雰囲気を醸し出し、金持ちのぼんぼんというような役柄で、始終ご機嫌な様子を見せていましたね。



前作と同様の、相も変らずのダー子の長澤まさみ、ボクちゃんの東出昌大、リチャードの小日向文世が主役の詐欺師たちによる、ドタバタ喜劇でございます。今回もたくさんの俳優さんたちが出演しており、デビ夫人やらGacktさんとか、本当にちょいとの出演でもよく引き受けたと感心しきり。この作品への力の入れようが伺われました。



大富豪フウ家の当主レイモンドが他界したことにより、莫大な遺産をめぐり長女のブリジット、長男のクリストファー、次男のアンドリューの3姉弟が火花を散らすなかで、執事トニー(柴田恭兵が中々良かった)が相続人として発表したのは、誰もその存在を知らない隠し子ミシェルのことだった。



早速ダー子は、隠し子ミシェルにふさわしい純真な女性を探しにいくも、何と孤児のメガネっ子のブス女をそのミシェルに仕立て上げることにした。さて、そのお手並みを拝見しようではないか。



驚いたのが、そのメガネブスっ子(関水渚)が見違えるように大変身して、教養や、その他、隠し子ミシェルに訓練するわけ。これには参った。ダー子の腕もあるが、本人がその気になり、体の中からそのミシェルに相応する女性として作り上げたのである。最初のコックリと名付けた彼女よりも、最後のミシェルの関水渚の美しいレディになった大変身にはびっくりしました。



そもそも大富豪フウ家の当主レイモンドが、相続に加えた隠し子ミシェルとは、ダー子が発案者だったから、そのことを最後に知るのでなるほどと、納得。ミシェルの母親には、なんと竹内結子が現地の母親として様変わり変身術をみせて凄かったです。



そして、この隠し子騒動に加わるのが、いつもの江口洋介扮する赤星の親分に子分たち。執事トニーが金庫の中に隠している黄金の印鑑が、なんと財産の半分以上の値段だというのだから、ミシェルが全財産を相続することが決まった時に、その印鑑で捺印するというので、ダー子はミシェルにその印鑑とそっくりの贋作を作り、すり替える作戦をすることになる。



世界をまたにかけた騙し合いが展開される本作。撮影は国内に始まり、後半はマレーシアへと!。クアラルンプールで3日間、その後はランカウイ島での撮影。マレーシアを代表する繁華街、マーケット、高級リゾートホテルなど、各地で撮影が行われた。マレーシアに行ったことのある人も、行ってない人も、見ているだけで旅行気分を味わえるような映像には圧巻ですから。



また、ダー子(長澤まさみ)の衣装にも注目です。普段着や変装姿、豪華なパーティドレスと、あわせて何と29変化とは、ため息がつきますね。前回を超えるスケール感、サプライズのシークレットゲストなど、見どころ盛りだくさんという点に於いては、一切の騙しはナシですから。



しかしながらダー子たち3人が、赤星たちに拳銃で撃たれて死んでしまうシーンがあるが、これはきっと芝居で裏に何かあるのではないかと思ってしまった。案の定、全員生きていて、死んでいない。



ラストでの海岸でのミシェルに成りきった関水渚のレディ感や、ダー子が育ての親のような別れに涙がホロリ。いつもの詐欺師としてのダー子は何処へやら、金儲けのことはさておいて、ミシェルの幸せを願い、別れのシーンは良かったです。





長女のブリジット、長男のクリストファー、次男のアンドリューの3姉弟たちにも財産分しているので、本当は長男は昆虫博士を望み、長女は、売れない画家との恋を望み、次男は、ゲイなので男たちとの生活を望むということになる。


最後にオマケの映像がたくさんあるので、最後まで席を立たずにご覧ください。


 

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・55  アクション・アドベンチャーランキング


 


家族のはなし★★★・5

2020年05月11日 | アクション映画ーカ行

           

リンゴ農園を営む両親とその息子の姿を描いた鉄拳の同名パラパラ漫画を、岡田将生主演で映画化。拓也の両親役で時任三郎と財前直見、地元の同級生・明日香役で成海璃子が共演。鉄拳がアートディレクターとして参加。

あらすじ:とある挫折によって自身の進む道を失ってしまった拓也は、親元を離れて東京で暮らしている。大学に通いながらもバンド活動に熱が入る拓也は、次第にプロを目指すようになる。さまざまな挫折を経験しながら、家族の温かさを改めて感じながら成長していく拓也を岡田が演じている。

<感想>鉄拳のパラパラ漫画が脚本であり、本作でも鉄拳のパラパラ漫画がたくさん出てくるのだ。前に鑑賞したMUSEの曲をBGMに使って話題になった「振り子」も良かったが、この作品も最後には泣けてくるのだった。

両親役を時任三郎と財前直見さんが演じており、さすがの演技で圧倒されます。それに地元の同級生・明日香役で成海璃子さんが、断然に上手いので、主人公の拓也を演じている岡田くんよりも秀でいた。

こんなにも、同級生とはいえ、親身になって拓也のことを思って車で送り迎えとか、大学を退学してバンドをやっている拓也にアドバイスをするし、両親のことをもっと大事にすること、親の仕送りで東京で大学にいけて、それもバンドにはまって退学とは、観ているこちら側も怒ってしまう。

そのバンドも、自分はギターを弾いて少し歌うだけであり、殆どがリードボーカルの男がこのバンドを引っ張っているのだ。その彼がバンドを解散すると言い出し、拓也はそんなことは考えていなかったので、慌てるのだ。バカみたいな拓也の鈍感さ、それに幼馴染の明日香が、拓也のことを好きなのに、そんな彼女に甘えてしまっている彼が許せない。

実家のリンゴ農園だって、台風の被害をうけて落ちたリンゴをジュースにして販売するなど、いろいろと考えている。下宿に毎年贈ってくるリンゴを、腐らして捨てる拓也には呆れてしまった。明日香に実家の経済的な苦労を言われても反発したり、実家のリンゴ農園を継げと父親に言われるのが苦痛であり、自分は東京でいっぱしのミュージッシャンになった気でいる。

そのことが、最後に帰った実家で、母親が押し入れのお菓子を持って行ってと言われ、箱に入った菓子をそのまま袋に入れてバスに乗る。途中でバスが急ブレーキをかけた瞬間に、お菓子の入った袋が床に落ちて、箱の中に入っていた息子の活躍した新聞の切り抜き、高校時代の活躍とか、大学へ入って音楽に目覚めてバンドをやっていることも地元の新聞にのり、切り抜いてい大事にしまって置いたのだ。

母親の優しさと無口な父親、そして息子への愛情と、実家のリンゴ農園を継いでほしいとは言えずにいる母親の想いも。それに、父親にしても息子が幼いころに言った言葉「リンゴは一度落ちても終わりじゃない」と、高校時代に怪我をして陸上を止めてしまった時にも、リンゴは万病に効く特効薬だとも言っていたのに。昔にも台風の被害とかあって、乗り越えてきたことを忘れている拓也。

反抗期っていっても、大学生になって親の仕送りに甘えているのが許せない。しかし、終わりころになって、やっと拓也が両親の思いやりに気づく。それに幼馴染の明日香の心をもてあそんでいるのも、いい加減に気づけよと言いたかった。明日香は他に恋人がいると言っていたが、違うと思うよ。

卒業した高校の鈴木先生とか、バンドのボーカルの子とドラムをたたいている子が、一度は断った拓也の高校創立40周年記念に、来てくれる友情とかも良かった。

観終わった後に、親の大切さを思い出して、心がすごく温まって、うるうるしてしまった。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・40  アクション・アドベンチャーランキング

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風の電話★★★・5

2020年05月05日 | アクション映画ーカ行

「ライオンは今夜死ぬ」の諏訪敦彦監督が、震災で家族を失った少女の再生の旅を描いた人間ドラマ。今は亡き大切な人と思いを繋ぐ電話として、岩手県大槌町に実在する「風の電話」をモチーフに映画化した。主人公ハルを「少女邂逅」のモトーラ世理奈、森尾を西島秀俊が演じる。第70回ベルリン国際映画祭ジェネレーション14プラス部門に出品され、スペシャル・メンション(国際審査員特別賞)を贈られた。

あらすじ:8年前の東日本大震災で家族を失い、広島の叔母のもとで暮らす17歳の少女ハル。ある日、叔母が突然倒れ、自分の周りの人が誰もいなくなってしまう不安にかられた彼女は、震災以来一度も帰っていなかった故郷・大槌町へ向かう。豪雨被害にあった広島で年老いた母と暮らす公平や、かつての福島の景色に思いを馳せる今田ら様々な人たちとの交流を通し、ハルは次第に光を取り戻していく。道中で出会った福島の元原発作業員・森尾とともに旅を続けるハルは、「もう一度、話したい」という強い思いに導かれ、故郷にある「風の電話」にたどり着く。

<感想>十七歳の少女が広島から岩手まで旅をする物語。一人旅だが、途中で、さまざまな出会いがあるので、少女の孤独感が離れたり戻ったりしてジグザムに進んでいく。悲しみがそれを真っすぐに貫いている。少女が目指すのは、故郷の岩手県大槌町で、9歳の時にあの東日本大震災で、父母と弟が津波に奪われた。岩手県大槌町には、電話線の繋がってない“風の電話”がある。天国に繋がっているというこの電話には、毎日多くの人々が訪れている。そんな“風の電話”をモチーフにした映画。

演じているのは、モトーラ世理奈であり、いつも無表情で顔のアップはごく少なくて、後ろ姿や、長い髪がかぶさる横顔の場合が多いのだ。にもかかわらず、というよりは少女の心情を切々と訴えてくるの。

少女は大震災の後、広島県の呉の伯母に引き取られていたが、その唯一の肉親が病に倒れた。病院へ行った帰り道、土砂崩れの跡地である、工事現場へ迷い込み、ふらふらと歩くうちに涙ぐんでしまった少女は、お父さん、お母さんと叫んで泣き崩れてうずくまってしまった。瓦礫の荒れ地が9歳の時の衝撃を蘇らせたのであろう。

手持ちカメラで撮られたその長回しの場面の後、ロングショットになり路上に倒れた少女を、軽のトラックで通りかかった三浦友和が少女を助け起こすのだった。そして少女を家に連れて帰り食事を与えるのだった。彼は老母と二人暮らしで、老母が問わず語りに原爆の被災体験を話すのが印象深かった。

少女はその後、岩手県の大槌町へ一人旅に踏み出す。ヒッチハイクで拾ってくれた妊婦さんとその弟と、レストランで食事をして夜の駅前で、若い男3人に拉致されかけたところを、今度は車に乗った西島秀俊に助けられ、彼の人探しに同行する。

尋ね人は福島原発事故の時、ボランティアに来ていたクルド人なのだ。その人は難民として収容されたままだとわかる。西島が車を発進させて、助手席のハルにクルド人の少女の写真を見せる。渡されたそのクルド人の家族写真を凝視する彼の表情が、微妙に哀しく揺れる。津波で亡くなったのかと思い彼が問うも、まだ見つかってないという少女の応え。

2人は福島で被災し廃屋となった彼の家へ寄った後、彼と親しい西田敏行を訪れて食卓を囲む。放射能差別が話題となり、少女は西島が元原発の職員で、妻と娘を津波で亡くしたことを知る。土砂崩れ、原爆体験、クルド難民、廃屋、風評被害、元原発職員の被災。

広島から岩手への少女の旅に。それらが点々と連なって描かれることで、東日本大震災という主題が浮かび上がってくるのであります。原爆とクルド難民、いわば時空を異にする二つの存在が、主題の現在性をより豊かに立体化しているようにみえた。

タイトルの「風の電話」の素晴らしさではなく、重要なのは点々たる連なりの立体化であり、主演のモトーラがめったに感情を表にあらわさないが、二度、激しく泣き叫ぶシーンがある。冒頭での土砂崩れの跡地のくだりと、終盤の大槌町へ着き、基礎だけが残った自宅跡地を歩き回り、「ただいま」と帰ってきたんだよとつぶやくうちに、感情がさく裂シーンであります。地面に倒れた彼女が、前者では三浦友和が、後者では西島秀俊が抱え起こすシーンなのだ。

この映画の中ではよく食事シーンが出てくる。少女の心を食べ物で鎮めようとするわけで、他にも食べるシーンが多く出てくるのだ。彼女が満面の笑みを浮かべるのが、レストランで山本未来の大きな丸いお腹を触るときであり、女たちは抱擁する。少女の閉ざした心を、風の電話で天国の父母へ繋がって語り掛けるシーンにも、胸がキュンと締め付けられた。

 

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・38  アクション・アドベンチャーランキング

 

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コンプリシティ 優しい共犯 ★★★・3

2020年05月02日 | アクション映画ーカ行

短編「SIGNATURE」が第70回ロカルノ国際映画祭などで高い評価を受けた近浦啓監督の長編デビュー作。チェン・リャン役を「孔雀 我が家の風景」の中国人俳優ルー・ユーライ、弘役を藤竜也がそれぞれ演じる。2018年・第19回東京フィルメックスのコンペティション部門で観客賞を受賞。

あらすじ:中国人青年チェン・リャンは技能実習生として日本にやって来た。中国の家族たちの期待を背負って来日したものの、劣悪な職場環境から逃げ出してしまい、チェン・リャンは不法滞在者となってしまう。そんな彼は他人になりすまし、そば屋で働き口を見つける。そば屋の主人・弘は良好でない息子との関係もあり、心に孤独を抱えていた。口数が少なく不器用で、厳しくも温かい弘の人柄に父を重ねるチェン・リャン。彼の嘘に気づくことなく、次第に情を深めていく弘。2人はまるで親子のような関係を築いていくが、チェン・リャンに警察の手が迫っていた。

<感想>新型コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言を受け、日本中のほぼすべての映画館が営業を休止しています。自宅でのTV鑑賞をはじめ、映画やコンテンツを楽しむ需要自体は根強くあるものの、“映画館という場”は窮地に立たされてます。
コロナ禍の終息後、劇場が営業を再開したらばすぐにでも映画館へと足を運ぶのが楽しみです。

劇場再開、それは5月の下旬か、6月に入ってからなのかはわかりませんが、世界的な規模での新型コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言なので、これは自分たちの身体に関わることなので、何とも言えませんが、いつまで続くのかは政府の方たちの意思にお任せするしかありません。

物語は近浦監督の長編デビュー作であり、第70回ロカルノ国際映画祭、第42回トロント国際映画祭短編部門で上映された「SIGNATURE」に続く物語で、家族の期待を背負い、日本企業に技能実習生としてやってきた中国人青年チェン・リャンが主人公。劣悪な労働環境に絶望して研修先から失踪し、不法滞在者となったチェンは、借金返済のためにリウという他人になりすまして山形の小さなそば屋で働き始める。そこでそば職人の弘(藤竜也)と出会い、人生に一筋の光を見出していくというストーリーであります。

劣悪な職場から逃げて不法滞在者となり、東北の蕎麦屋に流れ着く。まさに現在的な題材であり、しかも日中合作で意欲的な作品と言えるでしょう。青年は蕎麦屋の住み込み店員になったものの、蕎麦については何も知らなかった。出前の配達の仕事をおどおどとこなす合間に、店主の藤竜也が蕎麦を作る姿をひたすら見つめているわけ。

中国人俳優ルー・ユーライと藤竜也。いつも不安げな青年と、鮮やかな手さばきで蕎麦を打つ寡黙な老店主。この組み合わせが絶妙であり、店主は何も青年に聞かずに受け入れてはいるが、何時、両人の意思疎通が本格化して、別の名前の偽造パスポートを持つ青年の身元がバレるのかが、サスペンスが高まってゆくのが見どころである。

 

それと、店主と自分の息子の不和、青年の淡い恋、刑事の出没など、いろんな出来事が配置されているのだ。藤竜也の捏ね上げた蕎麦を切ってゆくシーンが秀逸であり、黙々と手を動かすだけだが、トントントンと小気味のいい音が耳に聞こえてくるのだ。

蕎麦屋での日々が続く中で、青年が中国を出発するまでのシーンが点々と挿入され、彼がどんな境遇のもとで日本へ来たのかを描きだしていて、中国での猥雑な街の模様とか、厳しい祖母と優しい母親の姿が、生々しく浮き立って浮き立って見えた。食べ物を作るアクションや、祖国に残した肉親の情愛。この二つの要素が渾然なって深い感銘をもたらしていた。

本作でそば職人を演じた藤は、そば処として知られるロケ地・山形県大石田町の職人から指導を受けたといい、朝3時に起き撮影前に卒業記念の意味を込めて、職人さんやご近所50人前のそばを打ったと思い出を語った。

ルー・ユーライが演じるチェン・リャン(=リュウ)と、彼に根気強く蕎麦打ちを伝授する弘の関係が軸となる。たとえば、リュウが弘に向かって初めて「お父さん」と呼びかけたときの、藤竜也が背中だけで表現する感情。あるいは、リュウの問題を知った後、複雑な思いを秘めながら我が息子のように受け入れようとする表情とか。頑固さと包容力が共存する弘と、誠実で危うげなリュウが心を寄せ合う、儚い夢のような時間が永遠に続けばいいのに、と思わずにはいられなかった。
それと、あの有名なテレサ・テンの名曲「時の流れに身をまかせ」が、劇中で流れてくるのが印象に残りました。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・37  アクション・アドベンチャーランキング

 

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9人の翻訳家 囚われたベストセラー★★★・5

2020年04月20日 | アクション映画ーカ行

世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」をはじめとするダン・ブラウンの小説「ロバート・ラングドン」シリーズの出版秘話をもとにしたミステリー映画。シリーズ4作目「インフェルノ」出版時、違法流出防止のため各国の翻訳家たちを秘密の地下室に隔離して翻訳を行ったという前代未聞のエピソードを題材に描く。

あらすじ:フランスの人里離れた村にある洋館。全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時発売に向けて、9人の翻訳家が集められた。翻訳家たちは外部との接触を一切禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿を翻訳していく。しかしある夜、出版社社長のもとに「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。社長役に「神々と男たち」のランベール・ウィルソン、翻訳家役に「007 慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコ、「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のアレックス・ロウザー。「タイピスト!」のレジス・ロワンサルが監督・脚本を手がけた。

<感想>世界的ベストセラーミステリー三部作の完結編「デダリュス」を世界同時発売するために、9か国の翻訳者たちが集められる。彼らは情報漏洩を防ぐためという理由で、洋館の地下室に完全に閉じ込められが、冒頭の10ページが流出する。SNSも禁止されている中で、出版社社長のもとに、”500万ユーロ”をし支払わなければ、全ページが流出すると、メールが届く。

このユニークなプロットのミステリーは、なんと「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの第4作目「インフェルノ」出版の際に、さまざまな国の翻訳者たちが隔離されて作業をした、実話からアイディアを得たものだというのだ。誰が犯人で、どんな手口を使って原稿を流出させたのか。時系列を組み替えて、ドンデン返しで驚きと興奮を感じさせてくれる極上のミステリーになっていた。

出版社社長をカリスマ性たっぷりに演じたは、仏国の名優、ランベール・ウィルソン。集められた翻訳者たちには、各国の有能だが曲者ぞろいの翻訳家たちであり、起こる事件も「ベストセラー小説の流出」というのは、かなり捻りがあって面白いし、真相から逆算して考えると少々無理があるお話も、構成的なギミックや、現実から巧妙にずらされた独自の空気感によって、ある種のパラレルワールドで起こっている物語として、楽しめるように計算されている演出もお見事。

小説のヒロインと同じコスチュームでないと仕事ができない、ロシア語担当のオルガ・キュレンコ、かと思えば給料の支払いがままならないというギリシャ語の担当者。危機的な状況にあった国の経済政策への批判もチクリ。等々、会話はかなり意味深だ。そして、エドゥアルド・ノリエガなど、個性豊かな俳優たちが集結していた。各々が怪しい雰囲気を醸し出し、最後まで真犯人が分からないミステリーに仕上がっていた。

監督と脚本は「タイピスト!」で注目を集めたレジス・ロワンサル監督。実話から着想を得て、数々の傑作にインスパイアされて脚本を書いたと語っている。「めまい」「レベッカ」をはじめとするヒッチコック作品のようなサスペンス、「オーシャンズ11」の爽快感、「ユージアル・サスペクツ」のドンデン返しなど、全編に名作への想いが散りばめられている。

物語は、謎に包まれた作家、オスカル・ブラックの空前の人気ミステリー三部作「デダリュス」の第3部作の刊行をめぐるもの。「デダリゥス」を独占的に出版して、一財を成した出版社社長アングストロームは、9名による各国翻訳者チームを結成させて、24時間監視体制の中で翻訳作業を進行させるという。

しかし、何故か新作の原稿の身代金の要求がアングストロームのもとに届き、要求に応えなければ、さらなる原稿の公開を続けるという脅迫を突き付けられる。アングストロームは事態の収拾に対応しつつも、翻訳チームに疑惑の目を向けて、翻訳者チームの中でも誰が犯人なのかという疑心暗鬼が繰り広げられる。地下室の拷問部屋のようなところで、一人ずつアングストロームが拷問をしては、脅し虐めつける。一番若いアレックスに目を付けたアングストロームが、じわじわとアレックスをなぶり拷問するさまが恐ろしかった。

序盤から細かい伏線も張り巡らされているので、観る側にも犯人捜しに追い立てられることになるが、中盤でなんとなく犯人が分かる。冒頭で新作の「デダリュス」を書いた若い作者が、先生と呼ぶ老小説家に自分の名前を出さないようにと頼むのだ。その若い作者が翻訳者の中にいた彼であり、「ベストセラー小説の流出」というのも彼の仕業だから。

ですので、ことごとくにこちら側の予想が裏切られていくところが、何処までも痛快であります。「タイピスト!」で注目された監督・脚本のレジス・ロワンサルの緻密な構成と、現代的な意匠を凝らしながら、映画では難しいと思われるミスリードの繰り返しで観客を驚かせていくところも。

終わってみれば、「なんだ、そういうことだったのか」と、ちょっぴり拍子抜け感もあるとはいえ、ラストに至るまでの密室会話劇としてみれば、集められた9か国の翻訳者たちのキャラが面白かった。

 

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・36  アクション・アドベンチャーランキング

 

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仮面病棟★★★

2020年04月16日 | アクション映画ーカ行

現役医師で作家の知念実希人によるベストセラー小説を、坂口健太郎と永野芽郁の共演で映画化。ピエロの仮面をかぶる凶悪犯に占拠され、鉄格子で閉ざされた空間となった病院を舞台に、残された医師らによる決死の脱出劇が繰り広げられる。

先輩医師から頼まれて一夜限りの当直をすることになった速水だったが、その夜、ピエロの仮面をつけた凶悪犯が病院に立てこもり、速水らは病院に閉じ込められてしまう。犯人に銃で撃たれて傷を負った女子大生の瞳を治療した速水は、瞳とともに脱出を試みるが、かたくなに通報を拒む院長や、院長とともに何かを隠している様子の看護師、さらには身元不明の入院患者や隠された最新鋭の手術室など、次々と不可解な事態に直面する。映画単独初主演となる坂口が速水に扮し、ヒロインとなる瞳を永野が演じる。監督は「任侠学園」「屍人荘の殺人」の木村ひさし。

<感想>コロナウィルス感染で、映画館も閉鎖しており、開いていた映画館で観たのがこの作品。普通だったら絶対に観ない作品なのに、仕方ありませんね。まずピエロの仮面を被ったコンビニ強盗事件が発生し、通りすがりの永野芽郁が、拳銃で撃たれて病院に強盗と立て籠るわけ。一夜限りの当直の速水医師を演じた坂口健太郎くんは、それなりに外科医として永野芽郁の銃創傷を処置する手際よさに感心。しかし、その時に見た永野芽郁のお腹の横の傷跡に目がいった。もしかして腎臓移植でもしたのか?

その時に思ったのが、手術室が頑丈な鎖で縛られ、南京錠がかけられ使用不能であった。その手術室のカギを壊して中へ入ると、手術室の中はすぐにでも手術可能なくらい医療道具が準備がされていた。それに警察へ電話をしようとするとダメだと婦長や院長に止められるのだ。何か不都合なことがあると感じた。

病院は、元精神病院であり、階段は鉄格子で鍵がかけられている。患者は認知症患者ばかり、それに上の階には入院患者もいた。看護婦長のテキパキとした応対と、病院院長の高島さんのキレ具合はいつものことですから。この病院は何かあると感じさせる微妙な展開。それに永野芽郁さんは、入院患者でしたね。あのカツラと化粧で化けてたのですね。

コンビニ強盗のピエロの仮面は、もっと他になかったのか?・・・最後まで被っていたので、笑えるような仮面に笑えずじまい。いつも拳銃をぶっ放す男で、院長に拳銃を向けて現金を出せと脅かす。この病院の金庫には多額の札束が保管されていた。

物語が、強盗が立てこもる訳というのを知ってくると、認知症患者の中には、まだ中年の若い男たちがいて、薬で寝むらされている感じ。臓器移植を平気で行っている病院ということが分かると、おのずともしかして復讐劇ではと勘ぐってしまう。

看護婦長がナイフで刺されて殺されていたり、寿退社の看護師の内田理央ちゃん可愛い。でもすぐに殺されてしまい、演技の場面が少なかったのが不満。

ピエロの強盗がこの病院に立て籠った原因が、何なのか?田所病院は身元不明の患者を受け入れ、麻酔で眠らせて勝手に臓器を摘出し、他の患者に臓器移植をしていたのだ。そして、摘出された臓器は元総理の国平にも、移植手術を行っていた。

それに加担していたのが田所院長に、看護師の東野と、婦長の佐々木の3人。ピエロの目的とは、臓器移植を受けた患者のリストファイルを捜すことでした。ピエロの目的に気付いた速水は一芝居うって、ピエロに協力しリストを見つけさせることに成功。ピエロ自身が警察を呼び、それを公表しようと計画する。

だが、院長が患者のリストファイルをピエロに渡すものかと反撃をするのだが、速水がピエロの強盗は先輩の小堺なのではと勘違いして、火事騒ぎをおこしてスプリンクラーを作動させ、煙が充満する中で、速水はスタンガンで意識を失ってしまう。救急車で搬送の中で速水は意識を取り戻し、あの少女・永野芽郁がいないことに気づく。実は臓器移植で入院していた女の子で、上の階の病室へ戻っていたわけ。

永野芽郁と姉は交通事故に遭い、姉は亡くなる前に臓器を、国平大臣に移植されてしまったのだ。自分の腎臓も一つ移植ですでに取られていたことに気づき、小堺医師を殺そうと計画していた。この物語の主人公は、川崎と名乗る永野芽郁ちゃんであり、憎き小堺医師を殺すことだった。速水が小堺の手当てをしている間に、外へ逃げてしまう女。

次は姉の腎臓移植をして助かった国平大臣を殺すこと。演説中の大臣を狙う彼女。しかし、速水がTVに出て説得し、彼女の国平大臣殺害を止めるのだった。

全編を観て思うには、捻りのあるミステリー殺人事件であり、謎ときも楽しく見れて良かったのですが、突っ込みどっころもあり、川崎演じた永野芽郁がすべての犯人だったとはね、捕まらないしで警察も丸め込まれたって感じですか。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・34  アクション・アドベンチャーランキング

 

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グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~★★★

2020年03月08日 | アクション映画ーカ行

太宰治の未完の遺作「グッド・バイ」をケラリーノ・サンドロヴィッチが独自の視点を交えたスクリューボールコメディとして「グッドバイ」のタイトルで戯曲化、演出した舞台を大泉洋、小池栄子主演で映画化。大泉洋が田島役を、小池が舞台版でも演じたキヌ子役をそれぞれ演じるほか、水川あさみ、橋本愛、緒川たまき、木村多江、濱田岳、松重豊らが顔をそろえる。監督は「八日目の蝉」「ソロモンの偽証」の成島出。

あらすじ:戦後の復興期、文芸雑誌の編集長・田島周二は何人もの愛人を抱えていた。さすがにこのままではまずいと思った田島は彼女たちと別れる決心を固めるが、愛人たちを前にすると優柔不断な性格が災いし、別れを切り出すことが出来ずにいた。困り果てた田島は、ガサツで金に金にがめつい担ぎ屋・キヌ子に女房を演じてくれと頼み込む。しかし、泥だらけの顔を洗ったキヌ子は誰もが振り返る美しい女性だった。

<感想>2015年に文豪・太宰治の未完の遺作を脚色したケラリーノ・サンドロヴィッチが、「グッドバイ」を舞台化した恋愛群像劇を、成島出監督で映画化。中でも主人公の大泉洋演じる田島よりも、”マイ・フェア・レディ”的な偽女房で、本領発揮を出している小池栄子の素晴らしさに脱帽。着飾るより、泥まみれで働く大食い、怪力の闇市かつぎ屋女のズタボロ衣装がたまりません。彼女がせりふを”だみ声でしゃべるのには、さすがによく考えたものだと。

戦後の混乱から復興へ向かう昭和の日本を舞台に、水と油のような男女が繰り広げる恋愛狂騒劇。情けないのに、なぜかモテる文芸誌の編集長田島。10人以上もの愛人を持ち、バラ色人生を謳歌していた田島編集長が、そろそろ疎開先の青森から妻と子供を呼び寄せようと決心するのだが。

その愛人たちと別れ話をつけるのには、の至難の業だ。一計を案じた彼は、闇市で稼ぐ貧乏な担ぎ屋のキヌ子に「ニセの妻を演じてくれ」と、始めはイエスと言わずに断るキヌ子が、田島を投げ飛ばし2階の部屋から落とされるのだ。よくも大怪我をしないで生きていて良かった。そして、お金に弱い彼女を、大金で雇いニセの妻役を依頼する。

それが、風呂に入り化粧をすると、キヌ子はもの凄い美人に早変わり、田島の仕事場へ美しく着飾ったキヌ子を見た、社員の浜田岳が一目惚れしてしまう。ところが宝くじに大当たりして一攫千金。成金となった彼は、真っ白いスーツに金歯をキラキラさせながらキヌ子に近づいていく。

舞台版でも同じヒロインのキヌ子を演じた小池栄子は、人生の伴侶はお金といいながらも、恋愛には奥手でウブな一面もみせる。今回では、愛嬌たっぷりで余裕すらあり、貫禄もあった。

一人目の愛人・花屋の戦争未亡人の緒川たまきのところへ行く。美人の妻を連れた田島に、手切れ金を掴まされて別れ話を切り出され、そのまま「グッドバイ」。二番目の愛人・押し絵画家の橋本愛の部屋に行くも、大男で共謀な兄貴がいて上手く話しがつかないのだ。

それに田島は、胃痙攣という持病があり、3番目の愛人でもある内科医・水川あさみのところへ行く。それが、田島はキヌ子ともいい感じになり、まぬけなことで半殺しの目に遭い大騒動になってしまう。

青森の妻・静江のところには、朋友で文士・漆山連行の松重豊を差し向けるも、妻と松重がいい関係になってしまい、田島と離婚すると言い出すのである。大きな屋敷もある小説家の漆山・松重に、娘も懐いてしまい、妻の木村多江も浮気な夫の田島よりも、経済的にも安定するし、夫のように愛人にうつつをぬかすということはない。だから静江も、すっかり漆山との結婚することに、本気になっているのだ。

昭和モダンの洒落っ気をまとい、一目で役の個性がわかる衣装は、ほとんど衣装デザイナー・宮本茉莉によるオリジナル&ハンドメイド。小池栄子の美しさにぞっこんな、成島監督の思いを受け、キヌ子の衣装は8着を用意。グラマーな小池のスタイルを活かしたデザインやヴィンテージアクセサリーにも凝っていて素敵すぎるのだ。

大泉洋演じる田島という男は、ほぼ太宰治の人生でした。たくさんいる愛人と付き合い、八方ふさがりになる男の顛末をユーモラスに描いたもの。かれのコメディセンスの演技で、面白おかしく描かれていて、田島にとっては悲劇だけれど、端からみたら喜劇だという。しかしながら、映画のコメディすぎるドタバタ劇に、少しうんざりしながらもそれなりに成し遂げていた感じでした。

 

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グッドライアー 偽りのゲーム★★★・5

2020年02月20日 | アクション映画ーカ行

「クィーン」でアカデミー主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンと、2度のオスカーノミネートを誇る「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイアン・マッケランという、ともにイギリスを代表する2人の名優が共演したクライムミステリー。ニコラス・サールの小説「老いたる詐欺師」を原作に、夫を亡くした資産家と冷酷な詐欺師が繰り広げるだまし合いを、「美女と野獣」「ドリームガールズ」のビル・コンドン監督のメガホンで描く。

あらすじ:インターネットの出会い系サイトを通じて知り合った老紳士のロイと未亡人のベティ。実はベテラン詐欺師のロイは、夫を亡くしてまもない資産家ベティから全財産をだまし取ろうと策略をめぐらせていた。世間知らずのベティは徐々にロイのことを信頼するようになるのだが、単純な詐欺のはずだった計画は徐々に思いがけない方向へと進んでいき……。

<感想>この物語は、ヘレン・ミレンとイアン・マッケラン、芸達者な二人の、巧妙な騙し合いに、まんまと乗せられてしまう。それも78歳のベティと80歳のロイのような歴史があるから成り立つのであって、他の設定だったら成立しない。2人の年齢が物語のキーポイントであり、それがまた面白いところなのである。ラストのどんでん返しが、また爽快でありました。ロイの終焉を見事に作り上げてしまう、ベティの復讐が見事でしたね。

夫を亡くしてまもない資産家ベティ(ミレン)に狙いを定めたベテラン詐欺師のロイ(マッケラン)は、出会い系サイトを通じてベティに近づく。紳士然とふるまうロイと何度か会ううちに、ベティは彼をたやすく信用したかのようだが、実はすべてベティの仕掛けた恐ろしい罠だったのだ。

実に面白い「タイトルどおり嘘と偽りが交錯するの」とヘレン・ミレン。マッケランが「臨場感あふれるスリラーで、パズルさ」と、それぞれ予測不能の展開を示唆する。そのほか、本作を盛り上げるロケーションの数々が映し出されるほか、紳士然とふるまうロイが見せる詐欺師の悪い顔、そして最後に「嘘が上手になった」と冷徹な表情を浮かべるベティも収められている。

ベティの孫のスティーブン(トベイ)が不信感をあらわに質問をぶつけるシーンが面白い。ベティの家で、3人で食事をしていると、スティーブンは突然ロイに軍への入隊経験を尋ね、さらにロイの首の傷跡についても追い込むかのように言葉を重ねる。ロイは一瞬うろたえるが、陸軍に入隊していたことは認め、傷については「私は何よりも不誠実なことが嫌いだ。だから作り話をするより、なぜ傷を負ったかということについて話さずにいたい」と落ち着いた口調で答える。

ベティは傷跡を見て少し驚くが、表情を読み取るかのようにロイをじっと見つめている。そして、攻撃的な態度のスティーブンに決して怒らず紳士然とふるまうロイを信用したかのように、スティーブンに対してたしなめるかのような表情を見せる。

スティーブンを演じたトベイは、3人の関係について「スティーブンは、彼女を守る役を買って出るが、過剰反応し過ぎだろう。彼はベティの生活に入り込んできたこの男を不審に思い、ベティとロイがあまりにも急に親密になったことに苛立っている。自分の感情を抑えることはスティーブンにとって難しく、ロイにとって目の上のこぶになるからだ。

キッチンでロイの髪の毛を切ってあげるという甘い行為など、ちょっとした違和感もすべて計算ずくだったとはね。能面のようなヘレンの顔を思い出すと、改めて身震いをし、すっかり騙されて、面白かったと最後まで終わらないところが、「大人のライアー・ゲーム」たるところなのかも。

刻々と変わるロイの表情、穏やかで何も言わないが目線や仕草で何かをほのめかすベティ、そして緊張感を生み出す孫のスティーブン。ロイに騙されているベティだが、そのまま騙されるだけの展開ではないことを予感させていた。

二人のレジェンド俳優による、観客を高みへ連れてゆく演技バトルをご覧ください。極上のライアーゲーム、極上のサプライズ、極上の製作陣、極上の映画的体験など、映画ファン&サスペンスファンが絶対に見逃してはならない、驚嘆必至の一作であります。

前半はハートフルだが、後半は怒涛のだまし合い。信じていたものがひっくり返され、「そうくるか!」とカタルシスが襲う筋書きが非常に面白い。

世間知らずのベティは、徐々にロイのことを信頼するようになるはずが、物語はそう簡単には進まない。ベティは気品あふれる純朴なマダムでもなんでもなく、実は“最強の悪女”だった! 詐欺師・ロイを逆に陥れようと、罠を張り巡らせ続けていた。

このお二人さん、意外にも初共演だそうで、イギリスが誇る名優の演技に圧倒されること間違いないです。本作のミレンの魅力を例えるなら、“危険な香りがする大輪の花”ですね。それは、上記の映像を見てもらえればよくわかるだろうし、気品あふれる華やかな笑みを浮かべながらも、常に何かを企んでいるように眼が怪しく光る。

特にベティが「ライアーゲームを始めましょう」と低い声で宣言し、薄明りに顔が照らし出されるシーンは、その表情を見るや身震いするほどの戦慄が襲ってくる。ベルリンで、彼女がまだ幼い頃、英語の先生としてロイがやってくる。ベティ、本当の名前はリリー。家は資産家であり、豪邸に住んでいた。そこで事件が起きるのだ。それは、3人姉妹の末っ子であるリリーが、その英語の家庭教師に来ていた彼に、突然レイプされてしまう。まだ、世間知らずの幼い娘であり、男のことなど何も知らず、まさか自分の家の中でそんな凶暴なことが起こるとは思っていなかったのだ。リリーは、悔し涙にくれ、誰にも話さず心の中にしまって置き、何時の日にか、彼に復讐をしてやると心に誓うのである。家の壁に掛けてある「リリー」の花が、最後の伏線なんですね。

一方でマッケランは、“雄大な氷河”を思わせる。ベティを慈しむおおらかさと、財産をかすめ取ろうとする冷徹さが、シーンごとに流れるようにスイッチされていくさまは見ものです。注目はラストでの地下鉄ホームでのひと幕。見ていて「えっ!?」と思わず声を出してしまうほど、衝撃的な映像が網膜に焼き付いてくる。やはり、歳には勝てないものだ。二人で作った銀行口座。二人の全財産を入金して、二人はそのまま別れるのだ。ロイはすぐにでも銀行から全額を引き出し、何処かの銀行へ移そうと考えていたに違いない。しかし、衰えてきた頭脳もひらめきが直ぐには浮かばないし、大事な銀行口座の「パスワード」を忘れてしまい、その上、それを書いてある書類を全部ベティの家に忘れて来てしまったのだった。歳は取りたくないものだ。

ラストが実に愚かな自分に気づいているのかは、定かではないが、老人ホームの中にいる姿は、それは余りにものショックであり、頭が混乱してしまい殆ど認知症状態に陥ったのであります。ロイが昔、自分が取った行動を、まさか老人になって復讐されるとは、微塵にも思ってなかっただろう。

ほかの出演者には、ロイの詐欺師仲間役を担ったジム・カーター(「ダウントン・アビー」シリーズ)や、ベティの身を案じる孫役のラッセル・トベイら、脇を固めるキャストも印象深い。予測はできるが最後までスリリングなのは、やはり2人の裏の裏まで、計算され尽くした巧妙な演技テクニックと、そのアプローチの違う組み合わせの妙だろう。前半のユーモラスなやり取りの、ほのぼの感に騙され、ラストは心底ゾッとしました。

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キャッツ★★★・5

2020年02月17日 | アクション映画ーカ行

1981年にロンドンで初演されて以来、観客動員数は世界累計8100万人に達し、日本公演も通算1万回を記録するなど、世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔「キャッツ」を映画化。「レ・ミゼラブル」「英国王のスピーチ」のトム・フーパーが監督、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務め、英国ロイヤルバレエ団プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワードのほか、ジェームズ・コーデン、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト、ジュディ・デンチ、イアン・マッケランら豪華キャストが共演した。

あらすじ:人間に飼いならされることを拒み、逆境の中でもしたたかに生きる個性豊かな「ジェリクルキャッツ」と呼ばれる猫たち。満月が輝くある夜、年に一度開かれる「ジェリクル舞踏会」に参加するため、街の片隅のゴミ捨て場にジェリクルキャッツたちが集まってくる。その日は、新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜であり、猫たちは夜を徹して歌い踊るが……。

<感想>映画「キャッツ」の元となったのは、81年ロンドン初演の舞台ミュージカルである。ミュージカルといえばブロードウェイと思いがちだが、ロンドン生まれのヒット作も多いのだ。82年にブロードウェイ開幕、83年には日本でも上演が始まる。ロンドンで21年、ブロオードウェイで18年のロングランを記録。

さらにはリバイバルもされた。日本では東京を皮切りに各地で巡演、現在は東京で上演中であります。ローレンス・オリヴィエ賞、トニー賞を受賞し、作品的評価も高い。国境も文化も超える人気で、これまで40か国以上で上演されいる。なにしろ名曲ぞろいであるからにして。なかでも「メモリー」は作品を離れて大ヒットして、いまやメロディを聞けば誰もが知るスタンダード・ナンバーになっている。

奇跡の映像はこうして作られた!…今回もっとも困難を極めたのは、猫でありながら俳優の顔が隠れず、その表情までがわかるビジュアルを作り上げること。

バレエ、ストーリーなど激しいダンスをする俳優たちの動きを完璧に捉えて、VFX化する作業は、ビジュアルエフェクトの限界への挑戦ともいえた。一方、俳優たちも、それらの動きをこなしながら生歌を歌うという困難に挑んで見せたのだった。

物語は、ゴミ捨て場に集まった猫たちから、天上に上る一匹が選ばれるというシンプルなもの。彩る猫たちのキャラクターが楽しい。オバサン猫、セレブ気取りの猫を始め、人間社会の縮図のようだ。

実は、ミュージカルの原作は、T・S・エリオットの子供向け詩集「おとぼけおじさんの猫行状記」。多彩な猫キャラは、各々一篇の詩から生まれたものだった。後の「オペラ座の怪人」でも知られる作曲家アンドルー・ロイド・ウェバーが、これらに曲を付け始めたのは77年。

中々ミュージカルにまとまらなかったが、新たに発見されたエリオットの遺稿からドラマ設定に繋がり、ついに完成したという経緯がある。

そこに盛り込まれたのは、「天上に上る」というキリスト教的救済のテーマだった。でも、テーマなど関係なく、猫たちが披露する歌とダンスを楽しむだけで、十二分に楽しいシーンになっている。

だからこそ、子供からお年寄りまで、また人種やカルチュアを超えて、世界中で長く愛されるミュージカルになり得たのである。

ちなみに、映画版で長老猫を演じる名女優ジュディー・デンチは、ロンドン初演でグリザベラを演じるはずだったが、怪我で出演できなくなったという因縁がある。この作品では、オールドデュトロミーという猫たちの偉大なる長老を演じ、新しい人生を得る一匹の猫を選ぶ役目を演じている。

今回では、「天上に上る」猫として選ばれるのは、ジェニファー・ハドソン演じるグリザベラ、かつては絶世の美しさを誇っていたが、今では毛並みもボロボロ。誰からも愛されない孤独な猫。朗々と歌い上げる「メモリー」が素晴らしかったです。

人間に捨てられた若く臆病な子猫のヴィクトリアに、フランチェスカ・ヘーワードが、ジェリクルキャッツたちとの出会いで人生が変わるという。バレリーナなので、とても美しい踊りが見られます。

映画音楽、ダンスなど様々なジャンルのトップが集結した本作では、中でも目を見張るのが、バレエダンサーたちの豪華すぎる顔ぶれ。主人公ヴィクトリアを演じるのが、英国ロイヤルバレエ団のプリンシバル、フランチェスカ・ヘーワード。同じくプリンシバルのスティーヴン・マックレー、NYCBのプリンシバル、ロビー・フェアチャイルドなど驚きの面々が揃っている。

 

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カイジ ファイナルゲーム★★★

2020年01月21日 | アクション映画ーカ行

福本伸行の人気コミックを藤原竜也主演で実写映画化した「カイジ」シリーズの3作目。前作「カイジ2 人生奪回ゲーム」から9年ぶりの新作となり、原作者の福本が考案したオリジナルストーリーで、「バベルの塔」「最後の審判」「ドリームジャンプ」「ゴールドジャンケン」という4つの新しいゲームを描きながら、シリーズのフィナーレを飾る。福士蒼汰、関水渚、新田真剣佑、吉田鋼太郎らがシリーズ初参戦し、過去作からも天海祐希、松尾スズキ、生瀬勝久らが再登場。監督は過去2作と同じ佐藤東弥。

あらすじ:2020年・東京オリンピックの終了を機に、国の景気は急激に失速。金のない弱者は簡単に踏み潰される世の中になっていった。派遣会社からバカにされ、少ない給料で自堕落な生活を送るカイジは、ある日、帝愛グループ企業の社長に出世した大槻と再会。大槻から、金を持て余した老人が主催する「バベルの塔」という、一獲千金のチャンスを含んだイベントの存在を知らされ…。

<感想>あの藤原竜也の「カイジ」が9年ぶりに帰って来た。堂々と「ファイナルゲーム」と冠する今作は、原作者の福本伸行が脚本から携わり、オリジナルギャンブルを考案し、もちろんカメオ出演もする。

舞台は2020年、オリンピック開催後に景気が失速し田時代という皮肉の効いた設定に加え、全財産を金に換えて重さを競う「人間秤」や、10人中に9人が命を落とす「ドリームジャンプ」などなど、再び容赦のない常識と倫理観をぶっ壊してくれるのだ。

このシリーズがここまで愛されている理由は、荒唐無稽な設定自体ではなくて、その舞台で繰り広げられる芝居合戦だろう。

今作では、藤原竜也が15歳で蜷川幸雄に見出され、舞台「身毒丸」で主演デビューした藤原は、続いて映画では無人島で中学生が殺し合う衝撃作「バトル・ロワイアル」では主演を務め、鮮烈な印象を残した。その後も豊かな感情表現を武器に、緩急をつけた演技で存在感を発揮。死神の能力を手にした高校生役を狂気交じりに怪演した「デスノート」を始め、時効を迎えた連続殺人鬼を飄々と4演じた「22年目の告白―私が殺人犯です!」とか、包帯姿で素顔を覆った悪役ハイテンションで挑んだ「るろうに剣心」など、一癖も二癖もあるキャラクターを全身を使って体現してきた藤原竜也。

ラストでゲームに勝利して、ビールを飲む藤原の名ゼリフ「キンキンに冷えてやがる」など。そんな彼にとって「カイジ」はまさにハマリ役でした。不況のどん底に陥った未来の日本を舞台に、人生を懸けたゲームに挑んでいく主人公の最後の勇姿を、まさに見せてくれる集大成的な、ぶっ飛び演技を見せつけてくれる。

蜷川演劇で共演を重ねてきた吉田鋼太郎が、カイジが所属する派遣会社の社長・黒崎が敵として立ちはだかる。

その黒崎が相手役であり、ゲームの場所で審判をする、活き活きと悪役に扮する福士蒼汰くんが立ち塞がるのだ。福士蒼汰のビシとしたスーツ姿に目が眩み、いい男に仕上がっているのに驚く。

大きなリスクが伴うことは知り尽くしているのに、給料日に楽しく一杯やることすらできない状態のカイジは、またもや危険なゲームの誘いに乗ってしまう。 待っていたのは、人生全てを天秤にかける大掛かりなギャンブル。 倒れるまで働いても暮らしがちっとも良くならない、東京オリンピック後のすさんだ日本の様子も気になりますね。

それに、帝愛グループ企業の社長に出世した大槻は、実は会長の本当の息子で、母親が愛人であり自分の身の上を隠していたのだった。だから、会長の全財産をカイジに賭けて、信頼しているからこそ全財産を投資するのだ。

一番酷いのが、国民の預貯金を全部無しにして新札を発行するという、企画を立てた内閣財務省の高倉(福士蒼汰)が、一番の悪い奴。それに便乗したのは、閣僚たちが自分たちの全財産を高倉に渡して、新札に変えるということを、つまり金融改革を行おうとしていたのだ。今まさに、庶民の現預金は失われるのだ。その国民の現預金で、国家の赤字債権を全て帳消しにしようと企んだのが、高倉の考えたことであります。

それに映画は、前作オマージュもたっぷりと、セリフもセットも演出も、過去最高に過剰であり、最初から最後までこってりと増しましております。その中でも文字通り息も付かせぬガチンコの舌合戦もあり、騙し合いや(会社をクビになった中年の女、実は時計職人だったのをカイジが巧く使った)煽り合に(ドリームジャンプでは、10本の内1本だけが当たりのロープ。後は切れて下へと落下。その時にあのラッキーガールの指のQのサインだった。)、大立ち回りでキメキメのゼリフを叩きつける快感たるや、相変わらずクズ・クズな、クズの人生をただただ繰り返して死んでいくだけだ。なのに、カイジがみんなのヒーローになって、そう見えてくるほどかっこよかった。

ラストなので、前の出演者が出て来て、カイジの応援をする。中には、天海祐希が出て来て、ピンチを救ってくれる代わりに、必ず勝つことを前提にして、儲けの3割を貰うことにするも、カイジが欲を出して大きなカバンを選び、最後に酒場で冷えたビール飲んでいるも、結局は天海にしてやられるのだった。

その極上のエンタメを味わったあと、その裏に刻まれた人間の心理と社会への警告に触れて「こんなフィクションだろう」と、言い切れない後味のザワザワまで、そういえば、今回はバックのザワザワが少なかったが、それでもしっかりと堪能して欲しい。

2009年カイジ 人生逆転ゲーム

 

特別な才能もなく、人生の目標もない、どこにでもいる典型的な“負け組”カイジ。保証人になったために多額の借金を抱えてしまったカイジは、悪徳金融の遠藤に言われるままギャンブル・クルーズに参加する。そこで行われているのは、命を賭けた究極のゲームだった…。

2011年 カイジ2~人生奪回ゲーム~

数々の命懸けのゲームに勝利し、多額の借金を帳消しにした伊藤カイジ(藤原竜也)。まさに人生の逆転を果たしたと思いきや、1年も経たないうちに、またしても借金まみれの「負け組」に。再逆転を目指すカイジが今回挑むのは、当たれば10億円以上を稼げるモンスターマシーン、通称“沼”だった…。

 

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この世界の(さらにいくつもの)片隅に★★★★★

2020年01月17日 | アクション映画ーカ行

片渕須直監督がこうの史代の同名漫画をアニメーション映画化して異例のロングランヒットを記録し、国内外で高い評価を得た「この世界の片隅に」に、新たなシーンを追加した長尺版。片渕監督のもと、主人公すず役ののん、今作でシーンの追加されたリン役の岩井七世らキャスト陣は変わらず続投。

あらすじ:日本が戦争のただ中にあった昭和19年、広島県・呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれ、新たな生活を始める。戦況の悪化に伴い生活も困窮していくが、すずは工夫を重ねて日々の暮らしを紡いでいく。そんなある日、迷い込んだ遊郭でリンという女性と出会ったすずは、境遇は異なるものの、呉ではじめて出会った同世代の女性であるリンと心を通わせていくが……。

<感想>2016年12月7日にレビューしてました。「この世界の片隅に」★★★★★で、戦争を知らない私たちには、このような世界があったということを忘れてはなりません。日本がどんなに現在が平和で、物資も豊富で、経済的にもそれなりに豊かであり、贅沢を言ったら切りがありませんもの。

どんなにか辛い時代だったでしょう。戦争というのは人間をダメにする、人間が人間を殺しあい、国を攻めてその国を何も無くなるような瓦礫の山にしてしまう。

それに経済も疲弊して、農作物も取れず食べる物にも困ってしまう。生き残った人間は、行き場が無く、隣の国や遠く離れた国へと離散する。そんなことを今更考えても、どうにもならないことで、これから先にのことを想えば、絶対に戦争をしてはいけないと言うことだけです。何もいいことはありませんから。

CGで描かれた呉市の街、海の上には大きな大砲を備えた航空母艦や、軍艦が見えて、それは迫力のある光景でした。

主人公の北條すずさんの物語で、この時代に嫁入りをして、その嫁ぎ先でので小言を事細かく描いていました。本編では、前の30分のシーンを追加した別バージョンもの。

私が、映画や旅行で行った広島の原爆ドーム、瓦礫のビルの鉄の棒がふにゃりと曲がって、写真では、亡くなった人達や、ただただ茫然と何もする気力がなく立っている人。原子爆弾の威力は、並大抵のことではなく、広島市以外の土地までに、その原爆の威力が残り、人間も体に放射線を浴びた人は、それに、直ぐに黒い雨が降ったのでその雨を浴びた人達も、放射能の被害を被ったわけで、おびただしいその後の悲惨さに涙が出て止まらない。

この映画は、たくさんの人に観て欲しいと思いますね。主人公のすずさんの生きざまというか、その後の生活を描いてました。運悪く、爆弾の破裂がまだだったその場所に、小さな義理のお姉さんの娘、はるみちゃんの手を引き歩いていた。

すずさんの不注意かもしれないが、その爆弾が破裂して「はるみちゃん」は亡くなり、自分は手を引いていた右腕を失ったのだ。

不自由な生活を送りながらも、嫁ぎ先で義理の姉から毎日のように娘の「はるみ」を死なせてしまったことを言われて、形見の狭い生活を強いられる。利き腕の右腕が無いすずには、台所の仕事も何もかもが出来ずにいて、ただお使いや庭掃除ぐらいしかできない。

すずと「りん」との交流や、広島に生き残った妹「すみ」を案じて過ごすなかで迎える昭和20年の9月の枕崎台風のシーンなどが追加されていた。

嫁ぎ先で、いたたまれないすずが出かけるのは、呉市の娼館の「リン」に会いにいくことだ。彼女と話しをしていると心が休まるからだ。「りん」もすずと話すと何故か自分の家族のような、懐かしい感じがするから。「りん」は幼いころに両親とはぐれて、まだ結婚をしてない広島のすずの家の天井に暮らしていた女の子だと思う。下へ降りて来ては、台所の残り物を食べて飢えをしのいでいた。そして、すずの家族に見つかり、孤児院へと入る。

その後は、広島の娼館で売春をして働く。そこへ周作が初めて女性を抱きにやって来て、彼女「りん」を好きになり、「りん」見受けをして自分のお嫁さんにしたいと、両親に相談する。だが、大反対の末に、周作は「りん」と別れることとなり、その時に「りん」に名札を書いてやるのだ。

すずが、嫁ぎ先の納屋で、桃色にりんどうの花が描いてある飯茶碗を見つける。たいそう気に入り、自分の茶碗にしようとするも、家族に聞いてみるとあまりはっきりとしたことを言わないのだ。まさか、それが秀作が嫁にしたいと思った「りん」のために買ったものとは知らなかった。だから「りん」とすずの絆は、きっとそういうことがあったからかもしれない。

すずがどんなに過酷な出来事に襲われても、自分を保てたのは、彼女との友情があったからこそだ。

すずがその桃色の茶碗を持って「りん」に会いに行くも、不在でそこにいた女性(風邪を引いて寝ていた)と話しをして、彼女の故郷は温かい南国だというので、窓の下に雪が積もっていて、そこに南国の絵を描いてやるすずの優しさが滲み出る。

3年前の「この世界の片隅に」のロングヴァージョン。詩情あふれるカットの数々に、3年前に観た記憶が蘇る。新しきもあり古くもある独特の抒情は、やはり記憶の奥底まで深くしみ込んでいて、消え去ってはいなかったのだ。

この世界の片隅に」2016年12月7日

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・3  アクション・アドベンチャーランキング

 

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カツベン!★★★★

2019年12月17日 | アクション映画ーカ行

「Shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」の周防正行監督が、サイレント映画時代を舞台に一流活動弁士になることを夢見る青年を主人公にしたコメディドラマ。主人公・俊太郎役は、「スマホを落としただけなのに」「人間失格 太宰治と3人の女たち」など話題作に立て続けに出演し、本作が映画初主演となる成田凌。ヒロイン役を黒島結菜が演じるほか、永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、竹野内豊ら周防組初参加のメンバー、竹中直人、渡辺えり、小日向文世ら周防組常連陣が顔をそろえる。

あらすじ:当時の人気職業であった活動弁士を夢見る俊太郎が流れ着いた小さな町の閑古鳥の鳴く映画館・靑木館。隣町にあるライバル映画館に人材も取られ、客足もまばらな靑木館にいるのは、人使いの荒い館主夫婦、傲慢で自信過剰な弁士、酔っぱらってばかりの弁士、気難しい職人気質な映写技師とクセの強い人材ばかり。雑用ばかりを任される毎日を送る俊太郎の前に、幼なじみの初恋相手、大金を狙う泥棒、泥棒とニセ活動弁士を追う警察などが現れ、俊太郎はさまざまな騒動に巻き込まれていく。

<感想>映画=活動写真がモノクロ(白黒)で、サイレントだった時代を舞台にし、“活動弁士”(映画にセリフや説明を付ける職業)という日本独自の、伝統芸の語り手たちへの遥かなるオマージュである、活動弁士が語る映画はサイレントでもなく、トーキーでもない独自のジャンルとして確立されていたということだ。

主人公の俊太郎に扮した成田凌や、スター気取りの弁士・茂木を演じる高良健吾が繰り出す軽妙な活弁にまず聞き惚れるが、この作品の魅力はそれだけじゃない。

ヒロイン役を黒島結菜が演じる俊太郎の幼馴染・梅子との恋の行方も気になります。

そして、ニセ弁士を追う刑事に竹野内豊との追跡劇やライバル映画館との攻防戦などもあり、笑いにアクション、人情ドラマといった面白い要素がてんこ盛り状態の内容。

主人公の俊太郎は活動弁士に憧れたのに、ひょんなことから泥棒の片棒をかつがされて、自分が山岡秋馨のモノマネをして弁士をしている最中に、仲間が活動を見に来ている家に、泥棒に入りお宝や金品を盗むというわけ。

意を決して一味から抜け出した彼は、その時に泥棒をした安田のトランクに入った札束を持っていたことに気づく。小さな街の寂れた映画館で働き始めるが、任されたのは雑用ばっかりだった。それでも、弁士・茂木を演じる高良健吾が繰り出す軽妙な活弁を勉強し、山岡秋馨もいたが酒を飲んで寝てばかり。

豪華共演陣の快演も楽しいし、周防監督の凝り方は相当なもので、弁士が語るサイレントの映像もちゃんとオリジナルで作っている。城田優や上白石萌音らが出演した劇中のモノクロ無声映画にも心を奪われる。

とにかく、当然かもしれないが、監督の奥さんである草刈民代や、上白石萌音を使ったサイレント映像は贅沢だし、それに気づいた時にはとても得をした気分になった。

驚いたのが、俊太郎に扮した成田凌の弁士の巧いことと言ったらない。女性客にモテモテで、嬉しいやら困ったやら、泥棒時代の安田が来て金を返せとドツかれるしで、この辺はテンヤワンヤの大騒ぎ。

本作品を観ると、活動弁士のパフォーマンスが優れた話芸として非常に面白いものであることがわかる。だから単純な映像でも彼らの話芸によって傑作になり、悲劇にもなり喜劇にもなるところが秀逸であり、周防監督の思い入れが伝わって来るようでした。

まぁ、それでも全体のストーリーはドタバタ劇だが、音声も音楽も生で聞けたこの時代の映画は、また特別な面白さがあったと想像できます。観ていて、とても楽しかった。本当に映画本来の楽しさにあふれているのだ。

 

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決算!忠臣蔵★★★・5

2019年12月02日 | アクション映画ーカ行

「忠臣蔵」を題材に、限られた予算の中で仇討を果たそうとする赤穂浪士たちの苦労を描いた時代劇コメディ。堤真一と岡村隆史がダブル主演し、監督・脚本を「殿、利息でござる!」の中村義洋が務めた。金欠に悩まされるリーダー・内蔵助を堤、ワーキングプアなそろばん侍・矢頭を岡村がそれぞれ関西弁で演じる。

あらすじ:元禄14年3月14日。清廉潔白な赤穂藩主・浅野内匠頭は、かねて賄賂まみれだった吉良上野介に江戸城内で斬りかかり、即日切腹を言い渡される。突如として藩主を亡くした赤穂藩士たちは路頭に迷うこととなり、筆頭家老の大石内蔵助は勘定方の矢頭長助の力を借りて財源の確保などに努めるが、そうした努力や幕府への働きかけも虚しく、お家再興の夢は絶たれてしまう。それでも一向に討ち入る様子のない内蔵助だったが、江戸の庶民たちは吉良への仇討を熱望。しかし討ち入りするにも予算が必要で、その上限の都合上、討ち入りのチャンスは1回きり。予算内で仇討を成功させるべく奮闘する浪士たちだったが……。

<感想>年末の風物詩とも言える「忠臣蔵」。日本で最も有名な仇討ちとして知られているけれど、何をするにもお金がかかるのは、今も昔も同じだった、という訳で、歴史に残る一大事件となったあの討ち入りを、予算の面から切り取ったのが、映画「決算!忠臣蔵」なのだ。

大石内蔵助が実際に書き残した決算書を基に、吉良家への討ち入りプロジェクトの内幕を、金銭的な側面から描いたユニークな時代劇に仕上がっていた。

戦担当の番方、事務の役方が経費を巡って攻防戦を繰り広げ、さまざまな思惑が入り乱れる。中でも大石内蔵助の堤真一を筆頭に,豪華キャストが集結した。事務の財政役方の岡村隆史の演技のハマリようときたら、まず上手いときてる。それに、西川きよしさんの大野九郎兵衛という役、桂文珍さんは、遠林寺の住職・祐海和尚(ゆうかいおしょう)を演じます、両師匠が新たな挑戦をして脇役を締めており、他の侍たちも有名な俳優さん達ばかりが揃っており、「忍びの国」の中村義洋監督が脚本も重ねて、放送禁止用語のピー音を使うなど、自由な演出が光っていました。

「忠臣蔵の決算書」が事実に基づく資料だったのが大きかった。誰がどこにいたかなど、手紙のやり取りなどが結構残っていたという。まずは、討ち入り予算は、浅野内匠頭の妻・瑤泉院から預かった上限予算9500万円(嫁入りの持参金)を、予算内で決算成立できるのか。石原さとみが瑤泉院を演じていました。

その内訳では、日々の生活費や江戸までの旅費、武具までにも、それに仇討ちに加勢しない者は、退職金を今までの働き年別に計算して支払うという、家老や勘定方の役人たち。セリフは全編関西弁での、ノリの良さで本当に仇討ちが出来るのかと、不安になってくる。

大石内蔵助が、敵の目をあざむくのに、女遊びに高じていたとあるが、本当は女好きで、妾を3人囲っており、奥方のそのことを承知で、妾のお金の心配もするのだ。最後に、大石内蔵助が妻と離縁をすることを決めたのは、自分が討ち入りをして、殿の仇討ちをすれば、家族も断罪に処することになり、「16歳未満は島送り」になるというのだ。だから、妻と子供のことを考えて、4人いた子供たちは親戚とかに預けるか、5人目の赤ん坊はお寺に預けるといったことになる。大石内蔵助の妻には竹内結子が扮して、5人目を孕んで大きなお腹をしての演技も良かった。夫が亡き殿の仇討ちをすることを知り、切腹することも知っての最後の別れに、涙がつい出るようなセリフも上手かったです。

それに、有名な四十七士の名前はあまり出てきません。その四十七士の侍の家族も同じように処罰されるということに。もちろん、大石内蔵助を筆頭に、四十七士の侍も一緒に、切腹するという最後でしたが、そのようなことには一切触れずに、淡々とお金の決算ばかり気になっているように見えました。

一番に気になったのが、経費をいちいち表示してくれるところ。例えば、堀部安兵衛が江戸から赤穂に帰って来ると「なぜ帰って来たのだ。往復の旅費がかかるのに」72両なりと、一人がそうですからね、荒川良々さんが堀部安兵衛を演じてました。

妻夫木聡さんが、仇討ちに参加する侍たちに、吉良邸の地図を見せて、計画通りにするようにと、一回で終わらせるためにと、策士のような3人組で必ず一人を斬るようにと命令する。

 

最後の討ち入りの日が、最初は3月14日の命日にするというのを、予算の関係上で、12月の14日に決まったことでは、片道の旅費だけだから安く済むなんて、大石内蔵助が言うそんな塩梅です。

エンドロールの字幕で、白黒で背景に討ち入りのシーンを映しているのが見えて、責めてあの有名な討ち入りだけでも見せてくれれば、なんて思ったのは私だけでしょうかね。

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クロール ―凶暴領域―★★★★

2019年10月28日 | アクション映画ーカ行

巨大ハリケーンの襲来で浸水した自宅に取り残された父娘が、水と一緒にやって来たワニの大群に襲われる恐怖を描くサバイバル・パニック・スリラー。出演は「メイズ・ランナー」シリーズのカヤ・スコデラーリオと「プライベート・ライアン」「トゥルー・グリット」のバリー・ペッパー。監督は「ヒルズ・ハブ・アイズ」「ピラニア3D」のアレクサンドル・アジャ。

あらすじ:大学の競泳選手ヘイリーは、巨大ハリケーンの直撃を受けたフロリダで一人暮らしをしている父デイブと連絡が取れなくなったことを心配し、急ぎ実家へと向かう。嵐の中、どうにか実家に辿り着くも父の姿は見あたらず、地下室で重傷を負っていた父をようやく発見する。しかし救助しようとした瞬間、ヘイリーも何かに背後から襲われ、右足を負傷してしまう。相手はなんと巨大なワニだった。しかも洪水による氾濫で、周囲に生息していたワニが大量に家の中に侵入し、脱出も出来ないまま、絶体絶命の窮地に追い込まれるヘイリーとデイヴだったが…。

<感想>思い出の我が家はヤツらのテリトリー。「死霊のはらわた」のサム・ライミと「ハイテンション」のアレクサンドル・アジャが、タッグを組み、動物パニック映画の快作を生んだ。本作で人間を脅かすのはサメでもサルでも蛇でもない。それがワニなんですね、時速32キロメートルのスピードで水中を泳ぎ回り、カミソリのように鋭い80本の歯を持ち、噛む力は1342㎏という、水陸両生の獰猛なアリゲーターが、家の中で大暴れする。

その上、屋外はハリケーンが猛威をふるい、もはや絶体絶命!!動物パニックにディザスター、密室というジャンル映画の鉄板要素をトッピングした贅沢極まりない作品。

自分の家の地下室の下に、カテゴリ5のハリケーンで水浸しになり床上浸水状態。そこへ運悪く近くのワニ園から、ハリケーンで大雨状態で水かさが増して、排水パイプを伝ってワニが逃げてきたのだ。

父親が一人でハリケーンの被害に遭わないようにと、家を補強している最中に地下室で物音がして、行ってみるとワニが、それもデカイやつがいて、大怪我を負っていた。

娘が大学の競泳選手のヘイリー、いくら強靭な娘でもデカイワニにはかなうはずもなく、父親を助けて地下室から抜け出したい。そして、救助に来て欲しいのだ。だが、ボートで救助にきた警官は、ワニに即食べられてしまう。四面楚歌であればあるほどドラマは盛り上がるはずって、いつもそう思う。

それに、何時の間にか、孤立化して誰も近隣の人たちは避難をしていなかった。洪水でワニ園と化した地下室から、父と娘が決死の脱出を試みる緊迫の88分の間、主人公は絶対に死なないという信仰だけが、観客たちの支えだった。

娘のヘイリーは父親とは疎遠であり、身の危険を承知で助けに向かうヒロインのヘイリー。理屈ではない理由が、それは幼い頃から競泳に励む娘に、ハッパをかける時の「最強の捕食者」という父親兼コーチの口癖もシンプルで小気味がいい。

そして、愛犬のシュガー(犬かきが上手)の描写も、弱いものを守ろうとする人間味を感じる。絶対に餌食にはならないと思って観ていたから。だが、作中のワニはほぼCGだそうだが、カメラワークはさながら人間を狙うワニのように、スリリングでした。

しかし、この状況で父親を助けて絆を取り戻し、水泳選手としての弱さを克服していく姿が、ワニの戦いと並行して描かれていたのも良かった。地下室でワニ退治をする強い娘に育てた父親、いかにして、ワニから逃げて父親を助け、自分も助かりたい。

父が出口は玄関の所にも床下が開くと言うので、泳いで行ってみるが、床の上に物が置いてありどうにも押し上げられなかった。そこへ、玄関に水の流れが押し寄せて、家の中にも水が入り、その物が水の勢いで倒れ、床板を上げることに成功する。だが、玄関からその水と一緒にワニも家の中へと流れてきた。

風呂場に逃げ、ワニに追い詰められるも、天井の隙間から逃げて風呂場のドアを開けて、ワニを風呂場に閉じ込めるのに成功する頭の良さに感心。

こういう、パニック映画は必ずといって、女が強いし、人間ドラマもしっかりと描かれていて良かった。

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荒野の誓い ★★★・5

2019年10月06日 | アクション映画ーカ行

「クレイジー・ハート」「ブラック・スキャンダル」のスコット・クーパー監督が、クリスチャン・ベイルを主演に迎えて贈るウエスタン・ドラマ。西部開拓時代が終焉を迎えた19世紀末期のアメリカを舞台に、アメリカ・インディアンとの戦いで武勲をあげた伝説の陸軍大尉が、宿敵であるシャイアン族の首長とその家族を故郷へ送り届ける任務を命じられ、渋々ながら繰り出した過酷な護送の旅を通して、少しずつ互いの理解を深めていくさまを描く。共演にロザムンド・パイク、ウェス・ステューディ。

あらすじ:1892年、アメリカ・ニューメキシコ州。かつてのインディアン戦争の英雄で退役間近のジョー・ブロッカー大尉は、収監されていたシャイアン族の長イエロー・ホークとその家族を、インディアン居留地となった彼らの故郷モンタナ州に護送するよう命じられる。戦争で多くの仲間を殺されたジョーは、インディアンへの憎悪を剥き出しにしてこれを拒否する。しかし軍法会議になれば年金がもらえなくなると上官に脅され、渋々ながらも命令を受け入れる。こうして信頼できる部下4人とともに、イエロー・ホークの家族を護衛してモンタナへの長い旅へと出たジョー。途中、コマンチ族によって家族を皆殺しにされた女性ロザリーを保護すると、彼女も隊に加えて先を急ぐ一行だったが…。

<感想>西部劇のかたちで現代アメリカの対立構造を暴く問題作であります。冒頭の音楽が静かに流れるという言葉の余韻に浸りつつ、まるでジョン・フォードの「捜索者」のような始まりなのだ。だが、シャイアン族の娘は拉致されずに殺されてしまう。美しく成長した娘の帰郷で終わる「捜索者」に対して、この映画の最後は、生き残った3人の疑似家族の旅立ちを描いて終わるのだ。

米国公開時、「史上もっとも残酷な西部劇」とも評された本作。日本人のマサノブ・タカヤナギによる撮影は、「捜索者」も引用して壮麗だが、物語は凄惨殺感が、極まりない地獄絵図の連続であった。

スコット・クーパー監督は、今回も米国史の暗部をむき出しにしようと試みているのだ。ニューメキシコからコロラド、そしてモンタナへ。あまりにも美しく広大な自然を背景に、分断された世界の憎悪と怒り、贖罪と和解を描いた西部劇の傑作。

インディアンとの抗争が収束しつつある1892年のアメリカを舞台にし、その「負の歴史」を「現在の断絶」と重ねた視点から描いている西部劇。殆ど現代的価値観に沿って描かれる人種間の対立の問題は、故ドナルド・スチュワートによる草稿には存在せずに、監督が追加したという。

相変わらずのクリスチャン・ベイルの仏頂面が荒野に映えるのだが、シャラメやプレモンスに、フォスターなど若手売れっ子たちが、短い出番にもかかわらず参加しており、この視点、アプローチへの関心の高さが伺えるのだった。

こうした「負の歴史」を認めて、エンタテインメントとして真正面から描きつつ、観客に考えを促す映画が公開できるのもまた、アメリカだなぁ、と改めて思いました。

作中、マックス・リヒターの音楽は、哀しみに襲われ登場人物たちに、静に寄り添っていた。音楽だけではない、行き届いた音の調整が、激しい戦いが繰り広げられる荒野の荒涼感を演出していた。

ジョー・ブロッカー大尉のうめき声は、雷の音にかき消されるも、家族を埋葬し、子供のように号泣するロザリーの泣き声は、荒野に響きわたる。一緒に旅をすることにしたロザリーは、無表情で笑うことを忘れたような、まるで死に顔になっていた。途中でインディアンの襲撃に遭い、女2人が拉致誘拐されてしまう。レイプ暴行され、まだ殺されないだけましなのか、死の確実性に惹かれても、人はいくつになっても、慣れない人生を生きていくのだろう。

この映画の殺伐とした世界観は、トランプ大統領の下で底知れぬ敵意と、憎しみで分断されてゆく。アメリカ合衆国の心象風景そのものを描いているようだった。その間に西部劇のエッセンスの全てが、ゆっくりとした移動の織りなすこのジャンルならではのリズムで展開してゆくのだ。

最後にインディアンと和解する主人公、ジョー・ブロッカー大尉の成長は、異人種への差別、増悪を少しづつ克服していった西部劇の歴史そのものの縮図のように見えた。

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